表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/46

第三十九話

よろしければ、評価とブックマークをお願いします。


《魔人嬲りの勇者》と呼ばれた人は、美人な女性だった。

身長150cmぐらいで、年齢は10代中盤から後半ぐらい。

緩くウェーブしたセミロングの茶髪、ネイルがしてある爪、バッチリ決まった化粧、、日に焼けた小麦色の肌、そして着崩した服。なんかちょっとアメスク制服に似てるな。

...胸はフツー。


いや、まんまギャルじゃん。

この世界にもギャルが存在してるのかよ。


ギャル勇者が剣を抜き放つ。

両刃の西洋剣だ。剣に込められてる魔力が、アースドラゴンのブレスより密度が高いぞ。まともに食らったらヤバそうだ。遠距離攻撃メインで慎重に立ち回ろうか?


「私が彼女と戦います。皆さんは後ろへ。」

「お願いします!どうかご無事でありますよう、ご武運を!」


100%、近くにいると巻き込まれるので、味方軍を下がらせた。

因みにマリーちゃん一行、トゥーメト公爵、ジョアンナ伯爵、メークイン男爵以外は俺が魔人だということを知らない。

まあこの戦いで味方軍、敵軍共にバレるだろうなあ。相手の魔力かなり高そうだし、俺も本気でバレるの覚悟でやるしかない。


ギャル勇者は無言を貫いている。

...心なしか表情が暗い...?


とりあえず、俺は抑えていた魔力を解放する。


カムルチー戦で、自分なりに反省して学んだことは、最初は誰であろうと《威嚇》ブッパが安牌だ。

キャロットちゃんも、格上だろうが一瞬動きが止まると言っていたのをカムルチー戦では忘れていた。戦闘の度、強くなっていく魔人、バブー!いざ参る!


アースドラゴンに放った《威嚇》と同程度の魔力を込め、勇者に放つ!

オッラァ!!


...当たった!

よし!ギャル勇者が硬直した!チャンス!

たった一歩で一気に詰め寄り、顔面に向かって右ストレートを打つ!

が、一瞬で硬直が解けたのか、スウェー気味に避けられ距離を取られてしまった。アースドラゴンは今の威嚇で虫の息だったのにギャル勇者は一瞬しか動きが止まらなかった。

アースドラゴンより確実に強いとみていいなこれ。


んー、でも次はパンチを当てれそうだ。

この魔人の体、まだスピードが出せる。そんな気がする。

威嚇した後に魔力を足に集中して、さらに早く動けば攻撃は躱されないだろう。


...でもなんだろう。

前世じゃ、若い女の子をブン殴るとか、考えもしなかったのに、今はなんの抵抗もなくそれができるな。

マリーちゃんを助けたあの時、初めて人を殺した際に考えた、倫理観が魔人寄りに引っ張られてるっていうのは当たってる気がする。


自分の感情の考察をしていると、ギャル勇者が呪文を唱えて何かをしようとしていた。

やべ、とりあえず攻撃して詠唱止めないと!


足元に転がっていた石を掴み、勇者に向かって投げる!

どりゃ!

ソニックブームを伴って、弾丸のように飛んだ石ころは、勇者の剣によって弾かれた!反射神経凄いな。

だが!立て続けに《威嚇》!

からの!二度目の投石!どうだ!?


威嚇で硬直し、当たるかと思われた石は、異常なほどスピードが上がった勇者に、またしても避けられた。

何だ!?急に相手の動きが早くなったぞ。

...唱えていた呪文は、スピードアップ系の魔法だったのか。

くそ、とりあえず魔力を足に集めて、勇者と同じ速度ぐらい出せるようにならないと!今のままじゃ向こうから攻撃を当てられ放題だ。


だったら足に魔力を超集中!!...よし、いくぞ!


俺が足を踏み締め、勇者に向けて走った時、踏み締めた地面が爆発した。

うええ!?何で!?

...っていうかなんか景色がおかしい!俺だけいつものスピードで動いてるのに、他は全てスローモーションの様に、ゆっくり動いてる!

これってアレだ!俺が早くなりすぎたせいで、相対的に皆んなが遅くなって見えるんだ!

...強すぎだろ東の魔人。


これが俺の固有能力かと思ったけど、なんとなく違うって分かる。素の魔人の能力でこれっぽい。

キャロットちゃんが、カムルチーに苦戦してるのに怒った理由が分かった気がする。魔力使ったら負ける要素ないわこれ。


ギャル勇者は俺の超スピードに気付いてはいる様だが、体が迎撃の命令に追いついていない。

とりあえず顔面...はさっき未遂に終わったけどやっぱり可哀想か。じゃあ腹...もあまりよろしくないな。じゃあスピードを消すか。


相手が自分より格上で、余裕がなければ確実に顔面を殴っただろう。

だけど、余裕があると分かった瞬間に手加減を考えてしまう。

倫理観が狂ってしまったとはいえ、できることなら殺したくはない。


「あ゛あっ!!」


無防備な足を狙って蹴りを放つ。ギャル勇者から悲鳴が上がった。人が痛がってる声は、あまり聞きたくないな。


防御が間に合わず、一切無抵抗でマトモに攻撃を食らった勇者は錐揉みながら上空へ吹き飛ぶ。


流石は勇者、戦闘の経験値が高いのか、空中で体勢を立て直し、回復魔法?っぽいものを唱えて折れた足を治した。

いつかサニー村でマリーちゃんの足を治したアレだろうな。

回復魔法を使えるとなると、重い攻撃で一撃で殺すしかない。


気は向かないが...魔力全開で殺しにかかろう。


彼女は若いが、敵だ。

勇者でもあるから、相応に命を奪ってきたはず。

そして王都から来て待ち伏せをした所から、王城の制圧戦に加わっているだろう。

その際に、もしかしたらマリーちゃんやカズラ氏、メイドさん達の、知り合いや親族を殺しているかも知れない。そうならば生かしておけない。


そう思い込んで、まだ若き勇者、見ず知らずの女性を殺す覚悟を決める。

こうでもしないと人を殺す勇気が出ない。


そんなその場だけの殺意が魔力に乗ったのか、カムルチー戦よりも強烈な、ヘドロの様な濃密な魔力が俺の体から滲み出る。


これでさっきよりもスピードは出るし、攻撃力も段違いだ。


せめて苦しませずに、一瞬で殺そうと、空から着地して、隙ができたところに接近しようとした瞬間、




......体を震わせながら、涙を流した勇者が目に入った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勝手にランキングに参加しています。面白いと思ったらクリックしてもらえると嬉しいです。 小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ