201話 魔法が使えない俺と人探し
はい、というわけで錬金術師を探す旅に出ました。
前回ロビにお使いを頼まれて、ドラゴニス・マウンテンに行って、龍眼玉のお使いに行ったわけだけど、今度は人探しだもんなあ。
骨が折れるなぁ。
とはいいつつも、心当たりはあって。
というのも、ギルドに行ったときにミシアから「もしかしたら、あそこにいるかも」ってことで、目星はついてるんだよね。
伊達に、ミシアは過去に色んなところを転々としてないってね。
尚、今回は徒歩で行く模様。
飛竜使いたいけど、緊急性なんて無いから貸してもらえないのよ。
「錬金術の町だっけ?俺らが行くの」
「そうですね、確か『センタラリア』でしたね。今はもう誰も住んでないらしいですけど」
そう、俺らはこれから錬金術の町『センタラリア』に行くところ。
でも、その場所って昔なんかがあったんだって。
なんかってなんだよって話。
歩きながら、ニナは腰を曲げて気だるげに聞いてくる。
「どれくらいで着くのですか?」
「うーん、ミシア曰く王都から徒歩で3日くらい?」
「遠いよー!!私も飛竜乗りたかった―!!」
ミュラは飛べるでしょ・・・しかも、半分龍じゃん。
「途中に町とかないかなー!宿に泊まりたーい!」とミュラが駄々をこねているのを見て、アンジェは丸まった地図を広げる。
「このまま進むと、次の日に村を通るみたいですよ?宿があればラッキーですね」
「村あんの?」
「はい」と、俺の疑問に答えて地図を見せてくる。
んー、確かに。
ちょうど、センタラリアと王都の間に小さく描かれてるね。
「じゃあ今日は野宿かー。明日の為だけに生きよーっと」
「ニナは何処でも寝れるのです」
なんだろう。
実は、ミュラよりもニナの方が大人なんじゃないかって、最近思い始めてる俺がいるんだよね。
「あ、ご飯食べたいのです!」
「えー!まだ出発したばっかりでしょー!」
「お腹空いたのです。歩きたくないのです」
・・・そうでもないかも。
◇◆◇
「ニナ、ミュラ!あんま無理すんなよー!」
「大丈夫なのですよー!おっとと」
「気持ち悪くていやー!!」
ニナとミュラは前に出て、後方からアンジェが『アイシクル・レイン!』って魔法を発動させる。
今俺らはちょっとした森で戦闘中なんだけど、割と魔物の数がいるんだよね。
見た目としては、上半身が蛇で下半身が蜘蛛のそれ。
なんだか無理やり胴体をつなぎ合わせたような感じで、不快感を絵にかいたような姿は、結構気色が悪い。
割と大きくて、俺と同じくらいの大きさだし。
しかも、その数がまあ多い事。
単純に50体くらいはいるんじゃねえかな?
「ニナパーンチ!!うへぇ、気持ち悪いのです」
「『ポイズン・ブレス!』・・・ええ!毒効かないんだけど!!」
「皆さん、一度少し離れてください!」
前衛を務めていた俺、ニナ、ミュラは一度下がって、アンジェが降らす凍結の雨に当たらないよう注意を向ける。
空から降り注ぐ氷の結晶軍は、蛇と蜘蛛の融合体共を次々に凍らせていく。
しかし、流石にすべての魔物にアンジェの魔法が当たる訳でもない。
大体半分くらいが残り、わしゃわしゃと餌を見つけたと言わんばかりに近づいてくる。
「すいません!撃ち漏らしました!」
「気にすんな!俺が行く!・・・あえ!?」
アンジェのフォローをしたのも束の間、ヘビ蜘蛛とは別に、奥の方から別の気配を感じる。
・・・なんだあれ?
えっと、頭がグリフォンで、胴体と4足がウルフで、背中からワイバーンの翼が生えてる、もうめちゃくちゃな奴がいるんだけど??
チグハグ過ぎて、マジで気持ち悪い・・・
「な、なんですかあれ!?」
「き、キショいのです!!」
「うえっ、ちょっと無理かも・・・」
どうやら、女性人気は低いらしい。
そんな奴が奥から、ズンズンと翼をばたつかせて、「ギイィイイイィイ!!」と叫びながら走ってくる。
いや、キモいキモい!!
あんなもん、見た事ねえんだけど!
とりあえず、あいつがくる前にヘビ蜘蛛どもを片付けないと!
「みんな!先に前の奴らを一掃してくれ!俺が奥のやつの相手する!」
俺の掛け声に「「「了解!」」」と3人は了承する。
俺はワラワラやってくるヘビ蜘蛛共を無視して、奥に突っ走る。
ヘビ蜘蛛達は、「シャー」と舌を出しながら俺に毒液を次々吐いてくるものの、それらすべてを回避。
そのまま剣を構えて、後ろのチグハグに横一閃をかます。
が、奴は横薙ぎに対して、4本の脚力と背中の翼を羽ばたかせることによって、俺の剣をかわして空中に逃げる。
そしてグリフォンは、大気を乱回転させたような気流をクチバシ付近に作り出し、前方に伸びる竜巻のような魔法攻撃を放つ。
「うえ、魔法使えんのかよ!」
竜巻に剣を突き立てて魔法を打ち消した後に、俺は空を蹴って奴に接近。
奴は「キイイィィイイィイ!!」と絶叫しながら上体をお越し、前脚の爪で俺を切り裂く体勢に入るが、振りかぶる前に前脚を剣でたたっ斬る。
音にすらなっていない、耳障りな音波を撒き散らしながらも、どうにかしようと大きな翼をバタつかせる。
「いい加減黙っとけって!」
奴の背後に回って翼を細切れにする。
それによって、高度を保てなくなった身体が地面に落ちていく。
地へと落ちていく中で、奴はクチバシに魔力を溜め始める。
「させるかよ」
空を蹴っ飛ばし、奴の身体に急接近した俺は、向かってくる魔法の弾幕を避けつつ懐に入り、そのまま首を跳ねる。
切断面から紫色の血液を噴射させ、地面に落ちた時点で、奴の周りは紫で染まっていた。
ふぅ、一丁上がり。
そこまで大した相手じゃなくてよかったわ。
さて、アンジェ達は?
「ニナ・スパイラル・ハリケーン!!」
「『スラッシュ・テイル!』」
「『ライトニング・ブラスター!』」
ニナは自身の体をコマのように回転させて、ヘビ蜘蛛達を次々に巻き込んでいく。
ミュラは、魔法によって龍の尻尾を、鋭い刃に見立てて切り裂いていく。
そして、アンジェの雷魔法は、扇形に広がらながら、魔物達を感電させて、再起不能へと誘う。
よし、アンジェ達もこれで終わった感じだな。
それにしたって、ここにいる魔物達の様子が少し変・・・と言うか、物理的に歪すぎるな。
魔物っていろんな奴がいるんだなぁって、しみじみ思うね。




