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妄想図鑑が世界を変える? 〜異世界トランザニヤ物語〜 #イセトラ    作者: 楓 隆寿
第3幕 動章  〜ワイバーン討伐と新たな仲間〜

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模擬戦編 5  〜三将戦〜



 ミーアvsキキの戦いーー果たして? Σ('◉⌓◉’)

 



 


 下界を眺める神シロがつぶやく。


 「この対戦は見ものじゃな」


 その言葉に黒銀の目を光らせるトランザニヤが口を開く。


「ミーア・ロカベルが使う龍黒弓ーー

 あの弓は確か、クリミア・ロカベルのものだったよな」


 その言葉に女神東雲が口を挟んだ。


「ええ。今、あの弓はーー

 まだミーアちゃんを”主”とはきっと認めていませんわ。

 ただーーミーアちゃんが、

 ”あの試練”を乗り越えた時、始めて、真の姿を現すでしょうね……」


 そう漏らしながら女神東雲が口元を緩めた。 


「そりゃ、かなり先になりそうだな。ししし」

 

 「うむ」


 神シロとトランザニヤも愉快そうに顔を見合わせ、

 三柱は下界を再び眺めた。





 ーーその頃、ゴクトーたち『リリゴパノア』の面々は、

【月読】の姫こと、ファルダット自由国の姫を守護するーー

 護衛師団長たちとギルド支部の闘技場にて、模擬戦を繰り広げていた。


 

 次鋒戦が終わり、

 次なる三将戦はノビに勝った第五護衛師団長ーー

 キキ・キリンと、『リリゴパノア」からの、

 ミーア・ロカベルが闘技場で火花を散らす寸前。



挿絵(By みてみん)

 

 審判は、【七つの大罪】と呼ばれるS級冒険者ーー

  Lust(色欲)の【美神(ヴィーナス)】、

 エリナ・エイマスがつとめたいた。






 ◆(女神東雲が語り部をつとめます)◆



 まだ息を切らせるキキが黒い特殊なグローブを嵌め、

 白い軍服の上着を脱ぎ捨て、口を開く。


 「はぁ…はぁ…キキ・キリン、参ります」


 その姿に双子の”ボイン”妹のマルルがポツリ。


「キキ師団長、本気だ。あのグローブには、身体強化が付与されているはず」


 その言葉にイブが苦笑いを浮かべ、

 「うむ。本気じゃな。

 しかし……黄色のレースとは、目立つ胸元じゃのぅ」と漏らした。


 その姿に一同がさまざまな思いの視線を投げる中、

 一方では、クロニクの不安げな視線に見送られるミーアが、

 鍛錬場と併設されている闘技場の中心へ。

 

 身構える二人。

 場には静かな緊張感が湛える。

 その空気を裂くように、エリナの高い声が開始を告げる。


「始め!」


 さっと後方に飛び退き、距離をとるミーアが、

 弓に黒い矢を四本番え、ギュンッと引き絞る。





 



 挿絵(By みてみん)



 (ミリネア姉様から教わった、これで……!)


 ミーアの動きには迷いがない。


 一瞬、風の流れが天井に吹き上がる。


「【イサナ:°レオタ・°タナァ】ーー!」


 

 澄んだ声を響かせるミーアの詠唱とともに、

 蒼い炎を纏う矢が煌めきを宿し放たれた。

 矢は空気を裂き、キキの顔、胸、胴、足に向かって一直線に飛んでいく。



 放たれた矢を目で追いながら、感心するようにイブが零す。


「八支族の古代魔法【ロカベル】か……なるほど、聞いていた通りじゃな」



 一方で、キキは余裕の表情を浮かべ、

 筋肉質かつ美しいBodyに力を込める。


「っらぁーー!!【デビル・ボーン・スピア】!!」


 キキが紫炎を纏わせ、骨のような形に変貌させた槍の鋒を、

 猛スピードで回転させる。


 ビシビシビシビシィッ!


 向かってくる蒼炎を纏う矢を次々と叩き落とす。


 

 挿絵(By みてみん)


 

 闇属性魔法の紫炎が、その異質な魔力(マナ)を漂わせ、

 鍛錬場には重い空気が張り詰める。



「ふん、この程度の攻撃など、あたしには効かないわ!」


 キキがせせら笑い、一気に間合いを詰める。

 対するミーアは、目に見えて呼吸を乱し、

 後退りしながら必死に矢を番え直していた。


(……たわいもないわね。

 八支族の姫とは聞いていたけれど……所詮はこの程度か)


 キキの確信が、僅かな隙を生む。

 


 だが、ミーアの震える指先は、

 恐怖ではなくーー”極限の集中”によるものだった。


 キキが間合いを詰め、ミーアにジリジリと迫る。

 

(思い出すんだ。ミリネア姉様の教え……。

『ピンチの時は【ロカベル】の誇りを胸に……唱えなさい』)


 ミリネアの言葉を思い浮かべながら、

 それでもミーアは素早い動作で黒い矢を四本番え、詠唱しながら放つ。

 

 だが、ことごとく叩き落とされたーーその瞬間。

 ミーアの背中に凍るような寒気が走る。


 ミーアが逃げ惑う足取りで土埃を巻き上げ、視界を微かに濁らせる。

 

 ーーすべては、

 発動に時間のかかる古代魔法の術式を編み上げるためのーー

 ”時間稼ぎ”。


 ミーアがわざと額の汗を拭い、隙を見せるように大きく一歩下がった。


(ーー今だ。食いついた!)


 獲物が罠にかかったことを確信したミーアの瞳から、怯えが消える。


 だがーー。

 

 再び弓に矢をかけようとするミーアの頭上から、

 まるで空間を飛び越えたかのように、

 紫炎を纏う”骨槍”が突然現れ、振り下ろされた。


 まさに音速と言っていいだろう。


 矢を番る間もなくーー咄嗟に身を躱し、

 反射的に避けるも、その紫炎がミーアの緑髪を掠めた。

 ジジジ…とした焦げた音とともに、キキが満面の笑みを浮かべる。


 状況はミーアが不利、

 間合いは完全に支配され、軍配はキキに有利な局面。

 

 だが、それでもミーアは咄嗟にタガーを勢いよく抜きさり、

 キキの槍が鼻先を掠めたーーその刹那。


 ガシュッ!


 紫炎の骨槍を間一髪受け止めた。


 シューーーッ!  バチバチバチ

 

 ミーアがダガーを下方に滑らせ、火花が舞う。

 ダガーの銀色が紫に焼かれーー

 まるで黒い糸が昇るような黒煙と焦げた匂いが二人の周囲を包む。

 

 瞬時にミーアが背中の弓に手をかけ、微かに唇を動かした。


「【ンラシカイ:°キオオ:ノチウ】!」


 

 勝ったと確信し、満面の笑みを浮かべていたキキの表情が凍りつく。

 

 ミーアが「追い詰められていた」場所には、

 すでに緻密な魔力の網が張り巡らされていたのだ。


 その瞬間ーー

 空気が微かに震え、鍛錬場に散らばる土埃が一斉に舞い上がった。

 ミーアの指先から、淡い青白い光の粒が閃く。


 ーー青白い光の粒は渦を描きながら広がり、

 まるで妖精のように優雅に踊った。


 そして、ミーアを包み込むように、

 柔らかな透明な膜を形作り、ドーム状の【結界】が完成する。


 次の瞬間、ミーアの姿が忽然と消えた。

 ミーアが結界魔法に身を隠し、冷静に狙いを定める。


(……この結界ドームにいれば、うちの姿は見えないはず……)


 ミーアの唱えた【ロカベル】の結界は、

 物理的な攻撃ならどんなものでも弾き返す。

 

 キキが振り下ろす槍もそれに違わず、

 見えない膜にバーンッと弾き返された。


 緊張感が頂に達する闘技場。

 

 イブたち師団長側からは、微かな唸り声と密やかな小声が囁かれる。


 一方で額に汗をかきながら周囲を見回し「消えた……?」と、

 キキが驚きの声を漏らす。

 彼女のその表情には明らかに動揺が見て取れる。


 キキが苛立ちと焦りを抱え、紫炎の”骨槍”を振り回す。


「どこだ!? 姿を現せ!」


 戦況を見つめるイブが苦笑しながら零す。


 「キキのやつ、取り乱しておるようじゃな……」


 そう言ってじっと眺める中ーー突然。

 音もなくキキの背後に迫る黒く閃く矢羽。


 “ドスッ” 

 “ドスッ” 

 “ドスッ” 

 “ドスッ”


「ぐっ…… うぅっ!」


 四本の矢が両肩と両腿に突き刺さり、キキが崩れるように地面に伏す。


 ミーアの姿は見えないが、キキが戦闘不能と判断。

 エリナが高らかに宣言する。


「それまで!勝者、ミーア・ロカベル!」


 その言葉にミーアが苦笑を浮かべ姿を現したーー。



 


 挿絵(By みてみん)



 


 ◇(ここからゴクトーが語り部をつとめます)◇



 エリナの終了の合図とともにーージュリが闘技場に素早く詰める。

 一方で、イブたちもキキのもとに駆けつけた。

 

 意識を取り戻したキキが、どこか悔しさを滲ませる。


「くぅぅーー……このあたしが、負けるとはね……ははは」


 その言葉とともに彼女が肘を立て、ちょこんと頭を乗せる。

 普通ならば、四本の矢が刺さって、平常ではいられないはずなのだが、

 彼女は、縁側で夕涼みでもしているかのようだ。


 そんなキキが身体を起こそうとするもーー動かせずに零す。


「……なるほど……。あの矢には、麻痺の毒か……。身体が、動かない……」


 そう言いながらも彼女のその表情は、

 どこかあっけらかんとしたままだった。



挿絵(By みてみん)

 

 

 一方でジュリがしゃがみ込んだ刹那に、

 チラリと見せる青パンはさておき。

 

 ジュリが真剣な表情でキキに刺さった矢に手をかける。

 

「動かないで!じっとして」 


 ”ズボッ”


「ゴッホ!」


 ”ズ”


「ンゴンゴ」


 ”ズチャ”


「ウッホ!」と声を出しながら”バンバン”と、

 張り出す胸を叩くキキ。


 ”ズビャ”


「オッホ!」


 ジュリが矢を抜くたびに、キキが奇声をあげる。


 

 おいおい。それって……もはやゴリラだろッ!


 死んでも口から出せない言葉を飲み込む俺を他所に、

 肩で一息つくキキにジュリが治癒魔法を施した。



「【エクストラ・ヒール】!」


 詠唱とともにジュリの頭上には、紫の魔法陣が浮かび、

 そこから緑の光が注がれる。

 その緑光に包まれーーキキの傷が瞬く間に塞がっていく。



「……血も止まって、傷は癒えたわ、ありがとう……」


 キキのその言葉にジュリが困惑を滲ませた顔色になった。


「でもまだ麻痺が……」


 ジュリの声を聞いて、様子を見ていたイブが唇を動かす。


「キキ、ロカベルを侮りすぎじゃ」


「申し訳ありません。姫の誇りを……」


 「そんなことはどうでも良い。

 すまぬ、こと戦闘に於いては、そなたに頼りきりじゃったな」


「いえ……それは……」


 照れくさそうにキキがイブに応える。


「【ロカベル】の黒矢か、これは……古の麻痺毒魔法が施されておるな。

 妾の錬金魔術ならーー造作も無い」


 そう言ってイブが膝をつく。

 

 イブがこちらに鋭い目を向けながら零す。


 「肉体の再構築ーー即ち、等価交換をするしかあるまい」


 そう言いながらイブが何やらぶつぶつとつぶやく。

 彼女の頭上には黒色の魔法陣が浮かび上がり、

 金色に輝く古代文字が記された。


 その様子を見てミリネアが唇を動かす。


「あれは相当高度な錬金魔術ですね、毒に侵された箇所の組織そのものを、

 正常な状態へと『再構築』、或いは『再構成』して書き換えるーー


 超高等錬金魔方陣。

 

 並の術者ならあの魔法陣を描くだけでーー

 自らの肉体すら滅ぼしてしまうほどです。ご主様」


 淡々と説明するミリネアだが、その表情からは、驚きが隠せない。

 

 一方でキキの唇の色がだんだんと紫色に変色していく。

 額にも冷や汗がダラダラと垂れてくる。


「キキよ。そなたの細胞を錬金術で活性化させるから待っておれ!

 毒を分解する代謝能力を、一時的に数万倍に引き上げる術じゃ!」


 イブがキキの身体に触れた瞬間ーー魔法陣が輝きを増した。

 場が静まる中、彼女が厳かに唱え始める。


「万物よ、汝の基盤たる元素に還れ。

 黄金の円環、破壊と創造の輪よ。

 散りし肉、砕けし骨、失われし血潮ーー


 我が触媒たるこの身体と魔力にて、

 再び溶かし、練り上げ、織り成せ!


 賢者の石の息吹を宿し、古の魔法陣よーー

 完璧なる原形に回帰せよ!


 【アルケミア・リジェネラートゥム】!」


 


 紡ぎ終えたーーその瞬間。


 キキの身体が光の粒子に包まれた。 

 ーーいや、光ではない。

 彼女の肉体が、まるで極小の「黄金の砂」へと分解されていく。


 焦茶色の肌も、白い軍服も、その下の肉も骨も、

 すべてが個としての形を失い、無数の砂となって空中に漂う。

 

 一瞬、そこにはキキという存在の「輪郭」だけが、

 砂の霧として残像のように浮かんでいた。


 その霧が、イブの魔力に操られ、再び急速に結合を始める。

 足元から順に、砂が形を成し、皮膚が織り上げられ、肉が満たされていく。

 それはまるで、神が粘土から人間を創り出す過程を、

 超高速で巻き戻しで見せられているかのようなーー

 神聖かつ不思議な光景だった。


 

 挿絵(By みてみん)



 エリナが目を丸くする中、「どうじゃ!殿、見事なもんじゃろ!」と、

 イブが俺を見て微笑む。


 その瞬間、イブのエメラルドグリーンのレースがはっきりとーー

 目の前に、それも大胆に、だ!

 

 「確かにーーその焦茶の身体に”エメグリハート”の対比は見事なものです」


 と内心、言葉を沈める俺だったーー。

 


 


 


 お読みいただき、ありがとうございます。

 引き続き読んでいただければ嬉しいです(๑╹ω╹๑ )


 回文╰(*´︶`*)╯♡。

 ロカベルの【古代魔法】の詠唱は逆さまに読むとーー笑。



 




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― 新着の感想 ―
ミーアさんやったー! ……からのゴリラ展開!(((*≧艸≦)ププッ これはズルいです(笑) 熱いバトルからの、ほどよい笑いのバランスがとても良かったです! まだまだ正座は崩しませんよー!
ミーアちゃんの戦い方がかなり良かったです。 正面から押し切るタイプじゃなくて、追い詰められたように見せながら、ちゃんと勝ち筋を作っていたのが気持ちよかったです。 戦闘後のキキのゴリラ感と、イブの高度す…
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