233話 魔法が使えない俺とエルフ妹の生い立ちと行方
そんな雰囲気が出てる気がする。
今は妹の件とテロスの件があるから、ここから離れら訳にはいかないんだろうな。
「妹はどんな人だったのですか?」
少し重い空気を払拭するように、ニナがフィーリスの話に切り替える。
聞かれたレミリアは、眉を八の字にして、少し口角を上げた。
「あいつは、魔法は凄かったんだが、それ以外はからっきしでな。なんもない所で転ぶくらいドジで部屋が片付けられないくらい大雑把な奴だったな。私が居ないと何も出来ないダメ妹さ。・・・だが、明るくて優しいんだ」
当時を思い出したのか、「フフッ」と笑が漏れる。
姉妹仲は良好だったみたいだね。
それ故に、妹がどこに居て、どうなっているのか、その心計り知れないな。
ガタッ
サリスが徐に立ち上がる。
どうした?感動したのか?
「探すぞ!皆んな!!」
予想以上にデカい声が家中の壁に反響して、危うく鼓膜がイカレるところだった。
いやまあ、そうなんだけどさぁ・・・
「ニナも協力するのです!」
「私も助力しますよ!」
「仕方ないわね、手伝ってあげるわ」
「そうだね!このままじゃ帰れないよ!」
全員がその場に立ち、決意表明をする。
あらぁ、こりゃ俺も、この波に乗るしかないじゃんね。
俺も席を立ってみんなを見回し、最後にレミリアを見つめて宣言する。
「お前の妹を絶対に探してやるから、覚悟しな」
俺の言葉にポカンと固まっていたレミリアだったが、徐々に表情を崩して笑う。
「ありがとう。・・・だが」
「だが?」
「人間が私たちより強いのか?」
・・・あ、こいつ、俺のこと今見下しただろ。
うわー、一気にやる気失せてきたわー。
「じゃあ、この話は無しで・・・」
「たくやさん!大丈夫!大丈夫ですから!私達がなんとかしますから、ね!!」
「そうそう!こう見えてかなり強いからね!」
「むご!むご!!」
吐き捨てようとした俺の口を、アンジェとミュラが無理やり抑える。
なんでだよ!
こんな事言われて手伝いたくねぇっつーの!!
その様子を見たレミリアは、何故か首を傾げて疑問符を浮かべる。
「何故彼は怒っているのだ?」
「はぁ、貴女はもう少し言葉を慎重に選んだ方がいいわよ?」
ミシアが呆れながらレミリアに指摘するも、イマイチ自分が放った言葉に悪気を感じていないようだ。
この女、ナチュラルに見下してるから、馬鹿にしてることすらわかんねえのかよ!
◇◆◇
てな訳で次の日。
レミリアの家に泊まらせてもらい、今日の為に体力を回復したところ。
昨夜はアンジェの母親との思い出話に花を咲かせてたっぽいけど、正直俺はあんまり興味なかったから、半分寝てたわ。
それと一応俺の師匠の話もしたんだけど、なんだかんだエルフの里的に、あの巨乳は英雄扱いされてるらしい。
というか初めて知ったんだけど、ウチの師匠って天人族とエルフのハーフらしい。
確かに2種族なら交流が密だったとはいえ、まさかそんなハイブリッドな人間だったとは思わなんだ。
まあいうても、最初の頃は結構師匠も偏見の目で見られたらしいし、その環境もあってか結構尖ってたんだってさ。
今の師匠からは到底想像できないね。
んま、話を戻すと俺たちに加えて、道案内のレミリアを連れて、森中を歩き回った。
一応気配探知とかは出来るんだけど、現地のことに詳しいエルフがいてくれるだけで、ここまで心強いことはないだろう。
1日中歩いてはいたんだけど、結局成果無し。
ニナの嗅覚も反応ないし、空から見てもミュラは見つからないっていうし、俺の気配探知にも引っかからない。
なかなかこりゃ厳しいなぁ。
「同じような場所ばかりで、どこがどこだか分かりづらいですね・・・」
「ニナ疲れたのですー」
「ちょっと流石に、飛ぶのやめる・・・疲れた・・・」
「流石にここ広いわね。1日で探すのは無理かもしれないわ」
各々が弱音を吐く仲、1人だけ元気な奴がいる。
「なんだー!?魔物が全然いないじゃないかー!!つまらんぞー!!!」
戦闘狂脳筋副団長サリスである。
あいつだけ先陣切ってズンズン森を歩きながら、大切な聖剣をブンブン振り回してる。
ほんと、アイツスタミナだけは一丁前だなぁ。
「なあ、本当に森の中って確証はあるのか?」
「間違いない。里から出る光の球はいわば、フィーリスがこの森で生きていると言う証だ。一度だけ森の外に連れてったことがあるが、その時は光の球は消えたと、里の人たちが言っていたからな」
なるほど、一応ここにいる証拠にはなっているわけか。
しっかし、中々見つかんねえし、周りなんてボーボーの草と倒木、あとは無数に生え散らかす木。
正直、同じ風景だらけで、普通の人間なら東西南北確認するのもむりだろ。
それにもう日が暮れそうだ。
今日は戻った方が良さそうだな。
「一度里に戻って、また明日探そうぜ」
「そうだねぇ、夜になると何かあった時厳しいよー」
「夜の森は危険なのです」
「得策ではないわね。・・・あなた様、わたくし考えがあるんですが」
皆んなが疲労を訴える中で、ミシアは持論を展開する。
「もし次にテロスが現れたら、の話ですが・・・」
「待って」
俺は気付き、ミシアの持論を止める。
ここから里は恐らく近い。
そして、俺は里に近づく気配を確かに感じ取っていた。
この気配は、テロスだ。
奴ら、俺たちがいない隙に里に襲撃を仕掛けてるんじゃ・・・
「また、あの邪悪な魔力を感じる。一旦引き返すぞ!」
レミリアの一言で、俺たちは彼女の後を追うように里へと戻った。




