間話 錬金術師の就職先と情報共有
「賢者の石って、そういう・・・」
「うん」
村から王都に戻った俺らは今、研究室でロビと色々話してるところ。
今はたまたまティニーがいないみたいだけど、もし元幹部同士のティニーとパルスが出会したら、どんな反応するんだろう?
ロビは最初こそ、錬金術師のシーンとパルスの姿を見て、1人で勝手に盛り上がってたものの、賢者の石についての話を聞いていくに連れて、徐々に表情が曇ってくね。
「魔王のせいとはいえ、とんでもない事したねぇ」
「ウチが全部悪い。賢者の石だって、あのときどうやって作ったのか分からない。でも」
パルスが握り拳を作って、爪が食い込むくらいの力を入れる。
「ウチが賢者の石の仕組みを解き明かしたい。罪滅ぼしとして、これからの未来のために」
「俺も協力する」
お、シーンも乗り出してきた。
つまるところ、賢者の石のなんたるかを理解して、そのノウハウで将来的に役に立つんじゃね?ってところ。
研究室に入りたいと頭を下げる兄妹の図。
なんだか、健気だなぁ。
ティニーなんて、気に入られたって理由で入ったのに・・・
「いいよ?錬金術師が入ってくれるとか、願ってもないチャンスだからね!」
あっさり了承するロビ。
そんな簡単に入れるものなんだ、意外。
願いを聞き入れて貰えた2人は喜びを分かち合い、また抱擁。
何回この光景を見せられるんだろう・・・
まあ、仲がいいのはいい事なんだけどさ。
ともあれ、2人が王都の研究部に入ったって事で、とりあえず丸く収まったのかな?
短期間で元幹部が2人入るって、かなり異常事態だと思うけど、フィラは何も思わないのかなぁ。
◇◆◇
帰宅。
はー、なんだか家に帰ったら、今までの疲れがどっとのしかかってくるよね。
疲れていても、頭の中では魔王の目的が気になるところなんだけど、今急いで何かしても仕方ないし、今日は休もうかなー。
って事で今は飯。
なんだかミシアが、めちゃくちゃ力を入れて作ったらしいよ?
サラダとか、ゴロゴロになった魔物肉の和え物とか、あと三角形の薄っぺらいパンの上に色々乗ってる奴とか、その他諸々がテーブルにびっしり置かれてて、正直食いきれねぇ。
とりま飯にありつきながら、今までの事とこれからの事を共有する俺。
あぁ、ミシアの他に、何故かフィラとサリスもいるからね。
「つまりですよ?魔王は魔神になることが目的で、その為に彼らはウチで保管してるもの含めて何かしらの物を集めてる、という事ですよね?」
「なるほろぉ、んぐ、全然意味がわからんぞ!」
「サリスは黙っててください」
「団長ぉおぉぉぉお!!!!!!」
相変わらずだなぁ・・・
あと、サリスは口に飯入れながら喋らないでほしい。
「全てと言っても、あと何が必要なのかは分かりませんよね」
「アンジェの言う通り。無闇に探しても時間の無駄だわ。あ!あなた様の意見を無碍にしてるわけではありませんよ!!!!」
ミシアの言い分はごもっともだから、別にフォロー入れなくてもいいのに・・・
「ほへっへほふおーにひひいへほ、わはわわいのほははぁ」
「一回飲み込もうよ」
ミュラ曰く、「それって、国王に聞いても、分からないのかなあ」とのこと。
うーん確かに。
英雄として魔王を封印した国王、もしくは師匠なら何か分かるかもしれないよなあ。
「んん、ん。一先ず、わたくしが国王に直接聞いてみます。それと、今のままでは情報が足りませんので、騎士団の方でも手がかりがないか聞いてみます」
フィラは、小さな口に頬張った肉を呑み込んで提案をし「それと」と続ける。
「一旦、魔力増強石と竜眼玉の研究を中止して、厳重に保管します。大会の時みたいな事が起きてしまうと、たまったものではありませんし」
「ありがとう、頼むよ」
ニコッと俺に笑顔を返す。
その後すぐにミシアが「では」と話し始める。
「こちらはギルドで冒険者に情報提供依頼を張り出すわ。彼らなら、どっかこっか出てるわけだし、集まる確率が高いもの」
ミシアはミシアで、ギルド職員の立場から情報を得るようだ。
まあ、これで簡単に情報が集まるとは思えないけどなあ。
なんせ、今まで誰も魔王までたどり着けてないわけだし。
「なら、俺らはとりあえず、いつも通りギルドの依頼でもこなすか。もしかしたら、手がかりでも見つかるかもしれないし」
「そうですね。ここで待っていても仕方ありませんし、やれることをやりましょうか」
俺とアンジェの言葉を聞いて、皆がそれに頷いたってことで、一応まとまった感じかな?
「もご!わらひも!らりかやるぞ!!!」
「食べるか話すかどっちかにしてください」
サリスはずっと飯食ってるけど、本当に聞いてるのかなあ・・・
まあでも、ここまで話が進んだのって、サリスのお陰って側面もあるからあんま責められないんだよね。
「明日はとりあえず、ギルドに行くって感じかな?」
ミュラの疑問に「ああ」と頷く。
あ、そうだ。
「そういえば、ミシアに聞きたいことあるんだけどさ」
「どうしましたか?」
なんだかんだ忘れてたけど、元々事件の前ってギルドに聞きたいことあったんだよな。
「最近冒険者の間で『変な二枚扉』が話題なんだろ?」
「冒険者間よく聞きますね。確か、開けても周りの風景が見えるだけっていう」
そもそも、この話を聞く為にギルドにあったんだよな。
それが大事になるって思わなかったけど。
「あ、それ私も聞いた事あるぞ!意味わからないよな!」
「サリスは食べてていいのですよ」
それにしても気になるよなぁ。
ムロは、ダンジョンの入り口じゃないか?的な事言ってたけど。
「ギルドの方では、なんか情報入ってない?」
「申し訳ございません。それが全くで・・・。あ、場所なら分かりますよ?」
「お、マジ?」
「はい、明日ギルドに来ましたら、地図に記しますね」
決まりだな。
明日はギルドに行って、その2枚扉の場所を教えてもらって、そこに向かうって感じで。
もしかしたら、何かあるかもしれないしね。
バン!
いきなりサリスが机を叩く。
なんだ?飯が口に合わなかったか?
「ど、どうしたの?サリス」
「えっと、何か癪に触る事いいましたか?」
ミュラとアンジェがすこし心配そうにサリスを見つめると、サリスは目をカッ!と開く。
「わ、私も行きたいぞ!!」
「・・・は?」
サリスはどうやら、俺たちについていきたいらしい。
そんなことかよ・・・
机に謝ってほしい。
「私も一応冒険者なんだぞ!?忘れていたろ!お前ら」
「忘れてたのです」
「ギルドの名簿に、確か名前入ってたわね」
あーそんな話あったなぁ。
フィラから了承得て、副団長兼冒険者になったんだっけ。
すっかり忘れてたわ。
「えーっと、フィラ的にサリスは・・・」
「構いませんよ?彼女暇ですし」
「ひ、暇では!暇というわけでは!!!!」
やっぱりか。
じゃないと行きたいなんて言わないもんな。
「・・・じゃあ一緒に行くか」
「た、たくや!ありがとうありがとう!!!」
やめろ!唾飛ばすな!!!
「サリス汚いのです」
「ま、まあ、賑やかになるから、いいのではないでしょうか・・・?」
「うるさいの間違いじゃない・・・?」
というわけで、明日例の場所に行くことになったとさ。




