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妄想図鑑が世界を変える? 〜異世界トランザニヤの末裔がその物語を塗り替える〜 #イセトラ    作者: 楓 隆寿
第3幕 動章。  〜ワイバーン討伐と新たな仲間〜

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新生リリゴパノア編 2 〜大将受諾とハウゼンの絶叫〜


 どうぞお手柔らかに♪( ´θ`)ノ

 



 下界から顔を上げたトランザニヤが零す。


 「いやいやまさか、ゴクトーがな……

 これって、神代の大神様のお導きなのかッ!?」


 その言葉に神シロが答えた。


「ワシらには想像すら及ばぬ未来も、大神様はきっと見えておるんじゃろう」


 神シロの言葉を受け、女神東雲が眉をつり上げる。


「あなたも、少しは見習って、上位神に早く御成くださいませ!

 あなたときたらーー大神様からの森羅万象の問いにも、ろくに答えられず、

 毎度、不合格。 ワタクシは、もう700年以上待っているんですよ!」


 その言葉にトランザニヤが耳を塞ぐ。

 一方で、神シロが愚痴を零す。


「上位神になれば、ここにいられなくなるーー

 もう一段上の神の層など、堅物しかおらん。ワシには向かんのじゃ!」


 トランザニヤが楽しげに笑う。


 「……さて、ゴクトーが受けるか、断るか。オレは『受ける』に賭けるぞッ!」

 

「おや、殊勝な。ならばワシは『断る』に一票投じよう。

 あいつのあの、損得に無頓着な顔――

 見ていて清々しいほどに人間らしくて気に入っておる」


 神シロの言葉に、東雲が呆れ果て、息をついた。


「あなた方は本当に……。まあいいですわ。

 ならばワタクシは『あえて受けて、

 とんでもない方法で地位を利用する』に賭けますわ」



挿絵(By みてみん)


 

 天界でのそんな無責任な会話が、

 ゴクトーの背中に『妙なプレッシャー』として伝わっているとも知らずに。

 ーーその頃ギルド支部の応接室では、ゴクトーが衝撃を受けていたーー。





 ◇(ゴクトーが語り部をつとめます)◇




 「叔父上が……ゴクトー君をハルツーム家の男爵に取り立て、

 軍総司令――大将に据えろと、どうしても聞かなくてね。

 ……なぁ、どうか引き受けてはくれないだろうか?」



「!!!……………………」


 シモンヌ卿の爆弾発言に、応接室には呼吸の音すらしなくなる。


 俺はもちろん、仲間たちも、そしてハウゼンさえも声を失った。


「いやいやいやいや!」

 

 思わず叫び、幻影が見えるほどの速度で激しく首と両手を横に振った。


 

 何だそれ……俺が大将?  軍略なんか練れるわけないし、

 人を殺す『戦』なんか、論外だ……!


 

 普段から予想外の展開には慣れているとはいえ、

 これはさすがに想定外すぎて、反論すら思いつかない。


 俺は混乱し、額にもうっすら汗が滲む。


「ちょっと待て。貴族ってのはまだしも、軍総司令ってのは何だ?

 戦にでも行けって言うのか?」


 思わず問う俺に、シモンヌ卿が平然と言ってのける。


「いや、そんな物騒な話ではない」


「違うのか?」


「総司令ーー軍の大将職というのは、

 何かあった時に出陣してもらう形式的な地位だ。

 幸い、この数百年、戦なんて起きておらんからな。

 ただの名誉職と思ってくれれば、それでいい」


「兄貴に名誉職ねぇ……」


 すかさずクロニクが口を挟み、無粋な表情を見せる。

 どうやら納得できないようだ。


 仲間たちも状況を呑み込めず、互いに顔を見合わせるばかりだ。

 場の空気がやたらと重苦しいのを感じつつも、口を開く。


「……で、貴族になると何か制約があるのか?

 俺は 冒険者を続けたいんだが」


「特に制約はないーー」


 シモンヌ卿の言葉を受け、ハウゼンがやや堅い声で補足する。


 「ただ、アドリア公国の貴族になる以上、

 ギルドの所属がアドリア公国支部に固定される。


 国やギルド本部から依頼が来ることも増える……が、それ以外は自由だよ」


 俺は腕を組み、少し考えた。


「……断る、って選択肢もあるのか?」


「ゴクトー君、それは……あまりに、もったいないことだよ!」


 ハウゼンが苦笑しつつ制する。


「ハルツームの爺さんは、好きにしていいと言ってたぞ!」


「これ !! 叔父上を爺さんなどと、間違っても他では言わんでくれよ……」


 俺の表情を見ながらシモンヌ卿が小言を零す。


「うむ……この物怖じしない所が、叔父上に気に入られた所かもしれん……」


 その言葉に俺がニヤリと口元を緩めるとーー

 シモンヌ卿が呆れたように口を動かす。


「叔父上が好きにしていいと言ったのなら、好きにしていい。

 冒険者を続けていても文句は言うまい……

 ここはすまんが、納得してサインしてくれぬか?」


 そう言ってシモンヌ卿が、慌ててフォローを重ねる。


 ……どうする? これは単なる褒美じゃなく、

 今後の俺の立場にも影響する話だよな……。


 逡巡させる頭がいつにも増してぐるぐると回る中、

 ミリネアが、小さなため息をついた。

 その吐息にはーー

 呆れとも、あるいは何かを諦めたような響きが含まれていた。

 そして彼女が艶っぽい唇を光らせて、俺に念話を寄越す。


《「ご主様の好きにして良いと言うなら、

 受け入れても構わないのでは、ないでしょうか?」》


《「ミリネアもそう思うか?」》


《「はい。あくまで形式的なものなら、大きな影響はないでしょう。

 それに……一国の貴族、それも軍総司令ともなればーー

 役に立つ場面もこの先あるかと……」》


 ミリネアの念話に短く頷く。

 頭の切れる彼女が、そう判断するのなら、信じてみようと。


「……わかった。好きにさせてもらうことを条件に、この話、受けよう」


「おお! ありがたい!」


 シモンヌ卿が満面の笑みで手を叩き、書類を全て取り出す。


「では、この書類にサインを頼む。まずは土地の権利証だが……」


 俺は一枚一枚、丁寧に説明を受けながらサインをしていく。


 その間、仲間たちもその書類を注視しながらーー

 シモンヌ卿の説明に、興味深そうに耳を傾ける。


 最後の書類を渡し終えたーーその時。

 シモンヌ卿が懐から、金細工が施された徽章とバッジを取り出す。

 それは貴族階級の象徴であり、将軍職の証だった。


「これが軍総司令、大将としてのの階級章だ。

 普段は身につけずとも良いが、いざという時には見せてくれ。

 それだけで他国でも貴族として通用する」


「……わかった。受け取っておくよ」


 俺はため息をつきつつも、徽章とバッジを受け取った。


挿絵(By みてみん)


 一方でシモンヌ卿が満足げに野太い声で笑う。


「はっはっはっは 。これで吾輩の用事は全て済んだ!

 これで吾輩も晴れて、叔父上に伯爵にしていただける。

 では、ハウゼン支部長。例のワイバーンの肉も準備できているか?」



 「もちろんです、シモンヌ卿、

 ……あ、失礼しましたシモンヌ伯爵。少々お待ちください」


 ハウゼンが応接室を出て行き、副支部長を伴って戻ってくる。

 その後ーーシモンヌ卿は、上機嫌のまま応接室を後にした。



 緊張が解けたハウゼンが、やや疲れた様子で俺を見る。


「ははははは……いや、これは凄いことだよ。

 冒険者から貴族になるなんてーー本当に夢みたいな話だ。

 これからはゴクトー卿と呼ばないとね!」


「やめてくれ。俺はそんな柄じゃないし、癖も強い」


 俺のその言葉に一同が腹を抱えーー

 一方ではノビとパメラが、もう一方ではジュリとアリーが笑い転げる。


 場の空気が重いものから、軽いものに変わってきた丁度の頃合い。

 タイミングを見計らい、俺はハウゼンに尋ねた。


「それより、聞きたいことがあるんだ」


「ん?なんだね?」


 ハウゼンの口元が締まる中、真剣な眼差しを向けながら口を開く。


「新しい仲間を紹介しても?」


「新しい仲間とは?」


 ハウゼンが目を丸くする。


「こいつらだ」


 俺の肩に乗るコガラが、合図するかのように「ピピィ~♪」と楽しげに鳴く。


 ーー応接室の扉がバタンッと勢いよく開いた。


 その刹那、ハウゼンの顔が凍りつく。

 時が止まったような静寂が、応接室を支配した。




「まさか……?」


 息を呑む支部長のハウゼンが、目の前の状況に頭を抱えて固まった。



 挿絵(By みてみん)



 静まりかえる応接室で照明が突然、明滅する中、

 ハウゼンが信じられないものを見る目で俺たちを見やり、

 ようやく声を絞り出す。


「ゴクトー卿……その新しい仲間って、まさか……ファルダットの姫様。

 

 ちょっと確認するけど……もしかして、今、私の目の前にいるーー

『Goddess』のメンバーも、じゃないだろう……ね?」

 

「その通りだ」


 落ち着いた声で答えた俺に、支部長ハウゼンの顔色が変わる。



「いやいや……待ってくれ!!


『Goddess』のメンバーは本部からの依頼で、

 ここに派遣されてるんだよ。


 彼女たちを今すぐ君の仲間にするなんてーー

 そんな無茶な話が通るわけないじゃないか。

 それにファルダットの姫様まで……ゴクトー卿、大概にしてくれたまえ!」



 額に#を浮かべ、慌てるハウゼンに対し、

 ファルダットの姫、ヒラム・イブ・ファルダットーー

 冒険者登録名『イブラヒム』と明記してある、S級白金(プラチナ)カードを差し出す。


「何故じゃ?(わらわ)は冒険者ぞぇ。姫だろうが関係ないじゃろ?」

 

 堂々と威厳を滲ませるーーその姿はさすが。


 一方でハウゼンが動揺し、額に滲む汗を拭き拭き、必死に言い訳を並べた。


「姫様、冒険者だったのですか……? それもS級……」


「そうじゃ」


「受付の者には、ファルダットの姫君が……」


「ならなんじゃ」


「ゴクトー卿を訪ねてきたとしか聞いておらず……」


 言葉にも詰まり、困り果てるハウゼンを見兼ね、

 エリナ・エイマスがーー艶やかな声で割り込む。


「アタシたちのクラン『Goddess』はーー

 この依頼、本部からの輸送依頼を終えたら解散するつもり。

 

 ……妹たちも了承してくれたわ。

 それが済んだら、アタシもリリゴパノアに加えて貰うの!」


「えぇーーっ! 『Goddess』を解散!?」


 ハウゼンの悲鳴じみた叫び声だけが応接室に響いたーー。


 挿絵(By みてみん)



 




 ***【天上では】***


 「おほほほほほ」


 高らかな女神東雲の笑い声は雲を退け、

 神々しくも美しい虹の架け橋が、

 天界と地上の空を繋ぐようにーーその姿を現した。






 お読みいただき、ありがとうございます。

 引き続き読んでいただければ嬉しいです(๑╹ω╹๑ )



 




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― 新着の感想 ―
遂に来ましたね、ゴクトー男爵! Goddess解散という緊急事態も相まって、これからどの様なことになるのか。 これは目が離せません( *´艸`) 続きも楽しみに待ってます!(p`・ω・´q)
ゴクトーさんの男爵・大将受諾という大きな節目で、物語が新たな段階へ進みましたね(*^^*) 戸惑いながらもミリネアさんの助言を信じて決断する姿に、仲間との絆の深まりが感じられます。 さらにイブ様や『…
ゴクトー卿、爆誕!(_≧Д≦)ノ彡☆ 本人は全然そんな柄じゃないのに、どんどん立場が大きくなっていく流れが好きです。 ミリネアの助言で受け入れて、了承する流れは仲間を信頼しているな、と絆が深まってい…
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