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193話 魔法が使えない俺と危険な状況

二日酔いで悶絶してるアンジェとミュラ、そして二人を介護してるミシアを置いて、俺とニナはギルドにやってきたところ。


ギルドに来たのは別に依頼を受けにいたわけじゃなくて、昨日ムロとドッジから聞いた『謎の二枚扉』について、ギルドで何か分からないかと思い立ってここに来たってわけ。


そんなことで、新手のダンジョンかもしれない二枚扉について、受付嬢に聞いてみた。


「それより大変なんです!たくや様!」

「なんだよそれよりって・・・。何があったの?」


受付嬢の表情を覗いてみると、よくよく見たら割と焦ってるように感じる。


いや、焦ってるってより困惑?の方が近いのかも。


「実はですね、副騎士団長のサリスさんと御一行が戻らなくて、連絡も届いていないみたいなんです」

「サリスが?」


サリスは確か、シオが借金してる悪徳闇金野郎の場所へ、殴り込みに行ってるんだったけか。


その闇金には右腕的なつええ奴がいるってことも言ってたし、もしかしたらそいつらに捕まったか、もしくはやられたとか・・・?


「それって結構まずい状況なんじゃない?フィラはなんか言ってないの?」

「騎士団長は今別件で手を焼いてるようでして・・・。追加で何人かの騎士を派遣したみたいですけど、彼らからも伝達が来ませんし」

「サリスがやばいのです!ご主人様」


確かに、増援を送ってるにも拘わらずこの状況、事態はもしかしたら深刻なのかもしれないね。


「できれば今日出発して欲しいんです。事態は一刻を争いますので」


今日かぁ・・・


こんな時に限って、アンジェとミュラが動けないんだよなぁ。


けど、そんな悠長なこと言ってられない。


これは俺とニナの二人で行くしかないか・・・


「・・・よし、分かった、これから向かうよ。どこ行けばいい?」

「ありがとうございます。今回は特別措置として、『飛竜』を用意いたします。飛竜に行先の指定をしますので、飛んでるだけでその場所に着きます」


飛竜?普通の龍とかと違うのかな?


でもまあ、歩く手間が省けるなら、そりゃありがたい話だよな。


「おっけ!じゃあパパっと助けに行ってくるよ」

「早くいきましょうなのです!」

「感謝します!では、飛竜の準備を致します。あとこれを」

「ん、これって」


嬢から渡されたのは、ヴォルゼアス討伐の際に、ミシアから渡された魔道具に似てるやつ。


これって確か、一回だけ遠くの人に声を届ける事が出来るとか言うやつだっけ?


「最近少し性能が良くなりまして、1日1回同じものを持ってる人に、声を届ける事が出来る魔道具です。サリスさんには勿論、他増援に向かった騎士の方にも渡してます」

「へぇー便利。んじゃあそこの状況とかを報告すればいいのね」

「はい、よろしくお願いします!」


◇◆◇


一旦家に戻って、アンジェ、ミュラ、ミシアに今回の事を話した。


アンジェとミュラは体調が悪い様子ながらも、サリスの心配をして自分らも行くと言い張ってきた。


流石に俺から無理しないようにってことで断りを入れて、なんとか説得に成功した。


・・・まあ、こんな状態で戦闘になったら十中八九危ないし。


そんで俺とニナは、受付嬢が言っていた飛竜に乗って俺達が行く場所『デルフィン』っていう、闇金の奴らが収めている土地に向かってる。


その飛竜なんだけど、想像上は普通の龍なのかな?って思ってたんだけど、想像よりは小さめだね。


大体大きさは3メートルくらいかな?


見てきたドラゴンよりも小柄だけど、全体的に筋肉質で、翼は普通のドラゴンとかより大き目かも。


全体は鱗で覆われてるんだけど、背中の部分には人が乗れるようなもんが設置されてて、さらに顔にはベルトが巻かれて、そっから背中まで手綱が伸びてるから、これ持っておけば落ちることはなさそう。


実際乗り心地は割よさげで、振り落とされないかなあとか少し心配してたんだけど、普通に安定して飛行してる。


それにしたって、空飛ぶってめっちゃ気持ちいなぁ。


風が心地いいし、なんたって景色がいいよなぁ。


空全体が俺の物、的な?全部掌握してる感覚になるよ。


ちなみに、ニナは俺の後ろにいて、腰に手を回して座ってるんだけど、こんな状態で暴れてるんだよなぁ。


「わーーい!!飛んでるのですーー!!!」

「ニナ、あんま暴れるなよ?こっから落下したら、流石に死ぬから」

「死ぬのは嫌なのです!!」


じゃー暴れるんじゃないよ。


俺だって、こっから落ちたら危ないんだからさぁ。


というか、こんな楽な移動手段があるなら、もっと普及しても良くね?って思うんだよね。


飛竜の調教って大変なのかも。


「サリス達、無事だといいんだけどなぁ」

「窓際ですが、腕は確かなのです。そう簡単にやられないのですよ!」

「んまーそうだよな。もしかしたら他の事情があるかもしれないし」


何がないサリスの心配を2人でしてると


・・・飛竜がどんどん高度を下げてるってことは、もうそろそろ到着か?


「あそこ、かなぁ?」

「むー、町?なのですか?」


俺たちが見えたものは、ちょっとした町。


ただ、家々自体は少し古さを感じる。


いい意味で言えば歴史がある、悪く言えばちょいボロい。


そんな中で異色な部分がある。


それは、町の端っこの方にある広い敷地と建物。


遠目で見ても敷地内は結構綺麗で、ちゃんと手入れされてるように、芝生とかガーデンとかがある。


それを無碍にするように、黒くてでかい、綺麗な屋敷っぽいのがあって、これがまたアンバランス。


一言で言うと、センスが悪い。


「あんなところに、サリスはいるのですかね?」

「どーだろう、戦ってる気配は感じないし、殺気も特に感じないなぁ。とりあえず入ってみないとな」


飛竜は徐々に高度を下げ、着陸したのは町から少し離れた場所。


周りは木々が生い茂ってて、身を隠すのには丁度良さそう。


ここで暫く飛竜には待機して貰おうかな?


・・・あれ、おかしくね?


ここに着陸したって事は、増援の騎士たちも同じく、ここに着陸する確率は高い。


なのに、他にいるであろう飛竜の姿がない。


「もし飛行ルートが同じで、応援の奴らの着陸設定も同じなら、連中も多分ここら辺で降りるよな?」

「他のところかも知れないのです。ここら辺、ひーちゃんと同じ匂いがしないのです」

「ひーちゃん?あぁ、飛竜のことか?」


俺も飛竜の気配を感じないし、ニナも臭いは感じないらしい。


もしかしたら、徒歩とかで行ったのかもしれないけど・・・いや、こんな状況で飛竜を使わないのは、明らかにおかしいかな。


じゃあ別着陸地点?


んー、上空から見たところ、ここら辺が一番適してると思うけど。


じゃあ、彼らとその飛竜はどこに行ったんだろうね?



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