第9章:廃棄された娘 Scene 6 中枢核 ― Core ―
【Grail System:Online】
【User Authentication……】
文字列が。
白い空間へ流れていく。
アルディアは。
光の中に立つ男を。
ただ。
見つめていた。
【Current Name:Humilis Vanitas】
一拍。
【Original Identity:Fukase Toshiki】
「……俊樹」
口にした瞬間。
胸の奥で。
何かが。
小さく震えた。
この男が。
母が最後まで愛した人。
影那が。
四億年もの間。
名前を呼び続けた人。
そして。
自分へ繋がる。
もう一人の父。
「ヒューミリス……」
その名前も。
知っている。
世界を救った英雄。
世界を壊した神。
傲慢の王。
黒野が。
面白そうに語っていた。
怪物。
けれど。
目の前の男は。
怪物には見えなかった。
疲れていた。
傷だらけだった。
服は裂け。
血が乾き。
何度も。
誰かを失った顔をしている。
それでも。
隣にいる少女を見る時だけ。
表情が。
少し。
柔らかくなる。
アマリス・ルミナ。
アルディアは。
その顔を知っている。
「……お母様」
けれど。
違う。
河原で。
自分をNoiseと認識した。
魔王アマリス・ルミナではない。
まだ。
ただの少女。
仲間を失い。
それでも。
俊樹と。
ここまで歩いてきた。
一人の少女。
聖杯を前に。
二人は。
立っていた。
いや。
二人だけではない。
ここへ至るまで。
何人もいた。
パトス。
牡丹。
カスタ。
テンペランス。
機巧の少女たち。
名前。
声。
笑い方。
怒り方。
全部。
記録の中には残っている。
けれど。
ここに。
辿り着いた者は。
二人だけだった。
「……みんな」
アルディアが。
周囲を見る。
いない。
誰も。
世界を救うために。
一人ずつ。
消えていった。
それでも。
二人は。
辿り着いた。
聖杯へ。
「これが……」
アルディアは。
光の器を見る。
「全部の終わり……?」
否。
知っている。
これは。
終わりではない。
ここから。
もっと。
酷いことになる。
だから。
怖かった。
何が。
最初の一歩だったのか。
それを見ることが。
聖杯が。
音を発した。
『魂魄情報ノ照合ヲ開始』
アマリスの身体が。
淡い光に包まれる。
「……?」
彼女が。
自分の胸へ。
手を置いた。
ヒューミリスが。
振り返る。
「アマリス?」
光。
記憶。
映像。
膨大な情報が。
彼女の周囲へ。
溢れ出す。
現代日本。
学校。
街。
六月。
雨。
俊樹。
家族。
事故。
そして。
生まれるはずだった。
小さな命。
アルディアの。
呼吸が止まった。
「……あ」
自分が。
いる。
正確には。
自分へ繋がる。
生まれなかった命。
Save Data 01で見た。
あの世界。
アマリスの瞳から。
大粒の涙が。
零れた。
「……やっぱり」
声が。
変わった。
ヒューミリスが。
息を呑む。
「……アマリス?」
少女は。
首を横へ振った。
そして。
微笑む。
「俊君」
ヒューミリスの。
時間が。
止まった。
「……」
アルディアも。
動けなかった。
その呼び方。
母が。
死ぬ直前。
何度も。
呼んでいた。
名前。
「……瑠美奈?」
声が。
震えている。
「うん」
天城瑠美奈が。
笑った。
アマリスとして。
生きてきた時間。
天城瑠美奈として。
生きた時間。
どちらかが。
偽物だったわけではない。
二つの人生が。
一つの魂の中で。
ようやく。
繋がった。
ヒューミリスが。
一歩。
前へ出る。
「本当に……?」
「うん」
「全部……?」
「全部」
瑠美奈の瞳から。
涙が流れる。
「思い出した」
その瞬間。
ヒューミリスは。
彼女を抱き締めた。
強く。
あまりにも。
強く。
二度と。
離さないように。
「やっと……」
声が。
震える。
「やっと会えた……」
瑠美奈も。
彼の背中へ。
腕を回した。
「うん」
「ずっと捜してた」
「知ってる」
「今度こそ」
ヒューミリスが。
彼女の髪へ。
顔を埋める。
「一緒に帰ろう」
瑠美奈は。
ほんの少しだけ。
黙った。
そして。
「うん」
そう。
答えた。
アルディアは。
二人を見ていた。
「……」
知らなかった。
こんな顔で。
父は。
笑ったのか。
こんな顔で。
母は。
抱き締められたのか。
自分が。
存在できなかった。
あの世界で。
二人が。
これほど。
互いを。
求めていたことを。
少しだけ。
胸が。
苦しかった。
羨ましい。
そう思った。
自分も。
その間に。
いたかった。
二人の間で。
ただ。
普通に。
笑いたかった。
「……三人で」
June Bride。
母が。
願っていた。
三人で。
歩きたかった。
「もし」
アルディアは。
小さく呟く。
「もし、あの時……」
影那が。
車を。
走らせなかったら。
自分は。
ここに。
いたのだろうか。
俊樹を。
父と呼び。
瑠美奈を。
母と呼び。
こんな風に。
三人で。
抱き合う未来が。
あったのだろうか。
答えは。
ない。
Save Data 01は。
既に。
Trash Boxへ。
落ちた。
それでも。
一瞬だけ。
想像した。
存在しなかった。
自分の。
家族。
その時。
音がした。
――ピッ。
冷たい。
電子音。
アルディアは。
顔を上げた。
【魂魄情報ノ照合ヲ完了】
ヒューミリスと。
瑠美奈も。
聖杯を見る。
白い文字。
【旧個体名:天城瑠美奈】
【魂魄純度:適合】
そして。
次の一行。
【世界浄化機構ノ中枢核トシテ使用可能】
「……」
アルディアの。
顔から。
表情が消えた。
「中枢……核?」
ヒューミリスが。
同じ言葉を。
口にする。
『当該世界ノ魔力汚染率』
数字。
【92.8%】
『現行状態デノ世界存続ハ不可能』
「待て」
ヒューミリスの声が。
低くなる。
聖杯は。
止まらない。
『全領域ノ浄化及ビ再構成ヲ実行スルタメ』
光が。
瑠美奈へ。
集まる。
『高密度魂魄一名ヲ必要トシマス』
「待てと言ってる!」
ヒューミリスが。
聖杯へ。
手を伸ばす。
【中枢核候補ヲ確定】
アルディアは。
その表示を。
知っている気がした。
Scene 5。
影那。
【Function:Fuel】
名前。
人生。
願い。
全部を。
一つの。
機能名へ。
変換した。
あの表示。
そして。
今。
母へ。
新しい役割が。
与えられようとしている。
【Target:Amagi Rumina】
【Function:Core】
「……また」
アルディアが。
呟く。
「またなの?」
Fuel。
Core。
人間を。
機能へ。
変える。
「やめて!」
アルディアが。
走る。
「その人は!」
届かない。
「お母様は、部品じゃない!」
ヒューミリスも。
聖杯へ。
怒鳴っていた。
「どういう意味だ!」
聖杯は。
無機質に。
答える。
世界を。
再構成するためには。
高密度の魂魄が。
中枢として必要。
そして。
最適解が。
天城瑠美奈。
「別の方法を探せ!」
『代替候補ナシ』
「僕を使え!」
『適合条件不一致』
「なら世界なんて――!」
「俊君」
瑠美奈の。
声。
ヒューミリスが。
止まった。
「……何」
瑠美奈は。
彼を。
見ていた。
悲しい。
でも。
穏やかな顔。
「もういいよ」
「良くない」
「俊君」
「良くない!」
ヒューミリスが。
瑠美奈の肩を。
掴む。
「ここまで来たんだぞ!」
声が。
震える。
「みんな死んだ!」
パトス。
牡丹。
カスタ。
テンペランス。
三人の機巧少女。
ここまで。
何人。
失った。
「みんな!」
拳が。
震える。
「僕たちをここへ送るために!」
だから。
今度こそ。
二人で。
帰る。
そうでなければ。
「何のために……!」
「世界を救うため」
瑠美奈が。
静かに。
答えた。
「……」
ヒューミリスは。
何も言えない。
瑠美奈は。
彼の頬へ。
手を伸ばした。
「俊君が」
優しく。
触れる。
「ずっと、そう言ってた」
戦争を。
終わらせたい。
誰かが。
生まれた場所だけで。
敵か。
味方か。
決められない世界に。
したい。
普通に。
みんなが。
生きられる世界を。
作りたい。
「だから」
瑠美奈は。
微笑んだ。
「最後までやろう?」
「嫌だ」
即答だった。
「俊君」
「嫌だ」
子供のように。
首を振る。
「世界なんて知らない」
アルディアが。
息を呑む。
英雄が。
初めて。
世界を。
拒絶した。
「君がいなくなるなら」
ヒューミリスの。
声が。
震える。
「僕は」
拳。
「そんな世界」
言葉。
「欲しくない」
瑠美奈は。
困ったように。
笑った。
「本当に」
その表情。
アルディアは。
知っていた。
母だ。
魔王でも。
聖杯の核でもない。
ただの。
天城瑠美奈。
「寂しがり屋なんだから」
「やめろ」
「すぐ無茶するし」
「やめてくれ」
「一人で」
瑠美奈の。
身体が。
少しずつ。
光へ。
変わり始める。
「全部背負おうとする」
「瑠美奈!」
ヒューミリスが。
彼女の手を。
掴もうとする。
けれど。
二人の間へ。
透明な壁が。
形成される。
「ふざけるな!」
拳を。
叩きつける。
「開けろ!」
一度。
「開けろォッ!」
二度。
世界を。
書き換えるほどの。
力。
それでも。
聖杯は。
開かない。
アルディアも。
壁へ。
手を当てる。
「お母様!」
同じ。
場所。
ヒューミリスの手。
アルディアの手。
壁の向こう。
瑠美奈の手。
三人の。
手が。
重なる。
触れては。
いない。
でも。
アルディアは。
不思議と。
温かいと。
思った。
「……」
瑠美奈が。
一瞬。
何かを。
感じたように。
目を細めた。
「え……?」
アルディアの。
心臓が。
跳ねた。
母が。
こちらを。
見た。
ような。
気がした。
まさか。
そんなはずはない。
これは。
過去。
Save Data。
アルディアは。
存在していない。
それでも。
瑠美奈は。
自分の腹部へ。
ほんの一瞬。
手を添えた。
そして。
微笑んだ。
誰へ。
向けたものなのか。
アルディアには。
分からなかった。
「俊君」
母は。
父を見る。
「さよなら」
「言うな」
「ずっと」
涙が。
一滴。
頬を。
流れる。
「ずっと、大好きだったよ」
「やめろ!」
光。
「瑠美奈ァァァァァァッ!」
白。
すべてが。
消えた。
音も。
光も。
時間も。
そして。
天城瑠美奈という。
一人の女性が。
聖杯の中心へ。
取り込まれた。
【Core Integration Start】
【Individual Activity:Terminated】
【World Purification:Execute】
「……」
アルディアは。
動けなかった。
Scene 5。
影那。
四億年間。
「死なせてもらえなかった」。
今。
瑠美奈は。
世界を。
生かすために。
自ら。
消えることを。
受け入れた。
似ている。
人間を。
機能へ。
変える。
システム表示だけを見れば。
同じ。
Fuel。
Core。
けれど。
「……違う」
アルディアが。
呟いた。
影那は。
選べなかった。
死ぬことも。
狂うことも。
逃げることも。
拒否することも。
全部。
奪われた。
母は。
違う。
選んだ。
苦しくても。
俊樹と。
離れたくなくても。
それでも。
自分で。
世界を。
選んだ。
「同じじゃない」
アルディアは。
聖杯を見る。
「一緒にするな」
機能名だけでは。
分からない。
Fuel。
Core。
その奥に。
誰が。
何を願って。
どうして。
そこへ。
辿り着いたのか。
「だから……」
記録が。
必要なのだ。
名前が。
必要なのだ。
覚えている者が。
必要なのだ。
Fuelではない。
天城影那。
Coreではない。
天城瑠美奈。
「……お母様」
光が。
世界へ。
広がった。
【Purification Progress:1%】
黒い大地から。
汚染が。
消えていく。
【12%】
魔力に侵された。
森。
街。
海。
空。
【31%】
濁った川が。
澄んでいく。
【48%】
崩壊していた。
大地が。
繋がる。
【67%】
魔物が。
灰となる。
【81%】
空を。
覆っていた。
黒い雲が。
消える。
【99%】
世界中へ。
朝日が。
差し込んだ。
【100%】
静寂。
そして。
鳥の声。
アルディアは。
息を呑んだ。
美しかった。
あまりにも。
美しい。
世界。
戦争は。
終わった。
魔力汚染は。
消えた。
人々が。
外へ。
出てくる。
恐る恐る。
空を見る。
誰かが。
泣いた。
誰かが。
笑った。
誰かが。
知らない人を。
抱き締めた。
子供が。
走る。
兵士が。
剣を。
捨てる。
敵だった者同士が。
互いを。
見る。
そして。
何も。
しない。
戦わない。
殺さない。
ただ。
同じ。
朝日を。
見ている。
「……すごい」
アルディアは。
思わず。
呟いた。
母が。
救った世界。
命を。
差し出して。
守った。
未来。
「お母様……」
その時。
光の中心で。
一人。
ヒューミリスだけが。
立っていた。
世界中で。
歓声が。
上がっている。
勝った。
救われた。
終わった。
誰もが。
そう。
思っている。
ただ。
一人だけ。
動かない。
「……」
ヒューミリスは。
聖杯を。
見ていた。
瑠美奈が。
消えた場所。
「……返せ」
小さな。
声。
聖杯は。
応答しない。
「返せよ」
拳が。
震える。
世界は。
救われた。
【World Status:Stable】
完全な。
成功。
【Purification:Complete】
誰一人。
文句を。
言えない。
【Result:SUCCESS】
その文字を。
アルディアは。
見つめた。
Scene 3。
Toy Box。
幸福なのに。
面白くないから。
失敗扱いされた。
そして。
今。
母が。
消えた。
世界は。
【SUCCESS】
「……成功?」
アルディアの。
顔が。
歪んだ。
「これが?」
世界が。
救われれば。
成功。
一人が。
どれだけ。
大切なものを。
失っても。
成功。
システムにとって。
正しい。
結果。
「……誰にとって?」
答えは。
ない。
その時。
アルディアの。
すぐ隣に。
黒いドレスの女が。
立っていた。
いつから。
いたのか。
分からない。
Scene 1。
削除処理。
Scene 5。
燃料化。
そして。
今。
聖杯。
女は。
無表情に。
表示を。
見ている。
【Result:SUCCESS】
アルディアは。
女を。
睨んだ。
「成功なんだって」
女は。
答えない。
「貴女には」
沈黙。
「これが」
ヒューミリス。
一人。
膝をついた。
「成功に見える?」
長い。
沈黙。
やがて。
黒い女の。
瞳だけが。
アルディアへ。
向いた。
「判定項目に」
平坦な声。
「個人の幸福は含まれていません」
アルディアは。
何も言えなかった。
女は。
再び。
画面を見る。
「世界存続」
「汚染除去」
「人口維持」
「文明継続」
一つずつ。
読み上げる。
「全項目」
【CLEAR】
「成功です」
アルディアは。
その横顔を。
見つめた。
「……そっか」
理解した。
黒野だけではない。
システムも。
同じなのだ。
悪意が。
あるわけではない。
面白がっている。
わけでもない。
ただ。
測るものが。
違う。
だから。
取りこぼす。
人間が。
何を。
失ったのかを。
「だったら」
アルディアは。
ヒューミリスへ。
視線を戻した。
「私が覚える」
女が。
僅かに。
目を動かした。
「世界が成功って言っても」
母の。
最後の笑顔。
「この人が」
父の。
震える背中。
「何を失ったのか」
忘れない。
それが。
今の。
自分に。
できること。
ヒューミリスが。
ゆっくり。
顔を上げた。
その瞬間。
聖杯が。
再び。
起動する。
【World Administrator:Vacant】
【Core Synchronization Complete】
【Management Authority Transfer……】
光。
ヒューミリスの。
身体へ。
世界の。
情報が。
流れ込む。
「……何?」
アルディアが。
警戒する。
【Administrator Candidate】
【Humilis Vanitas】
黒い女が。
静かに。
告げた。
「世界は」
ヒューミリスを。
見る。
「管理者を必要とします」
アルディアの。
目が。
細くなる。
ヒューミリスは。
立ち上がった。
涙は。
なかった。
怒りも。
なかった。
ただ。
空っぽだった。
世界を。
救うために。
ここまで来た。
仲間を。
失った。
愛する人を。
取り戻した。
そして。
もう一度。
失った。
その結果。
彼に。
与えられたもの。
【Administrator Authority】
【World Law Control】
【Causality Intervention】
【Life System Access】
【Full Authority Granted】
世界を。
好きにできる。
力。
ヒューミリスは。
表示を。
見た。
長い。
長い。
沈黙。
そして。
小さく。
笑った。
「……そうか」
アルディアの。
背筋が。
冷たくなった。
その笑顔を。
知らない。
優しい。
父の顔でも。
英雄の顔でもない。
まだ。
狂ってもいない。
だからこそ。
怖かった。
「世界を」
ヒューミリスが。
呟く。
「好きにできるんだな」
【Affirmative】
一拍。
「なら」
彼は。
世界を。
見た。
争いが。
終わった。
美しい。
平和な世界。
「二度と」
静かな声。
「誰も」
拳を。
握る。
「こんな思いをしない世界にする」
アルディアは。
何も言えなかった。
その願いは。
間違っていない。
むしろ。
優しい。
あまりにも。
優しい。
だから。
知っている。
この先。
この男が。
作る。
完璧な世界を。
戦争がない。
病もない。
飢えもない。
誰も。
苦しまない。
世界。
ただ。
そこに。
瑠美奈だけが。
いない。
ヒューミリス・ヴァニタスは。
聖杯へ。
手を伸ばした。
【Administrator Login】
白い光が。
彼を。
包む。
アルディアは。
その背中を。
見ていた。
「お父さん」
今度は。
迷わなかった。
この人も。
父だ。
キアロンとは。
違う。
でも。
自分へ。
繋がった。
一人の。
父親。
「……見てるから」
届かない。
それでも。
アルディアは。
言った。
「最後まで」
何が。
この人を。
怪物にしたのか。
誰が。
何を。
奪ったのか。
そして。
それでも。
どこまでが。
この人自身の。
選択だったのか。
全部。
見る。
【Save Data Playback:Continue】
光の中で。
新しい世界が。
起動した。
戦争は。
ない。
病気も。
ない。
飢える者も。
いない。
完璧な。
世界。
その中心で。
一人の神が。
誰よりも。
孤独だった。
世界は。
確かに。
救われた。
――だからこそ。
彼だけが。
救われなかった。




