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218話 魔法が使えない俺と戦闘ルシール

黒い奴の名はルシール、らしい。


目覚めて間も無く俺たちを殺すって言ってるあたり、かなり好戦的な奴なんだなぁ。


口がないのにも関わらず、何故か笑ってるように見えるのは目で語られてるから?


ルシールは、ゆっくりと右手を上へ持っていく。


あ、やべ!


「サリス!戻れ!」

「・・・っ!」


俺はその場から、すぐさまサリスのところまで飛ぶ。


その間にルシールは、天に向けて右手人差し指を突き出す。


すると奴の周りからは鎌が6つ出現し、それらはその場で高速回転し始めると共に、黒い魔力で覆われながら、サリスに向けて一斉に突撃を開始する。


ギィィィィと、甲高い異質な音を撒き散らしながら空を切る。


『剣舞・水鳥流月』


サリスの前に達、襲いかかる6つの黒い回転刃を弾く。


・・・うぇ!これ全部魔法じゃなくて実物かよ!


おっかねぇー


「・・・ほう?」


ルシールは、俺が鎌を全て薙ぎ払った事に対し、なにやら物珍しいといった表情を浮かべつつ、次の攻撃へ転じていく。


「お、おお!!助かったぞ!くらえこの真っ黒が!」


あっぶね!


サリスコイツ、俺が前にいるのに聖剣振りやがって!


横に避けなかったら当たってだろうが!


後で説教してやる。


「なるほどな」


ルシールが意味不明に納得すると、左手を前に突き出し、降りかかる聖剣に向けて黒い魔力の固まりを放出する。


ばかでかい聖剣が黒い魔法を中和するものの、徐々に光は黒に呑まれていく。


「うお!これやばいぞ!」

「俺様に剣を振るった心意気だけは褒めてやる・・・ん?」


ルシールは、首を若干左に傾ける。


後方から飛んでくる、2つ魔法に気づいた様子。


「『ラヴァ・ドレイクファング!』」

「『アブソリュート・メテオ!』」


溶岩で形成された龍と氷の隕石が、同時にルシールに振りかかる。


これはアンジェとミューの魔法か。


「これは・・・そうかそうか」


また1人で納得すると、奴は4枚の翼を羽ばたかせ、空中へ高速移動し回避する。


「避けられました!」

「は、速すぎじゃないですかアイツ!?」


空中に逃げ仰た奴は、両手に黒い魔力を溜め始める。


「なかなか純度の高い『聖属性』だ。面白みが・・・」


そう言いかけた時


「ニナ・ビッグバンインパクト!」

「『サラマンド・ネイル!』」


ニナとミュラが左右から挟み込むように、ルシールに一撃を放つ。


ニナの重たい拳とミュラの燃え盛る爪を両眼で確認し、ルシールの黒い手から魔導砲を2人に向けて射出する。


「むー!きちー、なのです!」

「うわ!押し負けちゃうよー!」

「ハハ!よくここまできたな!」


ニナとミュラがルシールの魔法に直面している間に、俺は後ろに回り込んで斬りかかる。


「ガラ空きだぞー」

「見えているわ!」


奴は一旦、ニナとミュラへの攻撃をとりやめて回避な徹する。


空中を飛び回りながら、俺に向けて黒い魔導砲を連射。


空には黒い閃光が撒き散らされる。


もちろん、俺は魔法を斬りながら懐に入る。


「貴様、随分特殊だな」

「お前の見た目よりはマシだろ」


多分、俺が魔力を斬った事に驚いてるんだろう。


魔法が効かないと悟ったルシールは、どこから出てきたか分からない鎌を両手に握り、迎撃に努める。


おー、なかなかやれるじゃん。


空中全体を動き回りながらの攻防が繰り広げられ、2本の鎌と1本の剣がぶつかり合い、甲高い金属の打撃音があたりに響き渡る。


「はやーい、なのです」

「ちょっと、目で追うのがやっとなんだけど・・・」


ニナとミュラから漏れる感想が聞こえてくるね。


うーん、この際だから何か情報とか書き出したほうがいいのかなぁ?


「お前って魔王の配下なんだっけ?」

「配下・・・。そういう事になるか?」


ん?あんまりしっかり来てないっぽいな。


配下じゃねえのか?こいつ。


「ピンと来てねえじゃん」

「あながち間違いでもない、という事だな。・・・ッチ!」


舌打ちをしたのは、アンジェとミュー、2人の魔法がルシールに都度放たれるから。


「流石に分が悪いな。フン!」


なんだ?力んだりして・・・


うわ!マジかよ!



「く、黒いドラゴンが出てきましたよ!?」

「で、デカすぎんだろ・・・!」

「ドラゴン!?初めて見たんですけど!?」


アンジェ達の目の前に、謎の黒く巨大なドラゴンが出現する。


禍々しい棘に覆われた体表に、大きな翼。


そして、どれ程喰らい尽くしたのかも分からない程に膨れ上がっている肥えた腹。


異常な気味悪さを感じる。


恐らくルシールの力によるモノだろうね。


・・・まあ、5人いれば勝てるでしょ。


「ニナ、ミュラ!アンジェ達の援護を!」


俺は近くにいたミュラとミュラの背中に乗ったニナに言う。


「りょーかいなのですー!」

「わかったよー!やばいやばい!!」


2人は一目散に黒いドラゴンの方へと飛んでいく。


邪竜よりはマシだし、皆んななら勝てるでしょ、多分。


すると、ルシールは「クク」と笑いを漏らす。


「助けなくていいのか?人間」

「あんま、ウチの仲間を舐めんなよ?」

「舐めていないのは貴様だけさ」

「へー嬉しい事言ってくれんじゃん」


どうやらルシールの興味は俺に向けられてるらしい。


これは、色々と聞き出せるチャンスだな。


両脚に力を込めて空を蹴り、再びルシールに剣を振るう。

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