表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

241/244

235話 魔法が使えない俺と再会

木々が流れていく。


走りづらく障害物の多い森の中を全力疾走する

俺は、焦燥感に駆られたレミリアの後ろについていく。


レミリアには微細な魔力を検知出来ているらしく、進行に迷いはない。


でも、里はエルフ達に任せるとは言ったものの、なんだかんだ心配を払拭出来てはいないだろうな。


「魔力感じる?」


地を蹴り、木を避けながら点が線になるくらいの速さで走る俺は、なんとなくレミリアに話しかけた。


「あぁ。徐々に強まっている。まもなく着くはずだ」


らしい。


俺には全く感じないけどな。


人とか、物体とかの気は感じるけど、魔力は感じないしなぁ。


エルフにはどう感じてるんだろう。


少しして、木から木へと猿みたいに飛び移りながら疾走するレミリアの動きがピタリと止まる。


どうやら目的地に到着したらしい・・・がしかし


見回す限り、木、木、木。


なんの変哲もない森の中の一地帯。


「着いた・・・が、何もないぞ」

「そうだな。なあ、本当にここなのか?」

「間違いない。先ほどの魔力はここらか漂っている。微かだがな」


んー、でもなんもないよなぁ。


あるとしたら、目の前にあるのこの木・・・ 


「まさか」


剣を抜き、木もろとも空間を斬る。


目の前に広がる空間は横切断面から二分割され、上下がずれたかと思うとガラスのように砕ける。


そして現れる。


「な・・・こんなもの、どこから!?」

「魔法ってことか、しかも人にどうこうするとかじゃなくて、周りの空間自体に作用してたみたいだな」


それにしたって、魔力感知に引っかからないって、これどういうことよ。


「こんな事が・・・それに、これは」

「よくは分からんが、地下へと続く入り口と言ったところか」


本物の景色から現れたのは、物置小屋のような木造の建物。


小屋の扉は空いており、中には下へと続く階段が見える。


それだけじゃない。


「見てみろよ、これ」

「こ、これは」


小屋からは、エルフの里と同様の物かと思われる、光の球が漂っている。


それは恐らく、地下から流れてきているようだ。


「ふ、フィーリス!!」

「おい!」


なりふり構わず、レミリアは地下へと走り出す。


妹がいるかもしれない。


希望と焦りが入り混じった感情が、レミリアの身体を動かしてるんだろうな。


「ったく」


先進んだレミリアの後を追い、俺もまた階段を駆け降りる。


◇◆◇


階段自体はそんなに深くもなかった。


降りたすぐそこには二枚扉があり、それはもう開け放たれていた。


その中に入るとすぐに、レミリアは棒立ちで地下空間を眺めていた。


「これは、なんだ?」


レミリアが小さく呟く。


信じられないと言った光景と感情が、自然と口から漏れたらしい。


まあ分かる、俺もそう思うし。


奥に広がる地下空間。


試験管?をひっくり返したような、人ひとり入る事が出来るくらいのガラスケースが奥にずらっと並んでいる。


それの下には魔法陣が展開されていて、バチバチっと電気が走っている。


ガラスケース内には緑色の液体によって満たされており、中には赤い玉が浮いている。


これ、魔導玉みてえだな。


だけど、中に人はいない。


寧ろ感じるのは、人間2人の気配。


一方は感じたことのある邪悪な気配。


もう一つは・・・あぁ、多分目的の人物だ。


「これは多分、テロスの原料だ」

「そうか、なら」


刃を食いしばり、目の前の試験管を破壊する。


緑色の液体が勢いよくながれ、地面は水溜りを形成する。


「とりあえず進もうぜ。何があるか分からないし」


震えるレミリアに声をかけ、肩に手を置く。


「そうだな」



周りを見回しながら奥へと進む俺たち。


えるのはガラスケースのみで、それ以外の物はないに等しい。


あるとすれば、光の球が無数に浮いているくらいだろうか。


・・・ここは、実験場、もしくは製造工場ってところか?


つまり、ここでテロスを作り出して、外に放出しつつ、魔導玉を作り出していたってことか。


人間はいらない程、技術が進歩しているのか、それとも・・・



少し歩くと突き当たりまで到着する。


あるのは煉瓦造りの壁だけで、ここが行き止まりのようだ。


でも、これだってどうせ魔法なんだろ?


左から右へ振り払うように剣を薙ぐと、先程と同じようにガラスが砕けるようにパリンと壁は破れる。





「あーあーー!見つかっちゃったなぁ!・・・久しぶりだね」

「あぁ、相変わらず陰険な野郎だなお前は」


見覚えのある貼り付けの笑顔。


前に出会った時とは明らかに違う、ドス黒いオーラを醸し出す男は細い目の奥から怒りの眼を俺に向ける。


イジャ、魔王軍幹部の不幸大好き野郎。


ワープ能力を持つこいつは、前に魔法都市でボコボコにした。


その怨念を身に宿しているようだ。


そして、その奥には


「フィーリス!!!!」


レミリアは妹の名前を叫ぶ。


声の方向にいるのは、首、手首、足首にそれぞれ鎖が繋がれている半裸の女の子。


服は破け、ほとんど着るものとしての機能を失っている。


他のエルフと同様に金髪で長い耳。


こいつが妹のフィーリス。


彼女は目を開けているのに遠くを見ているようで、ボーッと下を見つめている。


目の光は失われ、表情も反応もない。


そこにあるのはただの人形だと言われても納得してしまう程に、彼女からは生きているという感じがしない。


そして、彼女が座る部分からは、大きな魔法陣が展開されている。


何年か振りにあった妹の姿を見て、レミリアはイジャを怒鳴る。


「貴様!!フィーリスに何をした!!」


姉の激怒を受け、イジャはせせら笑う。



「聞きたいかい?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ