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第二十七話


緑のドラゴンはアースドラゴンと言うようだ。

ジョアンナ伯爵に教えてもらったが、ペットにするよりも、もっと良い、《魔力契約》なるものがあるらしく、モンスターの同意を得るか仲良くなるとできるようになるみたいだ。これは無理矢理、同意なしにモンスターを操る魔物使いとは違う技術らしい。

...もちろん俺たちはマブダチだよな?(ニチャァ...


魔力契約とは、対象のモンスターと魔力的に繋がり、従魔化させることを言う。従魔化するとなんとなく相手の気持ちが分かり意思疎通が取りやすくなるそうだ。

やり方は簡単。おでことおでこを合わせ、お互いの魔力を体に循環させるだけ。

俺もアースドラゴンとやってみた。

するとなんか魔力で繋がってる感じがする。それに近場だったらどこにいるか分かるみたいだ。他にもいい機能はあるんかな?追々見つけていくとしよう。


従魔化した途端にアースドラゴンから強い安堵の感情が流れてきた。なんで?俺のこと怖いんじゃないの?

...ああ、従魔化でアースドラゴンを殺すような感情を俺が思っていと分かったからか。...じゃあ定期的に殺意を抱いて驚かしたろ!

と、思ったらアースドラゴン君が涙を流してイヤイヤ首を振っている。面白いと思ったのにな。しょうがねぇ、勘弁してやるよ。




アースドラゴンにお願いして背に乗せてもらい、メークイン男爵領へ向かうことになった。

もちろんジョアンナ伯爵も乗っている。反省しろ、とか人に言っておいて、ウキウキ顔で乗ってたよこの人。やっぱりホントは触ってみたかったんだねえ。


しっかしアースドラゴン結構速いな。飛べなくて四足歩行なだけはある。俺の走りより少し遅いぐらい?しかも搭乗している俺たちが風で吹き飛ばないように、魔力で障壁を作ってくれている。気配りできる竜だな。従魔化してよかった。

...最大で何人ぐらい乗れるんだろ。とりあえずマリーちゃん一行は全員乗れそうな程大きいから安心だ。それ以上になったら馬車でも引かせよう。


アースドラゴンの背に乗って揺られていると、鱗が所々白い場所が目についた。何これ脱皮中?

そう思っていたらアースドラゴンから非難の感情が流れてきた。どうやら俺のせいらしい。ってことは《威嚇》の影響か。悪いことしたなぁ...。

そんなことを考えていたらメークイン男爵領が見えてきた。


「は、早い。まだジョアンナ領を出て30分も経っていない。」


ジョアンナ伯爵が驚いておられる。

実は俺が走った方が早いんスよ。ドヤァ...


城門に着いたけど、ドラゴンにビビって兵士さんが中に入れてくれなかった。携帯があれば「もしもしメークイン?今ドラゴン乗ってそっちに帰るから鍵開けといて」って言えるのにな。前世とのギャップを感じるよね。

なんとかメークイン男爵まで取り次いでもらって入ることができた。因みにアースドラゴン君はデカ過ぎるので城門の外で待機です。


ーーー


「只今戻りました。」

「お久しゅうございます。マリー王女様。それにメークイン男爵。」

「久しぶりね。ジョアンナが無事で妾も安心だわ。...随分と戻ってくるのが早かったわね。...!!ま、まさか魔人様におぶってもらって!?」

「ジョアンナ伯爵、そちらの被害はどうだったの?」


マリーちゃんの後半のセリフはスルーされた。みんな扱いがわかってきたな。


「勿体なきお言葉。メークイン男爵もそこの魔人に助けてもらったクチだろう?私も危ない所を助けてもらえた。被害としては城壁が何箇所か壊れたぐらいだな。避難をしていたから民に被害はない。」


各自再会と近況報告をしておられる。伝令が出せなかったのもあるし、話すこともいっぱいあるよな。俺は...暇だしドラゴンでも眺めてるか。


「待て。」


部屋を出て外に行こうとしたらジョアンナ伯爵に呼び止められた。


「お前はここまで騎乗してきた物の説明をしないといけないだろう?」


...全然忘れてないよ?うん全然。


「そうですね。説明しておきましょう。ジョアンナ伯爵と私はここまでジョアンナ領からアースドラゴンに乗ってきました。」

「あ、アースドラゴン...?そんなバカな。」


とりあえずジョアンナ伯爵領での戦闘を含めた経緯を話す。外でアースドラゴンが待ってることも。


「なるほど《威嚇》で従魔化に成功したと...。」


イケメン騎士のカズラが、窓からアースドラゴンを羨ましそうに見ている。

どうだ凄いだろー。ドラゴンだぜドラゴン。男の浪漫よ。


「アースドラゴンは完全に私の管理下にあります。私が単独で動く時、その際のマリー王女様の護衛にはうってつけかと思います。」


と、思いつきで従魔化したのではないとアピールしておく。決してペットにしてコレクションしたいとか思ってないよ。本当だよ。


「魔人様の管理下に置かれてるとはいえ危険ではないですか?」

「今更よカズラ。妾達は魔人様の助力がなければあの森で死んでいたわ。魔人様を信じなさい。」


マリーちゃん、そこまで言ってくれるとは。軽く考えたことを恥じる。

...アースドラゴンには絶対マリーちゃん達を守るようにキツく言っておこう。そして俺達に敵対した瞬間に殺処分することもみっちり伝えよう。



「さ、さて難しい話もひと段落ついたことだし!こ、ここからは魔人様への報酬の話よ!」


...ん?


「魔人様にはジョアンナ伯爵領を救援に行ってもらう際に褒美を約束したわ!」

「マリー様、そうなのですか?」


と、ジョアンナ伯爵が聞く。

...周りのメイドは顔を赤くし、騎士は部屋から逃げ出している。

ちょっと待って!少し前までマリーちゃんの覚悟に心をうたれて感動してたのに!なんでこういう展開に?


「ええ!ジョアンナ領を救った褒美にキスをプレゼントするのよ!」

「...マリー様。どういう意味か分かりません。」


俺も意味分かんねえよ。

っていうかあの時、話の途中で逃げたのに報酬有効なのかよぉ!


「さ、さあこちらに近寄ってしゃがみなさい。褒美を与えるわ。」


顔が真っ赤のマリーちゃんに呼ばれる。クッ!ここで断ったら不敬か?


「お待ち下さいマリー王女様。」

「何?ジョアンナ伯爵。今大事なところよ?」


ジョアンナさんがマリーちゃんを止めた!いいぞ!

やっぱり普通おかしいだろ一般ピーポーに王女がキスって!

一方、止められたマリーちゃんは若干不機嫌になってるな。好きでもない奴にするキスを止められたなら嬉しい筈なんだけど。いや違うな、王族は報酬を渡すことにプライドや責任感があるんだろう。それを止められて怒っている、と。




「私がキスをしましょう。」



「「.........え?」」


マリーちゃんと俺の声がハモる。ジョ、ジョアンナさん?



「私が魔人にキスをします。」


い、意味が分からん...。

誰か...誰か助けて...。


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