第十八話
コッテコテのツンデレが好きです。
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妾が泣いて助けを求めた時、茂みから怪しげなフードの男が意味不明言葉を叫びながら現れた。
追手すらを含めて全員静まりかえる。
フードを着ていることから、誰もが魔法使いを思い浮かべ、それも魔法言語と思われし言葉を叫びながら現れたのだから当然ね。みんな警戒して誰も動けなかったわ。
少しするとフードの男はこちらに味方をすると言ってくれた。
でも今更味方が1人増えたところで劣勢の状況は変わらない。そして痺れを切らした追手の頭目が、フードの男に切り掛かった。だが意外にも早いスピードでそれを躱した。そして男のフードが取れる。金色の目、浅黒い肌、珍しい黒髪...。
まさか。
「ま、魔人...。」
衝撃的すぎて思わず声が漏れてしまったわ。
突然の魔人の出現で空気が凍る。
こ、この場にいる全員殺される!
......?変ね。何故か襲われない。魔人の前に立つ生き物は全て襲われる筈なのに。立ち止まって、何か思案している感じがするわ。
少し間をおいて、細身の男が偽者と決めつけ、黒髪の魔人に切り掛かった。
魔人の体がブレる。
細身の男の頭が弾け飛び、首を失った体が斃れた。
妾では応戦した魔人の動きが見えなかった。
本物。...本物の魔人なのね彼は。
護衛の騎士達は一撃で追手の男を殺した魔人を感心するように見ていたわ。だが同時に震えていた。あの力が自分達にも降りかかると思っているのかしら。
でも妾は魔人の存在が一筋の光に見えた。物語のように、神様が妾達を救うために王子様を遣わしてくれたと思ってしまった。...勘違いだと思う。だけど、現に追手は引き、助かってしまった。妾はもう勘違いでもいい。
妾は絶対絶命の窮地をあの魔人に救われてしまった。た、助けられたからには恩に報いないといけないわね!なぜか顔が熱くなるのを感じる。動悸も激しい。
魔人様は細身の男の死体に顔を向け何かを考えておられた。
そんな姿も格好良く見える。
...?格好良く見える...?
はあ!?もしかして妾、助けられただけで好きになってる!?
そんなチョロい女だったの?妾!?
...き、きっとお気に入りの本の王子様と重ね合わせて見てしまっているからだわ!時間が経てば直ぐに元に戻るわよ!
敵を追い払ってくれた魔人様と会話している内に、自分の国へ招待してしまった。
こ、これは違うんだから。別に好きとかじゃなくて、お礼したいだけなんだから。
そしてその条件と引き換えに護衛の依頼までしてしまった。
べ、別にもっと一緒に居たくて護衛をお願いした訳じゃないんだからね!!魔人様がいたらどんなヤツがこようと安心できるからなんだから!!
ど、どうしよう。魔人様が護衛依頼に渋っておられる。
そ、そうよね。危険過ぎるものね。な、何かこちらからあげれる物はないかしら。
ハッ。
わ、妾ったらいったい何を考えて。別に引き止める必要なんてないじゃない。すっ、好きでもなんでもないんだし。無理を言ってごめんなさい、って謝らないと。
「すみません、そこまでは助けれな--」
「引き受けてくれたら!あなたと結婚してあげる!!」
...
......。あ、あら?今妾は何と言ったのかしら。断られそうな瞬間、焦ってとんでもないことを言った気がするわ。魔人様も護衛達も目を見開いて、顎が外れるほど口を開いている。
ま、まあいいわ。言ってしまったものはしょうがないわね!王族たる物、約束は守らなくてはならないわ。それが、けっ結婚であってもよ!
護衛騎士のカズラに今の発言を注意される。
別にいいじゃない!もう言ってしまったことだししょうがないの!王女の言うことがきけないの!?別に妾は結婚したいなんて思ってないけどね!?
............結婚は、断られて、しまった。
べつに...けっこんしたいと...おもってなかったから...いいけど...。
...でも護衛は引き受けてくれたわ。
ということは一緒にまだ行動できるってこと!
ならまだチャンスはあるわ!!
...って何がチャンスよ!!好きじゃないわよ!!別に護衛期間中に全力でアピールしてオトそうなんて思ってないんだからね!!!
そして❤︎一緒に王国へ向かうことになったの❤︎




