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妄想図鑑が世界を変える? 〜異世界トランザニヤの末裔がその物語を塗り替える〜 #イセトラ    作者: 楓 隆寿
第3幕 動章。  〜ワイバーン討伐と新たな仲間〜

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新装備仕立て編 5 〜【ヒガツク・バラ・ドナイヤ】と【モンデ・ミタラ・ドナイヤ】、その破壊力〜



 ドナイヤのお披露目 Σ('◉⌓◉’)

 


 天上界では神シロがパチンと指を鳴らし、スクリーンパネルを開く。

 

「しかし、最近の装備はインナーにまで至るとはのぅ」


 そう言って最新のインナーカタログをスクロールする。

 「あ、これすごいわ」「やだァ、これ派手すぎ!」と、

 いちいち突っ込む女神東雲の目がカタログに釘付けの中。


 一人下界を覗くトランザニヤが黒銀の目を細める。


 「ルシーヌに、瓜二つだな。パメラ姫は……」



 挿絵(By みてみん)




 ーーその頃ゴクトーたちは、

 ビヨンド村の老舗テーラー、仕立て屋ジンロックで、

 仕立てた装備を受け取っていた。






 ◇(ゴクトーが語り部をつとめます)◇ 





「ゴクちゃん、これどう? 似合うかしらん?」


 そう言って膝をつく俺を見下ろす。 

 下から見上げるパメラの『爆弾(ダイナマイト)』は、やはりすごい破壊力。


 「よく似合ってるよ。かなり凝ったデザインだな」


 俺の言葉にパメラが口元を緩める。


「そうなのよん。笑っちゃうのは、ココリドさん曰くーー

『パメラ様の『爆弾』の衝撃を……このブラトップは魔法的に吸収し、

 赤蛇の杖へ魔力変換した上で、魔法効果を120%上昇させるんですわ!』

 ですって。

 あたいのためにそこまでして作ってくれたの。

 このインナーコルセットと薔薇柄のセット、

 1セット金貨30枚らしんいんだけどーー

 あたい、気に入ったから10セットは欲しいのよねん」


 艶のある声で、挑発するように問いかける。


 「金なら、まぁ、あるから構わないが」


 視線を引き寄せる妖艶な動きで、

 パメラが「ありがとう、ゴクちゃん」と言いながら、

 漆黒のローブを脱いで、姿見を覗き込む。


 映り込む俺に向かってパメラが口を開いた。


「ああ、そうだ、ゴクちゃん!

 あたいのインナーのセットの名前、凄いの!

【ヒガツク・バラ・ドナイヤ】って、言うらしいわん』


 あまりのピッタリなネーミングに俺は思わず苦笑する。

 そんな俺をチラチラと見ながらーー

 紫色が不気味に光る蛇のモチーフの杖を持ち、

 上機嫌にパメラが何度も自身の姿を確かめていた。

 

 赤の薔薇柄、黒いガーターストッキングから覗く美脚は、完璧なライン。

 赤いレザーのミニスカートと赤いショートブーツを履く彼女に、

 ノビの目が爛々と輝き始める。


 パメラの挑発的で大人な魅力と、ノビの先生としてのーー

 ギャップが彼の目をそうさせるのだろう。


 アカリでもジュリでもなく。

 ただ、鏡の中の真紅の魔女だけをまるで信仰のように見つめていた。

 気づいたパメラが少し頬を染め、唇を噛む。

 

「貴様は見過ぎだ」


 その言葉に案の定、ノビが赤くなった顔を伏せながらも、

 相変わらず「ケロッ」とした表情を崩さない。


 ……パメラさんや、もうちょっとノビに優しくしてやれよ……

 いや、確かに、これは見てて、面白いんですけども……。


 心中に沈める俺の目は、自然とパメラの後姿に吸い寄せられる。



 挿絵(By みてみん)

 

 鏡越しに、パメラの灰色の瞳がこちらを見つめていた。

 その視線に気づいた瞬間、全身の血が逆流した気がした。


「これよん、ゴクちゃん。

 この"大人の魅力”、しっかり目に焼き付けなさいねん……

 焦らないで、ゴクちゃん。いつか、わかるようになるわ」


 子供を愛おしむような、その笑み。

 鏡越しに俺を見つめるパメラの唇が、意味深に弧を描いた。

 そして、ゆっくりと舌先を唇に這わせる仕草を見せる。


 まさに『艶っぽさの頂点』ーー

 その言葉が似合うパメラに息を飲む俺を他所に、クロノクがポツリ。


「パメラ姫、やっぱり紅がよく似合ってるよ。その……」


 そう言葉を濁し、クロニクが顔を赤く染めた。


 ふと、パメラが思いたったかのように姿見を覗き込む。


 そして彼女が競り上がったミニスカートに気づかないまま、


「ちょっと。魔力上昇の付与を確かめてみるわん!」



 挿絵(By みてみん)



 そう言いながらーー

「【ヒガツク・バラ・ドナイヤ】!」と詠唱を紡いだ。


 その瞬間ーーインナーの赤い薔薇が紫の光りを放ち始め、

 黒いストッキングからは、紫色の魔力(マナ)の薔薇が幻想的に溢れ出す。


 クロニク、ノビがあまりの出来事に「っぶふぉ!」と噴き出し、

 眼球が飛び出さんばかりに見開いて絶句する。


 そんな中、カチッとしたスイッチ音が脳内に響く。

 俺の妄想眼”死線”が「主、この魔力がーーもし暴走したら、

 この村など一瞬で吹き飛ぶぜ!」と、

 その一つ目の(まなこ)を血走らせ、警告の赤を灯す。


 一方、鏡を覗く当の本人は「まずまずねん」と零し、満足げだ。


 挿絵(By みてみん)


 その刹那、再びスイッチが脳内でカチリとした音を響かせると、

 俺は我に帰り、大きく深呼吸。

 その彼女の豪胆さに呆れるばかりだった。


 ノビが天井のシーリングファンから送り出される風に、頬を冷やす一方で、

 クロニクが姿見に映る姿を確認するパメラに視線をチラっと向けるが、

 すぐさま逸らして、真っ赤な顔でカーテンの方を見つめる。


 その動きはソワソワとしてどこか落ち着かない様子。


「……ミーア姫の着替えは、まだかな?」


 クロニクの様子を横目で見たパメラが、

 悪戯(いたずら)っぽい笑みを浮かべる。


「どうなのかしらねぇ、ミーアちゃん、

 ココリドさんの付与の説明を真剣に聞いていたから……」


 その言葉にクロニクがため息をついた。

 一方のパメラは鏡の目でポージングをしながら唇を動かす。

 

 「ゴクちゃん! あたい、このお店、気に入ったわ。

 仕立て屋ジンロックは、お父様にお願いしてーー

 必ず、カルディア魔法国の御用達にしてもらうわん!」


 鏡越しの俺と目を合わせ、今にも国へ飛び出していきそうな勢いだ。

 よっぽど気に入ったのだろう。

 それは良かったと、ほっと息をついたーーその矢先。

 クロニクの言葉が届いたのか、”フィッティングルーム”のカーテンが開いた。


 頬を少し赤らめるミーアが、その新装備姿を顕にした。


「その……クロニク皇子、リーダー、この装備どう?」


 その恥じらいを帯びた声色の中にも、

 どこか自信ありげに進み出る仕草に思わず喉が鳴る。


 ミーアの背負う漆黒の弓と黒い矢羽が、

 仕立て屋の温かな灯火を撥ね退けるようなーー

 冷たく鋭い黒の光沢を放つ。

 

 彼女が漆黒のレザーのロングローブを翻し、

 僅かに揺れる胸の黒レースインナーを際立たせるかのように、

 編み上げられた革紐もまた、ウエストラインを美しく引き締める。

 その紫のレザーコルセットは丈も短く、

 彼女の補助魔導具ーー銀の臍ピアスもその存在感を知らしめる。

 歩くたびに揺れる腰の小刀(ダガー)は、

 黒のレザーバンドのホルダーに、出番を待つように収まっていた。


 その装備の洗練された華やかさに息を呑む俺とノビ。

 だがクロニクだけはーー

 目と口を大きく開き、頬を赤くしながら絶句していた。


 歩み寄るミーアの美脚ーー

 短い紫レザースカートからはチラリと覗く、

 レースのガーターベルトと古代の紋様を思わせる黒柄のストッキング。

 

 ミーアが少し息をつきながらどこか照れたように目を伏せた。


挿絵(By みてみん)

 

 彼女の視線の先ーー膝上までの黒のロングブーツがコツコツと音を鳴らす。

 そのブーツもまた、彼女の足にフィットするようなーー

 二段階式ベルトが施されている。


 足音が止まると、

 部屋にはクロニクの激しい鼓動さえ聞こえてきそうな静寂が訪れた。

 

 その場にいるジュリとパメラ、コガラですら彼女の容姿に見惚れる中、

 ミーアが頬を朱に染め、どこか躊躇いがちに唇を動かす。


「こ、これ……おかしいでしょうか? 

 リーダー、 ジンロックの娘さんのココリドさんが、

 わざわざ、うちのために、

 インナーに素早さ上昇の付与までしてくれたの。

 黒のレースブラトップなんて、うちのサイズにぴったりで。


 さらにガーターと編みタイツにも、

 攻撃力上昇の付与を施してくれたんだぁ。

 デザインもうちの好みで……

 ブラとビキニ、ガーターと編みタイツ、

 ワンセットで金貨18枚なの。

 7セットは絶対欲しいんだけど!」


 いつもなら遠慮がちなミーアだが、その声にはどこか迫力を滲ませる。

 その言葉にクロニクが突然、ガバッと俺の肩を両手で掴む。

 

「兄貴、ぜ、ぜひ買ってやってくれ!金ならオイラがなんとかする!」



「似合ってるよ。凄く……ミーア姫」


 クロニクが真っ赤な顔で動きを止め、見惚れていた。

 

 その裏返った声と仕草に仲間たちがクスッと笑みを溢す中、

 一方で、ミーアとクロニクが、

 お互いにわざと目を合わせないようにしているーー

 その様子がなんとも微笑ましい。


 そんな中、店の奥から戻ってくるジンロック。

「こりゃ眼福……いかんいかん……ごふっ」と、

 気不味そうに咳払いをしたが、

 ジンロックが耳まで赤くなっているのが丸わかりだ。

 

 一方ミーアが、大きな姿見の前に立ち、自分の姿をチェックし始める。

 そして、ふと鏡越しからクロニクに目を向け、ふわりと微笑む。


「うちのこの装備……これから揉まれるのには……もってこいね」


 挿絵(By みてみん)


 小さく零し、彼女が舌をぺろっと出した。


 ボンッ!とまるで爆発したかのような音とともに、

 クロニクの頭から蒸気が湧き出てきた。


 

 ……おい、やばいぞミーア、

 クロニクが昇天しかけているぞ……。


 

 心中に沈めながら、俺はミーアの装備の金額を計算していた。

 

 だが、今の俺は懐に余裕がある。

 これまで師匠が貯めていた、白金貨が287枚ーー俺個人が所有している。

 これは旅の途中でちょこちょこと使い減ったが、

 元は300枚以上もあった。

 パーティとしての資金は、ダンジョン攻略の宝箱の中身と報酬。

 ワイバーンの討伐諸々含めーー白金貨が約8万8000枚ある。

 金貨にすれば、今のレートなら88万枚だ。


 アカリ、ジュリ、パメラでーー

 金貨391枚(アカリ70枚 + ジュリ21枚 + パメラ300枚)

 ミーアの126枚を合わせるとーー517枚。白金貨52枚でお釣りが来る。


 俺のポケットマネーを使ったにしろ、まだまだ余裕だ。

 パーティの資金はある程度残して、後から山分けすることになっている。


 思考を目まぐるしく巡らせ、計算する俺を他所に、

 ふと、ミーアが姿見の前でポツリとつぶやく。


 「うちのインナーセットの名前、かっこいい。

 【モンデ・ミタラ・ドナイヤ】なんてーー森の精霊の名みたいっ!」


 そう言って彼女が微笑み、胸元を手で押さえる。


挿絵(By みてみん)

 

 その可愛らしい声と仕草にーー

 クロニクが骨抜きにされ、ヘナヘナと座り込む。


 一方でジンロックも、ミーアの『谷間』から目を離せずにいた。

 

 そんな気まずい熱を帯びる不思議な空気が漂う中、

 カーテンが勢いよく開いた。



 「どうかにゃ?ゴクにぃ?」


 獣耳をピクッと動かすアリーだ。

 

 袖口に白い古代文字を縫い付けた、

 羽織る漆黒のローブの背後から、彼女のモフモフの尻尾が揺れる。


 黒と茶の迷彩柄オーバーオールを身に纏い、

 灰色かつ燻銀で描かれたようなーー

 古代文字が浮かぶスカーフを巻いていた。


 鈍く光る腰のベルトのバックル。

 そのベルトに下げられた、投げ縄、

 ブラウンレザーの小粋なポーチと、爪切りのキーホルダーが、

 歩くたびに僅かに揺れていた。


 その可愛らしくもあり、狩人を思わせる姿に一同の目尻が下がる中。


 力強く踏み出す彼女の太ももにはガンホルダー。

 二段で固定された革バンドが、その重厚な重みを醸し出す。

 収められた魔導銃が、彼女の魔力に反応しながら青く光りを放つ。


 一同の視線を集め、どこか照れたような素振りを見せるアリー。

 頑丈なイエローのタクティカルブーツの歩みが止まった。


 「みんな、恥ずかしいにゃ……でも。僕、気に入ってりゅ!」


 そう言ってアリーが俺に抱きついてくる。

 無邪気な彼女らしい、元気な明るさを際立たせるのが憎い。


挿絵(By みてみん)


 「んーん……アリーは可愛いな。ヨシヨシ」


 彼女の頭を撫でながら自然と口元が緩む。

 

 一瞬彼女の感情に反応するかのように、

 ガンホルダーの魔導銃がより一層強く青い光を放った。

 

 アリーが嬉しそうに目を細めると、姿見の前に立ち、自分の姿を確認する。


「可愛いよ、アリー。凄く似合ってる」


 俺の素直な言葉に、

 指先が出たグローブで顔を覆うアリーが、はにかんだ笑みを浮かべた。

 

「アリーちゃん!」


 突然、♡の目をしたミーアが飛びかかり、アリーに抱きつく。


 その様子に驚いたコガラがバサっと飛んで止めに入るが、

 逆にクロニクに抱きかかえられた。

 

 一方でノビが相変わらずパメラに釘付けの中、

 ジュリが呆れたように小言を漏らす。


 「全く、うちらって賑やかよねッ!」


 そうは言いながらも、ジュリが腹を抱えて笑っていた。

 

 ……ミーアさんや。アリーに抱きつくのはいいけど、

 窒息させるなよ……。


 俺は苦笑しつつも、黒いローブを羽織り、

 ようやく姿見の鏡の前に立つ。


 自分の装いを確かめ、メンバーたちの賑やかな様子に目を細めた。


「苦しい……ミーア……続くにゃ!」





 お読みいただき、ありがとうございます。

 ドナイヤシリーズは続きます(≧▽≦)

 引き続き読んでいただければ嬉しいです(๑╹ω╹๑ )



 




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― 新着の感想 ―
パメラさん、ミーアちゃん、アリーちゃん…眼福眼福♪ (*´ω`*) クロニクさんの反応も、初々しくてほっこりさせてもらいました! ドナイヤシリーズのつづき、気になります! |ω・`)ジー
今回はさらにドナイヤシリーズの破壊力が跳ね上がり、楽しかったです(笑) まずパメラさんの〖ヒガツク・バラ・ドナイヤ〗が強烈でした。赤い薔薇、真紅の魔女、大人の魅力、そして魔力上昇効果まで含めて、まさ…
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