↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『妄想図鑑』がこの異世界を塗り替える! 〜英雄トランザニヤの末裔とその仲間たち〜 #イセトラ    作者: 楓 隆寿
第4幕 真章。  〜軋む異世界の歴史〜

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

274/321

揺れるズードリア大陸編 33 〜深淵と夜闇の最終兵器〜



 のんびりしているゴクトーたちですが……Σ('◉⌓◉’)

 



 ズードリア大陸南東の離島ーー

 ガーランド島の密室から、キライマカが送った闇の魔力(マナ)は、

 地脈を伝い、ダンジョン内を進むヒバラガガたちの元へと確実に届いていた。


「……フッ、キライマカ様からの直接の共鳴波か。

 さすがは我が部隊、順調すぎるほど順調だな」


 不敵な笑みを浮かべながら、ヒバラガガが目の前に広がる景色を見上げる。


 普通であれば、ダンジョンの最深部ーー

 46階層へ辿り着くまでに数々のトラップや、狂暴な魔獣、

 あるいは、ダンジョン神オグリが仕掛けた理不尽な試練が、

 立ち塞がるはずだった。


 しかし――。


「副官殿! なんだか、罠も仕掛けられていませんし、

 モンスターもなぜか道を譲るように逃げていくのですが……!」


「ん?  なんだと?」


 斥候の部隊からの報告に、ヒバラガガが怪訝な顔をする。


 それもそのはず、ダンジョン神オグリが作り出したはずの階層ギミックは、

 完全にスルーされ、

 まるで「どうぞお通りください」と言わんばかりだった。


 誰もいないーー。

 

 ただの空洞を「自分たちの実力によるもの」と勝手に納得し、

 満面の笑みで胸を張るヒバラガガ。

 

 罠も抵抗も一切ない一本道を、

 まるで凱旋行進かのように進んだヒバラガガたちは、

 誰一人として汗一つかくことなく、

 拍子抜けするほどあっさりと最深部へ到達していた。


 その最深部中央には、

 目にも眩しい山吹色に煌めく核が、金色の魔法陣の上に浮かんでいた。


 さらに、その核から放出される強烈な結界と無数の鎖が空間を歪ませ、

 近づく者を拒絶するかのように――

 異様なまでの巨体を拘束し、眠りにつかせている。


 挿絵(By みてみん)


「……フッ、やはりな。我ら精鋭部隊の威圧感に、

 ダンジョンそのものが恐れをなして道を譲ったか。

 ……見よ、あれこそが伝説の最終兵器。

 古の一つ目巨人キングマイクロ・ビーンズだ!」


 誰もいない空間で一人ドヤ顔をキメながら、

 ヒバラガガが狂喜の声を響かせる。


「ククククク……!

 こやつの封印さえ解ければ、このアドリア公国など、塵さえ残らぬわ!」


 勝手に道をクリアしたと勘違いしたヒバラガガのほくそ笑む声が、

 誰もいないはずの最深部に空しく響き渡った――。



 その声は、天上の人柱トランザニヤの耳にも届いていた。


「……っち! 案の定か。 くっそ、シロと東雲さんは、まだ戻らないのか……

 神代の大神様と創造神様は、一体何を考えているんだか……」


 つぶやくトランザニヤが、ぎりりと歯噛みしながら天空城を見つめていた。



 ーーその頃、ゴクトーは『ロカベルの魔法薬材と薬店』で、

 和気藹々と報奨の白金貨を数え始めていた。




 ◇(ゴクトーが語り部をつとめます)◇




 俺、ジュリ、アリーの3人は、

 黙々と白金貨を手元の『スケールの魔導具』に入れ始める。


挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)


 そこにミンシアが持ち込んだ新たな『スケール魔導具』が加わると、

 ミリネアとミーアも自然と白金貨を数え始めた。


 ジャラジャラジャラ…


 白金貨同士がこすれる硬い金属音が、部屋中に響き渡る。

 だがその音は思いのほか、心地良く、なんとも豪勢な気分にさせた。

 

 そんな中、長い黒髪を掻き上げるココが、

 ダークエルフらしからぬ白い頬と艶やかな唇を動かす。


「閣下、白金貨の重さは1枚15.7gです……

『0』が15,700になれば、ちょうど1000枚。

 そうなりましたら、魔導具のそのフックに布袋をかけて、

 横についているスイッチを押してください。中の白金貨が布袋に入ります」


 ゆっくりと丁寧かつ的確にココが説明してくれた。

 その表情は可憐で、思わず見入ってしまい、俺の胸が高鳴った。

 その気持ちが伝わったのか、ココが頬を朱に染める。


 ……さすが俺の眷属。

 まぁ、知られたくはない、内情ですけども……。

 思考が伝わるのは、やっぱりお互いに、やりにくいよな。


 思いつつ、ココから視線を逸らし、さっと魔導具を掴む。


「え、えっと……こ、こうやれば、い、いいんだな」


 喉を詰まらせながら、俺は言われた通り、

 布袋をフックにかけてスイッチを押してみた。


 その瞬間、軽やかな金属音が響く中、白金貨が滑らかに布袋へ流れ込む。


 その刹那、ココが満足げに口元を緩めた。

 その笑顔は無邪気で愛らしくーー

 可愛過ぎますけども、と思わずにはいられなかった。

 

 ぎっしりと詰まった袋の口を縛り、

 静かにその光景を見ていたクロニクに手渡す。


「持っておいてくれ」


「兄貴……ミスリルの剣や緋色金の王冠ーー

 高価な魔石や、宝石は龍の習性で集めていたが、

 オイラ……金は使ったことはないんだ……」


「いいから持っておいてくれ」


 戸惑いながらも、渋々受け取るクロニクが『アイテムボックス』にしまう。

 彼の長い放浪生活の中では、金など必要なかったのか。

 そう思わずにはいられないほど、クロニクは執着してはいなかった。

 

 気持ちを切り替え、白金貨を『スケールの魔導具』に入れて、

 布袋へ詰めていく。

 魔導具の動作はスムーズで、作業は思いのほか順調に捗った。



「アカリ、これを」

「ダー様、白金貨1000枚……確かにお預かりいたします」


 俺の言葉に応えつつアカリが『万能巾着』に収める。

 その優雅な仕草に、一瞬気を抜いた俺だったが、作業を続ける。


 そんな中、パメラが俺に布袋を手渡しながら、悪戯っぽい笑みを浮かべた。


「はい、これもお願いするわねん。

 ゴクちゃん、稼ぎ過ぎなんだから、しっかり分配しなきゃダメよん?」


「パメラ……お前は、俺の財務管理役か?」


「そうよん?だって、ゴクちゃんは、気前が良すぎるもの」


「まぁ、そう言うなよ。パメラもこれを」


 妖艶な笑みを浮かべる彼女に、息をつきつつも、

 ずっしりとした布袋を手渡した。


 布袋をフックに掛け、スイッチを押しては、

 白金貨を流し込む作業をひたすら繰り返す。

 ロカベル三姉妹も同じように手際よく作業を進め、

 布袋をジュリ、アリー、ノビ、そしてポロンに手渡していた。


「ありがとっ!」

「Thanksにゃ……」

「ありがどうございまづ」

「わたちのは、いいのに……ゴクトーちん……」


 皆の言葉に心の奥に温かさが広がってくる。

 恭しく受け取るメンバーの様子に、俺も自然と笑みが漏れた。

 場の緊張感が緩んでいくのを実感する。

 まさかこうも場が和やかになるとは、想像もつかなかった。


「……まぁ、たまにはこんな時間も悪くないな。

 ミリネアも……これを持っててくれ」


 俺は白金貨1000枚入りの布袋を二つミリネアに差し出した。


「ご主様……お預かり致します」


 ミリネアが柔らかな笑みを浮かべ、

 布袋を一つ『アイテムボックス』に収める。

 そして、もう一つを小脇に抱え、

 ふと何かを思いついたように、小さな布袋を何枚か取り出した。


「ShadowWindの面々は、アカリ殿やジュリ殿の家臣であられると同時に、

 クラン『リリゴパノア♾️』の所属になりましたし、

 キヌギス砦では、見事な活躍を見せてくれました。

 ハイエルフ族の『しきたり』では、

 富を得たものが、心付けを渡すのが習わし……分配したく存じます」


 控えめながらも品のある声に、俺は頷いた。


「わかった。任せるよ。別にもう1000枚用意する」


 俺の言葉にミリネアが頬を朱く染めた。

 そして、眼鏡をかけ直したミリネアが凛と姿勢を正しながら、

 ShadowWindの面々に白金貨を配っていたその矢先。


「……あの、八咫鴉様」


 低く甘い声が、俺の背後から響く。


 茶色の髪が滑らかに揺れ、

 歩み寄る度に連動する艶やかな胸元が目を惹くーー

 その胸元の鎖帷子を突然、『くの一』の紫苑が捲り上げた。


 「金色がお好みだと……ワレのこの最終兵器で」

 

 ーーきっとわざとだろう。

 金色に赤の豪奢な刺繍の胸元がその存在感を主張していた。

 青い衣が、『巫女』も兼ね備える紫苑をどこか神秘的に感じさせる。

 

 必死に理性を保つ俺の思考など、お構いなしに、

 紫苑が俺の背後にピタリと寄り添い、唇を動かす。


「心付けではなく……ワレを、今晩、八咫鴉様のお傍に……子種を」


 紡がれたその瞬間ーー場が凍りついた。


挿絵(By みてみん)



 唇を軽く舐める紫苑のその仕草に、

 喉が鳴りそうになるのを必死で堪えた。


 「き、急に、な、何を……紫苑姉上!?」


 圭介が喉奥から絞り出したが、紫苑の目を正視できてはいなかった。


 言葉もなく、目を丸くする一同の視線が紫苑に集まる中、

 ShadowWindの面々も驚きの余り、言葉を失い、ただ目を見開いていた。


 一方、微笑を浮かべたまま、紫苑が『俺を狩る獣のような目』を向ける。


「八咫鴉様も……困った顔をなさるのですね」


 甘く囁くような紫苑の声に背筋がゾクゾクと震え出す。

 ひやりとした寒気を覚えつつ、額には嫌な汗が滲んでくる。


 誰一人言葉を発せず、ただ俺と紫苑の間に漂うーー

 異様な緊張感を黙って見つめていた。

 

 一方で師団長たちは、頬を朱く染め、ただ口をパクパクさせる。


 紫苑の態度は天然なのか、それとも確信犯なのか。

 俺はどちらとも判断がつかずに、困惑を極めていた。

 その疑問から逃れられなくなった俺は、覚悟を決め、

 一同の視線を感じながらも口を開いた。


「紫苑、俺のイビキは豪快だが、耐えられるのなら別に構わないぞ……。

 コガラと一緒に寝ているが、彼女は平気みたいだ」


 ーーその言葉が引き金だった。


「ご主様……コガラと夜伽(よとぎ)を?」


 ミリネアの震える声に一瞬息が止まった。


 ……コガラの添い寝は、

 妖精龍の姿のままですけども……。


 心に留めおく中、何か勘違いをされているらしくーー 

 驚愕の波が俺の身体中を駆け巡る。

 

 一方で顔を真っ赤に染めたミリネアは俺の腕をぐいっと掴む。

 そして、寄せられた豊かな胸の感触が俺の動揺を煽る。

 その腕を掴んだ勢いは、彼女の眼鏡をずらしたほど。


「ちょっ……何言ってるんだ、ミリネア!?」


「ご主様……失礼いたしました。ワタクシが勘違いしたようで……」


 潤んだ瞳で見つめながら囁く彼女の真剣な表情に、

 俺の思考を読まれたことに納得しつつも、ただ硬直するばかりだった。

 

 そんな俺を他所に、

 アカリも真っ赤な顔で俺の反対側の腕をぐいっと引き寄せる。


「ダ、ダー様……私が……」


 寝ているコガラを起こさないように、

 必死に抑えた彼女の声が余計に色っぽいのだが。


「ア、アカリ……お、落ち着け……!」


「だ、だって……」


 彼女が自身の胸元を広げようとするのを必死に制す。

 耳まで朱く染まり、視線を合わせるのも躊躇している様子が、

 普段の凛としたアカリの姿からは、想像もつかないほどだった。


 

 こうして混沌とした危険な夜の誘惑は、

 俺の想像を遥かに超え、深い闇へと更けていったーー。







 

 読んでくださり、ありがとうございます。

 引き続き楽しんでいただければ嬉しいです(๑╹ω╹๑ )

 ブックマークの追加や、

 ★をつけていただくとさらに喜びます☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆



 







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
更新お疲れ様です! 誰もいない一本道を自分の実力だとドヤ顔で思い込むヒバラガガに笑っちゃいました( *´艸`) 後半の紫苑さんのストレートすぎる『子種』発言と、コガラちゃんとの添い寝(龍の姿)を夜伽…
ダンジョン最深部の不穏な動きと、ロカベルでの賑やかな白金貨分配の差が、前回に引き続き面白かったです(≧∇≦) ヒバラガガたちが罠もなく進めた理由を、自分たちの威圧感のおかげだと思い込んでいるところに…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。