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妄想図鑑が世界を変える? 〜異世界トランザニヤの末裔がその物語を塗り替える〜 #イセトラ    作者: 楓 隆寿
第3幕 動章  〜ワイバーン討伐と新たな仲間〜

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『Caravan・Climb』な夜編 1 〜屋台と舞台〜



 新編スタート!

 このエピソードには、ある方をゲストに迎えーー。  Σ('◉⌓◉’)汗

 






「黒銀の……まさか、あのテンガロンハットは昔、

 お主が作ったものじゃないじゃろの?」


 雲間から顔を上げる神シロの眉がつり上がる。


「ん? そうだな。ココリドちゃんの真似。てへぺろ」


 トランザニヤのふざけた態度に、神シロの肩がワナワナと震え出す。

 次の瞬間、黒い雲が雷鳴とともに現れ、地上では嵐が吹き荒れる。

 一方でとある地域の民たちは、いきなりの天変地異に恐れ慄く。


 天界が最悪の雰囲気の中、神シロの妻ーー女神東雲が割って入る。


 「あなた、何をそんなにお怒りに? 

 あの変異生命体には、つい先日の天界城で開かれた、転生会議の後ーー

 創造神様が、ゴクトー君のお祖父様を、

 あのテンガロンハットに転生なされたばかりですのに……」


「何ぃ!?……ただでさえ、

 「普通の変異生命体」ではない、あのテンガロンハットを……か?」


「ええ、創造神様はニコニコとなさってましたが?」


 バタンッ!


「っえ!」


「あなたっ!、しっかり」


 神シロが頭に血が昇りすぎて雲の上で倒れた瞬間、

 轟く雷鳴はなりをひそめ、嵐は止み、地上には晴れ間がのぞいた。


 一方地上では「”神の怒り”が収まったぞ!」と歓声が湧き上がった。



 

 ーーそんな天界の事、とある地域など微塵も知らないゴクトーは、

 アドリア公国北方の村、ビヨンドのメイン通りを一同とともに歩いていた。





 ◇(ゴクトーが語り部をつとめます)◇




「あるじーー”おなかしいた”ーー!」


「空いただぞ。コガラ」


「まちがいはーーだれにだってあるんさーー」


 コガラがパタパタと俺の周囲を飛び回る。


「お前、だいぶ……知恵つけたな……?」


「ククククク」


「……その笑いもだよ。そういう所」


 コガラとのやり取りに俺は息をつく。

 

 そんな中、アリーがモフモフの尻尾でコガラを揶揄う。

 まるで猫じゃらしの猫にでもなったかのようにコガラが戯れていた。

 その面白い絵面に仲間たちも一斉に吹き出す。


 雲ひとつない墨空に浮かぶ二つの月が、

 アリーの銀尾とコガラの透き通るようなーー

 七色の羽を美しく照らし出す。

 その横で笑う仲間たち。

 ちょっとだけ頬に冷たさを感じるが、

 どこか柔らかさを感じる風が吹き抜ける。



挿絵(By みてみん)

 

 その刹那、アリーがピクピクと鼻を動かす。

 

「串焼きの匂いにゃ!お腹がなりゅ!」


 「おなかがなりゅ!」


 もちろんアリーのコトバを追従するコガラに、

 ミリネアに教わった通り、叱らずそのまま言葉を返した。


「何か食べような。大人しくしてたもんな、偉いぞ」


 俺の肩の上にバサッと飛び乗る小さなレディーのコガラが、

 頬を少し膨らませて、満足そうに首肯した。


 その瞬間、 ”ぐぐぐぐぐぐぐぐゴゴゴゴゴ……!”


 地響きのようなーー低い音が聞こえてくる。


「何かくる!」


 誰かの声が上がった瞬間、一斉にそこから飛びよけ、身構えた。

 場に緊張がーー走った。




 「ちつれい……わたちのお腹の音」



 ポロンが気まずそうに零す。

 彼女の腹の音が喧噪を超え、夜道に響いた音だった。


「……おいおーい!」



「殿……お腹が空きましたぞ。ここの屋台、良い匂いがするのぅ」


「にゃ、お腹減ったにゃ……僕もう我慢できにゃい。ゴク兄ぃ」


「肉の焼ける匂いって、お腹が空きますわね。ダー様」


 「……! ポロンヌナ、1メード(m)も身長ないのに……」


 俺のツッコミなどお構いなしに、

 イブ、アリー、アカリ、ジュリが矢継ぎ早に言ってくる。

 それは息つく暇もないほど。



 他の仲間たちも屋台の明かりを眺めながら、

 漂う匂いに誘われて目を輝かせている。


 軒を連ねる屋台の中で一際目を引くのはーー

 赤と白の魔導具提灯が明るく闇夜を照らす中、

 ピクッと獣耳を動かし、燻銀の獣毛を靡かせる中年職人の屋台だ。

 

 店主が手際良く、串刺し肉を炭火の網の上に乗せ、隙間なく並べる。

 ブシューー!っと、脂が滴り、炎がブワッと店主の目の前で大きく揺らぐ。

 豪快に焼かれながら、その串が狐色に色づく頃には、

 芳しい香りが周囲に漂い始めた。


 看板には肉が串に打ってあるイラストにーー

 (ブラック・)(ロック・)(バード)の焼き鳥屋と書いてある。

 


 他方からは、「寄ってらっしゃい!」と掛け声をかける魚人もいればーー

 「ここの揚げたてコロッケは、エールに合うなッ!」と、

 赤い口髭に泡をつける小さなおじさんドワーフたちが、

 上機嫌で盃を傾けていた。

 

 食欲をそそる惣菜店が多数並び、どれも頭と腹を刺激する。

 そんな中、クロニクが俺を見て琥珀と青い目のオッドアイを輝かせる。


「兄貴、腹減ったな。オイラ、屋台の飯は初めてなんだ」


「そうだな。たまには屋台も悪くないか」


 俺がそう答えると、ミーアが小さな声で口を挟む。


「クロニク皇子、リーダー……ミンシア姉様が待ってる。

 ジュリさんに魔法を教わるって意気込んでたの……」


 ミーアの言葉に、俺たちは思わず顔を見合わせた。

 一方でミリネアが静かな念話で告げてきた。


《「ご主様、申し上げにくいのですが……

 我が妹、ミンシアが今か今かと、店で待っております」》


 落ち着いた彼女の声色に、俺も念話で返す。


《「ああ、わかった。手早く済ませて向かおう」》


 念話を返すと、ミリネアが柔らかく唇を緩め、小さく頷く。


 「ヨーシ、みんな、たまには気楽な時間を過ごすのも悪くないよな……?」


 俺の言葉に一同が頷き、その表情がパァと明るくなった。

 固唾を飲む音が聞こえる中、

 俺たちは、メイン通りの中央、時計台の灯りの下へ。

 

 今にも飛び出していきたいーー。

 衝動を抑えるのに必死なクロニクとアリーに、思わず口元が綻ぶ中。

 俺は口を開いた。


「手分けして好きなものを買い込んで、

『ロカベルの魔法薬材と薬店』へ向かおう。

 師団長たちも良かったら付き合ってほしい。

 あ、あと、ミンシアの分も忘れずにな」


 そう提案すると、皆、それぞれ屋台の料理に目星をつけ始める。


 冒険者や軍隊として緊張感のある日々を送っている分、

 こうした緩やかな時間には、飢えているのだろう。


 俺は『アイテムボックス』から、金貨の袋を取り出そうとした。


 だがーー。


「へんダーっ!金貨じゃ屋台のお釣りは出ないわよっ!」


 ジュリの鋭い声が飛んできた。


「あ、そうだった……なら銀貨だ」


 少し苦笑しながら、『アイテムボックス』から銀貨の袋を取り出した。


 ……こうして笑っていられる時間が……

 いつまで続くか、わからないからな……。


 一人一人に袋を手渡しながら、受け取る仲間たちの笑顔に癒される。

 全員に渡し終え、一言添える。


「足りなかったら立て替えといてくれ。あとで払う。

 買い喰いや他に欲しいものがあれば、好きに買って構わない。

 ここに……この時計台の前に、三十分後に集合だ」


 すると、アカリが一歩前に踏み出す。


「わかりました、ダー様。

 私とジュリはあちらの、黒鍵鳥の焼き鳥を買ってきます。

 ジュリがアレには、目がないので」


「行くわよっ!ネーっ!」


 ジュリが勢いよく答え、二人で焼き鳥の屋台に一目散。


挿絵(By みてみん)


 

「屋台は逃げないぞ……」


 思わず零し苦笑する俺を他所に、アリーが涎を拭う。


「僕とポロンヌナで、オーク肉の豚まんを買ってくりゅ!」


 そう言ってポロンと手を繋ぐアリーも、

 ニコニコしながら隣の屋台を指差す。


 一方で、パメラが意気揚々と声を高らかにして宣言。


「あたいは、そこの酒場でエールと、好物のバルボン酒を仕入れてくるわん!」


 その澄んだ声は良く通り、注目を集めた。

 一瞬騒つく周囲にもお構いなしで、

 彼女に張り付いていたノビが、慌てて名乗りを上げる。


「先生! オラもいきまづ!」


「要らん!」


「先生が嫌でも、オラはついていくんさ!」


 ノビが必死に喰らいつく。

 だがパメラの表情が一瞬だけ変わる。


「いきまづ!」


「来るな!」


「いきまづ!」


「しつこーーい」


 ”変なところ”から出てるパメラの声に思わず吹き出す。


「いきまづ〜から〜」


 ノビが泣きながらパメラに抱きつく。


 だが次の瞬間ーー。


「貴様ァああああああああああああ!!!」


 怒号とともに必殺技ーー胸の『爆弾(ダイナマイト)』がブルンと揺れ、

 旋風が巻き起こり、パメラの足下、拳ほどの小石を巻き上げた。


 ビシィッ!!


 抱きつくノビの顎に炸裂。


 「したっけ  たっけ  っけ  け……」


 スローモーションのように、ノビが仰け反りながら宙を舞う。


 バタンッ!


 そして、石畳に倒れ込んだ。

 

挿絵(By みてみん)


 周囲は息を飲みーー

 一瞬の静寂が広がる中。


「下顎に命中か。……脳震盪(のうしんとう)じゃな。

 あれを喰らったらしばらくは、起き上がれんじゃろ」


 イブが『暗殺者アサシン』の視線で解説する。


 だがその時、ノビの身体がピクッピクッと動く。

 

「お!カエルも死んだふりするんだな。ははははは」


 クロニクが豪快に笑った。

 それに釣られる師団長たちもゲラゲラと笑いだす。

 

 一方でパメラ本人はやりすぎたのかーー

「ふん、私の『爆弾』に顔をつけおって……」と。

 顔を真っ赤に染める彼女の声には、どこか照れが滲んでいた。


「いたかっ……たん……さ……んでも……これぐらい……

 報酬を得たんだから……しかたが……ないんさ……」


 言いながら、ゆっくりと立ち上がるノビ。

 フラフラの姿のノビに俺がすかさず突っ込む。


 「ノビ、お前は勇者か? ヒーローなのか?」


 その言葉に周囲から、

 「よ、にいちゃん、千両役者!」、

 「燃え上がれ〜ヒーロー」なんて、歓声まで上がる始末。


 俺は思わず『恒例行事』に苦笑い。


 パメラだって、なんだかんだ言って、

 そんな嫌そうじゃなかったな。ありゃ照れ隠しだ。


 俺がそう思っていた矢先、ふと不安がよぎる。

 酒を買いに行くパメラに心許ない金額を渡したのを思い出した。

 

「パメラ、銀貨じゃ足りないだろ?」

 

 俺が問いかけると、パメラが胸を押さえ、得意げに笑った。


「ゴクちゃん、あたいだって酒代ぐらい持ってるわん。

 それに、アリーちゃんにペプシュ・コーラも頼まれてるしね」


「そうか、すまん。あとで精算するよ」


 俺の言葉にパメラが軽やかにウィンクで返す。

 艶っぽさは相変わらずだが、彼女が穏やかな表情に変わった。


「仕方ないわねん。ノビ、さぁ行くわよ!」


 パメラがソッポを向きながらもノビの手を握る。

 その表情はどこか慈愛に溢れていた様に感じたが、

 彼女の言葉と仕草に、突っ込まずにはいられない。


 「そのギャップ!!」


 俺のそのツッコミに周囲から思わぬ拍手が飛んでくる。

 ーーまるで俺たちが舞台上に立つ、

 コメディアンのように思えてくるのは何故だろう。

 だが次の瞬間、主役が見るも無惨に舞台上から去っていく。


 「したっけ、先生! ぁわわわ」


 ノビを引きずり、どこか楽しそうにパメラが酒場へ向かう。

 見送る俺は、さらに笑いを誘った。


 一方で、場違いな雰囲気を醸し出し、

 クロニクとミーアの間には、甘酸っぱい空気が流れていた。


「アレが食いたいんだが、

 買い方がわからん……ミーア姫、オイラと一緒に来てくれないか?」


 クロニクが隣のミーアに頼み込む。


 気恥ずかしそうにしていたミーアだったが、小さく頷いて答えた。


「ええ、うちもミンシア姉様もアレは好きですから……」


 二人は少しぎこちない歩調で並びながら、

 羊肉の串焼きの屋台へと向かって歩いていく。


 その姿は微笑ましくもあり、なんだか照れ臭くもあった。

 そんな中、師団長キキが白髪を掻きながら、頬を染めて提案する。


「ゴクトーさん、あたしたちは、イブ姫様と一緒にホロホロ鶏の唐揚げと、

 オックス牛のメンチコロッケを買って参ります」


 彼女に続いてガリ、マルル、メルルも頷き、揚げ物屋台へと足を運ぶ。


 見送る俺の背中を、トントンと軽く叩くミリネアが、唇を動かす。


「ご主様、あちらに〝腸詰炒め〟の旗が見えます。

 少し遠いですが、あの屋台の腸詰が食べたいのです……」


「わかった。一緒に行こう」


 ミリネアに答えると、彼女が嬉しそうに俺の袖をそっと掴み、

 ほんのりと頬を朱に染めながらも腕を"ぐいっ”と引っ張る。

 その柔らかさがもちろん腕に伝わった。


 柔らかすぎるんだよ……嬉しいけども。


 そう思ったのも束の間。

 肩に乗ったコガラが小さな羽をばたつかせ、俺の頬を軽くつつく。


《「あるじ、うれしいの?」》

 

 コガラの念話が脳内に響くその最中、

 揶揄うような目つきで俺を見るミリネアの念話が続いた。


《「ご主様ったら」》


 我が眷属ながら、最近このやり取りに手を焼く俺は思わず返す。


《「うるさい、余計な思考を読むな!」》


「「ククククク」」


 と、コガラ同様ミリネアも噛み殺したように笑った。


 「……お前らそれテンプレだろ!」


 言いながらも息をつく。

 

 そんな中、一同が屋台へ散り散りになって向かう中、

 コガラを肩に乗せ、ミリネアとともにゆっくりと歩き出したーーその刹那。

 不意にココが俺たちの前に、一歩踏み出す。


「大将閣下殿……」


 零しながら頬を薄紅に染め、視線を逸らし、

 ココが俺の腕にそっと手を伸ばす。

 その細い指先が俺の袖を掴んだーーその時。

 まるで意を決したかのように彼女が口を開く。


「我もお供させて頂きたく……その……イブ姫様には、

 護衛師団長たちもついておりますゆえ、護衛の必要はございませぬ……

 ですから、どうか我を……お傍に、いえお供に……」


 その言葉と同時に、ココの腕が俺の腕を絡め取る。

 見た目”以上”に大きな胸が、押し付けられ、

 一瞬、俺は状態”異常”を引き起こす。


 ……って、韻を踏んだつもりかっ!


 自身にツッコミを入れる俺はさておき。


 さりげない動きではあったが、予想外の柔らかな感触にーー

 ドキッと『江戸っ子鼓動』が飛び跳ねた。


 「偉丈夫な旦那だから、柔らかいぐらい大丈夫でやんしょ!」


 そう言って『江戸っ子鼓動』まで韻を踏む。

 思わず心の中で「出てくるな!」と命じつつ、平静を装う。


 「……ココさんや、急にどうした……?

 大将閣下殿って、俺のことだよ……ね?」


「ええ……あなた様しか、おられません」


 そのココの言葉に息が詰まった。



挿絵(By みてみん)


 ……いや、それ以前にだ……

 顔も整ってるし、スタイルも抜群だし。


 …えっ?…ど、どうする俺ッ!

  ど、どうする?

 

 心中動揺する中、新たな舞台の幕が上がったーー。










 お読みいただき、ありがとうございます。


 このエピソードは仲良くしていただいております、

『黒鍵』様をモデルにした『黒鍵鳥ブラック・ロック・バードに、

 焼き鳥になっていただき、特別友情出演していただきました。

 逃げろ! ε=ε=ε=ε=ε=ε=┌(; ̄◇ ̄)┘


 Xアカウント @BlackkeyU


 私が愛読する╰(*´︶`*)╯♡


『転生忍者は忍べない ~今度はひっそりと生きたのですが、王女や聖女が許してくれません~』

 作者:黒鍵様


 https://ncode.syosetu.com/n6279jv/

 【小説家になろうサイト】でしか読めません。

 こちらも読んでいただけたら嬉しいです☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆


 



 



 


 





 




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― 新着の感想 ―
黒鍵さーん! ま、まさかの焼き鳥姿に!(笑) ついに新編始まりましたね! まったりスタートのように見せかけて、なにやら情報が! Σ(゜Д゜〃) さてはて、ゴクトーさんたちの冒険の道は、いったい何処…
新編スタート、おめでとうございます(祝 ゜▽゜)っ 今回は屋台通りの空気がとても楽しかったです。オーク肉の豚まん、ホロホロ鶏の唐揚げ、腸詰炒めなど、料理の描写だけでお腹が空いてきました(笑) そし…
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