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妄想図鑑が世界を変える? 〜異世界トランザニヤ物語〜 #イセトラ    作者: 楓 隆寿
第3幕 動章  〜ワイバーン討伐と新たな仲間〜

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202/214

模擬戦編 8 〜華麗なる戦い方〜



 

 中堅戦開始! Σ('◉⌓◉’)


 



 天上から下界を覗く神シロが零す。


「いよいよ、あの子の出番か」


 その言葉に、女神東雲が遠くを見つめながら答えた。


「オブニビアーー懐かしいですわね。

 トランザニヤ様と一緒に、赤髪のガーランドを封じる際、

 彼女の夫ーー神獣フェンリルに跨り、

 勇ましく戦っていたのを思い出しますわ」


 神シロと女神東雲の声に耳を傾ける、トランザニヤが零す。


「あの子には、神獣の中でもさらに上の神獣ーー白狼虎となれる器があるな」


 口元を緩ませ、再び下界を覗き込む。





 ーーその頃、ゴクトーたちは三将戦を終え、

 次の戦いーー中堅戦が静かに始まろうとしていた。




 


 ◇(ゴクトーが語り部をつとめます)◇





「いってくりゅ! コガラを頼むにゃ!」


 アリーがミリネアにコガラを預け、

 軽快な足取りで鍛錬場の隅のテントから闘技場の中央へ向かう。


 いつの間に着替えたのだろうか。

 最新式テントから出てきたアリーが、

『ハンター』さながらの戦闘装備に身を包んでいた。


 挿絵(By みてみん)


 彼女が握る重厚な三連銃身の魔導銃は初めて見る。

 アリーが鋭く踏み込むたび、銃身に埋め込まれたクリスタルが共鳴し、

 パチパチと青白い火花を散らしている。

 それは彼女の魔力(マナ)量が尋常では、ないからだ。



 一方、相手陣営の突き上げ式テントから、

 マルルがその名の通りーー豊かな胸を揺らし、堂々と出てきた。


 ジリジリとした緊張感が周囲に漂い始める。


「マルルのギフトは『連弩士』、さらに彼女は、

 『魔闘士』も兼ね備えてますから、きっと勝つことでしょう」


 回復したふくよかなガリがイブに耳打ちする。


「ふむ、マルル無理せぬようにな」


 首肯しながら腕を組み、イブが熱い視線でマルルを送り出す。


 その瞬間、闘技場には一陣の風が舞い込み、

 中央に僅かながら土煙が舞い上がった。

 それは闘いの合図を知らせるかのような小さな(つむじ)


 お互いに魔力(マナ)や【覇気】を窺う様子が、

 こちらにもビシビシ伝わってくる。


「中堅にょ、アリー・ココロ・オブニビアにゃ!」

 「中堅、マルル・ボイン、参ります」


 互いの名乗り、礼が終わると、エリナが力強く宣言する。


「始め!」

 

 澄んだエリナの声が響くと同時に、マルルが特殊な連弩を構えた。

 彼女の目には迷いなく、

 その凜とした戦闘姿は、熟練した戦士としての風格と誇りを滲ませる。


 緊張が頂に達し、仲間たちの息を呑む音だけが、

 しんとした闘技場に響く。


 最初に動きを見せたのはマルル。


 彼女が距離を取り、低く構えながら、連弩をアリーに向けた。


「【メルト・サンダー・ショット】!」


 同時に五本、放たれた矢が雷を帯び、地面を這う。

 

  "≶≶” "≶≶”  "≶≶” "≶≶”  "≶≶”

  "バリ” "バリ” "バリ” "バリ”  "バリ”



 雷鳴さながらの轟音を響かせ、アリーを襲うーー紫雷に包まれた矢羽。

 そのスピードと正確さは、避ける間もなく打ち倒されるだろう。


 だがアリーが、獣耳をピンと立たせ、微音すら逃さぬようーー


 「にゃっ!」


 軽やかに身体を捻り、雷矢を紙一重で躱す。


挿絵(By みてみん)


 激しい身のこなしに合わせ、ふさふさとした尻尾がダイナミックに揺れる。

 

 銀髪と首元の白いストールを大きく後ろへと靡かせる。

 それはまるで、彼女のスピードを可視化したオーラのよう。


 頑丈なイエローのタクティカルブーツが石畳を力強く叩き、

 砂埃を舞い上げ、飛び跳ね、回転し、地面に伏せる。


 身体にフィットした迷彩柄のコンバットウェアが、

 彼女のしなやかな筋肉の動きを補助しているかのようだ。

 動きのひとつひとつが、まさに"獣”。


 ーー獣人族特有のスキルそのもので、

 全ての矢を見事に避けてみせた。



「やるわね………」


 マルルが焦りを感じつつも、体勢を変え、さらに連弩に魔力を込める。


 ゴゴゴゴゴ……!


 冷静に瞼を閉じるマルルの身体が、黒紫の魔法陣に包まれた。


「……なるほど。動きで翻弄するタイプなのね……

 なら動きは無視すればーー見なければいいのよ。

【ファイブ・コントニオス】!」


 何とマルルが目を閉じたまま詠唱、天井に向け矢を連続で放ち始める。


 "ボォ༄༅” "ボォ༄༅” "ボォ༄༅” "ボォ༄༅” "ボォ༄༅”


 連弩から放たれた紫の炎を纏う五本の矢が追尾するように、

 アリーを追い詰める。


 避けたと思った瞬間。


 「……次は外さない!」


 マルルから再び新たな矢が放たれる。


 しかしアリーがそれすらも冷静に躱す。

 マルルの額には、じっとりとした汗が滲む。


「やるわね……これほどとは思わなかったけど、次は避けられないわ!」


 マルルの目がカッと見開き、正面に連弩を構え、アリーに向かって矢を放つ。


「【コキュートス・デル・アロ】!」


 マルルが叫びながら魔力を込め、異質な矢を一本放つ。

 それは途中で分裂し、六本の矢が螺旋状に絡み合いーー

 雷を纏った巨大な魔獣の姿へと変化した。


 大狼のような魔獣が低い咆哮を上げ、

 アリーに向かって一直線に突進する。



 その圧倒的な迫力に見ている誰もが息を呑んだ。


 闘技場を禍々しく重い空気が満たす中ーー

 拳を握るジュリが叫んだ。


「アリーーーー!」


 一瞬アリーの耳が立ち、動きが止まる。

 次の瞬間、確実に喰われるーー誰もが確信した。



 挿絵(By みてみん)



「にゃっ……!」


 その隙を見逃さず、魔獣が鋭い牙を光らせる。

 

 激しい雷光の中、アリーの金色の瞳が縦に裂ける。

 それは獣の生存本能を遥かに超え、

 万物の魔力の奔流を『視る』というーー

 彼女自身の器がもたらす極致の感覚なのだろう。


「魔物じゃにゃい! ただの矢にゃ!」


 微かに感じた魔力の渦ーー

 それがアリーの反応をさらに加速させる。

 機を見逃さないアリーが、魔導銃の引き金を引いた。


 “バァァァンッ!”


 轟音とともに、放たれた魔導弾が魔獣を粉々に吹き飛ばす。

 凄まじい爆風と閃光ーー。


「ぅわわわ」

「アリーは?」

「どうなった?」

「マルルは無事?」


 見ている者たちからどよめきが起こった。


「……なっ……!?まさか、あの魔導銃の一発で……」


 土埃をかぶるマルルが驚き、目を丸くする。

 ここまでの威力があるとは思っていなかったのか。

 動揺する彼女が後ずさった。


 残像が残るほどの速度ーー音もない一瞬。


 マルルの懐に飛び込み、魔導銃の銃口を腹部に突きつけるアリー。

 その動きはまるで獲物を仕留める獣のよう。


「……僕の勝ちにゃ!」


 銃口を突きつけたまま、アリーが小さな声で漏らす。


「これ以上は……」


 マルルの連弩が、カランと音を立てて地面に落ちた。


 次の瞬間ーー。


「……やめ! 勝者、アリー・ココロ・オブニビア!」


 静まり返る闘技場にエリナの宣言が響き渡る。


 アリーが汗ひとつ掻かず、満面の笑みを浮かべ俺たちの元へ。


「やったああああ!アリー!!」


 ジュリの喜ぶ声が響く中、

 ミーアが目を♡に輝かせ、笑顔のままアリーに抱きつく。


 ガバッ!


 そして、その圧倒的な『峡谷』に、アリーの顔は埋められた。


「は、はにゃして…ミーア…苦しいにゃ…」



挿絵(By みてみん)


 緊張から解き放たれーー

 ゲラゲラとした仲間の笑い声が広がっていく。


「よく頑張ったな、アリー」


 そう言ってアリーの頭を撫でると、彼女が嬉しそうに尻尾をふり、

 モフモフの先端で俺の膝を軽く突いてくる。


 「本当……強いよ、よくやったな……」


 そう自然と溢れる。

 仲間たちもアリーの周りに集まった。


 一方、マルルが肩を落としながら陣営に戻っていく。

 その姿にイブが慰めるように言の葉を落とす。


「マルル、対戦相手との相性が悪かっただけじゃ。気を落とすでない」


「姫様申し訳ありません……。

 わたしとしたことが……油断いたしました」


 マルルがしおらしくーー

 それでいて一瞬、可憐な表情を見せながら頭を下げる。

 一方でイブが優しくマルルの肩を叩き、労いの言葉をかける。


「怪我がないなら何よりじゃ」


 そんな中、空気を一新するかのように、

 エリナが澄んだ声を張り上げる。


 挿絵(By みてみん)


「次の対戦を始めます!中堅の勝者、アリーと戦う副将は、前へ!」



 








 お読みいただき、ありがとうございます。

 引き続き読んでいただければ嬉しいです(๑╹ω╹๑ )



 




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― 新着の感想 ―
アリーちゃん、かっこよかったです。 雷矢を紙一重でかわしていく動きがすごく映えていて、戦闘シーンに勢いがありました。 魔獣に見えた矢を見抜いて、魔導銃で撃ち抜く流れも気持ちよく、 勝ったあとのミーアと…
アリー強い!(*>∀<*) 強くてカッコいいです! ついに戦いも後半戦ですね。 まだまだ正座は崩しませんよ~! 続きを楽しみにしてます!
久しぶりの感想失礼致します。 アリーちゃんの戦闘、とても臨場感がありました。 イラストもさすがです^ ^ 次話も楽しみです。 応援しております♪^_^
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