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『妄想図鑑』がこの異世界を塗り替える! 〜英雄トランザニヤの末裔とその仲間たち〜 #イセトラ    作者: 楓 隆寿
第5幕 試章。 〜カルディアへの扉〜

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新たな拠点編 15 〜中庭の激突、火を噴く影風の秘術〜



 目指せアニメ調ラブコメ風ダークファンタジー! なんて……ね。Σ('◉⌓◉’)




 「ジェミニが……震えているわ」


 晩餐会場でエリナが背中の戦斧の振動に気づき、小声でつぶやいたその頃。

 一方で、中庭にて警備をしていた、人化したコガラも【桜刀・黄金桜一文字】の震えに気づき、鞘からすぅーっと引き抜き、白刃を二つの月に閃かせながら零す。


「あるじの刀が、何かに共鳴している……」


 挿絵(By みてみん)


 彼女の瞳が覚悟を宿し、見渡す視線が鋭くなる。


 「……クロにぃ! ノビしゃん! 屋敷の中に、妙な魔力(マナ)が流れ込んできてるーー!」


 コガラの叫び声に、クロニクがすぐさま黒いローブを翻し、インカム代わりの通信魔導具を叩く。


「くそっ、やっぱり正面の賑やかさに紛れて、中に入り込みやがったか! ShadowWind、こっちに来てくれっ!」


 その時、ノビが異様な気配だと感じたことのある【覇気】に気づく。


「あいつだ。あん時は、ぶっ飛ばせなかったんさ……! ちょうどいい、相手してやるんさ」


 ノビが指をバキバキと鳴らし、「【ギガント・ナックル】!」


 詠唱しつつ大地を蹴る――みるみる巨大化していくノビの右腕。


 その刹那、屋敷の重厚なエントランスの扉が、凄まじい爆風とともに吹き飛んだ。


「――お前は、いつぞやのチビではないか。随分と盛大なお出迎えだな」


 煙の向こうから現れたのは、魔族四天王キライマカの腹心、ヒバラガガだった。 だが、ヒバラガガは薄ら笑いを浮かべたまま、その場で不気味に指を鳴らした。

 その瞬間、空間が歪み、夜空に不気味な灰青色の魔法陣が浮かび上がり、魔法陣から湧いてくるように、巨躯の魔族たちが次々と降りてくる。

 あっという間に、50体にも及ぶ魔族が中庭に降り立った。その光景にコガラはポカンと口を開け、目を見開く。

 

 一方で、クロニクが瞬時に取り出した緋色金のハルバードを構えた。


 挿絵(By みてみん)


 そしてコガラに向かって叫ぶ。


 「くっそ、コガラ、ボーとすんな、切り倒すか、火焔を吐くかで、こいつらをぶっ倒せ!」


 「ごめん、クロにぃ!わかったーー!」


 ハッと我に返ったコガラが、巨躯の魔族たちに突っ込んでいく。

 その光景にヒバラガガがほくそ笑む。


「ふっ、この屋敷の主人も、まさか我が、忍び込むとは思うていまい。さあ、二年前の祭りの続きを始めようか――貴様や、ここにいる末裔たちすべてを灰燼に帰してやろう!」


「ぬかせ!【ギガント・ナックル】!」


 ノビの怒号とともに巨大化した黄金の拳が、ヒバラガガの正面を打ち抜く――。咄嗟に身を躱すヒバラガガの鋭い爪が、その巨大化した拳と交わりながら火花を散らす。


 ガキィィンッ!

 

 荒れ狂う風を切り裂き、金属がぶつかるような硬質な轟音が響き渡った。


挿絵(By みてみん)


 ノビの放った一撃は地面を砕き、周囲の敷石を粉々に吹き飛ばしたが、ヒバラガガはその巨腕の軌道を見切るように、さらりと軽やかにバックステップを踏み冷徹な笑みを崩さない。


 ノビとヒバラガガの激しい衝突が大地を僅かに揺らした。二人の攻めと守りが瞬時に入れ替わる。

 ――息をもつかせぬ攻防一体の戦闘を繰り返す中、無数の巨躯の魔族たちが一斉に咆哮を上げ、中庭の警備網を押し潰そうと雪崩れ込んでくる。


「あるじは、確か、こうして……」


 ゴクトーの技を見よう見まねのまま、コガラが【桜刀・黄金桜一文字】を逆手に持ち替える。


「巫代(ミシロ)流抜刀術、【無音】!」


 と鋭い喝声とともに、一閃。

 白刀は風を切り裂き、鋭いシュンという音を立てた。

 純白の白刃から放たれた鋭い斬撃が、先頭を走る魔族の装甲を紙細工のように両断し、間髪入れずにコガラが吐き出す、高熱の紅蓮の炎が闇夜を赤々と染め上げる。

 圧倒的な熱量が敵の群れを呑み込み、毒々しい緑血の生臭さと焦臭さが夜風に入り混じる中、クロニクが、ハルバードを薙ぎ払い――死角から迫る、魔族の首を的確に狩っていく。


「チッ、数が多いな……!」


 だが、倒しても倒しても、灰青色の魔法陣からは次から次へと魔族の増援が湧き出してくる。


 正面の華やかな晩餐会の喧騒とは対照的に、中庭は一瞬にして血と硝煙の匂いが立ち込める――殺伐とした戦場へと変貌していた。


 その最中、ヒバラガガは冷ややかな目を細め、ノビとクロニクを見据える。


「無駄な足掻きだな。主賓であるゴクトー卿も、あの広間の奥で今頃――我が同志の『甘い香り』に骨抜きにされている頃合いだ」


 その言葉に、クロニクの眉間がピクリと動く。


「……なにっ?」


「フッ、気づかなかったか? マヌカン伯爵の娘に化けたドルサード様が、すでにあの華やかな大広間の奥へ入り込んでいることに……。美酒と芳香に酔いしれる貴族どもごと、あの屋敷は内側から崩れ去るのさッ!」


 ヒバラガガの不敵な笑みに、ノビが怒りで顔を歪め、眉を吊り上げた。


「ふざけんなっ……! ゴクどーさんのところに、そんな虫唾が走る野郎を、近づけさせるもんかさっ!」


 ノビはさらに闘気を爆発させ、黄金の巨腕に凄まじい魔力を集中させる。


 その時、不意にバルコニーに現れたのは、 『マヌカン伯爵』の娘リュミエール――その正体は魔族四天王の一人、ドルサードであった。彼女は中庭の光景に目を見開き、舌打ちした。


「良いところだったのに……とんだ邪魔が入ったわ」

 

 彼女の纏う薔薇の香りが、甘美な毒の瘴気へと変わり、周囲の空気を歪ませていく。


「キライマカめ……魔王様にこっぴどく詰められたものだから、功をあげようと必死ね……マヌカン、あなたは、ここに残りなさい」


「……はい。ドルサード様」


 虚げに返事をする『マヌカン伯爵』の瞳が赤く光った。


「……興醒めね」


 ぼやく、ドルサードがパチッと指を鳴らす。

 

 「また会いましょう、ゴクトー卿……ふふふ」


 不敵な笑みを零すドルサードの姿が、蜃気楼のように揺らぎ、その場から消えた――。

 

 その光景を大スクリーンで見ていた、天上の神シロが顎髭を撫で付け、片眉を吊り上げた。


「発動の瞬間に生じる魔力の残滓も、空気を震わせる特有の駆動音すらもないわい。まるで世界という布地を一度切り裂き、別の場所へと縫い合わせたかのように、掻き消えるとは……あれは確か……あの女神が得意としていた魔術じゃな」

 

 その言葉に頷く、女神東雲も表情に驚きの色を滲ませる。

 一方で、どこか納得した表情を見せるトランザニヤが口を開く。


「一般的な転移魔法が、 『術者を光の粒子に分解して超高速で移動させる』という――物理的な制約を孕むものであるならば、この魔術は次元そのものを飛び越える。距離、障害物、そして強固な結界すらも。堕天した――『女神ネルル』の娘、ドルサードが神代の秘術を使うのも、まぁ、頷けるがな」


 神々は、ゴクトーの屋敷が魔族に襲われているにも関わらず、この場を去ったドルサードの魔術のことについて、さらにヒートアップしていた――。


 ――その頃、地上では颯の如く、屋敷を駆け抜ける五つの影が、中庭にようやく降り立つ。


「なんだぁ?この数はーー!」


 叫びながらも篠介が大鎌を振り抜く。

 

挿絵(By みてみん)


 バシュッ!


「グゥオーー!」


 雄叫びを上げる魔族の鮮血が迸り、夜風に緑の霧が霧散する。

 倒れる魔族に、トドメを刺す羅音のクナイが月明かりに鈍く光る。


 「巫代流刀術【村雨】!」


 息を整え、魔族の懐に飛び込む九音が、低い姿勢から逆手で刀を振り上げる。

 ビュッと飛び散る返り血をものともせず、魔族を斜めに切り裂いた。


 一方、圭介は魔族の背後の影からすぅーと姿を現し、背中を一刀両断――

 バタッと倒れる魔族の影から次の影へと忍び込む。


挿絵(By みてみん)


 

 月明かりを覆い尽くさんばかりの魔族の軍勢は、それでも怯むことすらなく――不気味なまでに、無機質な嘲笑を浮かべている。


 迎撃するクロニク、コガラも、そのタイミングで勝機を掴み、魔族たちを切り倒していく。

 中庭の噴水に飛び散る赤と緑の鮮血が微妙に混じり合い、やがて黒い水に変わっていった。


 他方、茶髪を夜風に靡かせる紫苑が顔を赤くしつつ、「八咫鴉様の寵愛を受けるには――まずはあれを……なんとかしなきゃだわね」とつぶやき、次々と魔族が降りてくる魔法陣を見据えつつ、指を立て――

 「臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・在・前!」と静かに口ずさむ。そして言霊をのせるかの如く、豊かな胸を揺らしながらそれぞれ異なる『印』を結ぶ。


 その刹那、風がピタリと止んだ。

 

 紫苑が刮目し、「【火遁・大焔號】!」と澄んだ声を響かせる。

 次の瞬間、大地が震え、

 ゴォォォォォォ༄༅༄༅༄༅༄༅༄༅༄༅༄༅༄༅༄༅༄༅༄༅༄༅༄!

 紅蓮の炎が巨大な火柱となって、灰青の魔法陣を突き抜けた。


挿絵(By みてみん)


 その瞬間、降りてくる魔族数十体と、魔法陣が跡形もなく燃失した――。










 

 なんとあのノビが!そして紫苑が! ですが戦闘シーンは苦手なんです(T . T)

 ですが――本作を楽しんでいただけたなら僥倖です☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆

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― 新着の感想 ―
これまで漂っていた不穏な気配が一気に戦闘へ発展して、迫力がありました。 ノビさんとヒバラガガの再戦、コガラちゃんがゴクトーさんの【無音】を見よう見まねで使うところなど、それぞれにしっかり見せ場があっ…
更新お疲れ様です! 戦闘シーンが苦手なんてとんでもない、めちゃくちゃ大迫力で大興奮でした! ノビさんの【ギガント・ナックル】の重厚な打撃から、ShadowWindの華麗な連携、そして紫苑さんの九字の…
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