表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

229/247

224話 魔法が使えない俺と次の目的地

俺たちは下の世界に戻るため、最初にここへと降り立った場所まで来た。


お見送りにはかなりの数の天人族が来てて、そりゃもう橋までびっしり。


女王から、今回の件の説明を受けた天人達は、かなり俺たちに恩義を感じているらしく、昨日なんてすごかったんだよね。


アンジェは部屋でずっと寝てたんだけど、俺とニナミュラ、サリスで外に出た瞬間にはもう、最初来た時の比じゃないレベルで囲われたっけか。


市場で割引商品を狙う主婦達が、己の命を削って密集し、戦うってくらいの密度って感じかな。


その中にはもちろん、俺と一緒に戦った?天人族もいて、めっちゃ手を振ってるわ。


それだけじゃない、ここら全てが俺たちの名前を呼んだり、万歳したり、もう耳が痛くなるくらいうるさい。


「それじゃー、魔王倒したらまた来るからー!」

「おかあさん!また会いに来るねー!」


俺とアンジェの発声から続いて、「バイバイなのですー!」「それじゃー!」「私のようになるんだぞ!」と、ニナ、ミュラ、サリスの順番に別れの挨拶をした。


それに呼応して、「うおおおおおお!!!」と大会の時の歓声と遜色ないくらい程のりんしょうが響き、周りの空すら震えてるようだった。


そいつらの先頭にいるのは、アンジェの母親とミュー。


母親は今にも泣き出しそうな顔を浮かべつつ、どうにか悟られないよう努めた作り笑顔を見せている。


それに釣られて、アンジェの目にも涙を浮かべていた。


母親と離れるって、こんな感じなんだなぁ。


そして、地面に描かれる円の図形中央に立つと、円は青く発光し下へと降りていく。


俺たちは手を振り、完全に見えなくなるまでその行動を続けるのだった。


◇◆◇


完全に外は見えなくなり、周りは真っ暗。


下を覗くとミューと最初に対峙した場所が、小さい灯りとして見える。


俺は衝撃で倒れないよう、万全ではないアンジェを支えている。


そんな中でアンジェは話題提供を開始した。


「私が寝ている間、皆さん何してたんですか?」


確かに、アンジェって昨日ずっと部屋にいたしなぁ。


ずっと母親が部屋の中でアンジェにつきっきりだったから、親子の時間は取れたかな?って思うけど。


「俺らは外いたよ。マジでワラワラ人集まって大変だったわ」

「むー、ゴミゴミしてやばかったのです」

「あれは疲れたよねぇ。嬉しいんだけど、気疲れっていうかさー」

「そうか?私は気持ちよかったぞ?」


サリスだけいつも通りだな。


褒められれば何でもいいんだろこの人は。


「そっかー、いいですねぇ。私も外行きたかったですよ」

「でも、母親とずっと一緒だったんだし、それはそれでよかったんじゃん。色々話したんでしょ?」


俺の言葉にアンジェは、「はい!」と宝石を貰った時くらいの嬉しさを表に出す。


「ずっとお話してました!お父さんの事とか、今までの冒険の事とか、あとお母さんの事とか!」

「アンジェ嬉しそうだねぇ!」

「お母さんに会えてよかったのです!」


そんな中で俺は「へー」とだけ言って、女性陣の会話を傍聴してた。


なんかテンションが合わないんだよなあ。


このコミュニケーションの難しさが、異性の差って感じるわ。


ひとしきり女同士で盛り上がった後、少し空気は落ち着いたようで、ぽつりとサリスが口を開く。


「母か・・・。最近会っていないな」

「サリスの母親ってどこいんの?」


そういえば、サリスの母親の事って聞いた事ねぇな。


「あぁ、お前ら見た事ないか?王都の宿でオーナーやってるぞ?」

「そうなんですか!?全然気づきませんでした・・・」

「そんな近くにいるなら、会ってあげればいいのにー」

「親不孝行なのです」


サリスはポリポリ頭をかき始め、斜め下を見る。


「いやぁ何というか、なかなか会う機会が無くてな。私も忙しい身分だし」

「サリスは窓際なのですよね?」

「やめろ!!」


そっか、てっきりもうお亡くなりになってるとばかり思ってたけど、オーナーって事は割と元気って事か。


王都の中にいるなら、会ってあげればいいのに。


逆に、いつでも会えるからこそ、会いに行かないのかなぁ。



・・・そんな中で気になるのはミュラである。


龍人族の里に行った時、両親の姿はなかった。


もしかして?ってちょっと嫌な想像を掻き立てる。


そんな俺の考えに察知したように、ミュラも口を開いた。


「いいなー、私も会いたくなったよー」


ゴクリと皆固唾を飲む。


これは聞けという前振りなのか、もしくは聞いてはいけないのか。


そんな微妙な空気が流れる中に、ノンデリが1人いた。


「ミュラのご両親は何をしているんだ?」


・・・まあでもサリス、ナイスだ。


こういうところだけは、尊敬に値するかもしれない。


「えーっとねぇ、ウチの両親、なんか旅に出てるんだよねー」


・・・あ、そういう?


特に重たい話題でもなかったか、安心だね。


てか、俺の考えすぎだったか?


「旅人なのですか?」

「そーそー、お兄ちゃんが里長になった途端に『旅に出る!』とか言って出ていっちゃったんだよー。あぁ、伝統行事の時には帰ってくるんだけどね〜」


そういえば前に、よく分からん伝統行事とかで、ボラと一緒に渋々里まで戻ってたけど、そん時は両親も帰ってたってわけか。


ていうか、長男に全部任せて旅出るとか、どんだけフリーダムな親なんだよ・・・


フォーは苦労しただろうなぁ。


「急に旅に出るって、ご両親すごいですね・・・」

「昔から、お兄ちゃんに村を任せたら旅に出るって言ってたんだよねぇ。やっぱ外の世界の情報を里に仕入れたい、的な?」

「・・・言いたいことは分からなくもないよね。・・・親子仲はいいの?」

「そうだね~、普通に話すくらいかな?前帰ってきたときは、エルフの話してたよ?」


エルフ?


そういえば俺、あんま会ったことないかも。


一応、師匠がエルフだったっけ?


でも、エルフのイメージって耳が長いってイメージがあったんだけど、師匠はそこまで長いと思ったことないんだよなあ。


髪の毛で隠れてたとか?


「エルフか!どんな話をしていたんだ?」


何故か興味津々のサリス。


彼女のツボはよく分からん。


「んー、なんか森の中にすごい幻想的な場所があって、そこに住んでるとかー、あと美形が多いとかー、なんかすごい女の子がいるとか?」

「女の子なのですか?」

「うん、なんだか100年に1度の逸材だとか言われてて、神に愛されてるみたいなこと言ってたよ?よくわかんないけどねー」


神か。


なんだか、神って単語を聞くと、さっきのバレスクからの話もあって、色々こじつける思考回路、良くないな。


「あ、私もお母さんからエルフさんの話聞きましたよ?仲のいい友達がいるとかなんとかって」

「おお、なんだかエルフに会ってみたくなったぞ!」


何でサリスは、そんなにエルフの事が気になるんだろう?


特別な感情でも抱いてるのだろうか、これが分からない。


確かに王都では見たことないし、実際あってみたい気もする。


でもなー、魔王と関係があんまり無さそうなんだよなぁ。


今の優先順位としては、魔王配下や幹部の討伐に加えて、現状の世界の象徴的なやつの確認。


あわよくば回収して、魔王の手に渡らないように厳重保管。


流石に天穹石は事情が事情だから、そのままにしといたけどね。



俺達が乗っている円形の浮遊物が最下層まで到達し、ミューと戦闘した大空洞に舞い戻ってきた。


相変わらず空間は明るく、最初に見た時の不気味な雰囲気は影も形もない。


さて、ここからまた王都に戻るか・・・


「なあ!エルフに会いに行かないか!?」


・・・は?


サリスが妙なことを言い出した。


「良いですね!私もエルフさんに会ってみたいです!!」


アンジェまで?


「ニナも見たいのですー!」

「あ!わたしも!!親から聞いた場所が、どんなところなのか気になるし!!」


やばい、これ断れないやつだ。


個人的には魔王関連を優先したいところなんだけど・・・いや待てよ?


エルフって確か長寿なんだよな?


ということは、魔王関連について何か分かるかもしれないし、有力な手掛かりがあるかもしれないね。


そうと決まれば行くか!っと言いたいところだけど、アンジェの身体に負担を強いることはあまりよろしくない。


「わかった、じゃあ次はエルフの住んでるところに行こうか。でも、行き方も分からないし、アンジェの身体もよろしくない。それに、フィラとミシアに情報共有をしたいところだ。一旦王都に戻らないか?」


俺の言葉を聞いて、アンジェ、ニナ、ミュラは快く賛同してくれたのに対し、サリスは些か不満を見せてる。


どんだけだよ・・・



とまあそんな感じで、王都へといったん戻るために、また俺達は薄気味悪い廊下の方へと進んでいく。


廊下も明るくしてくれればいいのに。



「皆さーん!」






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ