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『妄想図鑑』がこの異世界を塗り替える! 〜英雄トランザニヤの末裔とその仲間たち〜 #イセトラ    作者: 楓 隆寿
第4幕 真章。  〜軋む異世界の歴史〜

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揺れるズードリア大陸編 25 〜新たな提案とミテミナの爆弾投下〜

 

 ブックマークの追加感謝です(╹◡╹)♡


 キヌギス砦の一件も収束し、ゴクトーたちは出立の準備をしていた。

 しかーーし、ここで『江戸っ子鼓動』から思わぬ提案がΣ('◉⌓◉’)








 



 


 


 「ヴォルフスペード、君を軍中尉に任命し、この砦の守護を任せる。

 すまないがイモリー大尉をサポートしてくれ」


 「ハッ! 主の命とあらばーー

 このヴォルフスペード、誠心誠意努めさせていただきます!」


 俺の言葉に、ヴォルフスペードが胸に手を置きながら騎士の礼を執り、

 先ほどまで紅潮していた顔を引き締める。

 一方、羨望の眼差しで俺たちを見つめていた、

 周囲の騎士たちも姿勢を正した。


 結局のところ、なんやかんやと理由をつけられ、

 俺たちはキヌギス砦にさらに一泊。

 ハゴネの風も穏やかで、心地よい朝日に見送られるが如く、

 出立の朝を迎えていた。


 そんな中、『江戸っ子鼓動』がヒョイと『妄想図鑑』から顔を出し、

 ニヤけながら新たな提案を打診する。


「旦那、あっしから戦略担当を一人、推薦したいんでやんすが?」


 「ん? 戦略担当? 誰のことを言ってる?」


 見当もつかない俺はしばし頭を捻った。

 一方で、『江戸っ子鼓動』は、『妄想図鑑』のページをパラパラと捲り出し、

 眉に皺を寄せながらある所で指を止める。


「No.018:紺トラスト将軍、出てきなせぇ!」


 そう言って、碧角を持つ竜頭の巨体を引っ張り出した。


 周囲の騎士たちもその不思議な光景を見慣れたのかーー

「「「「おおおおおおお!!!!」」」」

「「「「「またあの召喚術だ!!!!」」」」」

 と歓声を響かせていた。


 周囲の歓声に驚く、顕現した紺トラスト将軍を他所に、

 『江戸っ子鼓動』が口を開く。


「彼はジュリさんのミニスカートが捲れた瞬間、

 視認した場合99%で顕現する妄想体でやんすが、

 知力も高く、妄想界きっての策略家だと認識しておりやす。

 彼のスキル【黄金布の号令】は、

 掲げたあの黄金布から軍令が響き、味方を強制的に従わせる力がありやす。

 ですから、ここは、彼を戦略担当として……

 着任させておくのが無難でやんす」


 得意げにそう言って『江戸っ子鼓動』が図鑑をパタンと閉じた。


 一方、何が起きたのかわからない様子の紺トラスト将軍が、

 その琥珀の目で周囲を見渡す。

 そして、彼がその大きな顎から不揃いの白い牙をチラリと見せた。


 挿絵(By みてみん)


 その様子にイブの『暗殺者』としての慧眼が彼を射抜く。

 

 「金のレース布を掲げているが、

 ジュリリンのインナーが金色の時の布なんじゃろ?

 彼女の今のインナーはビビッド・ブルーじゃ。

 今は、妾が金色を身に付けとる、なんなら見てみるかぇ?」


 そう言ってイブが微笑を浮かべ、お決まりのツッコミを入れる。

 一方で、動揺を色濃く滲ませる紺トラスト将軍が口を開いた。


「これは主の思考が作り出したもの……主は、金色が好みのようだが、

 我は別に何色でも構わんのだよ。

 この布の色を変えることは、我にはできないのだ。


 ところで、話は変わるが主よ。

 ここには我が龍族の王となる者ーー

 黒龍の皇子の匂いと妖精龍の長の匂いがするのだが……」


 その言葉が紡がれたーーその瞬間、広場に一陣の風が吹いた。

 尋常ならざる【覇気】が漂う中、こちらに歩み寄る二人。

 その片割れ、フードを被る高身長の男が、黒いローブを靡かせる。


 挿絵(By みてみん)


 「鋭いじゃねぇか。紺トラストとか言ったか?

 オイラが黒龍の長、ギャニスの息子で名はクロニク。

 それと……この別嬪がたった今、妖精龍の長になったコガラだ」


 不敵な笑みを浮かべるクロニクと、

 銀髪を揺らし神秘的な銀鱗鎧を纏ったコガラの姿に、

 広場にいた騎士たちが文字通りーー息を呑んだ。


「お、おい……コガラって言ってたよな……あの綺麗なお姉さん、

 さっきまで小さな妖精龍じゃなかったか……?」

「しかも、あの黒ずくめの男から漂うこの威圧感は一体……!」


 ざわめく周囲を他所に、俺はコガラの姿に思わず目を丸くする。

 

 どよめく広場の最前線で、

 紺トラスト将軍が顎を撫でながら、その琥珀の目を細めた。

 彼は戦慄するどころか、どこか面白がるような不敵な笑みを浮かべている。


「龍皇一族の皇子と、新たな妖精龍の長が揃って、

 我が主の眷属とは……主は龍種よりも上の存在なのか?」


 紺トラスト将軍が低くつぶやいたその瞬間、

 ピリリと張り詰めた空気が周囲の空間を震わせた。


 ――だが、その緊張感を一瞬で切り裂いたのは、

 当の本人であるコガラだった。


「あるじーー! 人化できたよーー!

 ……じいちゃんが、コガラに、この力をくれたの……」


 コガラが自分の新しい手足、そして眩い銀鱗の鎧を見下ろし、

 どこかおろおろと戸惑うように首を傾げる。


 次の瞬間ーー俺の胸に飛び込んでくるコガラ。

 そのあどけなさが残る仕草は、

 美貌の妖精龍へと変貌してもなお、どこか愛らしい面影を残していた。


 挿絵(By みてみん)


「なっ……なんだ、その可愛い反応は……!」

「たまらん……オラッチのハートが完全に射抜かれたぞ……!」


 周囲の騎士たちから、別の意味での歓声や悲鳴に近いどよめきが漏れ出す。


 ヴォルフスペードが腕を組み、

 「ふん」と鼻を鳴らしながらも興味津々な視線を送る中、

 クロニクが「フッ」と余裕の笑みを深めた。


「堅苦しい挨拶は抜きだ。オイラはな、親父の言付け……

 七星の武器を探せと言われて、兄貴たちと旅をともにしている。

 

 ……ギャラン叔父上が突然目覚め、コガラに跡を譲って亡くなった。

 龍皇一族、それも長が代わるなんてーー1000年に一度あるか無いかだ。

 只事じゃねぇんだよ、これ。 なぁ、兄貴も勘付いているんだろう?

 この世界を揺るがす『面倒事』が動き出していることを……」


 クロニクの翡翠色の瞳が、俺の姿を捉えて真っ直ぐに見据える。

 その言葉の重みに、周囲の空気が再びピリッと引き締まった。


 龍皇一族の長の交代、魔族四天王の影、

 そして緑龍たちが逃れてきた背景――。

 不穏な影のピースがいよいよ揃いつつあった。


 なんだか宿命、いやーー。

 運命の渦に巻き込まれているような感じだけども……

 今は精一杯、目の前のことを一つ一つクリアするだけだ。


 思うところは多々あるが、今までのことを咀嚼する。

 俺は逡巡しながら、どこか太々しい態度の紺トラスト将軍を見かねて、

 彼の尖った耳元で小さく囁く。


「将軍って肩書きは、俺が妄想で付けたに過ぎないんだぞッ!

 現実の世界は甘くない……これからは軍の規律に従ってもらう。

 紺トラスト、あんたを軍の准尉とする。 

 気を引き締めて、イモリー・ゲガト大尉とヴォルフハート中尉を支えてくれ」


 「ハッ!」


 龍頭を下げ、一歩下がる紺トラスト「准尉」が態度を改め、姿勢を正した。

 

 場がしんと静まる中、

 風が穏やかに流れ、周囲から虫の鳴き声が聞こえ始めた頃。

 こちらに歩み寄るミリネアが、緑髪を絹糸のように煌めかせ唇を動かす。


 「ご主様、ポロン殿が、いまだに機内の一部を分解しておりますが……

 天気は快晴、絶好の飛行日和ですね」


 そう零した瞬間、彼女の視界が留まり、表情が変わった。

 

 「えっ! その【覇気】の感じからしてーーコガラなの? 

 ……人化できたのね、おめでとう。 

 ところで……ご主様、コガラの艶っぽい姿に目が逝っておりますが……」

 

 悪戯っぽい笑みを見せる彼女は既に、

 操縦する気満々のスチームパンクの姿に装備を変えていた。

 さすがミリネア、抜かりが無いーー

 しかし、彼女の目は当然の如く、笑ってはいなかった。


 一方で、コガラが悦びをあらわにミリネアに抱きつく。


 「ミリネアねぇしゃん……コガラ、人化できたーー!」

 

 そのコガラの愛らしい仕草と表情に、ミリネアも目尻を下げた。


 一方で、ミンシアを筆頭にアカリ、ジュリ、パメラが、

 臨時の救護テントで、負傷している騎士たちの治療を終える。

 

 他方ノビが作ったパンを摘み食いするアリーを他所に、

 ミーアとココが騎士たちにひとつずつ手渡していた。

 ShadowWindの面々が砦の復旧作業を手伝う中、

 『江戸っ子鼓動』に顕現させられたーー

 『青銅のトライアングル』が壁を修復。

 「ガガガ、シュウリ、シュウリ」と機械音のような声でつぶやくたび、

 騎士たちが目を丸くしているのが、妙に可笑しかった。


 その光景に思わず口元が緩む中、俺は声を上げる。


 「おーい、みんな、そろそろ帰るぞーー!」


 周囲の騎士たちや仲間たちの視線が俺に集まる。

 

 その時だーー。

 アナ・ドレン少将の制止も意に介さず、

 ミテミナ・ビボウ中将が顔を真っ赤にしながら口を開いた。


 「あ、あの、元帥閣下ーー我を、いえ、わたくしを、

 閣下の側室に加えては……いただけませんでしょうか?」


 凛とした澄んだ声が響く中、

 その爆弾発言が、周囲の空気を一変させたーー。


挿絵(By みてみん)

 

 その声が耳に届いた天上の神々が口を揃える。


「「「魅了覇気ッ!!!」」」












 

 読んでくださり、ありがとうございます。

 引き続き楽しんでいただければ嬉しいです(๑╹ω╹๑ )

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― 新着の感想 ―
更新お疲れ様です! コガラちゃんの人化姿が綺麗なのに甘えん坊でめちゃくちゃ可愛かったです!(*>∀<*) ……からの、ラストのミテミナ中将の側室おねだり爆弾に大爆笑しました(笑)。 天上の神様たちの…
キヌギス砦の今後に向けた体制づくりと、出立前の賑やかさが楽しかったです。 ヴォルフスペードさんが軍中尉として砦に残り、さらに紺トラスト将軍まで戦略担当として補強される流れが面白かったです。妄想図鑑の…
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