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妄想図鑑が世界を変える? 〜異世界トランザニヤの末裔がその物語を塗り替える〜 #イセトラ    作者: 楓 隆寿
第3幕 動章。  〜ワイバーン討伐と新たな仲間〜

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新生リリゴパノア編 5 〜chu♡〜




 ラブコメ回か〜い! Σ('◉⌓◉’)

 






 下界から顔を上げるトランザニヤが口元を緩める。


「……あの時の仲間の末裔が揃っ……」


「待ってくださいませ、トランザニヤ様。あの一族がまだ……」


 トランザニヤの言葉を遮る女神東雲が顔を上げた。


「急かすな、シノや、もう間もなくじゃ」


 そう言って神シロは笑みを浮かべ再び下界を覗いた。




 ーーその頃、ゴクトーはクラン結成を終え、

 ギルド支部を出ようとしていた。




  ◇(ゴクトーが語り部をつとめます)◇




「いろいろ世話になったな。

 ……ところで、ハウゼン支部長、言っていたサブリーダーってのは、

 何人くらい登録しておけばいいんだ?」


 俺が問いかけると、ハウゼンは肩をすくめながら答えた。


「登録しておくのがベターではあるけどね……

 特に決まりはないよ。ゴクトー軍総司令、はははははは」


 揶揄うハウゼンはさておき。

 

 誰をサブリーダーとして選ぶかーー

 俺には迷いはなかった。


 既に信頼を築いている仲間だ。

 それも俺が最も信頼を置いている、この3人に絞った。


「サブリーダーは……アカリとパメラ、ミリネアにもお願いしたい」


 俺の言葉に3人が、顔を見合わせる。


 一方で他のメンバーたちが、それぞれの反応を返してくる。


「僕は、にゃにをしゅればいいのかにゃ?」


 アリーがあどけない表情で首を傾げる。

 その仕草には、ほんのりした空気が漂い、

 彼女の無邪気な笑顔に癒される。


「クランが大きくなったらーー斥候部隊を作ろうと思うんだ。

 アリーにはその部隊のリーダーを任せるつもりだ」


 俺の言葉に頷く、彼女の瞳の奥には、しっかりとした覚悟が見えた。

 

 一方でミーアが、頬をほんのり朱く染めながらも真剣な声で答える。


「うち、もっと揉まれなきゃいけないと思ってたけど……

 ミリネア姉様のサポートを頑張るわ」


 彼女の言葉には、自分を支えてくれる姉への信頼と、

 少しの不安が交じっていた。


 ……って、もういいんですよ……その件。


 ため息をつきながら思っていたのも束の間。

 アカリが凛とした態度を見せつつ、流れるように言葉を並べる。


「ダー様が煩わしくないように、私が面倒なことは引き受けますわ」


 その自信に満ちた淀みない声は、仲間たちを安心させる力を持っている。

 

挿絵(By みてみん)

  

 どこか桜の花びらのようなーー

 儚く、ふわりと消える余韻を残す香りが漂う中、ジュリがポツリと零す。


「へんダーは話下手だからね。ネーがしっかりサポートしてくれるでしょ……」


 その声はどこか投げやり。

 ふとジュリが視線を落とし、暫くの間、何かを考えるように沈黙した。

 やがて、ゆっくりと顔を上げて微笑む。

 その笑みは柔らかいものだったが、瞳は揺れているように見えた。

 俺はその表情を見ながら口元を緩める。

 

 「クランが大きくなったら、ジュリには魔導士団を作ってもらいたい」


 俺のその言葉に彼女の顔色が変わった。

 彼女の臍から魔力(マナ)も漏れ出し、無意識なのかーー

 紫の魔法陣が頭上に浮かび上がる。


 「っ……!? んな暇ないわよ!わたし、今、物語を執筆中なんだからっ!」


 そうは言いながらもどこか嬉しそうにしている。


 挿絵(By みてみん)


 相変わらずのジュリの『ツンデレ』に呆れる中、

 一方で受付前に居並ぶ冒険者たちが騒つき始めた。


「なんだ……あの魔力量は?」

「あの魔法陣の文字、お前読めるか?」

「青いのもチラッと見えたズラ!!」

「まさか賢者クラスか?」


 ジュリの魔力量に驚愕にも似た感嘆が囁かれる。

 その声に仲間たちの表情もどこか誇らしげだ。

 

 そんな中、レイド(依頼)を受ける冒険者パーティが勢い勇んで出発する。

 それを見送る受付嬢たちの表情も千差万別。

 笑顔を見せる者もいれば、どこか翳りを見せ、

 不安げな面持ちを見せる者も窺えた。

 

 入り口から吹き込む独特の『薫風(くんぷう)』が周囲に漂う中、

 場の空気を変えるように、パメラが明るい声を出した。


「ゴクちゃん……あたいも、できる限りーー

 アカリちゃんとミリネア教授をサポートするわん♪  任せてよ!」


 彼女が艶っぽい笑みを浮かべ、堂々と胸を叩くーー

 その瞬間、世界を揺るがしかねない『爆弾(ダイナマイト)』が、ブルンと震えた。


「【グラビティ・グラン・コントロ】!」


 旋風が牙を剥く直前、ココが迷わず重力魔法を叩き込む。


 闇の圧力が『爆弾』の跳ね返りを強引にねじ伏せ、

 行き場を失った衝撃はすべて地面へと突き抜けた。


 ドォン!


 足元が小さく唸る。


 辺りには爆風の代わりに、ただ甘い薔薇の香りが微かに残るだけだった。


挿絵(By みてみん)



 その様子にノビが目を見開き、口をあわあわと動かす。


「したっけ、ココさん……先生の爆弾に、こんな防ぎ方が……」


 ノビがあまりの見事さにポンッと手を打つ。

 その動作はぎこちなく、ケロッとした表情とは無縁で、

 どこか感動しているように見える。


 横にいたパメラがココに何か言いかけたが、

 すぐに言葉を飲み込んだ。

 ただ彼女のその眉には、僅かに皺が寄っていた。


 そんな中、イブが元気よく声を上げ、

 軽やかな足取りで俺に近づいてくる。


「妾も【錬金魔術】で力になるぞぇ!」


 言いながらそのまま勢いよく飛びついてきた。


 ーーポヨン。


 挿絵(By みてみん)

 

 その柔らかな感触が無防備な俺の頬に押し付けられる。


「わっ……イブ!」


「どうじゃ!妾の暗殺者アサシンの技!」


 焦る俺を他所に、イブが離れながらーー

 異国のスパイシーな香りを残しつつ、

 どこか揶揄うような高笑いを響かせる。


「ぁははははは!」



 眉をつり上げる師団長たちからのーー

 鋭い視線の圧に耐えつつも、体温だけは上がっていった。


 そんなやり取りに、メンバーたちもどこか諦めの表情を見せる。


 場の空気がやんわりと、

 穏やかな空気に変わりつつある中、

 ミリネアが上品な動作で一歩近づき、優雅に頭を下げる。


「ご主様の仰せのままに……ワタクシは、ご主様の命が絶対ですので……」


 彼女が頬を朱に染めながら身体を寄せ、

 まるで小玉スイカのようなーー

S(スーパー)B(・ボヨン・)B(バスター)(クラス)』の胸を密着させる。


 ”むにゅにゅ〜〜ん”とした柔らかさを感じつつ、ミリネアに念話を飛ばす。


 《「おいっ!わざとだろ……これッ!」》


 《「ご主様……ワタクシには、今はこれぐらいしか」》


 ミリネアの念話に思わず喉を詰まらせる。

 ただでさえ熱くなった顔が、さらに熱を帯びるのを感じた。


 「ふぅ……」


 思わずため息が口から漏れる。


 それぞれの反応を鑑みて、

 冷や汗を拭いつつ、どことなく心の中で安堵する。


 ……責任重大……だよな……。


 それと同時に、彼女らの決意も感じていた。


「みんな、ありがとうな。心強いよ………。

 3人には悪いが、サブリーダーの登録を頼む。

 それと……『通信魔導具』も持っててくれッ!」


 言い終えると、俺は急いで、

 本部へ旅立つエリナの背中を追った。


 

「待ってくれ!これを……連絡用だ」


 俺が差し出した『通信魔導具』を見て、エリナが艶やかな唇を光らせる。


「行ってくるわ。旦那……

 いえ、旦さん、アタシの帰りを、心待ちにしておいて」


「旦さんって……っえ? 俺のことか?」


 困惑気味に返す俺を他所に、エリナがクスッとした笑いを零す。

 次の瞬間、ふいに俺の頬に顔を寄せた。


「そうよ、旦さん……chu♡」


「……っ!」


挿絵(By みてみん)


 突然の柔らかな感触とともに、俺の頬に彼女の唇が触れた。

 その革の装備から漂うーー使い込まれた上質なレザーのほのかな脂の匂い。

 さらに健康的な小麦色の肌から香るような、バニラの甘い芳醇。

 大胆なスキンシップに、思わずドキッとしてしまう。

 大人の女性の艶やかさと体温の余韻に、驚きで身体が硬直し、

 『江戸っ子鼓動』が早鐘を打ち鳴らす。



「その男の子、賑やかで可愛いわね。じゃあ、旦さん、行ってくるわ」


 朱く染まった顔を隠すようにエリナが振り返り、

 そのまま軽やかな足取りで去っていく。


 

「ったく……なんなんだよ……」


 その後ろ姿ーー特に目を奪う『桃尻』が視界から消えるまで、

 ただ、見送るしかなかった。

 顔が火照るのを感じながら、仲間たちのいる方へと戻った。


 サブリーダー登録や冒険者カードの更新作業が進む中。


 幸運にもエリナにキスされた俺は、

 誰にも見られていなかったようだ。

 しかし、それが終わりという訳でもなく。


 ”パタパタパタ”


 俺の肩からコガラが急に飛び立ち、念話を寄越す。


《「あるじーー 今のchu♡って、したやつは、なーにーっ?!」》


 翼を小刻みに動かしながら、コガラが可愛らしい顔で俺を見つめる。

 その問いかけに俺は一瞬、固まった。


《「コガラは……まだ子供なんだから、

 興味を持たなくてもいいの……!」》

 

 念話を返したーーその刹那。

 ミリネアからの、落ち着いた声の念話が顳顬(こめかみ)に響く。


 《「コガラ、あれは愛情表現と言うのよ。好きな人にするものなの」》

 

 静かで柔らかいその念話に、俺は少しほっとした。


 だがーー。


 《「コガラもあるじと、おおねいちゃんにしゅるーー!」》


 コガラが念話を飛ばし羽ばたきを激しくさせたーーその瞬間。


《「ありがとう、コガラ。じゃあ、こうするのよ」》


 念話を響かせるミリネアが微笑む。


 そして、顔を朱に染めながら俺の前に立つ。

 躊躇いも見せずに、そっと俺の頬に唇を寄せた。


 "chu♡“


「にゃっ!」


 思わずアリー語を発してしまった。


 それを見ていたコガラがミリネアの真似をしようとーー

 小さく羽ばたき、俺と彼女の頬に続けざまに"chu♡“、"chu♡“と触れる。


 挿絵(By みてみん)


 コガラが、無邪気な笑顔を見せ、満足げにしていた。

 白い翼をはためかせ、肩に戻り 「へへぇーー」とコトバを落とす。


 ミリネアの緑髪から漂う香りを『清涼感のあるハーブ』に例えるなら、

 コガラはどこか高貴なーー

 『世界樹の葉』の青々とした残り香を感じさせた。

 その”香りたち”が俺の鼻腔まで支配するーー顔に熱が籠り、

 羞恥でその場にしゃがんだまま、動けなかった。


 そんな中、ふとクロニクが首を傾げ、俺に声をかけてきた。


「兄貴、どうしたんだ? 具合でも悪いのか? 

 アカリ姫とパメラ姫の登録は、今終わったぜ。

 それより、ミリネア姫は、登録がまだだろ?」


「ええ……ご主様とコガラとで、遊んでましたわ……」


 ……っえ!……今のが……ただの遊びなのか?

 魔性のエルフ恐るべし……。


 内心に沈める中、ミリネアが悪戯っぽく念話を寄越す。


《「ふふふ、ご主様……遊びではございませんわ。

 この次は頬ではなく……」》


 「っ……!」


 ゴクリ。


 思わず生唾を呑み込んでしまった。


 《「もうッ! 思考を読むなぁッ!」》


 瞳を揺らすミリネアに俺は唇を尖らせて念話を飛ばした。


 《「あら、ご主様ったら、今がご所望ですか?」》


 《「ったく……!揶揄うなあああああ!」》


 ミリネアは口元を緩ませ、パチパチと片方ずつ瞬きさせる。


 それは数秒のやりとりだったが、俺は全身の力が抜け落ちた。


 一方でクロニクが不思議そうに尋ねてくる。


「なんだ? 二人とも顔が真っ赤だぞ……」


 思わず息を飲み、ただ俯いて顔を隠した。

 そんな俺とは真逆に、

 ミリネアが頬を朱に染めつつも、冷静に唇を動かす。


「い、いえ……クロニク皇子。問題ありません。

 それではご主様……登録を済ませて参りますので、しばしお待ちを……」


 そう言ってミリネアがスキップしながらその場を離れた。


 暫くして、全員の登録が終わり、ミリネアが戻ってきた。

 彼女が凛とした声で俺に報告する。


「お待たせしました、ご主様。登録が終わりました」


 いつものミリネアらしいーー優雅さを見せる。


  さっきのは何だったんだ………

  あ!いかん、また読まれるっ!


  思ったのも束の間。


《「……でも、遊びじゃないってこと、忘れないでくださいね? ご主様」》


 念話を寄越し、ニヤリとするミリネア。


 ダンダンダンダンッ!


 俺は思わず、がむしゃらに地面を踏みつけてしまった。

 悔しいようなーー腹立たしいようなーー。

 よくわからない感情が葛藤する中、


「なんだ?」

「おい、八咫鴉が、地団駄踏んでるぞ」

「怖ぇ〜!」

「ヤバイぞ、目は合わせるな!」


挿絵(By みてみん)


 周囲の冒険者からも囁かれ、

 さらに『妄想図鑑』から顔をだす『鼻の香りん』からもーー

 蔑むような凄い目で睨まれ、

 俺の羞恥心は頂まで上り詰めた。


 ふと、一陣の風がギルド支部に舞い込む中、


「ありゃ!? お兄さん?」


 その高い声にアリーが垂れ耳をピクッと立て、振り返る。


「あ、ポロンにゃ!」








 お読みいただき、ありがとうございます。

 引き続き読んでいただければ嬉しいです(๑╹ω╹๑ )



 




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― 新着の感想 ―
「chu♡」という可愛らしい題名どおり、今回は新生リリゴパノア編の中でも、仲間たちの距離感や賑やかな空気が楽しく伝わってくる回でしたね。 ゴクトーさんを中心にしたやり取りには思わず笑ってしまう軽さが…
ゴクトーさん、ズルい! その場所変わって~!ゴロゴロ(((:з)⌒(ε:))) コロコロ ……ハッ!Σ(゜Д゜〃) ゴホン。 今回はほのぼの回でしたね! 最後はミリネアさんが全部持っていっちゃい…
サブリーダーや部隊の話で、リリゴパノアが本格的に大きくなっていく感じがよかったです。 ジュリの反応や、ココさんがパメラ先生の爆弾を抑える流れは、笑わせてもらいました。 そして、エリナさんの「chu♡…
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