第二十三話
「ようこそお越しくださいました。マリー王女様。」
メークイン男爵は意外なことに女性だった。
女性の男爵ってなんか変な感じだな。漢字的に。
メークイン男爵は、夫が先の戦争で戦死して25歳で当主になり、現在27歳。背は160cmほど、髪はドリル髪で黒掛かった紫色。
保守的な性格で現王支持であり、マリー王女派の一員。
国境警備を任されているだけあって領内の軍事力も高く、男爵本人もかなりの魔法の使い手らしい。...俺に魔法教えてくれないかな。
そして美人で巨乳。結婚してください。そして手取り足取り魔法を教えてください。
「あなたも無事でよかったわ。メークイン。」
「もったいないきお言葉。実は先程までかなり危ない状況だったのです。」
城壁壊れる寸前だったもんね。
「先程まで...?脅威は去ったのですか?」
イケメン騎士のカズラが尋ねる。
「ええ。ついさっきまで帝国軍と戦っていたのですが、何者かの強力な魔法の援護により危機を脱せました。てっきり友軍が来たのかと...マリー様達の魔法ではなかったのですか?」
それで簡単に門を開けてくれたのか。...強力な魔法って、もしかして俺の投石のことじゃね?ヤッベ、黙っとこ。
ヤダ!ヤダこっちを皆んなして見るのをやめてぇ!
...やっぱりバレました。石を投げてちょこっとだけ援護していたことを白状した。
「い、石を投げて援護?魔法ではなく?」
あれ?これ素直に石投げたっていったのまずくなかった?メークイン男爵が困惑しておられる。
俺オリジナルの岩石射出魔法とか言ってた方がよかったか...?
「メークイン男爵は信頼できるお方です。私達が逃げるのを手伝ってもくれた。話してもいいのではないでしょうか。」
カズラ氏にそう聞かれる。
まあ俺も美人に正体を明かすことに不満はない。俺の全てを見ろっ!ボロンッ!
「人化の魔法で正体を隠していますが、実は私は魔人なのです。そして今はマリー様と契約して王都まで同行しています。」
「...本当ですか?にわかには信じられませんが...。少し失礼します。」
疑り深い表情をしたメークイン男爵の手が俺の手を取る。マズイ!美人と対面している緊張で手汗びっしょりなのがバレてしまう!!
「うっ!おえぇえ!!」
...メークイン男爵が吐いた。吐くほどキモいですか俺の手は。首吊っとくか。メイドさーん、丈夫な縄をくださーい。
「大丈夫ですか!?...男爵がこれほど顕著に反応するとは。それ程ですか?」
「...ええ。魔人様、失礼しました。皆さまもお見苦しいところを見せてしまい申し訳ありません。」
なんかカズラ氏はメークインさんがなんで吐いたか知ってる感じだな。
メークイン男爵のメイドが急いでやってきて吐瀉物を掃除した。
できるメイドだね。
「いえ。気にしていません。メークイン男爵はなぜ私の手を?」
本当はメッチャ気にするけどな。手触られた途端に吐かれるとか女性恐怖症一直線のトラウマもんよ。
「メークイン男爵は相手に触れると魔力をどのぐらい保有しているかわかるのだ。」
「...ああなるほど。納得しました。」
つまり魔力量が多すぎてビックリしちゃって吐いたと。
俺はキモくなかった!よかった!
「魔人様はどのぐらいの魔力だったのかしら?」
「すみませんマリー様、魔力量が大き過ぎてどのぐらいかは...。」
キャロットちゃんは、人間の平均が1だとしたら魔人は平均5000ぐらい魔力を持ってると言っていた。1の魔力の人が5000の魔力を把握するのは無理だろう。分からないのはしょうがない。
「ですが、魔人様が味方にいるほど心強いことはありません。これなら第三王子派を切り崩せるかもしれませんね。」
「やっぱり戦況はよくないの?」
「ええ。不甲斐ないですがマリー王女派は各地で押されています。王都全土を第三王子派が支配するのも時間の問題です。」
「それは由々しき事態ね。なんとしても戦況を押し返さないと...」
「はい。急を要するのはメークイン男爵領に隣接する、ジョアンナ伯爵領です。ジョアンナとメークインでは定期的に伝令で連絡を取り合っていたのですが、2日前からジョアンナ側から返事が来なくなりました。
こちら側も攻め込まれて伝令を出せず...恐らくジョアンナ伯爵も私達と同時に攻め込まれていると思います。ジョアンナ伯爵領は軍事力がメークインより低いので、今かなり危険な状態かと。」
それはマズイな。
「現在軍を再編成していますが少し時間がかかります。それまでジョアンナ伯爵が持ち堪えれるかどうか...。」
「厳しいわね...。」
しょうがないにゃあ...
「では私が行きましょう。」
「! 魔人様!よろしいのですか?あなたと契約したのはマリー王女様一行の護衛。他領のことなどは契約外では...。」
カズラ氏が俺に尋ねる。
「乗りかかった船です。それにここで味方を減らしては、後々護衛がしにくくなるでしょう?構いませんよ。」
「おおっ!かたじけない!」
「魔人とは思えないほど人情溢れる方ですね。この恩は忘れません。」
ヨッシャ!ついでに未亡人美人巨乳の好感度アーップ!
計画どうり...!
「何かジョアンナ領側に、味方と分かるような物を貸していただけませんか?同士うちは避けたいので。」
「そうですね。...ではこの腕章はどうでしょう?私達メークイン軍がつけている腕章です。ジョアンナ領地の人々は、領民に至るまでこの腕章をつけている人を味方と認識しています。」
「いいですね。ありがとうございます。」
よしこれでオッケー。さっさと行ってくるか。
「ちょっと待ちなさい!」
...?マリーちゃん?
あ、また心配して引き止められるのかな。
「あなたの強さはさっきので分かったわ!だから安心して送り出せる!」
さっきの投石のことかな。力こそパワーを地でいってたからな。
「でも今回は契約外のことをあなたにしてもらうことになるわ!王族たるもの、当然報いには答えないといけない訳よ!」
「は、はあ...。」
「でも今の私にはあなたにあげれる物がないの!」
いや王国を取り返した後でお金とか少しくれればいいんですけど...。
「だからあなたがジョアンナ領から無事帰ってきたら、...sをしてあげる!」
「え?すみません。最後の方が聞こえませんでした。」
何くれるんだろ。
「だ、だから!...ス!をしてあげるって言ってるの!」
「す、すみません。また聞こえませんでした。もう一度言ってもらえますか?」
?なんかマリーちゃんの隣にいるメイドさんが顔真っ赤にしてるな。騎士は目に手を当てて上を見上げてるし。
「だ、だからぁ...。」
だから?
「アンタに!妾が!キスをしてあげるって言ってるの!!」
...、...............。
マリーちゃんは適当に言い訳つけてキスしたいだけです。




