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『妄想図鑑』がこの異世界を塗り替える! 〜英雄トランザニヤの末裔とその仲間たち〜 #イセトラ    作者: 楓 隆寿
第5幕 試章。 〜カルディアへの扉〜

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旅支度編 2 〜ノビ vs エドゥアルト〜



 ダークに近づけねば……と思いつつもΣ('◉⌓◉’)

 




 

 ――ギルド支部の一室を借りたゴクトーたち。

 

 

「そう言えば、パメラさん上手く逃げられたかしら……」


 横で腕を組んでいたゴクトーがニヤリと笑う。


「ん? 大丈夫だ。アウリアが知らせてくれたからな」


 それでもエリナがどこか不安げな表情を見せる。


「パメラさんの弟って……何をしにきたのかしら? ねぇ旦さん……」


「うむ……ちょっと心配だな。ノビ、お前はパメラと動け!」


 ゴクトーの言葉に、ノビが驚いたように目を丸くする。


「え、したっけ、今から?」


「まだ細かいことは決めてないが……このまま静観するのもまずい気がする。エドゥアルトが何を企んでいるか探る必要がある」


「そ、それは……確かに……あるんさ」


 ノビは少し悩むように漏らしながらも、最終的には小さく頷いた。


「ならば某(それがし)らも探りを入れてみましょうぞ」


 圭介の言葉にShadowWind の面々も首肯する。

 その時、ゴクトーの傍に立つ九音が振り返り、唇を動かした。


挿絵(By みてみん)


「ご主人様、お任せください。カルディア王太子の動向を探るのは、オノら『忍び』が最も得意とするところゆえ」


「頼りにしてるぞ、九音」


 ゴクトーの言葉に彼女は眼帯の紐を結び直し、得意げにたわわな胸を張った。


「さて、先ずは……」


 ゴクトーは改めて仲間たちを見渡した。

 クラン『リリゴパノア♾️』としての結束が強まり、仲間との絆も深まっている。そう実感するほどに、皆も心が満たされるのを感じていたのだろう。だが、今は感慨に浸ってる場合ではない。


 ゴクトーは、クイックイッと人差し指を手前に引く合図で、仲間たちを集めた。


 

 暫くして――ギルドの扉が勢いよく開かれた。


「た、大変です!カルディア王太子が到着しました!」


 ギルド職員の報告に、場が一気に緊張に包まれる。


「……来たか」


 ゴクトーは静かに立ち上がる。


 「どうやら、悠長に構えている時間はなさそうだ――」


 その言葉とともに、ゴクトーは仲間たちに合図を送った。



 

 ――その頃、路地をなん度も曲がりつつ、表情に焦りの色を滲ませ、紫色の髪を揺らしながらひた走る、パメラ・ルシーヌ・カルディアが必死に息を整える。



「はぁ、はぁ……まさか、こんなことになるとはっ!……エドゥアルトめ、こんなところまで追ってくるなんて……!」


 彼女はギルド支部の裏口からこっそり抜け出し、人気の少ない道を選んで移動していた。


 その後ろを汗だくになりながら懸命に追い縋る小さな影が近づく。


「待っでーー!」


「ノビ、貴様のせいで、ややこしいことになったぞ……!」


 振り返り、どこか嬉しそうに口角を上げつつ、彼女は空を見上げる。


(……さて、どうしたものかしら?)


 エドゥアルトがビヨンドに現れたということは、カルディア本国の動きもただ事ではない。今後の展開をどうするか――パメラは眉間に皺を寄せながら、逃げ道を模索していた。

 

 

 一方ビヨンドのギルド支部に到着したエドゥアルト。パメラが逃げ出したことに気づいた彼は、すぐさま魔力(マナ)を高めた。


「くっそ、一足遅かったか……馬を用意せぃ!」

  

 彼の周囲には紫電が弾け、ギルド支部の扉がバチバチと火花を散らした。


 そんな状況の中、必死に逃げるパメラとノビが細い路地を曲がった瞬間、背後で馬蹄の音が鳴り響いた。


「したっけ、オラがくいとめるんさ! 先生はさきに逃げて……」


 ヒヒィーン!ブルルッ!


「どうどうどう! ……姉上、一体どこに行かれるのかな……?」


 見事な白い馬から飛び降りたエドゥアルトの低く囁くような声。だが、その言葉の奥に隠された激情を感じ取ったノビが身構えた。


「お前、先生に、何の用があるんさ?」


 エドゥアルトがゆっくりとノビを見据える。その瞳には冷たい光が宿っていた。


「貴様が、姉上の傍にいること自体が不愉快だ。消えてもらおう」


 ――ズドンッ!!


 その刹那、大気が裂けた。


 エドゥアルトの足元から濃密な魔力が炸裂し、紫の稲妻が地面を砕く。衝撃波が周囲に吹き荒れ、近くの樽や木箱が粉々に弾け飛んだ。


挿絵(By みてみん)


「【ギガント・ナックル】! ――先生ーー!!早く、逃げるんさっ!!」


 その言葉に一瞬だけ振り返るパメラ。その後方ではノビが両腕を肥大させ、黄金に輝かせる拳を十字に組み、咄嗟に身構えた。


「……!」


 次の瞬間、エドゥアルトの姿が消えた――否、目にも留まらぬ速度でノビに肉薄していた。


「雷槍【レヴィ・ジャベリン】!!」


 空間がひしゃげるような轟音とともに、雷光の槍がノビの眼前へと突き出された。


「ぐっ……!!」


 ノビが反射的に右拳を突き出す。


 バヂィィィッ!!!


 凄まじい雷撃が拳に直撃、ノビの全身に衝撃と激痛が走る。足元の石畳が砕け、体勢を崩した彼の身体が沈む。


「ふん……そんなものか?」


 エドゥアルトは冷笑を浮かべ、ゆっくりと歩み寄る。


 だが――。  

 

「……な、舐めんじゃ……ねぇ……したっけ……」


 崩れた膝を伸ばし、ノビが立ち上がった。握る拳、足も震えている。それでも彼の瞳は、まったく怯んでなどいなかった。


「……ほぉ」


 エドゥアルトの表情が僅かに歪む。


「ならば、これならどうだ?」


 彼が右手を掲げる。すると周囲の空気が一気に張り詰める。

 次の瞬間、紫電が空を裂き、無数の雷刃がエドゥアルトの頭上に展開された。


「【雷獄陣(エレクトリック・ヘル・フォーメーション)】!!」


 風がピタリと止み、一瞬の静寂が訪れた――その直後、無数の雷刃が雨のようにノビに降り注いだ。


「うおおおおおおっ!!」


 ノビが雄叫びを上げ、全力で両拳を目にも止まらぬ速さで突き上げる。だが、その振るった拳の速さより、雷刃の数が上回った。


 ――ドガァァァンッ!!


 炸裂する雷光、砕ける石畳。その勢いでノビの身体が弾き飛ばされ、彼の身体が宙を舞う。


 だが、その瞬間――


「……これで終わりじゃ……ないんさッ! これでも、うげでみろっ!」


 空中を舞いながら、バク転して着地。そしてノビは自らの脚力を活かし、地面を蹴り返した。


 ゴォォォォン!!


 瞬間移動にも等しい速度でエドゥアルトに肉薄し、拳を突き出す。


「こっちもおがえしなんさっ!カエル拳【烈震打(レジンダ)】――!!」



挿絵(By みてみん)


 ――ドグゥゥン!


 ノビの右拳がエドゥアルトの腹部にめり込んだ。


 紫電が弾け、エドゥアルトの身体が弧を描いて吹き飛ばされる。衝撃で石畳が割れ、土煙が舞う中、沈黙のときが場に落ちた。


 やがて――土埃の中から、ゆっくりとエドゥアルトが立ち上がりつぶやく。


「……ククッ……面白い。貴様……ただの田舎者ではないようだな」


「言っておぐ……パメラ先生はオラのもんではないんさ。したっけ、お前のもんでもないんさ。そこを勘違いしてるお前さ、きっちり叩き直しでやるんさっ!」


「訛りがひどいが……ほう……なら、見せてもらおう。どこまで耐えられるかを」


 雷鳴が轟く中、エドゥアルトは今までとは桁違いの魔力を放つ。


「なるほど……ならば、貴様を「本気」で消し去るとしよう」


 エドゥアルトの周囲に雷雲が形成され、雷が渦を巻く中、カルディア家の【奥義魔法】が展開された。


「【雷龍(ヴォルト・ドラグーン)】!」


 轟音とともに、紫電を纏った龍が唸りを上げる。雷の奔流が一箇所に凝縮され、圧倒的な破壊力を秘めた雷龍の形を成す。


「これ以上……好きには、させねぇんさッ!」


 ノビは右拳を庇いながら、ギリギリの状態で左拳を構えた。彼の脚は震え、視界は揺れる。


 それでも――「これが……お前の必殺の一撃っでことかッ!」とノビが吼えた。


 雷龍が咆哮とともにノビに襲いかかる。その一撃はまさしく一点集中。


「………が、負げるわけにはいがねぇんさっ!!」


 ノビが天に左拳を突き出し、全身の力を込める。


「うおおおおおぉっっ!!!」


 雷龍がノビの拳と激突。 バリバリィッ!

 その瞬間、凄まじい閃光と爆音が周囲を揺るがす。大気が裂け、石畳が粉々に砕けた。


「が……ッ!」


 ノビが弾き飛ばされる。片腕では耐えきれず、彼の身体が宙を舞った。


 ――ドガァァンッ!!!


 瓦礫が飛び散る中、ノビは無惨にも地面に倒れ伏した。


 一方、エドゥアルトは雷光を収め、満足げに息をつく。


「……この田舎者がッ!」


 だが――。


「……ッ」


 パラパラパラ…


 崩れた石の中からノビが身を起こした。全身は血に塗れ、左腕はぶらりと下がっている。それでも、彼の足はまだ地面を踏みしめていた。


「……まだ……倒れねぇんさ……!」


 エドゥアルトの瞳が僅かに細められる。


「ほう、まだ立つか」


 彼は嘲笑し、再び雷の力を解放する。

 エドゥアルトの全身に雷が収束し、かつてないほどの魔力が膨れ上がる。雷撃の刃が彼の背後に渦巻き、まるで王の戴冠のように煌めいた。


「ならば――完全に終わらせよう!」


「そこまでよ、エドゥアルト!」


 凛としたパメラの声が響いた――。


挿絵(By みてみん)




 読んでくださりありがとうございます。

 第1幕を改稿中のため……更新が遅れてしまい申し訳ありません。

 引き続きお楽しみいただけば、嬉しいです☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆



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― 新着の感想 ―
更新お疲れ様です! 『ダークに近づけねば』の言葉通り、熱量たっぷりのガチバトルに大興奮でした! エドゥアルトの【雷龍】などの圧倒的な雷魔法に対し、ボロボロになりながらも『パメラ先生はお前のもんでもな…
ノビさんとエドゥアルトさんがついに真正面からぶつかり、かなり熱かったです。 エドゥアルトさんは完全に「姉上を奪う男」としてノビさんを敵視していますが、ノビさんが「パメラ先生はオラのもんではない。お前…
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