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第四十五話


豪奢な扉からマリーちゃんが従者を伴って現れた。

おー、式典だからか、いつも以上に化粧に気合が入ってるな。可愛いというより美人に見える。


玉座にマリーちゃんが座ったのを確認した宰相が授与式の始まりを告げた。どうやら司会も宰相がするみたいだ。


ーーー


な、長い...。

授与式は非常に長丁場になっていた。

...これマリー派のほとんどの人が表彰されてるんじゃないか?

もしかしたら特に活躍してない人にも表彰して、マリーちゃんないしは王家にも忠誠心を向けようとしてるのかもなあ。


いつもより言葉遣いが丁寧だな、マリーちゃん。やっぱりこういうお堅い場だと口調を変えるんだな。

でも知らない人が延々マリーちゃんに褒美をもらうのも見飽きてきたな。誰か知ってる人でも...お!カズラ氏が呼ばれた!


「カズラ・クリム!」

「はっ!」


宰相が名前をを呼び、カズラ氏がマリーちゃんの前に跪いた。

へー。カズラ氏って苗字はクリムなんだな。


「カズラ・クリム。

あなたはバージルのクーデターが起きた際、勇敢に戦って妾をいち早く城の外へと脱出させてくれました。

あなたがいなくては、妾の命はなかったことでしょう。」


カズラ氏が脱出の手引きをしたのか。流石は近衛騎士。

これは結構な褒美が期待できるんじゃないか?


「その功績を讃え、あなたに伯爵の地位を与えることにいたします。これからもその勇敢さで王国を支えてください。」

「...このカズラ・クリム、身を粉にし、一層王国へ仕えることを誓います。」


うおー!これは凄い!たしか騎士爵だったから3段階も位が上がってるじゃん!超出世だ!

カズラ氏も伯爵って言われた時はビックリしてる様子だったな。

周りの貴族も凄い騒ついてる。これは嫉妬されますぜ〜?カズラさ〜ん。



その後はマリー派閥、最大の出資者である、トゥーメト公爵に広大な領地が賜れたり、メイドのセリさんに騎士爵が賜れたりと、中々見応えのある内容だった。


でもポンポン爵位をあげて大丈夫か?と思っていたら、クーデターの時にバージル王子派についた貴族達の爵位が軒並み取り上げられているらしい。メイドのセリさんが教えてくれた。いやもうメイドじゃなかったか。


...そういや俺の褒美の授与がないな。

もう式も終盤で、大体の人に褒章渡し終わってるんだけど。

いや流石に冷静になって考えてみると、家と美味しいレシピとか意味不明な報酬を、こんな格式ばった所で渡すわけないか。

後から呼びたされて直接、って感じかな?


「では最後の授与に移ります。今回の戦の最大の功労者、魔人、バブー様への表彰です。どうぞ玉座の前へ。」


え?まさかの大トリ?

しかも魔人ってバラしちゃってるし!


カズラ氏の伯爵位授与より大きなざわめきが部屋をうめる中前へと進み、マリーちゃんの前で膝をついて頭を垂れる。


「今回の戦争は、この魔人バブー様がいなくては王国の勝利は有り得ませんでした。

追手に追われていた妾達の助太刀、メークイン領とジョアンナ領の救援、アースドラゴンの従魔化、魔人カムルチーの撃破及び従属。

他にもあげ出したらキリがないほど助けられています。」


こうやって聞くと、獅子奮迅の活躍してるな俺。キャロットちゃんの助けもあるけど。


「...この活躍には王家の威信をかけて報いなければなりません。」


ちょ、ちょっと待って?何その前振り。なんか自分でハードル上げてない?

家とレシピだよね?家とレシピ以外いらないよ?


「よって魔人バブー様には...」


.........ゴクリ。


「魔人侯爵の地位及び、王都南部の魔人の森に隣接する、サニー領を与えます。」


は?


は?侯爵?


...やり過ぎだろおお!!

いらねーよ!家欲しいとか言ったけど土地まで欲しいとか言ってねーよ!


こんなの他の貴族から大ブーイングだろ!

反対意見をマリーちゃんのおバカに言ってやってくだせぇ!


「なるほど、パンジー宰相もやりおる...」

「然り。魔人様に爵位と土地を渡すことで王国の戦力に組み込もうとしておるわい。」

「しかも魔人の森前の領地を治めさせて防衛力の強化も図っておる。やはり宰相、食えない奴よ。」


以上、名も知らぬ貴族達の会話。

くそ〜そういうことかよ〜。してやられた。

あ!でも俺は方角魔人だから縄張りに戻らなきゃならなかった!それを伝えてさっさと断ろう。

残念ダナァ〜貴族にナリタカッタ〜(棒読み)


「このパンジーから補足説明をさせていただきます。

この魔人侯爵は名誉爵位のようなもので、特に王国の法律で縛ることは致しません。

つまり魔人様は、この領地で留まる必要はなく、いつでも好きに国外へと出てくださっても結構です。

バブー様の籍を王国に置くだけですね。

そして領地経営がお嫌ならこちらから代官を送りますのでお気になさらず。」


ぐぅ...。これは断りづらい...。

お、おで、このさいしょう、きらい!


「もう一つ妾からあげる()があるわ。」


まだあんのかよ...もうお腹いっぱいだよ...。


「褒美の前に少し話させてもらうわね?

王族はご存知の通り、非常に家格が高いの。ギリギリ釣り合いが取れるのが侯爵と公爵ね。それ以外の爵位では...できないわ。」


ん?ちょっと聞き取りずらい所があったな。

ていうかマリーちゃん、口調が少し砕けたな。


「でも今回バブー様は侯爵になられた。」


なられたというか、させられたというか...。


「だから...だからもうしてもいいわよね?」


...何を?


「魔人様、顔を上げて妾の目を見て?」

「は、はい。」


な、なんだ?どういうこと?何が起きるの?

そしてマリーちゃんが口を開く。




「妾から渡すモノは............








魔人様が、バブー・ゴールド・フォン・ガーデンを名乗ることを許可します❤︎


あげるものは妾自身❤︎妾との結婚が褒章よ❤︎

うふふ、大好きよバブー❤︎愛してる❤︎あなたの番になりたいわ❤︎❤︎❤︎」




後1、2話で完結します。

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