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妄想図鑑が世界を変える? 〜異世界トランザニヤ物語〜 #イセトラ    作者: 楓 隆寿
第3幕 動章  〜ワイバーン討伐と新たな仲間〜

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模擬戦編 4  〜次鋒戦の結末〜



 ノビ対キキの次鋒戦♪( ´θ`)ノ

 




 ◆(天上の人柱ーートランザニヤが語り部をつとめます)◆






「ノビーーー!!」


 パメラの悲痛な叫びが鍛錬場に響く。


 挿絵(By みてみん)




 その一撃は避けられないように思えた。


「キキの『幻獣の槍』はお見事でございますね……姫様。

 あの一体の一撃で一個中隊が、壊滅するとか……」


 マルルがイブに囁く。


「どうする?カエル君……!」


 イブの口元には興味深そうな笑みが浮かぶ。

 

 一方、キキの長槍がグリフィンの幻獣に変わり、

「グルッギエー!」と、

 咆哮を上げながら鋭い爪と嘴を光らせノビの目前に迫ったーー。


 「この一撃で決めるじがない……!」


 ノビの額に汗が滲む。


 こごは……先生の教えーー

 ”魔力(マナ)は心の目で見る”、

 クロニクさんに教わった”【覇気】を感じろ”なんさ……!


 ノビは心の中で決意する。


 その時ーー風がピタリと止まった。


 ノビの目が一瞬、金色で黒点がひとつ浮かぶ瞳に変わる。

 それはまるで殿様ガエルのようなーー

 フロッグマン特有の戦士の瞳だった。


 彼の目にはキキの魔力の流れが、光の筋のように見えていた。

 その刹那、ノビの目が白く濁る。


「万物を平らげる大蝦蟇(おおガマガエル)よ。

 古のフロッグの契約を今ここに!

 

 オラにその膂力(りょりょく)を与えよ!

 

 ――カエル拳【ワンパンチ(ひっぱだき)】!!」




 ノビが特有の【古代魔法】を唱え、

 肥大した右拳を振り上げる。

 そしてーー幻獣化したキキの槍、

 黄色に輝くグリフォンに叩き込んだーー。


 挿絵(By みてみん)





 バキィーーーンッ!


 重なる音が響く中、

 衝撃波が戦場を震わせた。

 コンマ数秒遅れてーー“グゥワシャ!”


 ノビの拳を覆うメリケンサックが粉々になり、

 右拳が無残にも、形すら成さずグシャグシャに砕けた。

 闘技場の石床が真っ赤に染まっていく。


 それでもノビが辛うじて、グリフォンの黄色い炎を消し去った。


 だが、その隙を見逃すキキではない。

 彼女は回転して長槍を振り下ろし、ノビに止めを刺そうとする。


「そこまで! ーーこれ以上は模擬戦の域を超える!

 次鋒、勝者キキ・キリン!」


 エリナの声が響くと同時に、

 キキの槍がノビの頭上でピタリと止まった。



 「このカエルの子……まさか【覇気】を読んだの……?」


 エリナが驚いた様子でその場を見守る。


 一方で苦痛に顔を歪めるノビに、


 「…ふふ……でも、思ったよりやるじゃない……カエル君」


 キキがつぶやき一礼する。

 小刻みに肩を上下させ、彼女が自陣に踵を返した。

 一方でその勇姿を見ていたイブの陣営が笑顔で迎える。


「見事じゃ、キキ」


「はぁ……はぁ……姫様、ありがとうございます!」


 イブの言葉にキキが深々と頭を下げる。

 退場するキキの背中を見つめ、ノビが零す。

 

 「いでで……っくッ! 」

  

 涙を拭うパメラと慌てるジュリが、

 血相を変えてノビに駆け寄る。

 

 即座にジュリが【回復魔法】を唱え、

 ノビの傷ついた拳を癒やす。


「【エクストラ・ヒール】!」


【月刀・常闇】を鞘に収め、カチン!

 時が止まったような鍛錬場にーーその音は静かに響く。


 挿絵(By みてみん)


 魔法陣から降り注ぐ薄緑の光がノビを包み、

 出血は止まり、歪んだ右肘がゆっくりと元通りになっていく。

 だが、拳は形を成さずグシャグシャのまま。


 チラッと見えたジュリの”青”にクロニクの視点がピタリと止まる。

 ーーそれはさておき。


 パメラも必死に「【マジック・ヒーリー】!」と、

 魔力回復に努めるが、一向にノビの拳は元通りにならない。

 

 苦痛に顔を歪め、

 ノビが「拳なら、諦めるんさ……」と必死に声を絞り出す。


 そんな中ーー瞳に涙を湛えるパメラがミリネアに声をかける。


「ミリネア教授、【エルフの涙】は、もうないの?」


「ええ……ミンシアが作ったものは、ご主様に使ってしまったから……」


 言いづらそうだが、冷静にミリネアが答える。

 その言葉にパメラの表情が曇った。

 場の空気が重くなりつつある中、

 ミーアが【エルフの涙】を出そうとしたーーその時。

 ふとクロニクが口を開く。


「兄貴の再生治癒魔法があるじゃねえかよ!」


 その言葉にパメラが表情を変え、「ゴクちゃん、お願いよん!」と、

 うっすらと涙を浮かべ懇願した。


「任せろ!」


 ゴクトーが瞼を閉じ、魔力を翳した手に集中させる。

 大きく息を吸い込みーー彼は淀みない低い声で詠唱。


「【癒瑠々(ケアルル)座羅(ザラ)裏滅駆(リメーク)】!」


 その刹那ーー金色の光がノビの右拳を包み込む。

 柔らかで神聖なその光景に、イブたちやエリナの視線も固まっていた。


 グシャグシャだった拳が滑らかに再生され、

 指や爪も、まるで時を巻き戻すかのようにーー復元されていく。


 次の瞬間、仲間たちの表情に笑みが溢れた。


 「ノビ、貴様、痛みは?」


 化粧もグチャグチャなパメラの問いにノビが笑って答える。


「大丈夫なんさ! フロッグマンの戦士は、これぐらいじゃ負げないんさ!」


 その言葉にクロニクが被せる。


「ノビよ、オメーさん、負けたんだがな」


 仲間たちからのゲラゲラとした笑い声が響く中、

 パメラやジュリは勿論、仲間たちの瞳にも涙が湛えていた。

 

 場の空気が和らぐと、ジュリが嬉しそうな笑顔を浮かべる。


「ノビ、あの速い突きを躱すなんて、凄いじゃない!」


「ジュリさん、ありがどう……でも、負けてじまった……」


 悔しそうに目を伏せるノビは言葉に詰まる。


 一方でパメラが優しい声音で労う。


「貴様にしては上出来だ。良くやった」


 さらにクロニクもその大きな手でノビの背中を叩きながら、


 「ノビよぅ!【覇気】を読めたんだな? 

 スゲェじゃねぇか。オメーも成長してるじゃねぇかよぅ!ははははは」

 

 と豪快に笑う。


「先生……クロニクさん……ありがどうございまづ」


 二人にちょこんと頭を下げるノビが振り返る。


「……ゴクどーさん、治しでぐれで……」


 訛り混じりに泣きながら鼻水を垂らすノビに、

 ゴクトーが肩を軽く叩いて笑った。


「ノビ、僅差での負けだ。

 お前の実力は、十分見せられたからな。ししし」


 一方パメラが毅然とした声で励ます。


「そうだぞ貴様!相手は一国の護衛師団長だ。負けても恥にはならん!」


 その言葉にノビが涙を拭いながら頷いた。


 「先にその鼻水な!」


 ゴクトーのツッコミに仲間たちが再び笑い出したーーその時。


「したっけ……買っでくれた甲羅の胸当てがーー先生ーー!」


 ノビが突然、

 パメラの『爆弾(ダイナマイト)』な胸に飛び込み、顔を埋めた。

 

 挿絵(By みてみん)


 一瞬、時が止まったかのようだった。


 だが数秒後ーー怒りに震えるパメラがノビを突き放す。


「貴様ァあああああああああ!! それに……鼻水ううううううう!!」


 ゴゴゴゴゴ……!


 震えるパメラの胸の『爆弾』が真紅に煌めきーーブルン!

 凄まじい爆風を巻き起こす。


 闘技場の中央に立つエリナのスカートが、再びふわりと持ち上がる。


挿絵(By みてみん)


 その瞬間をゴクトーとクロニクが目を丸くしながらも、

 見逃さなかった。

 

 クロニクがやたらに目尻を下げる中、

 一方でゴクトーが胸を強く押さえ、

 『江戸っ子鼓動』が顔を出すのをーー

 必死で『妄想図鑑』に押し込めていた。


 

 ほんの数秒後ーー

 巻き起こる爆風がゴクトーの頬を掠め、「おっと」と躱わす中。


 

 「しだっけええええええええええええ!」


 ガンッ  メリメリメリ!


 ノビが吹き飛び、壁にめりこむ音が鍛錬場に響き渡った。


 挿絵(By みてみん)


 パメラとノビの師弟による『恒例行事』が炸裂。


 めり込むノビを見て、テントから顔を出すアリーが、

 ため息をつきながら、「あにゃ〜」と垂れ耳のまま、目を覆う。


 様子見で出てきたコガラも上空をパタパタと飛びながら、

 「したっけ!」とコトバを飛ばしノビの真似をする。


 だが、ノビは「ケロッ」とした顔で、

 崩れた壁の破片をコロコロと床に溢し、立ち上がる。


 ふとノビが闘技場に散らばる、

 甲羅の破片を拾い集め、小袋に詰め始めた。


「先生がら買ってもらった、胸当てが……」


 それは高校球児が甲子園の土を持って帰るようなーー。

 と、前世の記憶が蘇るゴクトーだった。


 そんな中、遠くで見守っていたイブが腹を抱えて笑い出す。


「ほんに、そなたたちは面白いのう……ぁはははは」


 その声でさらに場の空気が和らいだ。


 一方でノビが蹌踉めきながらも、

 燃え尽きた甲羅の欠片を大事そうに抱え、立ち上がる。


「したっけ……笑いだげれば、笑えばいいんさ……次は負げないんさ……!」


 負けたにも関わらず、

 その緑色の瞳には、次なる意志が宿っていた。

 誰も何も言わずにノビを静かに見守る。


 その時、鍛錬場には、ふわっとした温かい風が舞い込んだ。


「この模擬戦、ただの戦いじゃない……ノビ、お前は確かに強くなってるよ」


 ゴクトーはそんな彼の背中を見つめながら、次鋒戦を締めくくった。



 

 ◆(天上の神々)◆



「いやはや、はらはらしたわい」


 神シロが白髪を掻き上げる中、女神東雲がポツリと零す。


「フロッグマンのノビ君、確実に彼も目覚めましたわね」


 その言葉に黒銀の瞳を細める、トランザニヤが言の葉を落とす。


「彼のあの闘い方。ケロッグ長老を思い出すよ……」


 その言葉に口元を緩め、愉快そうに三柱は下界を眺めた。




 

◇(ここからゴクトーが語り部をつとめます)◇


 


 落ち着いた雰囲気が場に漂う中、


「次の対戦に入りますが、よろしいですか?」


 鍛錬場の中央で、エリナ・エイマスがこちらに声をかける。


 俺たちのやり取りを見て、すっかり呆れているらしいが、

 彼女の声が切り替わることで、場の空気は再び引き締まった。


「兄貴、本来ならここはミーア姫の番だが……

 向こうも槍使いだ。オイラが出ても構わないか?」


 クロニクが俺に尋ねる。

 彼の目は真剣で、既に次の戦闘に向けた気合が入っている。


「それは構わないが……」


 言葉を濁す俺を他所に、

 隣に寄り添うミリネアが、そっと目配せを送ってくる。


 ミリネアの合図の意図もわかる。

 ミーアの実力は間違いない、

 心配するクロニクの真意は理解しているつもりだ。


 そう考えていた矢先。

 ミーアが頬を朱に染め、一歩前に出て口を開く。


「クロニク皇子……ありがとう。

 大丈夫、ここはうちが出る。

 【ロカベル】の誇りがあるから!」


 その言葉にクロニクが一瞬、眉をひそめるが、

 ミリネアがそっと彼の肩に手を置く。


「クロニク殿……ここはミーアに任せてみてはどうでしょう」


「……ミーアに任せような」


 俺がそう告げると、クロニクは少し迷っていたが、やがて頷いた。


 ミリネアが耳打ちで何かを伝えると、ミーアが真剣な表情で頷く。


「わかった。姉様……やってみる……!」


 彼女のその目には迷いがなかった。

 そして、俺は彼女の背中を軽くポンと叩いて送り出す。


「ミーア、その実力をキキに見せてやれ!」


 



 お読みいただき、ありがとうございます。

 引き続き読んでいただければ嬉しいです(๑╹ω╹๑ )



 




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― 新着の感想 ―
ノビくん、めちゃくちゃ頑張りました(∩´∀`)∩スンバラシイ! キキの幻獣の槍に対して、最後まで食らいつく姿が熱かったです。 負けたけど、〖覇気〗や「次は負けない」という姿勢が、成長を感じさせてくれま…
愛されキャラのノビくん、いっぱい頑張りました! イラストと小説、全て素敵です! いつもありがとうございます。
ノビ君!頑張った!頑張ったよぉ!(´;ω;`) 試合には負けたかもしれませんが、彼は確かなる勝者です! ノビ君の勇姿に敬意を!(*`・ω・)ゞ さて、次は一体どうなるのか! 正座を崩さず、待ってま…
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