第三十七話
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俺の思いつきは、公爵達に驚かれはしたが、採用になった。
いいんですか〜?こんな素人の考えを王城奪還の作戦に組み込んで。
マリーちゃん派閥本隊はニオン砦で一旦体制を立て直し、疲弊した兵士を一晩休ませたら王都へ進軍することになった。
俺は今ニオン砦の城壁上で敵軍が来ないか見張りをしている。魔人はあんまり眠くならないので、監視役を買って出たんだよね。
ふー。とりあえずカムルチーに勝って一息つけたなあ。
俺は城壁上で、誰も見てないことを確認してから大きく気を抜く。
最初の魔人の森を彷徨っていたことを除けば久しぶりの一人の時間だ。
転生してから色々なことが起こりすぎてちょっと疲れた。
魔人はあまり眠らないって言っても、疲れるものは疲れる。監視役に立候補してなんだけど、カムルチーに交代してもらって少し仮眠しようかな?
と、考えていたら誰かが梯子を使って俺がいる監視台まで上がって来た。
「マリーさんでしたか。」
「...。」
なんとなく予想はしていた。ニオン砦に救援に行く出発前、メークイン男爵領の談話室で俺に何か言おうとして、結局言えず仕舞いだったからな。
マリーちゃんは無言で俺の隣に腰を下ろした。
......。
............。
え?いやなに?ずっと無言なんですけど。気まずいんですけど!
...カムルチーに交代して見張りしてもらうか。
そう思って立ちあがろうとした時、マリーちゃんが口を開ける。
「...魔人様、あの時はごめんなさい。ずっと謝りたかった。」
俯むいて、目を合わせようとしないマリーちゃんが喋る。
あの時と言うと、俺のマインドをブレイクした「異性として見てない」発言の時だろう。
「ニオン砦に出発前に酷いこと言ってしまったわ。あれは妾の本心ではないの。今は信じてもらえないかも知れないけど...後でそれを証明してみせるわ。」
「いえ、特に何とも思ってませんよ。あまりお気になさらず。」
「そうなの?でもあの時の魔人様、傷ついた顔をしてたわ。」
「...。気のせいですよ。」
本当はあの後、一晩中枕を濡らしたのはナイショだゾ!
でもこうして面と向かって謝ってもらっているんだ。受け入れよう。あの時のトラウマも、直ぐには消えないけど消す努力はしよう。
「謝りたいことはもう一つあるの。
私を庇って腕がなくなってしまったこと。
妾がもっと緊張感をもっていたらあんなことにはならなかったのに...」
ああ、そんなこともあった。すっかり忘れていた。
まぁあれはしょうがない。敵の軍が大勢待ち伏せしているのならマリーちゃんも直ぐ警戒しただろうが、魔人が単独で待ち伏せしてるとは、誰も考えてもしなかっただろう。
マリーちゃんが悪くないとは言えないが、運が悪かったのもある。
もう腕も再生したし、気にしてない。
「あれは運が悪すぎました。魔人が一人で森に潜んでいたので、味方の兵士も全員捕捉できていませんでしたよ。気を抜いてしまうのも仕方ありません。」
「...謝って、罰や叱咤をもらわないといけないのに、魔人様にフォローされてばかりね。自分が情けないわ。」
あー、自己嫌悪に陥っておられる。
こういう時どうしようか。
...頭を撫でてあげようか。不敬かな?まあいいや。不敬だったらそれを我慢するのが罰ってことで。
ヨシヨシ、と。
うわー凄い綺麗な金色の髪だ。肌触りも凄くいいし。無限に撫でたくなるなあ。
頭に手を置いたら、マリーちゃんがビクッと跳ねたけど、大人しくしていたのでそのまま撫で続ける。
「...。」
しばらくすると、無言で撫でられるままだったマリーちゃんが、目を潤ませて、顔を真っ赤にしながらこっちを向いた。
...なんか、いや〜に唇が艶めかしく見えるな。
と、思った次の瞬間。
マリーちゃんの手が俺の頭の後ろに回った。
え?なに?
って顔近.........。
............。
..................。
「ぷはっ。...ほ、褒美の支払いよ❤︎あ、ああ有り難く受け取りなさい❤︎」
「......」
「ま、まあ?元々ジョアンナ伯爵領救出のき、キスは妾がするって約束してたし?
有耶無耶になってたから、べっ別にいいわよね?」
「......」
「あ、安心しなさい。今のき、キスは王都奪還の褒美に含まれていないわ!」
「......」
「王都を取り戻して、またガーデン王国が平和になったら...今度は、お、大人のキスを褒美にあげる❤︎」
「......」
「じゃ、じゃあ妾は明日に備えて眠るわ。
お、おやすみなさい❤︎」
「......」
.........。
.........。
え?
やっぱりマリーちゃんなんだよなぁ...




