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213話 魔法が使えない俺と扉の向こうの天使様

「これが例のあれですかぁ」

「思ったより大きいのですねー」

「周りの風景と全然あってないよねー」


俺らは現在噂の扉までやって来た。


周りは本当になんもない広大な草原で、木がちらほら生えてるだけ。


そんな中に建つ、岩で作られたような二枚扉。


よくわからん模様が刻まれていて、意味深な雰囲気を醸し出してはいるんだけど、それがより、周りの風景との乖離が顕著に出てる。


よくこんなもん見つけたよなぁ。


「さて!私が開けてやろう!!」


鼻歌を鳴らしながら、徐ろに二枚扉に体重をかけて押すサリス。


ゴゴゴっと岩と岩が擦れるような音と共に、扉がゆっくり開き始め、細い隙間が広がってく。


だが、扉を開け切ったものの、中という概念はなく、ただ草原が広がってるだけ。


マジでただの置物って感じ。


「・・・つまらん」

「まあ、観光場所って感じだよね。芸術作品的な?」


うーん、もっとなにかあるのかと思ってたんだけど、特段何もないかぁ。


ニナは何が楽しいのか分からないけど、扉の中をくぐったり戻ったり、行ったり来たりして喜んでるし。


「うーん、何も無しかー。どうする?帰るー?」

「なんもなさそうだし、帰ろうか。ニナ、行くぞー」


ミュラの意見に賛成して、帰宅を促す。


「はいなのですー」とこっちに走ってくるニナ。


几帳面な性格なのか、開きっぱなしの二枚扉を見てアンジェは、「閉めますね」と言い扉に手をやる。


ゴ・・・ゴゴ・・・ガコン


「・・・ん?」


扉から謎の音が聞こえて、一斉に振り返る。


は?


どういう事?


「わ!たくやさん!通路が出て来ましたよ!?」

「え!?さっきまで何もなかったよね・・・?」

「わわ!!なんなのですか!?」

「おいおい!いきなり過ぎじゃあないか!?」



ただ、草原が広がるだけの扉の向こう側。


そこには、長く続く不気味な一本の廊下。


全体的にくらいけど、壁には松明が設置されていて、青い炎が燃えている。


心許ないが、歩くには困らなさそうだね。


しかし、なんで急に現れたかね。


ある程度の距離までは道が保証されてるけど、その先は暗くてあんまり見えない。


ただ、集中してみるとその先には大きな空洞がある感じがする。


皆んながその光景にたじろぐ中、俺は廊下に進み始める。


「まあ、せっかく出てきたからいこーか」

「そ、そうですね。行かないと勿体無いですし」


俺とアンジェが先に入って、後からミュラとニナ、サリスが入っていく。


ダンジョンって、ことぉ?


◇◆◇


薄暗い廊下が続く。


青い炎がゆらゆらと揺れて、やや不安を掻き立てる明かりは俺たちをどこへと誘うのだろう。


魔物の気配は全く感じず、それどころか虫一匹いる気配もない。


思ったほど湿り気は無く、中は思った以上に綺麗で、つい最近作られたと言っても過言ではないくらい、汚れが全くない。


マジでなんだここ?


ダンジョンにしては魔物も分かれ道もないし、意味わからんな。


それに、すげえ歩きづらい。


「ぶ、不気味ですよねぇ」

「ま、また幽霊、とか?」


アンジェとミュラがくっついてるからね。


両腕を拘束されて、サンドウィッチの具といっても差し支えないくらいに、俺の身体は押しつぶされてる。


基本この2人が怖がりなんだよなぁ。


色々当たって柔らかさを感じるんだけど、なんだかなぁ。


「むー、なーんもないのですねー」


周りをキョロキョロしながら、ニナは先陣を切って歩いてる。


「ニナさんは怖くないんですか?」

「怖いってなんなのですか?」

「ニナは強いなぁ」


怖がる2人に対して、どっしり構えてるニナはなんか心強い。


というか、そもそもなんも考えてないんだから、怖いわけないんだよな。


そんな中


「全く、怖がっていては、いざとなった時太刀打ちできないだろう!?もっと勇ましさをだなぁ・・・」


と、後ろにいるサリスから声が飛んでくる。


「じゃあサリスが前に行きなよ。怖くないんだろ?」

「あ、あ、当たり前だろ!!後ろに注意を払ってるだけだ!や、やめろ!引っ張るな!引っ張るなぁ!!!」


ニナがサリスの腕を引っ張って、無理やり前に来させようとする。


めっちゃ嫌がってるけど、こいつ結局怖いんじゃん。



・・・お、そろそろ広い場所に出るぞ?


何もない広い空間。


ただ、青い炎が周囲を照らしている。


広さ的には、どれくらいだろう。


1000人入っても余裕くらいの広さかな?


高さもまあまあ・・・いや、暗くて見えないけど、これどこまで続いてんだ??


気配感知しても全然分かんねえ。


「広いですね〜」

「広いのに、なーんにもないよ?」


アンジェとミュラの声が反響する。


突き当たりも特になんもない。


というか、ドーム状になっててここが最後みたい。


これ、外と中でどうなってんの??


「わーい!広いのですー!」

「や!やめろ!!引っ張るな!連れ回すなぁ!」


ニナがサリスを引っ張って走り回ってる。


楽しそうだなぁ。


うーん、結局ここに来ても何にもないし、収穫ゼロかぁ。


大人しく戻ろうかなぁ。


「なぁ、なんもなさそうだし、ギルドにもど・・・」



パンッ


明かりがつく。


青では無く、純粋な光。


太陽光と変わらないくらいの明るさ。


その光が場所全体を照らして、端から端までくまなく見える。


「わ!眩しいのです!」

「分かったから!そろそろとまってくれぇ!!」


ニナもそろそろ落ち着けばいいのに・・・


ん・・・誰かいる?


・・・上か?


「たくや君!あれ!!」

「えっと・・・誰ですかね?」


皆が上を凝視して、降りてくる人型に疑問を浮かべる。


少し薄い青のストレートヘアー。


尖った耳に整った顔立ち。


白を基調とした服装で、ノースリーブに膝下丈のスカート。


そして極め付けに、背中から白い翼が生えている。


これは間違いない。


天使様だな。


その天使様が上から降臨して、俺らを見下してる。


どーゆーこと?


「あれって・・・天使?だよね?」

「見た感じ、天使ですよね・・・?」

「勝手なイメージで、金髪だと思ってたよ・・・」

「私もです、それに耳が尖ってますよ?」


アンジェとミュラがヒソヒソと外見について言及し始める。


つまり、解釈違いだって言いたいのかな?


あ、ニナとサリスが戻って来た。


「すごいキラキラしてるのですね〜」

「それどころじゃないだろ!なんだあれは!?」


この場でサリスだけ唯一、まともな思考をしてるのかもしれない。


俺も思うもん。


そんな状況下で、天使は上から俺らに言葉を発する。


「何故、ここへ来れたのですか?」


おっかしい事言うなぁ。


「来れたもんは来れたんだよ。というか、来れたらダメだった?」

「ダメも何も、我ら以外は入れないハズですが。・・・侵入者、と定めましょう。これより、あなた方を撃退します」


随分過激な天使だなぁ。


もっと会話の余地とかないもんかね。


「待ってください!私たちは・・・」

「聞く耳持ちませんね『エレメント・ブラスト』」


アンジェの言葉を無碍にして、天使様は魔法を発動したんだけど・・・


魔法陣が4つ展開されて、それぞれから炎、氷、風、岩の4種類の魔法を発動し、それらが一変に降り注ぐ。


その魔力の塊はまるで、太い柱のように俺らに閃光を放つ。


マジかよ・・・っと、いってる場合じゃねえな!


4色の閃光を剣で受け止める。


うおお、手が痺れるなぁ!


「たくやさん!『グランド・バレット!』」


アンジェが魔法を発動すると、巨大で鋭利な岩石が現れて、天使に向かって飛んでいく。


「よく分からんが、『エクス・カリバァァァァア!!!!!』」


アンジェの魔法に合わせて、馬鹿でかい聖剣を振りかぶる。


天使はそれらに対応するかのように、別の魔法陣を展開して氷山を思わせる氷塊を作り出し、それぞれに相殺を図る。


魔法ってすげー。


「乗って!ニナ!」

「ハイなのですー!」


翼が生えたミュラの背中にニナが乗り、宙に浮く天使に突貫する。


それに気づいた天使は、俺への攻撃を取りやめて、向かってくる2人に4色の魔法を弾丸のように連発し始めた。


「うわぁ!近づかないよー!」

「空飛んでるのですー!」


楽しげなニナに対し、襲いくる複数属性の魔法の雨あられを、何とか振り切ろうと危機感を感じながら飛び回るミュラ。


おいおい、3属性が限界って言われてる魔法界隈で、4属性の魔法使って来てんのかよ天使様!

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