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第二十九話


相手に魔人がいる。

それが本当なら100%、マリー派本隊は勝てないだろう。


「それは本当なの?」

「はい。私達が情報を得るために出した密偵が、トゥーメト公爵率いるマリー派本隊と接触に成功しました。

かなり正確な情報です。」

「そう。でもおかしいわね...魔人は群れず、誰にも従わないと聞いていたのだけど。」


マリーちゃんが呟く。

そして皆んなの視線が俺に向いた。

魔人のことは魔人に聞け、ということだろう。


「私も魔人ですが、記憶がないため聞きかじった知識しかありません。それでも大丈夫ですか?」


下手な知識で先入観持たれても困るから予防線張っとこう。


「ああ。教えてくれ。」


ジョアンナ伯爵から許可が出た。


第一に、性格が大人しいこと。

第二に、格上の魔人に敗北して、生かされたらその魔人に付き従うこと。

第三に、俺のような記憶喪失。

と、キャロットちゃんに教わったことを教える。最後のは嘘だけどね。俺がそういう設定だから一応ね。


「なるほど。...だとすれば、その魔人が格上の魔人に敗北していたパターンが最悪だ。敵には最低でも魔人が2人いる計算になる。」


たしかにそれは1番悪いケースだ。

...ちょっと保険かけておくか。後でメークイン男爵に聞いておこう。


「魔人様には申し訳ないが、恐らく今から言う作戦は、魔人様が敵の魔人とぶつかる前提になる。それも、先程話したように最悪2人以上の魔人と戦う可能性もある。」


ぐえ〜薄々分かってはいたけどキッツいな。

碌な戦闘して来なかったから、魔人とかの強敵と戦える気がしない。アースドラゴンも俺の威嚇で死にかけるぐらいだし、味方として期待はできないよなあ。


「できる限りやってみましょう。私が勝てない魔人だった場合は合図を送ります。直ぐに逃げに徹してください。」

「感謝する。何から何まですまない。この作戦が完遂できた暁には、王家から莫大な報酬があなたに支払われると約束しよう。」


ジョアンナ伯爵にそんな権限あるのか?...いやマリーちゃんに話通してあるなこれは。結婚...はもうあり得ないか。俺に異性として見れなかったことがバレた時点でする意味がない。


...?外の廊下から何人か走って来る音がする。

そして直ぐに扉が開いて、やつれた顔の男が数人入ってきた。


「今は会議中だ!いきなり入ってくるとは無礼だぞ!」


カズラ氏が吠えるように怒鳴る。だがそれを無視して男は叫ぶ。


「伝令!マリー様派軍、本隊率いるトゥーメト公爵とバージル第三王子軍が王都で大規模な戦闘!雷を操る魔人《雷電のカムルチー》の出現で、トゥーメト公爵側に甚大な被害が出ています!そして戦闘は現在も行われている模様!」


戦時中の伝令は、緊急時に貴族の発言を退けることができると聞いたことがある。今回がそれだ。

雷電の魔人かあ...大体こう言う厨二な二つ名が付いてる奴って強いよなあ。...ハァ、魔人と戦うとは言ったが、俺に勝てるのか?憂鬱だ。


「伝令!トゥーメト公爵率いるマリー派軍は王都からニオン砦まで退却!籠城戦をしています!至急救援を!」


これは別の伝令だ。敵に殺されて情報を消されないように、その都度複数人送り込んだのだろう。情報の新しさが伝令によって違った。今回の方が新しい情報だ。


「作戦は後回しだ!本隊が負ければ自動的に我々は敗北してしまう!全員でニオン砦に向けて救援に行くしかあるまい。」

「そうね。しかし雷を操る魔人...もしかして最初に王国軍を打ち負かした、強力な雷魔法を使う魔法兵はこの魔人かも知れないわね。」

「マリー様、それは恐らく当たっていると思います。人間があのレベルの魔法を使いこなせるはずがありません。」


どんなレベルなんだろう。俺だと電気ショックはいけるかも知れんが10万ボルトはキツいと思うぞ。多分。


「ジョアンナ伯爵、出発はいつなされますか?」


カズラが尋ねる。


「私は今すぐに自領へ戻って軍をまとめる。できるだけ急ぐがメークイン男爵より、少し出発は遅れるだろう。」

「私は今から直ぐに軍を再編します。そうですね...明日の正午には再編や補給が終わり、ニオン砦へ出発できるでしょう。」

「そうか。では先に向かっててくれ。後から砦の前で落ち合おう。明日、早馬で連絡する。」

「わかりました。」


テキパキと準備が進んでいる。やっぱり武闘派貴族は準備が早い。


「では私達もメークイン様について向います。さあマリー様、御支度を。」

「あっ。」


マリーちゃんがカズラとメイドさんに連れられて俺の方を向きながら部屋を出ていった。なんか最後喋りたそうにしてたな。


おっとそうだ。メークインさんに借りるものがあった。


「メークイン男爵、少し貸してもらいたい物があるのですが。」

「? なんでしょうか?」

「実はーー」


ーーー


「いいですよ。そんな物でしたら。メイドに持って来させます。」

「ありがとうございます。助かります。」


この借りた物は、軍を再編するのに忙しいメークインさんにわざわざ頼んだ価値はあるはずだ。


メークインさんから借りた後、外に出る。しばらくするとジョアンナさんがやってきた。


「魔人、ドラゴンを貸してもらっても良いか?一刻も早く帰りたいのだ。」


そう聞かれると思っていた。


「はい、()()()なのでいいですよ。でもちょっと待ってください。...はいお待たせしました。」

「?何をしているのだ?」

「ふふ、これはとっておきですから秘密です。別にやましいことは

何もないのでご安心を。」


まあ正直成功するか分かんないから、秘密というよりは言えないだけなんだけどね。


「?まあいい。では借りるぞ。」

「ええ。ではまた明日お会いしましょう。頼んだぞ、アースドラゴン。」

「ガウ。」

「ああ。ではな。」


ジョアンナさんは竜に乗って領地に帰っていった。



ジョアンナさんを見送って、1人考える。


...明日。明日が正念場だ。必ず魔人を倒し、マリーちゃんを勝たせよう。そして家を手に入れるんだ。




夜が明けたら決戦の日だ。



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