215話 魔法が使えない俺と天空都市
ともあれ、天使?をとっ捕まえて、全員集合したところ。
天使を正座させて、俺らは囲む。
まるでイジメだなぁ。
「んで、お前はなんなの?」
上目遣いの天使は、愛想笑いを浮かべながら説明を始める。
「わ、私は、天人族のミューです。一応ここの見張りやってて・・・。ほら、ここって基本誰も入れないじゃないですか。だから、入って来たやつは敵だと思って・・・」
じゃないですかって、知らんがな。
それに、天人族?
んだそりゃ。
「てんじんぞく?初めて聞いたよ私ー」
「私もです。天使っぽいですよね〜」
「てんじん!てんじん!てんじん!なのです!」
みんなも初耳らしい。
と言うことは、そこまで交流は盛んじゃなかったのかなぁ。
あと見張りって言ってたけど、何を見張ってんだ?
こんななんもない場所で。
「サリスは知ってんの?」
「名前を聞いたことがあるくらいだな。実際に見るのは初めてだ。だが、昔は交流があった記録があるな」
へーそうなんだ。
昔っつーのも、どんくらいかは分からないけど。
「私も下に来るの初めてですし、こうやって他の種族の方々と会えるなんて思いませんでしたよ!」
「下に来る?と言うことはミューさんは・・・
アンジェが話してる途中で、ミューは人差し指を立て上を指す。
「私達普段、上に住んでるんですよー」
・・・は?
上って、上?
空?
「いやいやいや、いくら天使っぽい見た目でもそれは・・・」
「あ、そしたら来ます?」
割とマジな顔で言って来やがる。
「上に行けるのですか?」
「私はともかく、みんな飛べないよー?」
疑問の2文字を浮かべながらニナとミュラが質問すると、ミューは「ああ、それなら」と笑顔で後ろを指差す。
「あっちまでついてきてください」
何を薮から棒に。
渋々ミューの後ろについていき、この部屋の真ん中あたりまで俺らはついていく。
さっきまで全然気に留めなかったけど、中央付近の床はなにやら大きな円形模様が二重、三重に掘られてて、円と円の隙間には読めない文字が書かれてる。
「なんだ?何が起こるんだ?」
サリスが呟きながら周りをキョロキョロ観察してると、ミューは両手を広げて見上げる。
「それでは行きますよー!『サリーレ』」
突如、何重にも掘られている床の円が青く発光する。
その光は上へ上へと伸びていき、俯瞰すれば光の円柱が天まで伸びてるような感じ。
なんか、錬金術で見たあの魔法陣みたいだなぁ。
「わわ!眩しいのです!」
「なんだか綺麗ですね〜」
「これはなんだ!?なんなんだ!?」
「サリス、落ち着きなよ〜」
女性陣が色々とリアクションを取る姿に対し、ミューは笑顔を絶やさずに言葉を発する。
「それでは、空の旅へとご案内しまーす!」
ゴ・・・ゴゴゴ・・・と足元から重い音がなったと思いきや、妙な浮遊感に襲われる。
え、もしかして?
ドン!
うわ!飛んでる!?飛んでるって!!!
俺らが立ってる床に書かかれた円が足場になって、すげぇ速度で上昇してるんだけど!?
「わわわ!はやややややはやいのででですすすす!!!」
「た!高い!怖い!うわ!!飛んでる!うわ!!」
「凄いですね〜、どう言う原理なんでしょう?」
「おーはやーい!不思議だよね〜、あれ、サリスとニナ気絶してない?」
恐ろしい速度で上昇していく。
石を思い切り投げた時の速度と同じかそれ以上。
ただただ周りは暗く、闇が広がる中で天には一筋の光が見える。
それは徐々に大きさを増していき、俺たちを出迎えるような光。
「間も無く到着しまーす!衝撃にご注意くださー・・・・」
ガコン。
ミューが説明している途中に光の外へと出る。
急激に止まる足場によって、俺たちの体は少し浮く。
同時に外に出たんだと実感させるように、空気が鼻に入り込む。
暗がりから急に外出たから、眩しくて見えねえ。
・・・視界が少しずつはっきりして来たなぁ。
ぼやけながら、視界の両端に青、真ん中に白い大きいの。
んー、なんだここは・・・うおっ!?
なんだ急に両側からくっついて!
アンジェとミュラだな?
「たくやさん!!凄いですよこれ!」
「こんな場所があったんだねぇ!」
両側からくる衝撃で、いっきに視界がはっきりする。
そこに広がるのは都市。
いや、ただの都市じゃない。
空に浮いてる!?
周りは青く澄んでいて、あちこちに雲がある。
その中に存在する、全体的に白い建築物がそびえ立つ異質さ。
一番奥にあるでかい城みたいなのを筆頭に、そっから手前に向かって白い町が広がってる。
俺らが立っているのは、だだっ広い浮いてる島っぽいのの先端部分で、都市とこちらの島は離れてるゆえに、石造りの大きな橋が掛かってる。
後ろを見るとなんともまぁ奇妙で、草花は勿論、なんなら川が流れていて、木々も育ち果実が実ってる。
なーんだここは?
「空に、こんな場所があったんですね・・・」
「ほんとだよ、山から見えなかったよこんなところ・・・」
圧巻の景色を見て、目を奪われるアンジェとミュラ。
「ほんとだよ、どうなってんだここ。というか、どこここ?」
なんとなくミューに聞いてみる。
「ここは天空の大地『ウラノシエラ』。そして、ようこそ天空都市『アーデン』へ!」
天使の性格変わりすぎじゃね?




