表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妄想図鑑が世界を変える? 〜異世界トランザニヤの末裔がその物語を塗り替える〜 #イセトラ    作者: 楓 隆寿
第3幕 動章。  〜ワイバーン討伐と新たな仲間〜

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

221/233

新装備仕立て編 4 〜戦いのゴングはドナイヤ〜



  戦いのゴングが鳴るΣ('◉⌓◉’)

 








  天上の三柱が妖精龍がメスだと言う事実に目を丸くする中、

  ーーその頃ゴクトーたちは、

  仕立て屋ジンロックで新しい装備を受け取っていた。




 


 ◇(ゴクトーが語り部をつとめます)◇ 




 



「…………は?」


 あまりにも突然の告白に、思考が一瞬止まる。


 そして、その衝撃は数秒遅れで俺とノビを襲った。


「「っええええええええええ!!」」


 俺とノビの声が店内に響き渡った。


 驚き過ぎて腰が抜けそうになり、俺は慌てて近くの柱に手をついた。

 

「おい、そんな大事なこと、もっと早く言ってくれッ!」


 動揺し、膝が震えるのが自分でもわかる。

 一方でクロニクが彼女の叔父らしい気遣いを零す。


「言わなくても察しろよ、兄貴。コガラはレディーなんだぞ。

 もっと丁寧に扱ってやってくれ」


 クロニクの言葉を受けてノビが口を開いた。


「したっけ、コガラはレディーとしで、あづがわなとダメなんさ!」


 ノビの訛りが混じった強い口調をコガラが真似る。


「ダメなんさーー」


「お前まで真似しないの!」


 「へへぇーー」


 いたずっ子のようなコガラに、全員が吹き出す。

 一瞬の衝撃はあったものの、次第に和やかな空気が流れ始めた。

 

 本当に、コガラには驚かされてばかりだよ。

 でも、お前は俺にとっては大事な家族だ。


 感慨に耽る中、察したコガラが俺に笑顔を見せた。

 

 ふと、ジンロックが「ちょっと、厠に行って参ります」と、

 店の奥へと向かう。


 一方で俺は渡された、

 特注の漆黒のシャツに袖を通そうとしたーーその刹那。

 大きな姿見越しにクロニクが問いかけてきた。


 「兄貴…… その傷痕は治せないのか?」


「ああ、この背中の傷な……これは普通の【ヒール】じゃ治らず、

 あの【エルフの涙】ですら、傷はいえたが痕は消えなかった。

 魔族の呪詛ってやつで、呪いのようなものらしい。

 この傷を治そうと、アカリも寝ずに、看病してくれたんだがな」


 苦笑いを浮かべながら答える俺に、クロニクが眉を寄せる。

 だがそれ以上追求してくることはなかった。


 その時だーー

 ”フィッティングルーム”のカーテンがシャーと開いた。


「ダー様、ちょっとよろしいですか?」


 そう言ってアカリが顔を朱に染めながら、「暑いっ」と零し、

 扇子を仰ぎながら前に立つ。


 その姿はーー男どもには刺激が強過ぎた。

 俺たちが一斉に視線を逸らす中、アカリが澄んだ声で話す。


「ダー様、ここ仕立て屋ジンロックの娘さん、

 ココリドさんって、おっしゃるんですが、

 私たちのインナーに魔法防御の付与までしてくださったんです。

 

 見てくださいませダー様、

 ブラトップには、

 ミスリル鉱石で作られた素晴らしい魔導具があしらわれていますの。

 

 さらにガーターと編みタイツには、

 物理攻撃上昇の付与を施してくださったのです。

 デザインも素敵で……

 ブラとビキニ、ガーターと編みタイツ、

 ワンセット金貨10枚なのですが、

 7セットほど購入してもよろしいでしょうか?」


 と、彼女が尋ねてくる。


 挿絵(By みてみん)

 

 その声に耳を傾けながら視線を戻すと、

 クロニクは真っ赤になって下を向き、

 ノビは見ないようにーー

 天井のシーリングファンを見て、

 「一回、二回……目が回るんさ!」とややパニックになる始末。


 黒の上下、ミスリル鋲が僅かに煌めき、

 黒の編みタイツには、物理攻撃上昇の付与が施されてるせいかーー

 どこか古代の紋様を感じさせる。

 一方でガーターは機能性を重視なのだろう。だが艶やかだ。


 その瞬間、バクバクバクバクッ!


 胸の『江戸っ子鼓動』は激しく飛び跳ね、

 同時に、『妄想図鑑』のページが勝手にめくれ、

 脳内に衝撃的な情報が流れ込んできた。


「【解析完了:ナイト・アタック・ドナイヤ】

 ――持ち主の情熱を魔力変換し、敵の戦意を物理的に削ぐ「魅了の鎧」。


 ただのインナーじゃない。主、これは、戦うための武器だ」


 妄想眼”死線”が豪語し、

 自身のスキル【シジマビジョン】でステータス画面を開いた。

 


挿絵(By みてみん)


  脳内がパンクしそうな情報量だ。

 一方で俺の仕草や態度に、

 大胆にも反応を楽しむかのように目尻を下げ、

 唇を緩めながらアカリがこちらに近づく。


「ダー様…… 私のインナー姿は見慣れているでしょう? "ぅふんっ”」


 艶っぽく低い声で囁くアカリの洗練された大人のフレグランスまで漂う。

 その香りはやたらと鼻腔をくすぐり、俺の妄想脳をさらに刺激する。

 ーー彼女の瞳の奥に住まう、 『猛虎キラン✧』が再び牙を向いたかのようだ。

 彼女のオッドアイーー青い目が俺を射抜く。

 そしてアカリがどこか勝ち誇ったような表情を浮かべたーー。


 俺は必死に”死線”の頭を押さえつつ、『妄想図鑑』に押し込める。

 思わず言葉が口から漏れた。


「そ、そんな格好で…… 」


「酷いですわ、ダー様、私の装備ーー

【ナイト・アタック・ドナイヤ】セットを…… そんな格好って……」


 どこか儚げに目を伏せるアカリだが、その目は未だに”ギラ”ついていた。


 "ナイトアタックドナイヤ”……だと?

 ……まさか……そんな……あの伝説の「魅了の鎧」……って、なるかぁッ!


 脳内を一旦整理、息を大きく吸い込む。


「 わ、わかった! 金貨70枚だろッ! そんぐらい安いもんだ。

 は、早く、早く、早く、早くーーーーーーー!!! 

 カ、カーテンを閉めて、も、戻ってくれ…… !」


 俺は両手で顔を覆いながら、

 なんとか声を絞り出したが、顔の熱自体は全く引かない。


 一方、アカリは涼しい顔で、俺を見つめながら、

 恥ずかしげもなく、艶のある声を漏らす。


「ダー様のその均整の取れた身体…… 惚れ惚れいたしますわ…… 」


 視線を逸らさない彼女の青い目が、俺の全身を品定めするように動く。


 「おい!アカリ、早く戻れって!」


「わかりましたわ。ダー様、それでは後ほど」


 そう言って彼女が、

 ”フィッティングルーム”のカーテンをシャーと閉めた。


 「逆に惚れ惚れ……するよ。そのあっけらかんに……」


 零しながら俺は、完全に敗北し膝をついた。

 

 膝をついたままーー

 動けない俺を他所に、コガラが弾んだ声を飛ばす。


「アカリねぇしゃん、きれいだったーー」


 ぱたぱたと羽を震わせながら、

 コガラが俺の襟元を小さな口で食いしばり、ぐいぐいと引っ張る。


 ”彼女”なりに、情けない俺を立たせようと奮闘しているようだ。


 その仕草はあまりにも健気で可愛い。

 俺はわざと体に力を入れ、立たないようにして、その可愛さを楽しんだ。


「ちょっと……何やってるの」


 呆れたような、それでいて驚いたような声とともに、

 シャーッとカーテンが開いた。

 ジュリがひょっこりと顔を出す。


 俺は一瞬息を呑む。

 

 薄青のレザージャケットとミニスカートをスタイリッシュに着こなし、

 臍ピアスを煌めかせ、薄い黒いストッキングの美脚でこちらに歩み寄る。


挿絵(By みてみん)

 

 そのお洒落な姿にクロニクとノビの目も止まった。


「ジュリ姫って、普段勝気で、あまり服に興味なさそうなのにーー

 センスいいよな」


 ジュリを見てクロニクが感嘆する。

 

 一方でノビが「ジュリさん、素敵なんさ!」と、先ほどとは大違い。

 しっかり彼女を正面から見て褒めている。

 

 二人の態度と言葉にジュリが頬を膨らませる。


「……な、なによ。あんたたち、急に褒めないでくれる!」


 そう言って、ジュリが俺をじっと見つめて頬を染める。

 彼女のツンデレにはだいぶ慣れてはいるが、思わず口元が緩んでしまった。


 次の瞬間、ふわっとしたシトラスの香りとともに、

 軽く耳にかけた、ジュリの桃色の髪が穏やかに揺れる。


 「さっきは、カーテンも閉まってて、

 照明が暗くてよく見えなかったっけど、

 ココリドさんがわたしのために、

 魔力上昇の付与を施したインナーを仕立ててくれたの。

 上下のセットは金貨3枚だって。

 【ビビット・ブルー・ドナイヤ】って、言うらしいの。

 わたし、7セットは、欲しいんだけれど? 買ってもいい?」


 そう言って喜びを顕に、彼女が俺の目の前にあるーー

 大きな姿見の鏡を覗き込む。


『どう? 似合ってる?』とでも言いたげな背中が、俺の鼻先まで迫る。


 ジュリがゆっくりした動きで前屈みになり、

 ジリ…ジリ…とお尻が上に迫り上がっていく中ーー

 ストッキング越しに【ビビット・ブルー・ドナイヤ】が顔を出す。


挿絵(By みてみん)

 

 それだけではない。


「どう? へんダ─、わたしのこの格好"パンチィ”が効いてるでしょ!!」


 ジュリの言葉にーー

 ”カーン”とリングサイドのゴングが鳴った。

 

 おそらく俺の敗北は明らかなのを承知で、

 『江戸っ子鼓動』が鳴らしたはずーーって、違うだろッ!


 自身に突っ込み、心拍の上昇を抑える俺を他所に、

 得意げに姿見の大きな鏡の前に立ち、自分の姿を確認するジュリ。

 その仕草一つ一つが、こちらを挑発しているように見える。


「い、いいん……じゃないか……出すよ、それぐらい」


 上擦る俺の声を聞く、ジュリの耳がほんの一瞬だけ、赤く染まった。


 でも、すぐに「ふんっ」と鼻で笑ってみせる。

 俺は息をつく暇もないほどに動揺を隠せないでいた。


 その様子を鏡越しで見ていたジュリが、「ふっ」と意味深な笑みを浮かべる。


 ご機嫌になるのもほどがあるぞ!

 その.……チラチラ見えて、【ヤバイデス】けども.……。

 

 死の呪文か、と思いながらも目を逸らし、気を紛らわすように、

 俺はじっと天井を見つめた。


 思わずコリンの孤児院にいた時の、シスターの顔を思い浮かべた。

 だがその顔がジュリと重なり、さらに顔が熱くなる。

 

 いかんと左右に首を振り、視線を元に戻した。

 息をつきながらも我に返る。

 

 そんな中、クロニクもジュリの挑発的な姿に完全に動揺していた。

 すでに顔は赤く染まり、

 琥珀と赤のオッドアイの目が泳いでいるのが一目でわかる。


 ただ、ノビだけが何も感じていないかのように、

 ブレずに「ケロッ」とジュリの様子を眺めていた。


 この男のパメラを想う一途さが、時々、羨ましいとさえ思う。

 だが、この男ーーパメラの気配、

 いや、【覇気】と魔力(マナ)には敏感なのだろう。

 

 突然、ノビが訛り混じりの声を上げる。


「先生ーー!めちゃくちゃ似合っでるんさ!」


 いつもの調子だが、ノビの瞳はパメラに向かってキラキラと輝いていた。


 ジュリの後ろから現れたのは、紅の装いに身を包んだパメラだった。


 首元で留めた超短めの真紅のレザーブルゾンに漆黒のローブを羽織り、

 黒のレザーコルセットからは、

 微かに紫の魔力が立ち上り、赤いバラも淡く発光していた。


 その場にいた全員が息を飲む中、場の空気が、

 彼女の一歩ごとに、ピリリと引き締まるのを感じる。


 短めの真紅のレザースカートから一歩踏み出すーー

 その白い美脚に赤い薔薇柄の黒いガーターは、

 まさに「映え」としか言えない。

 美艶な彼女が握る蛇頭の赤い杖も、

 歩く度に、彼女の『爆弾(ダイナマイト)』の揺れを抑えるかのようにーー

 紫色の高貴な光を放つ。


 挿絵(By みてみん)

 

 ポカーンと口を開いて目を♡にするノビを横目に、

 パメラが艶やかな唇を光らせる。


「ゴクちゃん、これどう? 似合うかしらん?」


 その視線に射抜かれるような感覚がして、

 『江戸っ子鼓動』が激しく”リング”のゴングを鳴らす。


 カン カン カン カン!


「くっ…!」


 ーー完全敗北。

 これ以上、この”リング”に立ち続けるのは危険だったーー。








 お読みいただき、ありがとうございます。

 ドナイヤシリーズがしばらく続きますが、

 引き続き読んでいただければ嬉しいです(╹◡╹)



 




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
これはまさに、仁義なき戦い! そしてゴクトーさんの一人負け( *´艸`) たがしかし! ゴクトーさんも、こんな負け方なら本望でしょう(笑) 戦闘回、新たなる仲間の加入と来て、こんな甘酸っぱい回はズル…
今回は新装備お披露目回ではなく、完全にゴクトーの精神耐久戦でした(笑) まずコガラちゃんがレディーだったことへの余韻を回収しつつ、そこから一転してアカリさんの〖ナイト・アタック・ドナイヤ〗で一気に戦…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ