◆『妄想図鑑』◆No.21:ズットハート
久しぶりの妄想図鑑Σ('◉⌓◉’)
「旦那……峡谷の精霊じゃ、もう収まりやせん」
『江戸っ子鼓動』が揉み手を止め、珍しく真顔になる。
「旦那の血を飲んだあの瞬間……
図鑑が勝手にページを増やしたんでさぁ。
ーーあっしのせいじゃ、ありやせんぜ」
鼓動の言葉に呼応するかの如く、黄金の光が『妄想図鑑』を包む。
ページがひとりでに捲られ、
峡谷の長を描いていた一枚が、塗り替えられる。
進化を遂げたルーブルンの新たな1ページがここに刻まれたーー。
■ 外見特徴
青銀色の肌は夜露のような艶を帯び、
長い蒼髪は闇夜に溶けるように揺れている。
額には漆黒の角が二本。
背には悪魔を思わせる黒翼が静かに広がり、
その姿は精霊というより、
夜を統べる魔族の姫君そのもの。
しかし一番危険なのは、その瞳。
深い翡翠色の瞳には、
紅いハートが宿り、
目を合わせた者は心の防壁から崩される。
唇へ添えた細い指先は、
「静かに……」
そう囁いているようだった。
■ 種族分類
眷属サキュバス(魔族系統)
■ 出現地
『妄想図鑑』深層領域ーー【誘惑の回廊】
■ ランク
SSS級妄想眷属
■ 発動契機
ゴクトーの血液を取り込み、魔性精霊としての核が完全覚醒したこと。
それゆえに垣間見えたゴクトーの心の「揺らぎ」を彼女が歓喜で受け止め、
その感情が甘美な「誘惑」へと昇華した瞬間。
■ 通称
『夢魔の愛姫』
■ 二つ名
『闇夜の誘淫』
■ 内面/キャラ性
挑発的な視線と所作がすべてを物語る。
「語らない分、語っている」系の最上級妄想体が眷属化。
あくまで“ゴクトーの無意識”が創り出した存在であるため、制御不能。
近づきすぎると → ゴクトーの夢の「夜伽」が現実になるリスクあり。
■ ステータス
(妄想補正・眷属化後)
【HP:260】→ ゴクトーの夢の中で、「夜伽」を完遂すると♾️に。
【MP:999】→ 魅了魔法を無尽蔵に放つ。
【STR:68】→ 細腕ながら魔族並み。
【DEX:120】→ 音もなく距離を詰める。
【INT:94】→ ゴクトーの心理は全て理解している。
【SEXY値:測定不能】→ 測定器が三度壊れた。
■ スキル一覧
【ハート・アイ】
視線が合った対象へ恋慕の呪印を刻む。
(精神耐性低下・魅了)
【夢魔の誘惑】
甘い吐息で精神世界へ侵入。
対象は幸福な夢を見続ける。
【ズットハート契約】
主人ゴクトーから離れるほど魔力が低下。
傍にいる限り全能力上昇。
【夜翼飛翔】
黒翼を広げ、音もなく夜空を滑空。
【妄想共鳴】
ゴクトーの妄想を読み取り、
幻影を現実へ投影する。
■ 神代魔法との関連
神代秘術ーー【夢幻・玖】
精神世界を書き換える禁術。
鼓動の走り書きにはーー
「サキュバス……始祖と関係あり?」
と、だけ残されていた。
■ 図鑑メモ
「旦那を誘惑する気は、満々らしいんですが……
本人は”誘惑”じゃなくて、「愛情表現」だと思ってるみたいでさぁ」
ーー江戸っ子鼓動の独白より。
「……頭を撫でてくれないと、今日は帰さない」
ーーズットハートの独り言。
「おい鼓動。頭を撫でてやったが、
なんで眷属になると、こんなに距離感がおかしくなるんだ?」
ーーゴクトーの吐息混じりの愚痴より。
『妄想図鑑』のページを捲る手がふと止まる。
神代魔法の秘密も少しずつ明らかになりつつある中、
『精霊』だったルーブルンが、魔族系へと進化を遂げた。
……やはり俺には、
ーー魔王の血が流れているのか?
そう思いながらゴクトーは、『妄想図鑑』をそっと閉じたーー。
読んでくださり、ありがとうございます。
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