第二十六話
どうしよう。
とりあえず、気絶してるだけだし目が覚めるまで待ってみようかな。
他の人達もそのうち起きるでしょ。
あ、あとドラゴンどうしようか。
敵軍に引き取ってもらいたかったけど、威嚇した時に全員凄い勢いで逃げちゃったからそれもできんし。
うーんまた敵になると面倒だな。だとすればー
「殺すか。」
それしかないよなー。勿体ないけど。いやちょっと竜騎兵とか憧れてたんだけどね。
「キュッ!キュウーン...。」
うお、ドラゴンが凄い擦り寄ってきて、頭を擦り付けてきた。なんだよ結構人懐っこいじゃん。
...ペ、ペットにしても大丈夫かな?意外と大人しい性格だし。
モンスターを仲間にする系のゲーム好きだったからできれば欲しいんだよな。敵が勝手に置いてったし、もらってもいいよね?いいよね?
そうだ!本人に了承もらえばいいじゃん!
「なあドラゴン君。俺の仲間にならないかい?できれば殺したくないんだよね。」
...なんかちょっと脅迫じみた勧誘になってしまった。が、涙を流しながら何度も首を縦に振ってくれている。
よっしゃあ!緑のドラゴン、ゲットだぜ!
ドラゴン君も喜んでる気がする!
しばらくドラゴンの顔とか爪とか観察してたら、徐々に貴族の皆さんが目覚めてきた。ちょうどジョアンナ伯爵も起きたようだ。
「もう意識は大丈夫ですか?」
「.........ええ。なんとか。」
立つのを待ってから話かけてみる。
まだ少しふらついてる。顔色も悪いが時間が惜しい。我慢してもらおう。
「では改めまして。メークイン男爵領からマリー王女様の命で助けに参りました。バブーと申します。」
「ほ、本当にマリー王女様の命なのか?...いえ、なのでしょうか。」
他の目覚めた貴族達も懐疑的な目でこちらを見ている。
なんかこのジョアンナさん、本来は口調が男っぽい?
「敬語は使わなくてもいいですよ。私は爵位など持ってはいませんので。」
「あなたは魔人様です。魔人様には敬語を使わなくてはなりません。」
え?人化の魔法使ってるのにバレテーラ。...ああ、威嚇でバレたのか。
マリーちゃん達もそうだけど、なんで魔人に敬語を使うんだ?前世は平社員だったから使われ慣れてないんだよなあ。
「じゃあその魔人様がお願いします。敬語を使わないで普段の口調で話して下さい。」
「...わかった。」
マリーちゃん達も、俺に敬語使うの辞めてもらおうかな。
「すみません。話がそれました。
そうですね...この腕章で味方と分かってもらえる、とメークイン男爵様から貸していただいたのですが。これで証明になりませんか?」
「確かにメークイン軍の腕章。それに魔人がわざわざ私達を助け、会話する意味もないか...。あなたがマリー王女様の協力者であると信じよう。」
「ありがとうございます。」
「魔人が人間に協力するとは、にわかには信じがたいがな。」
「確かにそうですね。ですがちょっと契約を結んでいるのですよ。」
「契約か...。」
なんか黙り込んで考えている。
へんな契約してないからね?奴隷契約とかみたいな。
...本人は結婚結婚って契約時に言ってたけど、覚悟の表れでジョークの類いだろうし。
説明するのも面倒だから黙っとこ。
あ、一応敵のだけど許可もらっとくか。
こちとらその駄竜に街壊されとんじゃい!死体にせんと気が済まん!とか言われたら、俺が窮地を助けたことでどうにか納得してもらおう。
「そこの緑のドラゴンなんですけど、もらってもいいですか?」
「...?どう言う意味だ?殺した後の素材が欲しいと?であれば構わない。そのドラゴンを下したのはお前だ。好きにするといい。」
「いやペットにしようかと。」
「.........。」
あ、やっぱり駄目?凄く難しい顔してる。
他のジョアンナ伯爵領貴族も変な顔をしてるし。
「ドラゴンを飼うなど...そんなことが可能なのか?」
「ええ。本人にも許可をもらいました。」
「本人?...本人とは召喚士や魔物使いにか?」
「いえ、緑のドラゴン本人にですけど。」
「......。」
「な、何か問題が?」
「問題があり過ぎる。」
怒られた。
「まず大前提、竜種は他者には従わない。例外は少しあるが。」
「え?ですが今回の戦闘で敵の言うことを聞いて攻撃してましたよね?」
「恐らく例外の要因の一つ、召喚士か魔物使いに従えられていたと思われる。」
これが例外のケースなんかーい。
「召喚士や魔物使いの魔力的な拘束があって、初めてモンスターは従えることができる。そしてその魔力的拘束がある間は、他の者がそれに割り込んで従える事ができない。」
ああ、言いたいことが分かった。俺が召喚士でも魔物使いでもないのに、ペットになる了承を魔力拘束なく得ているのはおかしいってことか。しかも他人の魔力に拘束されてるのにも関わらず。確かにおかしいな。
「だが恐らくその問題は解決している。」
「え?どう言う事ですか?」
「先程あなたが放ったであろう巨大な魔力波が、ドラゴンのプライドや自尊心を砕き、他の魔力拘束を消し飛ばしたと思われる。」
な、何という力技!じゃあ、あの緑のドラゴンは大人しくなったんじゃなくて俺にビビってペットになるって言ってるだけなのか。
「あれ?問題は簡単に解決したのであれば、最初の《問題があり過ぎる》というのはどう言う意味で言ったんですか?」
「...あれはなぞなぞ的な意味の問題じゃなくて、一大事、みたいな大問題って言うこと。...あなたが竜をペットにするっていう大問題。」
...問題は全て俺が原因でした。
「す、すみません...。」
「もう過ぎたこと。私は考えるのをやめた。それよりメークイン男爵と直ぐにでも連絡をとりたい。メークイン領まで同行を頼めるか?」
「いいですよ。あ!せっかくなんでドラゴンに乗って行きます?きっと早く着きますよ!」
「あなたは反省って言葉の意味は知ってる?」
「...。」
...すみません。




