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第三十四話

カムルチーの名前の由来は雷魚別名からきてます。

でも今更になって、女の子にしては名前が厳つ過ぎたか、と思ってます。


カムルチーを生かすか殺すか。

キャロットちゃんは俺に判断を委ねる。


どうしよう。

やっぱり、ここで殺してしまったほうがいい気がする。

両手両足を失ったトラウマもあるし、何より本人の性格が悪すぎだ。生かしていても他の人と仲違いするかもしれない。


...いや、決めつけは良くないな。

逆にメリットも考えてみよう。


最大のメリットはキャロットちゃんの言った、俺の知識を増やす仲間ができることだろうか。

行く先々で疑問に思ったことを魔人視点で答えてくれるのはありがたい。また、帝国の兵士と共に従軍していたことから人間の知識にも期待できそうだ。


他には、強力な護衛をもう1人増やせることだろう。

今回のように、アースドラゴンに別の用事を頼んだ場合、マリーちゃん一行の戦力が下がってしまった。カムルチーが仲間になったら、それは解消されると思う。


こう考えてみるとメリットのほうが大きいか?

もし裏切られたら、って言うのもあるけど、アースドラゴンみたいに威嚇でビビらせれば言うこと聞いてくれないかな?

ーーあ!アースドラゴンにしたように、《魔力契約》すればいいんじゃないか?

キャロットちゃん、魔力契約知ってるかな?


「キャロットさん、魔人に対して魔力契約ってできるんですか?」

「できる。

けどこの魔人の裏切りについて考えているなら、それは心配しなくていい。する必要がない。」

「あれ、そうなんですか?」

「魔人は負けを認めた時、それが異性だったら恋をし、同性だったら服従する。

これは魔人の種族特性。魚が泳ぐのと同じ。

だから裏切りはあり得ない。」


へー。じゃあ《雷電の魔人、カムルチー》は俺が好きになってるから裏切られる可能性はないってことかあ。

よかったよかった。

ああ、これ確かキャロットちゃんと魔人の森で別れる際、教えてもらってたな。忘れてた。



.........は?

ちょっと待て。このドスケベボディの猫耳娘が俺のことを好き!?

likeじゃあなくlove!?


.........。

うおおおお!!殺しませーーーん!!!

俺にも春がキターーーーー!!!



「い、いい、生かす方向で検討します、キャロットさん。」

「ほ、ホントかにゃ!?嘘じゃにゃいにゃ!?

...ンフ、愛してるにゃあ、ご主人様ぁ〜!」


愛してる!愛してるって!

ってうおおお、顔!顔が近い!

え!め、目を瞑って唇を俺に近づけて...!


これってキスか!?おキッスを奪われてしまうのか!?



「...ちょっと。」

「にゃ?何にゃ?私は今ご主人様への求愛で忙しいにゃん。

っていうかお前さっきから方角魔人様に上から目線でナマイキにゃあ。殺されたいのかにゃ?」


キャロットちゃんが、俺の人生初キスを、カムルチーの手を引くことで止めてしまった。

なんてことをしてくれたんだ!俺がキスをすると不都合でもあるのか!

そしてカムルチー、喧嘩を売っていい相手じゃないぞキャロットちゃんは。北の魔人の手足を切ったって言ってたのを忘れたか!


まあ今のキャロットちゃんは、俺みたいに魔力を体の外に出してないから、強さが分かりずらいのもあるかも知れないけど。


「こっちにきて。バブーはそのままそこで待ってて。」

「な、何なのにゃ?んにゃ!?この魔人力が強いにゃ!手が振り解けないにゃん!」


キャロットちゃんがカムルチーを引きずって俺から距離を取る。結構遠くに行くなあ。いったいなんだろう?


あ、キャロットちゃんが、魔力を解放して結構強めにカムルチーを威嚇した。

あれだけ暴れてた猫娘が大人しくなった。ちょっと笑えるな。


遠目、キャロットちゃんがカムルチーに何かを言い聞かせてる感じだ。「私」「お嫁さん」「1番」「殺す」「抜けがけ」「殺す」

聞き取りづらかったが少し単語を拾えた。......どういう意味だろう。聞き間違いか。

お、話が終わったようだ。2人ともこっちに戻ってきた。


「ごめん待たせた。」

「いえ全然。何を話されていたんですか?」

「な、何でもないにゃん。ただ...ヒッ!

ち、ちょっと序列の話をお姉様としてただけにゃん...。」


顔面蒼白のカムルチーが目尻に涙を浮かばせながら話す。

...いつのまにかキャロットちゃんへの呼び方が、お姉様になっとる。

...一瞬で仲良くなってるじゃん!嬉し涙まで流して。

もしかしてカムルチーは女魔人の友達が欲しかったのかなあ。


「じゃあ私はそろそろ帰る。カムルチー?だっけ?

...邪(・)魔(・)者(・)は排除してね。」

「にゃ、にゃあ...。」


キャロットちゃんがカムルチーに念押しする。

俺に近づく不埒者の排除を念押しするとか...キャロットちゃんって結構過保護?


「もう帰ってしまうのですか。寂しくなりますね。」

「私は東の魔人と違って、縄張りを長く離れられない。これ以上は縄張りを荒らされる。」

「そうですか...。

ではキャロットさん、今回はわざわざ魔人の森の外まで助けにきて下さり、ありがとうございました。

また直ぐに魔人の森へ会いに行きますね。待っていてください。」

「...うん。待ってる。ばいばい。」


そう言ってキャロットちゃんはこの場所を去った。...ばいばいって手を少し振るのかわええ!


うわー本当に寂しい。

これがキャロットロスか。さっさと護衛契約終わらせて会いに行かないと。


「ご主人様。ご主人様と、お姉様はどの方角の魔人なのですかにゃあ?」

「私が東で、キャロットさんが西ですよ。...それが何か?」


キャロットちゃんが、帰った途端に元気になったカムルチーに喋りかけられる。

なんでそんなこと聞くんだろうか?


「にゃ!?東!?」

「そ、そうですけど。」

「てっきり情報が少ない南の魔人と思っていたにゃあ。

...人は見かけに寄らないにゃあ。」


俺がどの方角魔人か分からないから聞いたみたいだ。

人は見かけに寄らないって...ああ、東の魔人は凄い残虐だったらしいからなあ。

色々常識を教えてもらうことになるし、不都合が出ると面倒だから、東の魔人の記憶がないってのも伝えておこう。



記憶喪失や、キャロットちゃんに助けてもらった話をカムルチーと色々喋りながら、アースドラゴンが合流して無双状態になっているマリーちゃん派軍に向かった。





ーーー


「あっれぇ?...カムルチーとの魔力契約が切れたんですけどぉ。」

「...大丈夫なのかそれは?」

「んー、どういうことだろ。

もしかしてぇ、アタシより強いヤツに負けたとかぁ?」

「それはあり得ないだろう。お前より強い生き物などこの世に存在しない。


《魔人嬲りの勇者、イオ》。」



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