新たな拠点編 9 〜久しぶりの再会と繋がる縁〜
新キャラ登場? ココリド製【ドナイヤ】が貴族界をも席巻!!Σ('◉⌓◉’)
黄昏が燃えるような橙色に染め上げた、ゴクトーの豪邸のテラス。
石畳の通路はーーまるで二人の美しい女性を迎えるために敷かれた、
バージンロードのようだった。
左右を飾る鉄製のアーチには、無数の小さなキャンドルが灯り、
揺らめく光が白い布を優しく照らしている。
一人の女性の後姿があったーー『リュミエール・マヌカン・ネルル』。
魔族四天王が一人、北のドルサードが化けた姿であった。
漆黒のドレスを纏い、背中を大胆に露出させたその姿は、
神秘的でありながらもどこか謎めいた闇を纏っていた。
すれ違いざまに異質な【邪気】を感じ取ったアカリとジュリだったが、
まさかそれが魔族だとも知らずに、
立ち止まることもせずーーゴクトーの前に歩み寄る。
彼女たちの装いは、鏡映しのように似ていたが、
それぞれの個性が鮮明だった。
アカリは桃髪を簪で纏め上げ、オッドアイを細めて微笑を浮かべる。
「ダー様、こちらにいらしたのですね?」
鮮やかなブルーの着物に、
桃花をあしらった柄のアレンジドレスを羽織り、
真っ赤なレースのランジェリーが歩くたびに、裾が靡き、ちらつく。
黒い扇子を片手に、オッドアイになぞられたーーその瞳。
赤と青のコントラストが彼女の強烈な個性を際立たせ、
赤いガーターとストッキングが、美脚をセクシーに彩る。
一方、右側を闊歩するジュリは、ポニーテールに束ねた桃髪が風に靡く。
黒い着物に白い百合をあしらった柄のアレンジドレスを羽織り、
アカリ同様、インナーを堂々とちらつかせて歩く。
黒と青の組み合わせが、彼女のお洒落で洗練された美しさを際立たせ、
白い網タイツが、細い脚をエレガントに包み込んでいた。
その二人に、周囲の貴婦人たちがざわめき、
数人の貴婦人たちのひそひそと話す声が聞こえてくる。
「奥様、あちらの女性たちの姿は、ご覧になった?」
「なんて素敵な赤のセットなの!
これみよがしに、大人気の【ドナイヤ】のドレスとインナーを纏うなんて!」
「よっぽどのお金持ちの貴族か……
あっ! あの方は、例の冒険者クラン『リリゴパノア』の……」
「あのポニーテールの桃色の髪も美しいですわね。
ビビッド・ブルーのレースのセットも、
間違いなく【ドナイヤ】シリーズですわよ。素敵!」
貴婦人たちは、二人の美しさに感嘆しながらも、
その大胆な装いに驚きを隠せない様子で、
羨望の眼差しを向けつつ、会場を後にする。
そんな密やかな囁きなどお構いなしと言わんばかりに、
堂々かつ凛とした姿勢で、互いに視線を交わしながら、
二人はゆっくりとこちらに歩みを進める。
彼女たちの足音、青いヒールと黒いヒールが石畳に響き、
静まったテラスにリズムを刻む。
夕焼けはさらに色濃くなり、
空は紫と橙のグラデーションに染まっていった。
ゴクトーの前に来るなり、ジュリがポーズを決める。
「ヘンダー? この最新作はどう? ココリドさんに作ってもらった、
わたしたちの和風カクテルドレスーー
【ユカタマエ・ハダケテルノハ・ドナイヤ】は、お気に召したかしら?」
揶揄うようなルビー色の瞳に、ゴクトーの妄想眼”死線”が吸い込まれる。
「そりゃ、お気に召しますけども……お祭りなのかッ!」
ゴクトーのツッコミに、二人がどこか揶揄うような笑みを見せる中、
アカリがゴクトーの傍に控えるミリネアを一瞥し、艶っぽい唇を噛む。
「ミリネアさんのドレスも素敵ね。
その紫のインナー【ムラット・シタラ・ドナイヤ】も……」
どこか歯切れの悪い言葉を口にするアカリに、
ゴクトーは何も言い返せず、ただ”死線”をはぐらかしつつ、
この場の変な空気に呑まれていったーー。
その光景を目にした女神東雲が、神の特権を濫用し、
またもやネット通販で【ドナイヤ】シリーズを密かにポチッとする中、
一方で神シロとトランザニヤは、その豪華な屋敷に目を奪われていた。
ーーそんな天界の事情のことは、全く知らないゴクトーに、
懐かしくも、艶やかな二人の女性が彼のもとを訪れる。
◇(ゴクトーが語り部をつとめます)◇
橙に染まりゆく陽が、鉄製の優美なアーチで囲まれた、
離れのテラスを優しく包み込んでいた。
庭園の白いテーブルクロスが風に揺れ、
遠くに見える壮麗な屋敷のシルエットが、静かな午後の時間を演出している。
「……総司令閣下、ご昇進おめでとうございます」
澄んだ声とともに、青いドレスの裾をふわりと持ち上げ、
コルセットで絞られたしなやかな身体のラインと、
歩くたびにドレスの切れ目から覗く、色揃いのガーターと網タイツ。
そこには美しさとは裏腹に、鋭いレイピアがしっかりと腰に佩かれていた。
エレガントな挨拶の中に、
気品と華やかさを併せ持つ女性だった。
「これはこれは、ハルツーム辺境侯爵領、
コルドリン・グリフィン砦の騎士団長兼、
ハルツーム軍少将ーーアナ・ドレン殿……お久しぶりでございます」
ゴクトーの傍でミリネアがカーテシーを執る最中、
夕暮れに映える緑のパーソナルカラーが入った、
真紅のドレスを優雅に着こなす女性が美しい声を響かせる。
「お久しぶりにございます。
伯爵位にご領地まで、公王様に賜るなんて……さすが我が麗しの閣下」
恭しく頭を下げる彼女は、胸元が大きく開いた艶やかな装いが、
蠱惑的な魅力を引き立てているが、その瞳に宿る眼光は射るように鋭い。
銀白の髪をひとつに纏め、腰から覗く鞘の重厚感は、
彼女がただの貴族ではないことを明確に物語っていた。
凛と姿勢を正し、網タイツ越しに覗く脚はしなやかで、
隙のない身構えを見せていた。
「ムルガマル砦の騎士団長兼、ハルツーム軍中将ーーミテミナ・ビボウ殿、
ようこそ、おいでくださいました」
再びミリネアがカーテシーを交わす。
対照的な雰囲気を纏った二人は、アナとミテミナだった。
二人の装いに目を丸くしながらも、俺は一歩前に出た。
無事にこの場所で再会できたことへの安堵が、
彼女たちのわずかに緩んだ目元から伺えた。
「……お怪我、おつらいようですね」
ミテミナが瞳を揺らしながら俺に尋ね、胸の前でギュッと拳を握りしめた。
一方でアナは、無言のまま顔を真っ赤に染め上げ、静かに涙を零していた。
「大丈夫だ、右腕以外は……な。遠路遥々すまない。
二人ともゆっくりしていってくれ。
アカリ、ジュリ、とりあえず二人を客室に案内してくれ」
アカリとジュリが無言で頷き、一歩前に出る。
その大胆なランジェリー姿に、アナが目を丸くする中、
ミテミナがミリネアに小声で囁く。
「ミリネア殿の落ち着いた紫色然り、アカリ殿の燃えるような赤は情熱的、
ジュリ殿のビビッドな青も鮮やかで素敵です……
ミリネア殿、そ、それは今、巷で大流行中のーー
憧れの【ドナイヤ】シリーズなのでは?
我も願わくば、閣下のお気に召す、【ドナイヤ】が欲しいのですが……」
その言葉に黙っていないアナも、
「我も是非、閣下のお気に召す色を!」とミリネアに懇願する。
「ふふ。かしこまりました。ミテミナ殿、アナ殿、
ココリド殿が後ほど、こちらにみえますので、
採寸とオーダーをされては、いかがでしょうか?」
話し終わる頃には、ミテミナとアナが喜びをあらわにしていた。
耳まで赤くなった俺を他所に、テラスを抜け屋敷に向かうーー
アカリ、ジュリ、ミテミナ、アナのコツコツとした足音が石畳に響く中、
穏やかな風が四人の間を吹き抜けていく。
その刹那、華やかで芳醇、かつフルーティーで爽やかな香りがほのかに漂う。
戦いを乗り越えた者たちが集うこの場所で、
束の間の癒しと僅かな戸惑いが俺の心の中で、静かに交錯していた。
四人を見送る俺の背後から可愛らしい声が響く。
「あ、ゴクトーちん、ここにいた!」
その声に振り返るとそこにはーー
先ほど竣工の挨拶を堂々とやってのけたポロンとココの姿があった。
「お疲れさん、ポロンヌナ」
俺の言葉に頬を赤くするーーまだ幼さの残るポロンだが、
見た目とは違い80歳を超えた彼女は、
まるで人形のように小さな身体に、茶色い革を継ぎ合わせた、
エルフダードワーフ族特有の戦闘用ドレスのココリドアレンジーー
【チッコイ・カラ・ドナイヤ】を纏っていた。
彼女が一歩進むたび、重厚なブーツがコチリと石畳に音を立てる。
編み込みの茶髪を靡かせ、
ちょこんと頭にあしらった黒いリボンと黒い網タイツが、
彼女らしさをより際立たせ、良いアクセントになっていた。
「閣下、お身体の具合は、どうですか?」
ポロンの傍で俺に尋ねるココが、漆黒の長い髪を靡かせる。
夕映えに負けない鮮烈なオレンジ色、
踊り子のようなファルダット自由国の民族衣装風ドレスーー
【カッカ・メラメラ・ドナイヤ】に身を包んでいた。
胸元は大胆に開き、スカートは風に靡くほど軽く、
そこから伸びる肢体には、紫色の網タイツが艶やかに映えている。
だが彼女の腰には、細身だが切れ味の鋭そうな短剣が一本、
鞘に収められていた。さすが剣士と言わざるを得ない。
「ああ、もうだいぶな。右腕はどうにもならんが……」
「……そうですか。ご無理なさらないでくださいませ。
ところで閣下、ミリネア殿から打診があった執事の件なのですが?」
ココの問いかけに困惑しつつも、その艶やかな姿に心を奪われていた。
一方で俺の傍では、ミリネアが珍しく慌てながら口を開く。
「ご主様、アカリ殿とルシーヌと相談しまして、
この広すぎる屋敷には、執事とメイドを置くべきと考え、
勝手ながら……ココ殿に親戚をご紹介いただいたのです」
「っえ? また俺の知らぬ間に?」
「ええ」
「マジかッ!」
ミリネアが悪戯っぽく返すのには、もう慣れたとはいえ、
物事が知らぬ間に大きくなっていくことに不安を抱く俺を他所に、
ココが間髪入れずに唇を動かす。
「エレノア、こっち、こっち!」
ツカ…ツカ…ツカと、金髪のエルフが足早にこちらに歩み寄る。
「ミリネア様……ごきげんよう。
ココの遠縁、エレノア・ダンピールと申します。どうぞよしなに」
澄んだ声とともに、青いドレスの裾をふわりと持ち上げる。
コルセットで絞られたしなやかな身体のラインと、
歩くたびに深いスリットから覗く、美脚には、
ホルダーの革ベルトとともに、結び目がアクセントになったーー
紺色の細いラインが覗いている。
その美しさとは裏腹に、鋭い短剣がしっかりと固定され、
エレガントな挨拶の中にも、どこか油断ならない緊張感を漂わせていた。
「すごく素敵ですよ、エレノアさん。とってもお似合いですわ……!」
ミリネアが小さく手を合わせて微笑んだ。
シースルーの軽やかなドレスに、網タイツをあわせたミリネア自身の装いも、
可憐さと色気が絶妙に調和しているのだが、それはさておき。
ココがエレノアに抱きつく。
「お久しぶりね、エレノア……【メデルザード王国国家安全保障組織】
(Kingdom of Medelzard National Security Organization)
通称【KOMNSO】ーーそこで勤務していたのに、辞めたと聞いて……
それで執事をお願いしたのだけれど」
「ええ、執事の件はこちらも願ったりの話だったわ。
今、このアドリア公国で飛ぶ鳥を落とすぐらい勢いのあるーー
領地持ちの伯爵……さらに軍総司令にしてS級冒険者。
ゴクトー・コス・ハルツーム家の執事ともなれば、胸を張れる職よ」
「良かった……」
エレノアの言葉にココがほっと胸を撫で下ろす。
久しぶりの再会なのだろう。
俺は傍らで腕を組み、柱に寄りかかって聞いていたが、
一方で、チラリと俺を一瞥し、ほんのり頬を赤くするエレノアが唇を噛む。
「まぁ、30年も勤めたおかげで、
あらゆる国の情勢や政治は大体把握できたし、
ココに負けない体術や、暗躍する技も身についたから」
「それにしてはスタイルも良いし、似合っているわそのドレス」
ココの言葉にエレノアが、凛とした表情を取り戻すと微笑んだ。
「でも、早速執事服に着替えなきゃ。
……さて、今夜の晩餐会から私の出番ね」
読んでくださり、ありがとうございます。
引き続き楽しんでいただければ嬉しいです(๑╹ω╹๑ )
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