表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

238/244

232話 魔法が使えない俺ととある出来事

微妙な雰囲気ながらも、ギリギリ俺たちを受け入れるエルフ達。


それにしてもマジで女が多いな。


しかも全員顔が若いし、ザ・おじさんおばさん!って感じの人もいないし。


長寿なのと見た目には、なにかしらの因果関係があるのだろうか。


確かに師匠も国王と同じくらい生きてんのに、全然老けてないしなぁ。


そんなわけで俺らは、エルフの里代表レミリアの後ろについていき、彼女の家に行くことになった。


まあ立ち話もなんだし、あと今はやばい事になってるって事らしいから、場所を変えたいんだとさ。



んで、広場から広場へ簡単な橋を渡って奥へ進んでいくんだけど、横にいるサリスがずっとソワソワしてるんだよな。


どうしたんだろう?


「サリス、なんかあったか?ほら、お前が来たがってたエルフの森だぞ?」

「そういえば、サリスが先頭切って言ってたよね?」

「うーん」


俺とミュラの指摘に対し、なにやらサリスは考え込むようなポーズを取る。


なんだろう、彼女なりに何か考えがあるのだろうか。


確かに、一番最初にエルフの森に対して言及したのはサリスだったよな。


ということは、だ。


サリスには、ここに対して特別な感情があるとか、因縁があるとか、特別な思いがあるに違いないな。


「いやー、私は思っていたんだ」

「なにを?」

「エルフと戦いたいと」

「そうか」


そんなことはなかったな。


結局サリスは脳筋だったってことだ、聞いて損したかもしれない。


「特に、100年に1度の天才と相まみえて見たかったのだ!」

「なんかそれ、前に聞いたのです」

「あら、わたくしもその話、聞いたことがあるわね」

「あ、お母さんも言ってましたよ!」



ピクッ


話題を聞いたレミリアの肩が少し跳ねた気がした。


背中越しにだが、なんとなく彼女から不穏な空気が流れてる気がする。


・・・俺達、ここに来てからそれらしき人物を一回も見てないよな?


周りを見回す。


巨大な木々、それに隣接する鮮やかな花が絡まった洒落たウッドハウス。


家と家を繋ぐ自然とモニュメントを調和させた壮観な広場と簡素な橋と広場を行き来するエルフ達。


空気中に漂う、出たり消えたりする小さな光の球。


ここに来てからずっと違和感を感じていた。


これから聞くやばい事ってもしかして、その天才とやらについて、もしくは森の周りにいるテロスについて、これらのどちらかかその両方か。


どちらにしろ、この森に危機が迫っていることだけは分かるね。


◇◆◇


「うわー!!木の良い匂いがしますね~!」

「へぇー素敵!!こんな家に住んでみたいなぁ」

「わたくしの別荘にしようかしら」


なんて感想を口にする彼女達と俺がやってきたのは、レミリアの家。


里の奥の方に存在する割と大きめなウッドハウスで、敷地も他と比べてでかい。


中は小綺麗に整頓されてて、木のアートっていうの?そんなやつと、天井から垂れる蔦に咲く花。


明るい色の木で建てられているからか、中にいるだけでなんとなく温かみを感じるうえ、火がついているわけでもないのに部屋は明るい。


そんな中で俺たちは、大きい木のテーブルを囲う様にして、切り株の椅子に座り、話を開始した。


「私達は今警戒心が強い、それには理由がある」


強い眼差しを俺たちに向けながら、奥歯を噛み締めんばかりの強い怒りをあらわにする様な声を発するレミリア。


「薄々感じてたけど、100年に1度?の天才とやらのことか?」

「・・・あぁ、私の妹だ。彼女はある日、忽然と姿を眩ました。なんの前触れもなく急にだ」


どうやらその有名人は、レミリアの妹らしい。


「自分から出て行ったとか、そういう事ではなくですか?」

「それはない、少し目を離した隙に消えたのだ。私達は、ある程度の距離なら魔力を追って場所が分かる。なのに、その痕跡すら無かった」


うーむ、という事は誰かに連れ去られた可能性がある?て事かな。


急に姿をくらます、というと考えられるのはイジャの能力によるものか?


「森一帯を隈なく探したが、結局見つからず仕舞い。森の近くにいる事は間違いないと思うのだがな・・・」

「なんでそんな事分かるんだ?森の外に出てる可能性だってあるだろ?」


普通に考えたら連れ去られたって事なら、森の外に出て、どっか遠くにいてもおかしくないだろ?


俺の疑問に対して「それはない」と断言するレミリアだが、なんの根拠があるのだろう?


「里中に浮かぶ光の球、あれは妹のものだ」

「・・・えっと、どういう事かしら?光の球と妹の関係性が不透明なのだけど」


純粋なミシアの問いに、レミリアは訳のわからない回答をした。


「私の妹・・・フィーリスは特別な身体なんだ。フィーリスの身体には、『刻桀石』が取り込まれている。その影響からか、この森では光の球が浮くようになった」


・・・はい?


なんか、やばい事言い出してなかったか?


えっと、妹の名前はフィーリスで、消えた彼女の中には刻桀石が入ってて、そのせいで森に光の球が出てきた、と。


刻桀石って確か、前に聞いた世界の象徴とされる奴だったよな?


えー、エグくない?なんでそうなってんだよ・・・


レミリアが言いたいのは多分、妹がもし森から外に出たら、光の球は無くなるはずって事だよな?


なら、森のどこかにフィーリスはいると。


「・・・フィーリスの身体に刻桀石が取り込まれてるって・・・なにそれ?」

「むー難しいのです」

「何が何だかサッパリだぞ!」


皆が頭に「?」を浮かべる。


無理もない、俺も意味わからないし。


「突然のことだ。フィーリスがこの世界に生を受けたその日、刻桀石が急に姿を現し、妹の身体に入りこんだ。私たちも意味が分からなかったが、多分、石に見込まれたのだと思う」

「石に、見込まれるって事が・・・」


アンジェの驚いた表情にコクリと頷くレミリア。


彼女の表情はかなり険しい。


「妹がいなくなって暫くしたある日から、森の中では見たことのない魔物が出てくる様になった」


それは多分テロスの事だな。



その後もレミリアは、苦悶の表情を浮かべながら俺たちに話を続ける。


テロスが出現し、エルフ達は里を守る為にあいつらと攻防を繰り広げている。


それと同時に何年も妹を探し回っているが、一向に兆しが見えないと。


そして、その原因をつくったのが人間が魔王軍なのではないかと結論を出した結果、外の奴らに対して警戒態勢をとっている、とのことだね。


・・・これ、あくまで想像だけど、フィーリスをとっ捕まえて、彼女の魔力やら力やらを利用して、テロスを大量生産、若しくは魔導玉を作ってる説ある?


それがイジャなのか誰なのかは定かじゃないけど、そう考えたらかなり恐ろくないか?


何を考えてこんな事をしているのかは分からないが、地味に急を要する事態だろ。


俺たちもそれに協力しないとやばいよな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ