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220話 魔法が使えない俺とアーデン・スタンピード

バラバラの身体が地面に落ちていく。


その様子を確認しながら、俺も地上に降りる。


首から上は残っていて、何故かしらまだ口がきける様子。


なんで死んでねぇの?きっしょ・・・


「お前なんで死んでねえんだよ」

「悪魔はしぶといのさ。ククッ」


妙に引っ掛かりのある笑いだなぁ。


口無いくせに。


「さてと、お前らはなんで天穹石とか色々集めてるわけ?」


俺が気になっていた事を聞いてみた。


仮説として、それらを集めると次元を跳躍できるって結論が出たけど、あくまでそれは確信が持てないもの。


コイツから情報を聞き出した方が、賢明だろうね。


「あぁ、簡単だ。全てを手にすれば、あらゆる世界へと跳躍する事ができる」


やっぱりそうか。


これで確信だな。


それじゃあ最後に質問を・・・


「たくやさーん!!」


アンジェの声だ。


後ろを振り向くと、黒いドラゴンは倒れており、ぴくりとも動いていなかった。


と言うことは、アイツらやったな!


「頑張ったのですよー!」

「ははっ!ひとえに私のお蔭だな!」

「ちょっと!自分の手柄みたいに言わないでよねー!」


皆がドラゴンを倒して、喜びを分かち合いながら?俺の元へと向かってくる。


先にこっちへと来たのはミューで、俺の隣に立ちバラバラになったルシールを見る。


「ま、まさか、倒したのですか!?聖属性の魔法も無しに!?」

「はん?どう言うこと?」


まーたよく分からん単語出てきたな。


てか、そういえばルシールが最初の方に、聖属性云々って言ってたな。


「聖属性はいわば、その一族に与えられた特殊な魔力です。天人族やエルフ族、あとほんの稀に、覚醒して目覚める魔導士もいます」

「へーそうなんだ。それってなんの意味があんの?」


「それは・・・」と言いかけた時、ルシールは笑う。


何笑ってんだコイツ?


「聖属性は唯一、悪魔を払う事ができる魔力だ。つまりだ、そいつらを根絶やしにすれば、悪魔は頂点に位置することになる」

「お前は頂点どころか地面に伏してるけどな」

「果たしてそうか?」


やけに上機嫌だなコイツ。


何がコイツをそこまで駆り立てるんだろう。


「俺様の能力を教えてやる。『召喚』だ。武器は勿論、さっき貴様らが戦ったドラゴンなんかもそうだ」

「それがどうしたんですか?」


ミューは怪訝そうな顔で、目だけニヤけている生首を睨む。


「アーデンは今、どうなっているかな?」


え、まじ?


そんなことまでできんの?結構距離あると思うけど・・・


あー今までのって時間稼ぎだったってこと?


それを聞いたミューは絶句し、顔が青ざめる。


そして、白い翼をばたつかせて全速力で行ってしまった。


その様子を見て「ミューさん!」とアンジェは急ぐミューの背中に声をかけるも、それどころではないと無視をして戻っていく。


「随分お前、卑怯なことするじゃん?」

「卑怯?何がだ?俺様の目標は天穹石だ。あれさえあれば、俺様を殺したとて復活も可能だろう。その後で、貴様らを殺すことだってできる」


まあ、別に卑怯ってわけでもないか。


確かに、この天空大地の核を担うレベルですげー石だし、悪魔の復活もわけないってことかい。


んじゃあ、石を守り切ればコイツはお陀仏だな。


早く町に戻らないといけないし。


「そんじゃお前殺すけど、最後に聞いとくわ」

「ハハハ!なんだ?最後に1つだけ教えてやるぞ?」

「魔王の野望とこれから集めるもの全部の情報だ」


2つになっちゃった。


でもまあ、聞くだけタダだろ。


「強欲は身を滅ぼすぞ?クハハ!野望なぞ簡単だ!『復讐』だ」

「復讐?」

「これ以上は教えられないな。なんせ、1つだけの契約だからな」


何が契約だコイツ。


大した情報でもないし。


「あー了解!それじゃーね!」


剣を握り全ての部位を細切れにする。


肉片は霧状の粒子になり、徐々に消えていく。


ー また会おう ー


ルシールは一言を残して、身体は完全に消え去った。


・・・さて、時間がないな。


町に戻らないと!


「たくやさん!早く戻りましょう!」

「これ、なんかやばそーな感じ?」

「一大事なのです!」

「ほら!ぼさっとするな!さっさと行くぞ!」


え?サリス後で覚えてろよ?


そんな事を頭の片隅に置いて、俺たちは街へと戻っていく。


◇◆◇


「これ以上は入らせるな!!」

「クソ!なんだこの数は!?いきなり出てきやがって!」

「負傷者はこちらへ!」

「うわぁ!来るな!来るなぁ!!!」

「子供は城へ!戦える者は速やかに援護を!!」

「どこから湧いてきやがるんだ!」


罵声、絶叫、怒号、悲鳴


渾沌の一言で片付けられる様々な声が、街中に響き渡る。


建物は所々崩れ、多種多様な魔物の大群が押し寄せ、人々は混乱の渦に苛まれるものの、迎撃活動と避難指示、補給、手当て等、それぞれ自身のやるべき事なしていた。


急な戦闘にも関わらず、これだけ統率が取れているのも賞賛に値するが、統率をとっている上に立つ者による手腕の賜物だろう。


んな事言ってる場合じゃねえよ!


街がやべえって!


「そ、そんな!!こんな数を召喚するなんて・・・」

「黒いのがいっぱいなのです!」

「やばいよー!早くなんとかしないとー!!」

「あぁ!まとめて薙ぎ倒すぞ!!」


魔物の数はもはや、数えるのも烏滸がましいレベルで溢れかえってるよ。


種類なんかも、もうごちゃ混ぜ。


鳥類や虫類は勿論、ゴブリンからオーガまでの人型やらワイバーンまで、言い始めたらキリがない。


唯一、色だけが黒に統一されている。


そんな奴らがゴミゴミと街中を侵食し、白い街が黒に染められていく。


黒い点々が線となり、無数の黒い魔法の線が、集合する天人族へ飛んでいく。


それに対し、迎撃せんとして虹を見ているかと錯覚するくらいの煌びやかな色彩が散りばめられた魔法の数々が、魔物が放った黒い魔力を中和していく。


その中で、魔法剣を駆使して魔物を蹴散らす者。


魔力を込めた矢を放ち、敵を貫通する者。


腕力で薙ぎ倒す者。


魔法が飛び交う戦場で、己の肉体を駆使した勇敢な者たちが、魔物たちの侵攻を食い止める。


その中にニナ、ミュラ、サリスも合流し加勢に入っていく。


「ニナ・トルネードォ!!」

「『コキュートス・ブレス!』」

「エクス・カァリバァアァア!!!」


各々の技名が響く中、アンジェは別の思考になっていた。


「お、お母さんは!」

「おい!アンジェ!」


街中には魔物が散り散りで侵攻している。


もしかすれば、女王である母親に脅威が迫っているかもしれないと、アンジェの心配は臨界点を超えているのかもしれない。


アンジェは迷わず城に向かって走り出し、彼女の背中を追う俺。


走る中、道中でも戦闘が繰り広げられており、魔物は着々と城に近づいている様に感じる。


無事でいてくれたらいいなぁ。


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