表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

198/249

196話 魔法が使えない俺と怖い女

ニナがゆっくりと、ジーマとシウの元へと近づいていく。


もうそろそろ、動き始めてもいいかも。


さっさと邪魔してくるシオを気絶させて、速攻であの女をやっちまった方が、もう楽かもなぁ。


「あらぁいい子ねえ。撫でようかしら」

「やめとけ。獣臭いのがうつるぞ?ハハハ!」


いや、もうやろう。


この際あいつらを分らせないとダメだな。


シオの攻撃も改竄の影響なのか、あんま強くないし、寧ろ弱いまである。


彼女を気絶させるのは、結構簡単そうだ。


シオを速攻で倒した瞬間に、あのシウってバカのところまで一瞬で近づいて斬り刻んでやる。


そんなことを考えている間も、シウの手が徐々に、ボーッと一点を見つめるニナの頭へと近づいていく。


俺はシオの剣を弾き、剣を構えて気絶させる準備に入ろうとした。


その時



ゴンと大きな打撃音。


「ぐえあ!?!?」

「・・・は!?」


・・・は?


どゆこと?


ニナは拳を天に突き上げ、シウの華奢な身体は宙を舞い、ジーマは口を大きく開けて驚いてる。


つまり、シウの魔法はニナには効いておらず、獣耳娘は彼らに近づいた末に、ブロンド女の顎目掛けてアッパーをかましたってことだ。


そんな右手を挙げたニナは一言。


「ニナに効いてないのですよ?」


いや、魔法効いてないのかよ。


じゃあさっきのは何だったんだよマジで。


驚かせやがって。


・・・とりあえず今のうちに。シオを気絶させとくか。


そいっと。


よし、倒れたな。


「え、え!シウさんを殴った!?ニナ!何をするんだ!!」

「一連の流れを見てそう言ってるんなら、サリスは改竄とか関係なくやばいよ」


サリスの言動を聞くに、シウはぶん殴られて地面に倒れたものの、未だ魔法は解けていないらしい。


シウを殺すか、解除するよう追い込むか、そのどっちかって事なのかな?


あ、起きた。


「な、なんで魔法が効いてないのよ!!おかしいでしょ!」

「おいどう言う事だよ!魔物ですらかかる魔法なんだぞ!?」


ジーマとシウが喚いてる中、ニナは胸を張り、「えっへん」と得意な顔をし始める。


「もしかしてニナ、なんかやっちゃったのですか?」 

「こ、この!もう一回!もう一回よ!!」


シウは再びニナに向かって手を突き出し、魔法を発動する。


しかし、何回発動してもニナに効き目はない様子で、当の本人は欠伸をする始末。


「はぁ、はぁはぁ・・・なんで、なんで魔法が・・・まさか」

「むー?」

「あんた、何も考えてないって言うの!?」


んえ?どう言う事?


「失礼なのですね!ニナだって色々考えてるのですよ!!」

「例えば?」

「えー、えーっと、あ、お腹すいたのです!」


あぁ、確信した。


ニナって普段から、なんも考えてないんだな。


だから、衝動的な発言とか行動が多いわけか・・・


妙に納得。


じゃあ、ニナの知性って魔物以下って事じゃ・・・


「ご主人様、今失礼な事考えたのですね?」

「考えてないよ。ニナはすごいなぁ」

「ニナは最強なのです!」


はぁ、なんか呆れてきた。


でも、これはチャンスだ。


問題はあるにしろ、ニナが相手の魔法に抵抗力があるゆえ、心配する必要がない。


それに、シウは魔法を発動する時、必ず相手に手を向ける動作が挟まる。


だったら、あの腕ぶった斬れば済む話だね。


ただ、魔法の発動がマジで一瞬みたいだから、精神破壊?がサリスに向けられる前にやらないと行けない。


「こ、このクソガキァァ!!もういい!サリスの精神ぶっ壊してあげるからさァ!!」

「やべえ!止めねぇと!!」


シウの怒りは臨界点を突破したらしい。


眉間に皺を寄せ、顔を真っ赤にしながら唾を吐き出す。


そして、右手をサリスに向け始める。


「いいや限界だ!やるねッ!!今だッ!」


俺は地面を思い切り蹴飛ばし、奴に接近する。


ニナも同じく、シウに向かって拳を振おうと前進する。


しかし


呆気に取られるサリスに向かって、右手を突きつけ、魔法が発動・・・



ゴーン


何かの重低音がなったと思いきや、奇妙な静かさが空間を支配する。


揺れていた草木は静止して、人間は石のように固まる。


時間停止ってことだね。


間に合ったかー、あぶねー!


「どうですか?タイミング的には」

「バッチリ、思ったより早かったね。仕事は?」

「終わらせましたよ。あの子と一緒にしないでください、たくや様」


ピンク髪をサラッと払い、天使の皮を被った悪魔のような微笑みを浮かべ、鼻血を出しながらこちらに歩いてくる女。


騎士団長フィラだね。


一応何時間か前に、嬢から貰った声を届ける魔道具を使って、ダメ元でフィラが来るよう要請したんだけど。


まさか、来てくれるとはねえ。


「確か、サリスが危ないって話でしたが」

「ああ、あのブロンド女の魔法で記憶を書き換えられてて、しかも今、サリスの精神破壊をしようとしてたところだよ」

「そうですか。あ、もう魔法が切れます」


フィラの態度は普段のような柔らかい雰囲気とはかけ離れていて、笑っているもののなんだか冷たい。


自分の部下に対しての仕打ちに、割とご立腹っぽい。


あ、今のうちにシウの手を飛ばしとくか。



ゴーン


周りの景色が一斉に動き始める。


「・・・は?・・・あ、あ、ああああああああああ!!!なんでなんで!?!?!?」

「し、シウ!?なんだこりゃあああ!?」


時間が動き出したことで、俺が斬った手の切断面から鮮血が飛び散り、シウは呻き声をあげながらうずくまる。


ジーマは彼女の様子を見るものの、何をしていいか分からずにあたふたしてる。


ざまあないね。


周りの環境変化に気づくニナ。


「わわ!なんなのですか!?・・・あ、フィラなのです!こんにちわなのですー!」

「どうもニナさん。さてと」


フィラはサリスに向き直る。


依然サリスはオドオドと困惑している様子を続けるが、その様子に苛立っているのか、いつもよりも強い口調でサリスに声をかける。


「サリス、わたくしが分かりますか?」

「・・・えっと、あ、あれ?私あなたとどこかで・・・」

「・・・はぁ。副騎士団長がわたくしを忘れるなんて、困ったものですね」

「ま、また副騎士団長・・・あ、あれ?私は・・・」


サリスは頭を抱え、冷や汗をかきながら体を震わせ始める。


「まだ思い出せないのですか?仕方がないですね。では、いつも通りこれから『お仕置き』を始めます」


お仕置き?何それ。


もしかして、サリスっていっつもフィラからパワハラされてんの?


だからあんなにフィラの前ではかしこまってるのか・・・


理由は怖いから。


ほら、フィラの事覚えてないハズなのに、がたがた震えてんじゃん。


「お、お仕置き・・・ああ、お仕置き・・・は、はっ!!!」

「3秒数えます。それ以降1秒ごとにあなたを・・・フフ、分かっていますね?」


「1、2・・・」とフィラは指折りを始め、冷たい見下した眼でサリスを見る。


3に差し掛かる直前、サリスの目はカッ!と開く。


「は!!!団長!!!!!覚えてます!フィラ騎士団長です!!!ちゃんと覚えてます!!!!だからお仕置きは!お仕置きは!!!!!!」


あ、思い出した。


どうやら、記憶を改竄されたものの、それよりも強い記憶を想起させられると、魔法が解除されるようだ。


・・・というか、フィラはサリスに毎回、何やってんだよ。


「残念。思い出さなくても良かったのですが」

「忘れるわけないじゃないですか!!私は副団長ですよ!!!」


うん、いつものサリスだな。


何か、普段のサリスに戻ったら、妙に安心するなあ。


お、ニナが戻ってきた。


「サリスが戻ったのです」

「そうだね。フィラにいっつも意地悪されてるらしいよ」

「可哀そうなのです。なのに窓際なのですか?」


本当にニナって、悪気もなくサリスの事小ばかにするよなあ。


しかも、これが考えないで発言してるんだから、これもう才能だろ。


さてと、あとはこの町の人とシオをもとに戻さないといけないし、あのブロンド女をどうにかしないとね。


うわ、もう手が再生し始めてるよ。


やっぱこの女、魔王の配下かなんかか?




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ