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『妄想図鑑』がこの異世界を塗り替える! 〜英雄トランザニヤの末裔とその仲間たち〜 #イセトラ    作者: 楓 隆寿
第5幕 試章。 〜カルディアへの扉〜

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新たな拠点編 28 〜熱いの熱いの飛んでけっ!の極意〜


 戦闘シーンは苦手ですが……Σ('◉⌓◉’)

 







 ギルド支部の奥深く、広大な鍛錬場へと足を踏み入れる。

 天井は高く広さは闘技場並み。【魔法障壁】が張り巡らされ、衝撃を吸収する設計になっている。


「ここがB級昇格試験の場か……」と、クロニクが漏らす。


 見渡せば、すでに何人かの冒険者が模擬戦を行っていた。

 金属がぶつかり合う音、炸裂する魔法の閃光、掛け声と気合が飛び交い、鍛錬場の熱気をより一層高めていた。


 見守るアカリとジュリの拳にも力が入っているのが良くわかった。

 篠介、羅音、九音の三人もそれぞれの試験に挑んでいた。

 

 篠介と体格差のあまりない、革製ハーフメイルを装備した筋骨隆々の男との対戦だ。無精髭を生やすその男が口元を僅かに緩め木剣を構える。


「ふっ、その和装の格好は、お主『ヤマト』の国の忍びだな。ガンダイ流剣術の皆伝を極めし、このビュンビュン・トブゾが相手でさぞ恨めしかろう!お主のような三下の小童、秒で沈めてくれるわ!」


 「おい!ビュンビュン何ちゃらのおっさん、この風代篠介様の巫代流抜刀術を随分と舐めてくれるじゃねぇか。秒で沈むかどうか、試してみろッ!」


 お互いの視線がバチバチと火花を散らす中、燻し銀の髪をした、老齢の試験監督官の声が細く響く――「はじめ!」

 

 篠介は木剣を構えると、相手との距離をジリジリと、闘技場の土をその足袋で擦るように間合いを詰める。


 一方相手もB級試験を受けるほどの強者。

 簡単に隙は見せない。

 二人の間に緊張が走る中、先に動いたのはビュンビュンだ。


 勢いよく飛び上がり、篠介の頭上から右斜めに振り抜かれた木剣が空を切る。咄嗟に体を躱す篠介の動体視力と、鍛え抜かれた体躯の瞬発力が上回る。

 

 だが、ビュンビュンの振り向きざまの横薙ぎが篠介の身体を掠めた。

 跳ね退ける篠介の身のこなしも見事だが、ビュンビュンも腕を切り返しつつ、振り抜く木剣が篠介の膝下を狙った。

 跳躍し、容易くその木剣を避ける篠介。そして、着地した刹那、懐に飛び込む篠介の鋭い突きが、首を横に傾けたビュンビュンの頬を掠める。

 

 お互い一歩も譲らぬ攻防戦に、静まり返る観客席から息を呑む音が微かに響く。


 そんな中、ノビが真剣な表情で戦況を分析しながらつぶやく。


 「筋骨隆々な肉体から繰り出される「ガンダイ流」の重くて力強い、文字通り、風を切るような大振りの豪快な剣撃、あれはかなり厄介なんさ」


 その言葉にニヤリとしながらクロニクも口を開く。


 「対する篠介は、ヤマトの忍び、巫代流抜刀術らしく、無駄な動きを極限まで削ぎ落とした鋭くしなやかな身のこなしだ。相手の重い一撃を紙一重で躱し、流れるようなステップで懐に潜り込んでたが……篠介の決定打がまだ無い。相手も剣術は一流と見たが、アカリ姫はどう思う?」


「……普段篠介は大鎌使い。木剣では実力の半分も出せないだろう……と思いはしますが、篠介があの技を使えば、きっと勝てます。彼が習得していればですが……」


 三人の分析をピクピクと獣耳で窺うアリーが声を大にして、叫んだ。


「篠介にゃーーん! あの技を使うにゃ!」


 その声に騒然とする中、当の篠介はぽかん。その一瞬の隙に、腰を下げたビュンビュンが伸び上がり、間合いを詰めた鋭い牙突を放つ。


「ガンダイ流剣技月の型、【朧月夜に花見で一杯】!」


 俊敏な剣捌きに身体を捻りながらも牙突を躱す篠介だが、胸と肩に牙突を受け、弾き飛ばされた。


 危うく場外に落ちそうになる身体を、必死に膝と左掌を闘技場の土に擦り付け、その勢いを殺す。


 土煙が舞う中、篠介の姿が消えた。


 ビュンビュンが目標を見失ったその瞬間、「巫代流居合【雨燦々】!」

 逆手でビュンビュンの腹を一閃。

 そのまま剣先を振り抜いた刹那――バギッ!

 鈍い音とともにビュンビュンが白目を剥きながら膝から崩れ落ちた。


 「勝負あり!」


 燻し銀の髪をした、老齢の試験監督官の右手が天を指す。

 その瞬間、観客席からどよめきが湧き起こった。


 挿絵(By みてみん)



 湿った空気が、一気に熱を帯びる中、機械魔力炉の重低音が闘技場の土片を微かに揺らす。


 青く揺らめく六角形の魔法防壁結界が張り巡らされる。

 立ち込める熱気は収まることを知らず――数少ない手練れの冒険者たちが息を呑んで、その瞬間を待っていた。


 隣の会場では、地下通路の暗がりから圧倒的な存在感が解き放たれる。


 足音高く踏み出されたのは、燃えるような赤い長髪を靡かせた一人の女魔導士だった。


 照明の下へと進み出るたび、青い煌びやかなローブの裾が豪快に翻る。

 胸元を大胆に主張する煌めくビスチェ、そして、歩みに合わせて露わになる無防備な腹部。へそには細い銀チェーンで繋がれた真っ赤な魔石が揺れ、妖艶なへそピアスが怪しい光を放つ。


 腰元から伸びる青い網タイツと黒いガーターベルトのライン、そして土を踏み締める赤いロングブーツのコントラストが、照明のスポットライトを一身に浴びて鮮烈に浮かび上がった。


「――ほう、あいつが噂のクイン・ペリザベッスン……」


 観客席の冒険者から漏れた感嘆の声を、彼女は意にも介さない。


 先端に紅蓮の魔石を抱いた漆黒の杖を固く握り締めると、不敵な笑みを浮かべて闘技場の中央へと向かう。


【ドナイヤ・シリーズ】の妖艶な装いに秘められた、底知れぬ魔力(マナ)。

 

 結界の青い光に照らされたその圧倒的な美貌とスタイルは、血煙舞う闘技場の泥臭さを一瞬で塗り替え、圧倒的な支配感でその場を包み込んでいった――。


 挿絵(By みてみん)


 対する羅音は、黄色い髪を高く結い上げたポニーテールが、青い魔法障壁の雷光に照らされ、黄金の絹糸のように煌めく。


 一際目を引くその和装は、戦闘のための機能と、どこか野性的な美しさを兼ね備えていた。周囲から注がれる視線とともに、羅音に罵声が飛ぶ。


「おい、黄色い髪のお嬢ちゃん、おむつは取れたのか?」

「その格好は巫女か? 祈祷でも始めるつもりか! がッははは」


 羅音の纏う【覇気】が【闘気】へと変わっていく。

 熱気を帯びた『野次』がそうさせるのだろう。

 羅音が紺青の短い上衣の袖を肘まで捲り上げ、青い瞳で闘技場に立つ魔導士の赤い目を見据えた。

 鎖帷子が肌に密着し、太腿の黒い革のベルトには、クナイが数本収まっていたが、羅音はその場に全て置いた。

 短い小太刀の木剣を選び、両手で握りしめ、羅音が膝上まで覆う濃紺のブーツで、一歩一歩、闘技場の土をまるで確かめるように踏み締める。


 歩くたびに揺れる胸元は、鎖帷子で覆われた白い肌がスポットライトと、魔法障壁の青い光を交互に受けて、仄かに透けて見えた。


 中央に立つ、壮年でつるっぱげ、古傷がいくつも浮かび上がる筋肉質の上半身に、白いタンクトップ。迷彩柄のボトムに重厚な黒革ブーツが、試験監督官の歴戦の勇を物語る。


 「はじめ!」


 試験監督官の低い声が響き渡り、観客のどよめきをヒートアップさせた。

 歓声に包まれる中、羅音は相手の出方を窺う。

 両小太刀を斜に構え、引く姿勢を維持したまま――一瞬の動作も見逃さない羅音の青い目が閃く。


 漂う空気は魔力(マナ)と殺気で張り詰めている。


「【レビテト】!」


 艶やかな唇から紡がれた小さな詠唱――その刹那、紅い長髪を靡かせながらクイン・ペリザベッスンが、空中に浮かび上がった。青のローブが翻り、網タイツ越しに見える白い肌が光を反射する。


挿絵(By みてみん)

 

 クイン・ペリザベッスンが左手を前方へ突き出した瞬間、巨大な魔方陣が空間に刻まれた。そして真っ赤に激らせた赤き瞳に炎を宿す。


 「紅き炎の源よ、我が呼び声に応えよ。――天をも焼き尽くす熱の火柱よ、いま我が前に顕現せよ。深淵の炎の精霊イフリート、我が名において命ずる、その業火の奔流で敵を殲滅せよ!」


 次の瞬間、魔法陣の五芒星を中心に古代文字が円を描き、血のように赤い光が脈打つ。その中心から浮かび上がるかのように、全身炎に包まれた異形の魔人が現れた。

 その瞬間、羅音は魔法陣から出現した魔人を見据え、指を立てながら「臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・在・前!」と口ずさむ。そして言霊をのせるかの如く、それぞれ異なる『印』を結んだ。


 だが、その羅音の隙を狙った魔人イフリートの口から、

 ゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!

 ༄༅༄༅༄༅༄༅༄༅༄༅༄༅༄༅༄༅༄༅༄༅༄༅༄༅༄༅༄༅༄༅༄༅༄༅༄༅༄༅

 

 耳を擘く轟音とともに、凄まじい灼熱の炎が吐き出され、羅音の身体を包み込む。


「羅音ーーーーーーー!」


 姉の紫苑の叫び声が闘技場に響く中、焦げた匂いとともに業火の炎の中で黒い影が蠢く。

 

 その時だ――。

 業火に包まれながらも羅音が青い光を身体に纏い、腰を落としたその刹那、

 一気に中空へと跳躍。そのままの体勢でイフリートに向かって――

「風代忍法――【風遁・熱いの熱いの飛んでけっ】!」と詠唱。

 突如現れた竜巻にイフリートが巻き込まれて消えゆく中、落下寸前の空中で「巫代流抜刀術、【春雨】!」と両小太刀を交互に振り抜く。

 その二つの斬撃が宙を走り、クイン・ペリザベッスンを十字に切り裂いた。


「嘘…そんな離れ業……」


 ドシャッ!


 落下したクイン・ペリザベッスンの身体がくの字に弾み、土煙が上がる中、

陥没した闘技場で気絶した。


「それまで!」


 喉を詰まらせ、目を丸くする試験監督官の頭が、僅かに焦げていたのを知るものは少ない――。







 ダークに落としきれない引きですみませんw☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆

 次の模擬戦は九音とココです(╹◡╹)♡

 読んでいただきありがとうございます♪

 

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― 新着の感想 ―
更新お疲れ様です! 篠介くんのカウンター居合【雨燦々】も痺れましたが、羅音ちゃんの【風遁・熱いの熱いの飛んでけっ】で腹筋が崩壊しました(笑) ネーミングの可愛さからの空中【春雨】一閃の格好良さのギャッ…
篠介さんと羅音さん、それぞれのB級昇格試験が熱かったです(✧Д✧) 篠介さんは、普段使っている大鎌ではなく木剣という制限がありながら、最後は【雨燦々】でしっかり決めるところが格好良かったです。相手の…
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