雛菊ちゃんとおばあちゃんの家に⑪初めての海釣り
「雛菊ちゃん、ほら」
「うわあ、きれいですね。水に光が反射してキラキラしてます」
僕は自動車の窓を開ける。すると潮の香りが風に乗って車内に入ってくる。時間は昼時、僕たちが今いるのはおばあちゃんの家から自動車で1時間ほどで着く海通りの道路。川田さんの手伝いを終わらせた僕たちは準備を済ませ車に乗り込んだ。
「いただきます」
「いただきます」
海の近くのコテージでおばあちゃんと川田のおばさんが作ってくれた弁当を食べる。塩むすびを片手にアスパラガスのベーコン巻きやロールキャベツ・ウインナー・卵焼きなどをおかずに食べていく。午前中はいっぱい動いたしおなかすいてたんだよね。
さて海に来た理由だけど
「これが二人の釣り竿ね」
おじいちゃんから釣り竿をもらう。この釣り竿はリールがなくて長さも大人用より短い子供用。僕もおばあちゃんの家に来たらよく使ってたんだ。
「まずは餌をつけようか?エサはゴカイとエビを用意したからつけやすいほうを選ぶんだよ。エビは素手で大丈夫だけどゴカイは軍手をつけるんだよ」
おお、ゴカイ久々に見た。ゴカイはミミズのような見た目でウニョウニョ動いてるんだ。針にさすときも体液が出たりして虫が苦手な人は絶対触れない。海斗も見たくなくてルアー釣りをメインにしてたよね。でも生きている餌だからエビよりは食いつきがいいんだ。でも女の子には触れないよね。気持ち悪いはず。
「これがゴカイっていうんですね」
「触れるんだ、雛菊ちゃん」
「?はい。触れますよ。ミミズと同じですよね?」
そういえば雛菊ちゃん、収穫してるときミミズ触ってたわ。餌にゴカイをつけて二人で海に糸をたらす。
「いい風ですね」
「うん。雲も結構あるから日差しも遮られていい気持ちだね」
そよ風に吹かれながらのんびり周りの景色を見ながら雛菊ちゃんと一言二言話す。午前中は結構動いていたからこういうのんびりした時間もいいよね。
「あ!」
雛菊ちゃんのウキに反応があり海に沈む。
「雛菊ちゃん、引いて」
「はい」
雛菊ちゃんが竿を引くと一気に竿がしなる。よし、Hit。雛菊ちゃんはゆっくり竿を上げると
「これはアジだね。取り外すときは危ないから鷲の方で取るからね」
全長20㎝サイズのアジが付いている。
「全身にすごい振動が来ました」
「すごかった?」
「はい」
雛菊ちゃんは初めて釣り上げた感触に大興奮。まだ顔が赤い。
「あ、僕の方にも来た」
それから時々魚を釣り上げながらのんびり過ごす。釣り上げた魚は小さかったらリリース、手ごろなサイズならおばあちゃんは〆て今日の夕ご飯に。
「きゃあ」
「危ない」
雛菊ちゃんが竿に引っ張られ海に落ちそうになる。慌てて竿を投げて雛菊ちゃんの体に抱き着く。間一髪、危なかった。
「大丈夫、雛菊ちゃん?」
「はい」
「引き上げられそう?おじいちゃんに助けてもらう?」
「大地君が支えてくれたら大丈夫です」
「わかった」
雛菊ちゃんは魚の動きに合わせて竿を合わせる。無理に水中にあげると糸が切れそう。
「大地君、右」
「OK」
雛菊ちゃんの指示で右に行ったり、左に行ったりして3分後魚の動きが鈍くなったタイミングで水面に引っ張りおじいちゃんがタモで掬い取ってくれる。釣れた魚は
「これはカツオね。サイズは40㎝以上、すごい大物ね」
「やったね、雛菊ちゃん」
「大地君のおかげですよ」
「ほら二人とも並んでカツオをもって。写真を撮ってあげる」




