新装備仕立て編 2 〜『Goddess』な妹たち〜
エリナの妹たちの設定回? Σ('◉⌓◉’)
天上の神々ーー神シロ、女神東雲、トランザニヤの三柱が、
下界から一斉に顔を上げ、それぞれが口を動かす。
「おお、あの子たちが、月の一族の末裔じゃな」
「懐かしい響きですわ。ワタクシのおばぁ様が恋焦がれた、
あの一族の名をまた耳にするなんて」
「月の一族の始祖は、オレの曾祖叔父だ。会ったことはないがな。ししし」
天上界で、そんな会話が囁かれているとも知らないゴクトーは、
仕立て屋ジンロックの店内で、つい先ほど別れたエリナ・エイマス姉妹と、
偶然の、いや運命の再会を果たしていたーー。
◇(ゴクトーが語り部をつとめます)◇
「妹たちのこともそうだけど、
アタシたちのことも話してなかったわね……」
エリナの言葉で後ろの6人の妹たちが一斉に姿勢を正した。
凛として胸を張る仕草は堂に入っている。
仲間たちが店内を見回る中、
俺の目を真剣に見つめるエリナが唇を噛む。
「先ず、最初に説明しとくわ。
アタシたちの母は、アマゾネスの女王ーー
『エラン・カサンドラ・エイマス』…
今やその国も滅びて、母も亡くなったのだけれど……」
声のトーンが下がる彼女の顔が翳りを見せる。
俺は思わず言葉が口をつく。
「そうか……。それはお気の毒に。
アマゾネスだったのか……師匠から聞いたことあるが……
国が滅びたのは、女性しか生まれない種族だからか?」
俺の言葉に彼女が涙を浮かべた。
「女しか生まれないーー確かにそう。
でも、国が滅びたのは違う理由、
私たちがまだ幼い頃、魔族に滅ぼされたの……」
「魔族に……? 何か奴らの恨みでも買ったのか?」
俺の問いにエリナが躊躇いながらも口を開く。
「奴らの言い分は、太古の大戦で、母の先祖が始祖の一族とともに、
魔王ガーランドの先祖を封印したーー
その意趣返しらしいの。捕虜にした魔族の一人がそう言ってたと……
死ぬ前に母がそう零したの……」
涙を湛えるエリナを他所に、
俺はこれまでのことを頭の中で整理する。
この村でアカリとジュリ、アリーが魔族に襲われーー
呪詛魔術【エクスペル・クロノス】をかけられた。
彼女たちが急に大人びて、
身体にも変化が現れたのは、まだ記憶にも新しい。
その時、魔族が言った言葉が今でも、頭にこびりつく。
『覚えておけ、古の末裔ども。この刻の捩れをな……』
彼女たちを助けられなかったーー
後悔の念が、どうしても頭から離れない。
それは俺にとって忘れられない記憶となった。
思いに耽り、我に返った俺は、ある疑問をエリナにぶつける。
「ちょっと、聞きたい。あの、なんというか、その……」
言葉に詰まる俺にエリナが涙を拭いながら、クスッと笑った。
そんな中、一方で表情を曇らせる妹たちに気付き、彼女が口を開く。
「旦那、妹たちの耳と身体に刻まれたルーンのこと?」
「まぁ、長い耳もそうだが……ルーンってのは、何なんだ?」
首を傾げる俺にエリナがさらに言葉を重ねる。
「妹たちの父親は太古の種族、杜人なの。
わかりやすく言えば、エルフやドワーフの祖先って言えばいいかな。
『始祖の一族』から派生した『月の一族』よ」
そう言って、目元を下げるエリナの言葉に、俺の頭がパンクする。
しばし言葉に詰まる俺の思考を察して、
隣で耳を傾けていたーーミリネアからの念話が顳顬に響く。
《「ご主様、ズードリア大鑑の歴史書によれば、
『美しき二つの月の名称は以下の通りである。
月の一族たる王が治めるーー赤き月は【ブラッド・ムーン】。
女神が治めし杜人たちが住まうーー白き月は【ルナ・サンクチュアリ】』
(諸説あり)と、書いてありました」》
念話を終えたミリネアの表情は明らかに、
熱弁を振るう『教授顔』。
その柔らかで澄んだ知性的な声色は、
何故だか、物事を理解させる不思議な力があった。
彼女が考古学の教授なのが頷ける。
《「いつもすまない。助かるよミリネア」》
俺の念話に、少し頬を染めるミリネアが小さく首肯する。
「月の一族……杜人か、
まだまだ知らないことだらけだ……」
息をつき、俺がポツリと零すとエリナの口元が緩む。
一方でエリナの妹たちの表情が、どこか安堵したようにも見えた。
その刹那、師匠の言葉が頭を掠める。
『この大陸はな、ゴクトー。
人種が7割、亜人が3割だ。
未だ亜人に、偏見の眼を向ける人種も多い』
と、どこか悲しげに言の葉を落とした師匠の顔が蘇る。
もとより俺は、亜人に偏見などない。
むしろ優れているとさえ思っている。
それは俺が育った孤児院に、亜人しかいなかったからだ。
カタカタと音を立てる天井のシーリングファンが、
その場の空気を一掃するかのようにーー
どこか華やかな香りを運んでくる。
鼻をくすぐるフローラルの香りが、
どこから薫るのか気づいたーーその時。
エリナの妹の一人が艶やかに唇を動かした。
「姉上、アタイらのことは、まだですか?」
そう言ってにこやかに笑う。
妹の表情を見て、息をつくエリナが口を開いた。
「金のレザービキニ、杜人の民族衣装を着ているのが、次女のアウリアよ。
性格は明るく社交的で、パーティ『Goddess』のムードメーカー。
常に前向きで、困難な状況でも笑顔を絶やさないの。
ちょっとイケイケに見えるけど、頼りになる奴よ」
その言葉に、アウリアが一歩前に踏み出す。
こちらを見る瞳は深みのある琥珀色。
まるで獣人のようだが、獣耳ではない長い耳。
靡かせる長い髪は鮮やかなサンライト・ブルー。
照明の光を反射させ、揺れるゴールドのビキニトップが目に眩しい。
腰に巻いたゴールドのパレオを翻し、健康的かつ小麦色の美脚も覗かせる。
そんなスタイル抜群の彼女が艶やかな唇を光らせる。
「アタイは、『継承の紋』が浮かぶ姉上と違ってーー
生まれながらに、富と繁栄を意味する幾何学的な金のルーンが、
腹部から太ももにかけて、刻まれているの。
アタイの杜人としての能力は【豊穣】と【強化】。
周囲の生命力を活性化させ、仲間の身体能力を一時的に強化するの。
きっとお役に立てると思うわ。よろしく頼むわね、クラマス!」
そう言ってアウリアがニヤリと笑った。
その挑発的な瞳に思わず苦笑しつつ、
「クラマス……」と零すと、背後からアカリの声が飛んでくる。
「クランマスターのことですわ。ダー様」
そう言って前に出て、
アウリアの姿を値踏みするかのようにじっと見据える。
いつの間にか仲間たちがここに集まり、
どうやらやり取りを黙って見ていたようだ。
そんな中、エリナが軽く咳払いをしながら、続ける。
「次に、月光を思わせるシルバーのビキニトップを着てるのが、三女のルナ。
冷静沈着で、パーティ 『Goddess』のブレーン。
常に一歩引いて状況を観察し、的確な指示を出してくれるの」
その言葉にルナが脚を露出する、
大胆なスリットの入ったシルバーのパレオを翻す。
神秘的なシルバーグレーの長い髪を風に靡かせる。
こちらを見る冷静なアイス・レッドの瞳。
健康的な小麦の肌で、やはりスタイルの良い彼女が口を開く。
「この身体には、
シルバームーンの意味を成す、金のルーンが全身に刻まれております。
能力は【知恵】と【直感】。
ワタシはサポートに徹するつもりですので、存分にご活用くださいませ」
そう言って彼女が美脚を片方、後ろに下げながら優雅に一礼した。
その言葉使いと真摯な態度に、思わず背筋を伸ばしてしまった。
一方、ルビー・レッドの瞳で俺を無表情に見つめ、
深みのあるバイオレットの髪を掻き上げる、どこかクールっぽい妹に、
エリナが言葉を添える。
「黒のレザービキニを着ているのが四女のノクターナ。
あの子は全身に死と再生を意味する、
複雑で禍々しい金のルーンが刻まれているの。
滅多に感情を表に出さないけれど、
姉妹を想う気持ちは誰よりも強いのよ。
ちょっぴり、ミステリアスに見えちゃうのが、
あの子の損なところなの……」
その言葉が嬉しかったのだろうかーー
無表情だった彼女の口元が緩んだ。
「能力は【影】と【呪い】……
影を自在に操り、敵に呪いをかけて弱体化させられるの……ふふ、怖い?」
「……怖くはない、だってエリナの妹だろ?」
ノクターナの問いかけに、
思わず苦笑しながら答えると、彼女の頬が朱に染まった。
そんな中、アリーがピクッと耳を動かし、コガラをそっと抱き抱える。
羽を丸くしながら、小さな寝息を立てるその姿に、
アリーが嬉しそうに笑みを浮かべた。
その光景に場の空気が和む中。
唯一ショートの黒髪で、紅い瞳。
海の青を映したような、ブルーのビキニトップを揺らし、
肩と腹、太ももにかけて刻まれたーー
波のような金のルーンに、白めの肌が彼女を一際目立たせる。
ブルーのパレオをしなやかに翻し、こちらに歩み寄ってくる。
俺とエリナの間に割って入り、その彼女が唇を動かす。
「五女のアクアよ。能力は【水】と【癒やし】。
水を自在に操り、傷ついた姉妹や仲間を癒やすの。
性格は穏やかで心優しいと言われているわ。私は戦闘には不向き。
だって、争い事は好きじゃないし。常に調和を重んじるタイプなの!」
そう言って軽く会釈するアクアが、ジュリの前でピタリと止まる。
まるでお互いのスキルを感じたかのように、目を合わせたーーその瞬間。
二人が「プッ」と吹き出した。
一方で、イブと師団長たちの視線が、
鮮やかなエメラルド・グリーンのツインテールへと流れた。
その様子にエリナが声をかけた。
「あの子は、六女のフローラ。 天真爛漫で、自然を愛する子よ。
好奇心旺盛で、新しい発見をいつも楽しみにしているの」
エリナの言葉に嬉しそうにこちらに歩み寄る六女のフローラ。
小麦色だがやや白く、透き通るような肌は健康的で、
照明に輝かせるグリーンのビキニトップがよく似合う。
全身に植物のような金のルーンが刻まれ、
腰に巻いたグリーンのパレオから伸びる美脚は、
決して姉妹たちにも引けを取らないーー。
俺がそう思っていた矢先。
フローラがニコリと笑みを浮かべ、
深みのあるローズ・レッドの瞳で俺を射抜く。
「あはは、お兄ちゃんって、呼んでもいーい?
能力は【植物操作】と【毒】なの。
植物を自在に操り、敵に毒を盛ることが、できるのーー!」
その言葉、無邪気さと仕草もずるいな……と、
内心思いながらも、黙って頷いてしまう俺が恨めしい。
だが、これは俺だけが思っている訳ではなかった。
案の定、ミーアが目に♡を浮かべ、今にも抱きつきそうだ。
必死にミーアの肩をおさえるクロニクに苦笑しながら、
黙っているパメラとノビの『師弟コンビ』に目を向けた。
二人ともエリナの妹たちに、溢れそうな視線を向ける中、
ふとエルダー・ドワーフのポロンが口を開く。
「わたちと同じサンセット・オレンジの髪色ね。
ショートヘアも似合ってる、素敵っ!」
夕日を思わせるーー
イエロー・オレンジのビキニトップの胸に抱きつく、
幼子のようなポロンに、
同色のパレオから美脚を露わに、膝をつく。
彼女も全身に、炎のような金のルーンが刻まれていた。
その光景にエリナが眦を下げ、言の葉を落とす。
「末っ子のフレアは、誰にでも好かれるのよ。
能力は【炎】と【爆発】。
炎を自在に操り、敵を爆発に巻き込むの。
性格は人懐っこく、情熱的で、負けず嫌い。
『Goddess』の切り込み隊長で、常に最前線で戦ってくれるわ」
その姉の言葉に顔を真っ赤にするフレアが、
照れ隠しのようにーーポロンの頭を優しく撫で、目を伏せた。
「ごめんね。ずっと、こうしてはいられないの」
そう言って抱きつくポロンからフレアが離れた。
どこか名残惜しそうなポロンはさておき。
そんな中、微笑むエリナが口を開く。
「一通り話せて良かった……それじゃ旦那、アタシたちは行くわ」
「ああ……気をつけて行けよ」
俺は精一杯の言葉を絞り出した。
『Goddess』のメンバーが、
漆黒のローブを身に纏い、一人一人俺に向かってキッスを投げる。
俺の反応を見て、楽しげな笑顔を浮かべーー
『Goddess』のメンバーは、『仕立て屋 ジンロック』を出て行った。
一方、俺は周囲の鋭い視線と重くのしかかる圧に耐え、
彼女たちの背中を見送りながら思わず零す。
「姉妹揃って、破壊力ーーあり過ぎですけども……」
お読みいただき、ありがとうございます。
設定厨の私はどうしてもーーこう書かずにはいられませんでした(╹◡╹)♡
引き続き読んでいただければ嬉しいです(๑╹ω╹๑ )




