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217話 魔法が使えない俺と封印されしモノ

アンジェが天人族の女王であるセラフィの娘だと判明して暫く、俺達は天人族の城に連れていかれて、今は客間。


なんともまあ豪華なデザインと装飾に囲まれていて、目がおかしくなりそう。


しかも、外は白一色だったのに対して、こちらは赤とか金とかがふんだんに散りばめられてるもんだから、ギャップがすごいよね。


アンジェは目を腫らしながらも、何処かすっきりした顔をしていて、なんだかこっちまですがすがしい気分になるね。


「母親に会えてよかったなアンジェ」

「びっくりですよ・・・。まさかお母さんが天人族だったなんて」

「父親は普通の人、だよな?」

「そうですね、父は私が住んでた村出身なので、私はハーフってことになりますね」


と言うことはだ。


ここにいる5人のうち、人間は俺とサリスだけになるって事か。


でも待てよ?


俺って一応この世界の人じゃないから、実質サリスだけ一般人ってことにならないか?


「ん?なんだ、たくや?」

「いや、まあ、がんばれよ」

「意味がわからんぞ」

「サリスバカにされてるのです」


そんなこんなで客間の扉が開いて、セラフィが入って来た。


俺たちが座ってるソファの迎えに座る。


護衛かな?男たちは扉の外で待機してるっぽいね。


「先ほどはお見苦しい場面をお見せしました」

「別にいいってー!親子の再会なわけだしさー!」

「あぁ!やはり親子はいいものだな!」


なんだろう、ミュラとサリスって親のこと触れにくいから、ここでツッコミ入れにくいんだよなぁ。


「アンジェから、母親は遠くにいるって言ってたけど、まさか天人族だったなんてなぁ。しかも女王だし」

「成り行きですよ。私はそこまでできた人間ではありません」


なんとも腰が低い女王だね。


この感じ、確かにアンジェっぽいかも・・・そうでもないか。


「お、お母さん!は、どこでお父さんと出会ったの?」

「あら、お父さん言ってなかったの?ちょーっと恥ずかしいなぁ」

「えー!聞かせてよー!」


アンジェとセラフィが話し始めると、会話が親子そのものだなぁ。


2人とも敬語抜けてるし、なんだか砕けた感じ、嫌いじゃないね。


「まぁー端的に言うと、お父さんが魔物の群れから守ってくれたんだけど、その時のお父さんがもうかっこよくってねぇ!それからあっという間に物事進んじゃって」


はぇー、あのおっさんって割と強かったんだ。


ちょっと意外。


頼らない人だって思ってたけど、よもやよもやだよな。


「なんだか、私とお母さん似てるなぁー!」

「ん?あれ?もしかしてアンジェ、まさか?」


おい、俺の方を見るな。


気まずいわ!


「たくや君・・・でしたね。娘をよろしくお願いします」

「あ、え!?あー・・・」


俺が言葉を濁していると


「でもでもー、なんでウラノシエラに帰っちゃったの?女王になったから?」


ミュラら今回ばかりは感謝感激だね。


でも、濁すのも罪悪感があるなぁ。


俺はもしかしたらクズなのかもしれない。


話を戻して、話題はアンジェを産んだ後に故郷に戻ったところにいく。


そもそも、母親が下の世界に来てたのも謎だし。



「では、これまでの話をしましょうか」



簡単に説明するとこうだ。


元々天人族はちょいちょい下の世界に来てたらしい。


文化交流とか、情報交換とかそんな感じで?


母親はその時まだ女王じゃなかったらしくて、下の世界にしょっちゅう来てたらしいんだけど、色々あってアンジェを出産してから少し後。


ウラノシエラでとある出来事が起きたとのこと。


それが魔王配下の侵攻。


急いで戻ってその侵攻を阻止したんだけど、そいつがかなり厄介だと。


強すぎて、今は封印止まりらしい。


いつ配下が来るかもわからないし、封印も維持しなきゃいけない。


それにその配下は、ウラノシエラにある『とあるもの』を狙ってるみたいで、これを持ち出されたらまずいと。


そんなこんなで、下の世界からここまでのゲートを封印して、天人族だけ帰れるような魔法をかけたんだってさ。


もし天人族が外に出て、魔王の手先に捕まって情報を聞き出されてもまずいから、この土地に缶詰状態、みたいだよ?


「それじゃあ、その封印されてる配下を倒さないといけないよね!」

「ボコボコなのです!」

「あぁ!聖剣が唸るなぁ!!!」

「はい!好きにはさせません!」


打倒配下に奮い立つ女性陣に対し、俺は母親に質問をする。


「その、持ち出されたらマズいものってなんなの?」


母親は先ほどの柔らかい雰囲気を抑え、冷静かつ真面目な雰囲気で答える。


「それは、ウラノシエラの基盤と言っても良い程のものです。名を『天穹石』」

「てんきゅうせき、なのですか?」

「そう、天穹石を取られると、この大地は崩壊します」


え?めちゃくちゃ重要じゃん。


んじゃあ、その配下をとっととやっちまわないとマズいんじゃない?


「でも、その配下って封印されてるんだよね?それなら安全じゃないのかな?」

「恐らく、封印も老朽化するんじゃないですか?封印が何処かのタイミングで弱まった時点で、破られる可能性があるとか?」


ミュラの疑問に対し、アンジェが仮説を立てる。


母親の雰囲気的には、アンジェの仮説は概ね合っているらしい。


んま、一通りの事情は分かったし、その封印とやらに行ってみるかな。


◇◆◇


聞くところによると、天穹石とやらはこの大地のいわば核らしい。


この石のおかげで空に浮いてるらしいよ?すごいなぁ。


と言うわけで、その封印とやらの場所まで来た俺たち。


場所的にはアーデンの反対方向、俺たちがここに到着した場所から後方に広がる大地だね。


ミューの案内でこの空に浮かぶ大地を歩き続けてるんだけど、まあまあなんと言うか、ここって空なの?ってぐらいには自然に溢れてるね。


魔物はいないけど、小動物とかはいるし鳥は飛んでるし、木も花も生えてるし、俺らがいる世界とあんま変わんねえなぁ。


これ全部がその天穹石のお陰ってこと?


だとしたら相当だよなぁ。


一応母親心なのか、俺たちが出発する時、母はアンジェにかなりの心配をしてたね。



そりゃ、自分らが封印じゃないと対処できなかった奴を倒すって言うんだから、そうなるよな。


結局のところ、今まで配下、邪竜、幹部を倒したって実績を話したら、すんなり了承してくれたね。


「娘を頼みます」だってさ。いやー、なんか背水の陣って感じ。


お、着いたみたいだな。


「これが配下です。今は封印で眠っていますが、封印も効力が切れかかってます。十分注意してください」


ミューの説明を受けて、じーっとそれを見る俺ら。


目の前に広がるは絶景。


周りは岩山に囲まれていて、岩山の所々には滝が流れている。


そんな中で、一際目立つのがその封印されてる奴。


白い鎖を何重にも巻かれている黒い姿。


頭から伸びる、歪に曲がった4本の角。


シカを思わせる顔だが口はない。


しかし、草食動物のような姿形なのかと言われると、それもまた違う。


体格は人間そのもの。


だが、体長は2.5メートルくらいはあるだろう。


そして、黒く大きな翼が背中から4枚生えており、形もまた通常の鳥などとは妙に似つかない程、変形している。


なんというか、イメージ的には悪魔って感じ。


「なんだか、人っぽいですね」

「真っ黒なのです」

「不気味だねぇ」


アンジェたちが例の存在にたじろいでいると、ある女がズンズン近づいていく。


「おいサリス、無闇に前出たら・・・」

「なーに言ってるんだ!!封印されてる今なら、コイツを倒すことなんて簡単じゃないか!!いくゾォ!エクス・・・」


俺の忠告を跳ね除け、サリスはでかい聖剣を作り出だす。


そして、大剣が封印されている配下に振りかぶる時だった。



「あぁ、幕開けの時間か」



何処からともなく聞こえてくる謎の声。


その声の影響なのか、黒い奴はゴソゴソと動きを見せる。


拘束していた鎖は砕けはじめ、鎖を繋ぐ輪っかはどんどん消滅する。


「ふ、封印が!解かれます!!!」

「マジ?」


ミューの叫びに呼応して、黒い奴は力を入れて、一気に鎖を粉々に砕き体が自由となる。


圧迫されていた4枚の翼を広げ、開放感を得る為に大の字で体を天に向ける。


「あー、よく寝た。たく、十何年も拘束しやがって、俺様をなんだと思ってやがる」


首を鳴らしながら細い目で俺らを睨む。


「お前らが俺様の相手になるのか?いいだろう、全員ぶっ殺した後で天穹石を貰うとするか」


はぁ、復活したっぽいな。


ここでコイツ倒さないとこの世界終わっちまうし、戦闘態勢に入らないとね。


奴は自分の身体を満遍なく動かし、その都度バキバキと音が鳴り響く。


「俺様はルシール。楽しませてくれよ?」

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