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妄想図鑑が世界を変える? 〜異世界トランザニヤの末裔がその物語を塗り替える〜 #イセトラ    作者: 楓 隆寿
第3幕 動章。  〜ワイバーン討伐と新たな仲間〜

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新生リリゴパノア編 3 〜名称決定!? 先生の爆弾とS級だらけの規格外クラン〜



 クラン名が決定ですΣ('◉⌓◉’)

 



 天上の神々が優雅にハーブティーを楽しみながら下界を眺める。


「ゴクトーのやつ、責任重大だ。はっはははは!」


 トランザニヤの高笑いが天上界に広がっていった。




 ーーその頃、ゴクトーはギルド支部の応接室で、

 大所帯の仲間を抱え、頭を捻っていた。




 


 ◇(ゴクトーが語り部をつとめます)◇

 






 「えぇーーっ! 『Goddess』を解散!?」



 エリナが、絶叫したハウゼンと俺を交互に見つめる。

 その声に一同が振り返り、言葉も漏らさずクスクスと笑みを溢す。


 ふとエリナが口元を緩ませ、艶っぽいウィンクをパチッ!

 その瞬間、ハウゼンが顔を赤く染め、俺は目を見開く。


 仲間たちの視線が、自然に俺とハウゼンに集まる。


 一瞬、ただならぬ緊張した空気が圧を纏い、俺の頬を撫でる。


 ……なんなんだ……エリナ、そのつぶらな瞳のウィンクは……

 吸い込まれるだろッ!


 俺は熱を持った頬を軽く叩き、一旦気を引き締め、ハウゼンに問いかけた。


「ハウゼン支部長……クランとパーティの違いは、取り分だけなのか?」


 その言葉に、ハウゼンの瞼が閉じられる。

 彼が混乱した頭を必死に整理するかのようにーー

 何やらブツブツと唇を動かす。


 やがて、整理がついたのかーー

 パチリと目を開いたハウゼンがゆっくりとした口調で話し始めた。


「そうだね……。

『クラン登録』というギルドのシステムがあって、

 高ランクパーティがクラン化すると、信頼度が上がる。


 依頼はもちろん増えるし、

 傭兵としてーー国から直接、依頼が来ることもあるんだよ。

 まぁ、これに至っては、ここ数十年、依頼があった試しはないけど。


 まぁクランには、代表者とサブリーダーを設けるのが一般的でね、

 下部のパーティに依頼の斡旋もできるんだ。


 規模が大きくなる分、斡旋手数料を取る場合もあるんだが……

 君たちがクランになるなら、『S級』のクランになるね。


 大陸でも数えるほどしかない、特別な存在だ。

 いずれ、『メデルザード王国』や、『カイド』のような大国、

 いや、そればかりか『魔族の国ガーランド』からも、

 目をつけられるだろうねーー

 いや、すでに目をつけられているかも?」


 丁寧なハウゼンの説明を脳内で噛み砕き、咀嚼する。

 アリーとミーア、エリナの妹たちが口を開き、ポカンとする中、

 思考を巡らせながら整理して、俺は独り言のように零す。


「そうか……色々と面倒になりそうだな。みんなはどう思う?」


 その問いに、メンバーたちがそれぞれの想いを言葉に乗せる。


「ゴクにぃの好きなようにすれば、いいにゃ!」


 アリーが元気よく言えば、アカリが俺の腕を抱えながら、


「ダー様が進む道なら、私は異論なく、ついていきますわ」と耳元で囁く。

 

 その姉の態度にギラリと睨みを効かせつつ、どこか達観したかのようにーー

 ふわっと桃髪をかきあげるジュリが零す。


「へんダーの進む道は険しそう……でも、これは絶対、本に書けるわ!」 


 そう言って彼女がいきなり、妙なガッツポーズを取っていた。


 そんな中、パメラ、ノビの『師弟コンビ』は言葉は一切零さず、

 様子見なのかーー無言を貫いていた。

 

 一方、その傍で、「うちは、もっと揉まれたいから……クランでもいいと思う」


 と、ミーアが周囲の喧騒を意に介さず、淡々と言葉を並べる。

 その言葉にミリネアが口元を緩め、俺に念話を寄越す。


《「ご主様がどうしたいのかが、重要です。ご決断を」》


 顳顬(こめかみ)に優しい口調の声音が響き、俺は無言で頷く。


 重苦しい空気が漂う中、20人を超える応接室がしんと静まり、

 暖炉の揺れる火が小さくパチッと音を鳴らす。

 そんな状況下の元、皆が息を呑み、誰も声すら発さない。


 だが、次の瞬間ーー場に燃えるような熱気が漂う。

 視界の端に飛び込む、ワナワナと震えるフードのローブ。


「兄貴……この際、クランにしちまったらどうだ」


 クロニクの琥珀と青いオッドアイが俺を貫く。

 一方で片眉を上げたアカリが、俺を真っ直ぐに見つめる。


「ダー様、面倒ごとはーー女性関係も含め、私がすべて引き受けますわ」


 その言葉に目をはぐらかし、ため息をついたーーその時。


 訛り混じりの声が、場の緊張をほぐすように響く。


「ゴクどーさん……オラもリリゴパノアの一員どしで、

 先生と一緒にサポートじまづ……」


 ノビが少し照れくさそうに言の葉を落とした。

 その横でパメラがノビに睨みをきかせて一瞥。


「……“一員として”、ね?  だろうがああああ!」


「ありがとうございまづ……!」


 ノビが照れ笑いを浮かべ、頭を下げる。


「相変わらず、聞きづらいがパメラのおかげで助かった」


 そう俺がつぶやいたその瞬間ーーくすくすとした笑い声が漏れる。

 場の緊張がノビのおかげで和らいだ。


 だがーー。

 突然、パメラが興奮して立ち上り、声を上げる。


「ゴクちゃん!女の面倒事は、このあたいがなんとかするから、安心して!」


 その瞬間ーー”ブルンブルン”


 ーー空気が震え、たわわな胸の『爆弾(ダイナマイト)』が激しく揺れた。


「先生え!おぢづいでえ!」


挿絵(By みてみん)


 ノビが叫びながら、たわわな胸をやんわりおさえる。




「貴様ァあああああああああああ!!」


 その刹那、繰り出されたーー鞭のようにしなる手の平。


 バシッ!


 鈍いビンタの音だけが応接室に響く。

 

 

挿絵(By みてみん)


一同が目を丸くしながら固唾を飲む中、


ケロ(けど)……あぶなかったんさ! 魔力(マナ)が溢れ出てたから……」


 真っ赤な頬だが、ノビがニヤッと笑いケロッと零す。

 驚きを隠せないパメラが小声で漏らす。


「コヤツめぇ……いつの間にか、

 魔力(マナ)まで、見えるようになってるとはね……。


 見方を変えていかないとーーまずいわねん」


 そう言いながらも口元を緩ませる。


「ふん、生意気な……この馬鹿ガエルが……」


 つっけんどんに言い放つパメラはさておき。

 

 一方でノビとの『恒例行事』に目を輝かせるエリナの妹たち。

 

「凄ーい、速さ」

「見えなかったよね、今のビンタ!」

「だねだね」


 驚きの声が上がる中、イブが腹を抱えて笑う。


「ぁはははは。そなたらは面白いのぅ」


 その言葉に周囲からも笑い声が広がり場に満ちる。


挿絵(By みてみん)


 テンプレか!


 内心ツッコミを入れる俺を他所にーー

 場の空気が穏やかな流れに変わりつつある中、

 ハウゼンだけが目を白黒させて、ひとり固まっていた。


 その様子に口元を緩めた矢先、ミリネアからの念話が頭に響く。


《「ご主様が決めたことなら、ワタクシも従います」》


 目が合うミリネアと頷き合う俺を他所に、

 イブが涼しげな声で結論づける。


「妾は殿さえおれば、それで良いのじゃ」


 その言葉に一同が無言で頷く。



 クランにしても大丈夫そうだ。

 ……この仲間たちとなら。


 

 俺も内心で決意を固めた。


「わかった……クラン登録をしよう。

 ただ、パーティ名をそのまま使うのは、

 正直、クランの重みってのがーー実感できないんじゃないか?」


 俺がハウゼンに向かって言葉を投げるとーー


「確かに……ヘンダーの言うことも、一理ある」

「名前は大事よねん」

「たいして、関係ねえな!」

「うちは揉んで貰えれば、それでいい」

「別に妾は拘らん」


 ぶつぶつと仲間たちが騒つく。


「リリゴパノアは、ダンジョン攻略の際につけた名だ。

 今後は仲間も増えるだろうし、

 新しい名前にした方が良い気がするんだが、どう思う?」


 俺の提案に、『リリゴパノア』の初期メンバーたちも一瞬考え込むがーー

 やがて次々と意見を述べ始めた。


 パメラが悪戯っぽい目でつぶやく。


「じゃあ……“ゴクゴク団”とか、どうかしらん?」


「にゃはは、それ飲み物っぽいよ!」


 パメラの言葉にアリーが垂れ耳をはためかせ笑う。

 

 一方でジュリが頬を朱く染めながら、


「『幻を創りて(リ・)世界を覆す者(クリエイターズ)』……

 ううん、ちょっと中二っぽいかも……」


 零しながら頬を染め、やたらと照れる。

 そんな中、イブが腕を組みながらポツリと言の葉を落とす。


「リリゴパノアのままで、ええじゃろ」


「ワタクシは、リリゴパノアの名前と語呂が好きですわ」


 イブの言葉にミリネアも笑って答える。


 意見はわかれたものの、

 全員が信頼を寄せてくれていることは明らかだった。


 俺は僅かに口元を緩ませ、メンバーたちを見渡した。


 こんなにも頼もしい仲間に囲まれているんだ。

 名前が何であろうと構わないよな……。


「わかった。

 クランの名前は、無限大をつけて、

 

 リリゴパノア♾️(インフィニティー)としよう」


 俺の言葉が紡がれたーー次の瞬間。



 挿絵(By みてみん)


「「「「「「「「「「「「「「「「「「 それがいい!! 」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」

 

 一同の声が綺麗にハモった。

 

 

 クラン名は決まったが、まだ問題が残っていた。

 誰を『リリゴパノア』のオリジナルパーティに入れるかだ。


 「パーティに入れるのは、まずイブとーーココとエリナたちはその後から……」


 そう言いかけた俺の言葉を遮り、イブが真剣な眼差しで口を開いた。


「殿……妾はオリジナルのパーティに入りたいのじゃ。

 それに、ココに至っては、

 まだ冒険者登録すらしておらぬゆえ、

 クラン所属でも構わんと思うたが……。

 ココも、やはり妾と同じパーティに入れて欲しい!」


 その強い意志を込めた瞳に、俺は言葉を失った。

 

 一方の当人、ココも俺に向き合い、唇を動かす。


「姫様、ありがとうございます。

 我も同じパーティに……入れていただきたいのです」


 その言葉とともに、彼女の内心が伝わってくる。


(……この方がいたから、我は……あの槍を受けても、

 生き延びることができたのだ。

 ……我は、このお方と、姫様を命に変えてもお守りする……のです)


 心読スキルに手を焼く俺を他所に、ココが深々と頭を下げた。

 その姿に、ただの護衛師団長ではない、冒険者になろうとするーー

 彼女の強い意志と覚悟を感じる。


 その様子を見つめるエリナが小さな声で言葉を添える。


「アタシも、リリゴパノアのオリジナルパーティに……

 そ、その……入れて欲しいのだけれど……?」


 彼女の頬はうっすらと朱に染まり、

 俺の目すら、まともに見られないのはなぜなのか。

 疑問に思う最中、一旦頭を整理する。


 これ以上メンバーを増やすとなると……

 パーティの管理も大変になるし、

 バランスを考えれば……簡単に承諾するべきではないけども。


 そんな俺の葛藤をまるで見抜いたかのようにーー

 エリナの妹、次女のアウリアが妖艶な笑みを深めた。


挿絵(By みてみん)

 

 そして彼女が淡々と唇を動かす。


「姉上がそう仰るなら……

 アタイたち6人は、クランリリゴパノア♾️の傘下に入るだけで構わないわ」


 そう言うと、彼女が青い髪を掻き上げ、他の妹たち5人を見やる。


「ね、みんな?」


 彼女の言葉に、『Goddess』のメンバーであるーー

 妹らも頬を朱らめ、小さく頷く。


 そして、目を合わせるごとに次々と、

 『アマゾネスウィンク』を繰り出される俺は、

 耐えきれず顔に血が昇り始めた。


 そんな、連発してく・だ・さ・い・ま・す・な。

 倒れるんですけどもーー!


 決して口には出せない叫びを秘める中、

 俺を他所に冷静なアカリが場を取り仕切る。


「ダー様、まずはイブとココをパーティに迎えましょう。


 そして、エリナさんには『Goddess』解散後、

 正式に入ってもらう形にすればよろしいかと。

 

 ーーそれから妹のアクアさんたちは、

 リリゴパノアのクラン登録後、傘下のパーティとして、

 登録させてもらうというのは……いかがでしょう?」


 完璧な提案。


 彼女の冷静な判断力には、いつも助けられる。


 だが、それに待ったをかけたのはイブだった。


「殿、ココの冒険者登録を先ず済ませてやらねば。

 妾は『S級』冒険者じゃから問題ないがーー


 ココは『F級』からのスタートじゃ。

 もし、ギルド本部から依頼が来たら、

 ココが参加できなくなると思うのじゃが……」


 真剣な眼差しで告げる彼女の隣で、

 ココが申し訳なさそうに俯く。


「そうか……それは確かに問題だな」


 俺の言葉が静かに応接室に響き、再び場の空気が重くなる。

 

 窓からの隙間風が冷たく吹き込み、

 暖炉の火がメラッと揺れ動いたーーその時。

 

 支部長のハウゼンが口を開いた。


「んんっ……姫様が『S級』とは本当に驚きなんですが……

 ゴクトー卿、これは凄いことだ。

 エイマスさんも参加するんだよね……?


 実は今回のワイバーン討伐の件で、

 ノビ君を『A級』、ミーアさんを『S級』に推薦していたんだ。


 『S級』が10人もいるパーティなんて、聞いたことがないよ。

 これは間違いなく高ランクーー君たち指定の依頼が来るだろうね」


 興奮気味に語るハウゼンに、ココが不安そうな表情を浮かべた。


「ならば、我はどうしたら……」


 彼女がそう漏らすと、ハウゼンが淀みもない声で丁寧に紡ぎ始める。


「低ランク冒険者は、高ランクの依頼を受けられないーー

 だがギルド規定の昇格試験に合格すれば、即『B級』には昇格できる。


 ーー『B級』になれれば、

 S級やA級の冒険者が同じパーティにいれば、

 ほとんどの依頼が受けられるよ。


 幸い、支部の鍛錬場では、昇格試験が随時行われているからね。


 ーーそれと、『S級』冒険者、二人の推薦があれば、

 すぐにでも『B級』試験を受けられる」


 その丁寧な説明を聞いて、イブが勢いよく立ち上がった。


「ならば妾がココを推薦しようぞ!」


「僕も推薦しゅる!」


 アリーも元気よく手を挙げる。


 突然の申し出に、ココが目を潤ませて喉を詰まらせた。


「ひ、姫様、ア、アリー殿……あ、ありがとうございます……!」


 その声は震えていたが、確かな感謝が込められていた。



挿絵(By みてみん)




 一方でイブを見るハウゼンの目に、確信が宿る。


「君たちが羨ましいよ。仲間に恵まれ、力もあって……

 正直、ちょっと妬けるくらいだ。

 

 ーーだからこそ、しっかり見届けさせてもらうよ。

 このビヨンド支部の支部長として、

 いや、冒険者を愛する一人として……ね」



 俺は、その言葉を聞いて改めて思う。


 この仲間とともに歩む未来が、

 どれほど明るく可能性に満ちているのかを。


 冒険者クランーー『リリゴパノア♾️』の結成。


 そして同時に、

 『彼らの期待に応える責任の重さ』も、

 しっかりと胸に刻む俺だったーー。






 


 ***【天界では】***


 神シロが雲間から顔を上げニヤリ。

 

「このクラン『リリゴパノア♾️』がこの先、

 このズードリア大陸をどんな風に変えて行くんじゃうろう……

 ますます目が離せんわい」


 その言葉に妻の女神東雲とトランザニヤも顔を上げ、笑みを溢したーー。





 


 



 お読みいただき、ありがとうございます。

 引き続き読んでいただければ嬉しいです(๑╹ω╹๑ )



 




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― 新着の感想 ―
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リリゴパノアインフィニティー、いい名前に落ち着きましたね。 候補でわちゃわちゃしながらも、最後はみんなが綺麗にハモる流れがニヤリ。 ノビくんとパメラ先生の恒例行事で笑わせてもらい、ノビくんが魔力まで…
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