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230話 魔法が使えない俺と森の中のテロス

おいおい、エルフが住んでるらしい森にテロスだ?


しかも100体って普通の数じゃねえぞ?


なんというか、嫌な想像を掻き立てるなぁ。


1つはエルフ達が蹂躙されて、全員テロスになってしまった点。


もう1つは、エルフ側が魔王軍側についたって点かな。


どっちに転んでもそれは終わってるんだけどね。


「ちょ、なんでこんな所にテロスがいるんですか!?」

「むー、気持ち悪いのです」

「・・・最悪のケースを考える必要がありそうね」

「こ、これが例のテロス?うぇー気持ち悪い・・・」


アンジェ、ニナ、ミュラ、ミシアは身構えた。


あの膨れ上がった筋肉と剥き出しになった血管。


それに、歪で非対称な手脚と崩れた頭にかなりの嫌悪感を抱いてるらしい。


気持ちはわかるわ。


さて、こいつらの弱点は確か、体内にある核だったかな?


そこを的確にぶっ壊していけば・・・


「アーハハ!!敵がいっぱいじゃないかぁ!!!いくぞ!!エクス・・・」

「おい馬鹿!やめろ!」

「何故だ!?敵がこんなにいるんだぞ!?」


馬鹿でかい聖剣を作り出そうとする脳筋サリスを止めに入る俺。


何やってんのこいつ!?


森をぶっ壊す気かよ!!


「ここには一応エルフがいるって話だろ?俺らが馬鹿みたいに自然破壊して、エルフが良い感情を抱くわけないじゃんか!」

「敵がいるのだから仕方ないだろう!?たくやは私に戦うなと言うのか!?」

「ちげーよ!加減をしろって言ってんだ!」

「加減など知らん!!!」


あー、やばい。


ここまで頭が筋肉だとは思わなかった。


その様子を見たニナとミシアは「はぁぁあ」とわざとらしくおっきいため息。


そんな時にミュラが口を挟んできた。


「サリスさぁ、その聖剣小さくならないの?同じくらいの威力で」

「ん?あぁ、出来るぞ?」


あ?なんつった?


出来るなら最初からやれよ・・・


アンジェがサリスに近寄った。


「サリスさんは、何故大きさに拘りがあるんですか?」

「よく聞いてくれたな!派手な方が気持ちいいからだ!」


こいつ、あとでシバく。



んなこと言ってる場合じゃねえわ。


もう既に長い腕が伸ばしてきてるし、さっさと迎撃しに行かないと。


「ニナ、ミュラ、サリス!前出るぞ!」

「りょーかいなのです!」

「わかったよー!」

「はぁ・・・」


木々をすり抜け、伸びる腕どもを切り刻む。


感触はかなり柔らかく、嫌悪感を更に掻き立てる。


「ニナトルネード!なのです!」


身体をコマのように回転させ、まとわりつこうとする腕を巻き込み捻じ切るニナ。


そして、テロスの何体かを巻き込み、肉が砕け散る。

  

「『コキュートス・ブレス!』」


ミュラの口から冷気が放出され、テロス達は氷漬けにされていき、数体のテロスは置物と化す。


氷漬けになったテロス数体に、ニナとミュラは息のあった動きで次々氷塊を粉砕し、バラバラにしていった。


「あぁー!!!ストレス溜まるぅ!!!」


光輝く聖剣を振り回し、黄金の飛ぶ斬撃をまばら繰り出すサリス。


テロスに直撃すると、まるで斬れたというより消滅に近い形で部位がえぐれ、テロスのコアが剥き出しになる。


その瞬間、サリスは接近してコアを破壊する、という行為を繰り返し、一体一体を確殺していく。


「サリス、剣大きくしない方が強いのです?」

「うーん、確かにそれの方が強いまであるかも・・・?」

「そんな事はない!!デカさは正義だぞ!!!」


ニナとミュラから受けた言葉に、癇癪を起こすサリスは客観的に見て子供のそれだった。


なんでそんなに大きく見せたいんだろう・・・?



後方からは、アンジェとミシアが魔法による援護がなされ、テロス達の動きを遅らせる他、飛んでくる無数の黒い魔力弾を防いでく。


「『エア・スラッシュ!』


アンジェの魔法によって風の刃が複数形成され、生き物のように縦横無尽に駆け回る。


弾幕を次々に弾きつつ、テロス達の柔らかな肉体を削り取っていく。


テロス達は動きを止め、自身の肉体再生に注力する。


しかし、再生スピードはミシアの妨害により遅れていく。


「『ネガティブ・ゾーン』」


ミシアが紫色の魔力の波紋を周囲に広げていく。


その魔法は恐らく、敵の行動を遅延させる効果だろう。


明らかに最初に比べて、奴らの動きは重くなっていた。


「ミシアさん助かります!」

「アンジェだってやるじゃない」


なんだろう、アンジェとミシアのやりとり見てると、姉妹を想起させるんだよなー。


割と2人って相性がいいのかもっと!


よそみの隙を狙って攻撃してきやがって。


「にしても多いなぁ」


テロスを微塵切りにしながら動いてるんだけど、数が減ってるように見えないんだよなー。


コアが破壊されていないテロスの肉体が再生されてるのもそうだけど、単純に100体以上いるってことか?


まあ、いくらデクノボウが増えたって変わりはしないんだけど、時間の無駄だから早く終わって欲しいね。


「か、数が多すぎますね・・・」

「先が見えないわ。この数一体どうやって・・・」


魔法を放ちながら不安を漏らすアンジェとミシア。


「むー!きもいのですー!多いのですー!」

「ちょっとこれじゃあ、キリがないよー!」

「もっと来い!さあ!来い!私を満足させろ!!!」


1人を除いてニナとミュラも同じことを思ってるらしい。


そんじゃあ、指揮も下がりつつあるし、俺もそろそろ本腰入れるか!


「剣舞・花鳥・・・」




ドン!!




・・・



「・・・は?」


なんだ?


俺が斬りかかろうとした瞬間、いきなり空から雷が振ってきて、テロスが爆散したんだけど・・・


まるで神の怒り?


「て、テロスが爆発していきますよ!?」

「ゴロゴロピカ!なのです!」


目の前の奴だけじゃない、俺達を囲むテロスが次々に爆散していく?


これ、どういう状況?


「わ!ナニコレ!?どういう状況!?」

「おい!私の敵が!敵なのに!!!」

「自然現象・・・じゃないわよね?」


木々には落ちず、確実にテロスを狙う上空からのイカズチ。


気付けば、全てのテロスが跡形もなく消え去っていた。


「・・・えっと、ラッキー?か?」


状況をうまくは呑み込めないけど、危機は脱したようだ。


腑に落ちないけど。


「なんだか、あっという間だったね。まさか、天気に助けられれるなんてさー?」

「空を見なさい、雲1つなく晴れてるわ。これは魔法による攻撃よ」


ミュラとミシアの呟きに一同は顔を合わせる。


確かに不自然だよな。


雷が落ちるにしても、大体高くて先端が尖ってるもんに落ちるイメージがある。


でも今のは、明らかに俺達を助けるような挙動だった。


ということは・・・


「周囲に、誰かいるってことでしょうか?」

「・・・ここら辺から気配は感じないよ。・・・いや、微かに人の気配を感じる」


俺は、微かに感じとれるくらいの微小な人の気配を感じ取ることが出来た。


しかも複数人。


「エルフなのですか?」

「それは分からないけど、確かに感じるよ」


俺が不確かな発言をしたからか、ミュラが再び翼を広げる。


「じゃあ、見てみるね!」


翼を上下に振り、地表から身体が離れていく。


普通に空飛べるって、いいよなぁ。







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