護衛クエスト3
アレスさんは俯きながら昔を思い出す。
「あの頃は俺達全員が子供でな。敵を殺してる以上、敵も本気で俺達を殺りに来るって事を理解出来てなかったんだと思う。狩りを遊びの延長としてしか捉えてなかったから最初の年で三分の一の十人まで落ち込んでな。そこからは真剣に戦うようにしたんだ。でも、この前のゴーレム狩りもタナオカが居なかったら全員あの世に行ってたかもしれない。また気が緩んでたんだろう。もう少し気を引き締めないとダメかもしれない」
「そう言う事なんですか」
このチームはヤバいと思ったけど、その後の九年で四人ならそうでもないな。
このチームは至って普通のチームだし、冒険者は魂のやり取りをする職業だと言う事を改めて認識。
俺は遊び感覚で冒険者を楽しんでいた事を恥じた。
ニケさんが暗くなった雰囲気を変えようと仕切り始め盛り上げる。
「さーさー! そんな辛気臭い昔話なんてしないで飲もうよ!」
「そうだな!」
「飲んで忘れようぜ!」
「飲んで楽しもうよ!」
「乾杯だ! 乾杯!」
「なにタナオカお茶で乾杯しようとしてるんだよ!」
「俺はまだ十七だから未成年だし。二十歳じゃ無いからまだ酒飲める歳じゃないんだよ」
「あーん、お前バカか? おめーが居た世界は二十歳が成人かもしれないが、ここの世界は十二歳から成人なんだよ!」
「十七歳だから飲んでいいの!」
「それに召喚されたら三歳年齢が追加されるんだよ! だからお前は二十歳だ」
「そんな話初耳だけど?」
「俺が決めたから、そうなんだよ! こまけー事言わずに飲むんだ! 飲め!」
「そうそう、飲もうよ!」
半ば強引に飲まされ気が付いたらベッドの中だった俺。
後から知ったんだが、ここの世界の酒にはアルコールが入って無いそうなので日本の法律的にセーフだ。
ふと横に視線をやるとニケさんが俺の横で寝ていて、ほほ笑んだ。
もしかして酔っぱらってるうちにニケさんとやっちゃったなんて事は無いよな?
「やっと起きてくれたね。お酒飲むの初めてなのに飲ませ過ぎちゃってごめんね。すぐに酔っぱらって潰れちゃったから、宿屋に連れて来たんだ」
「お酒飲んだとこから全然記憶がないな」
「ごめん、もう無茶させないから」
俺は再び寝ようとするが、ニケさんも同じベッドで寝る。
いくらなんでもマズいだろ。
結婚前の男女が同じベッドで寝るなんて。
「あの、ニケさん。何で同じベッドで寝てるの?」
「それは恋人だし、もうすぐお嫁さんになるし。なんなら、私やったことが無いけど子作りしてみる?」
「いやいやいや。まだ結婚して無いからそういうのは止めようよ。それに結婚するっての初耳なんだけど!」
「私と結婚するの嫌?」
「いやじゃ無いけど。むしろ嬉しいけど」
「そっか。結婚したら、子作りしていいの?」
「そうだな、それまではそういうのは無しだ」
俺はベッドから出てソファーで寝た。
ニケさんと結婚か。
悪く無いよ。
すごくいい。
なんか楽しみだな。
ニケさんは二十歳なので俺より少し歳上で姉さん女房。
こんなかわいい子と結婚出来るなんて、異世界に来てほんと良かった。
ニケさんの為にも冒険者稼業を頑張って家でも買わないとな!
ただ、なんか心に引っ掛かる事が有るんだよな。
なんだろな?
全然思い出せない。
ニケさんと結婚したらマズい様な気がするけど、それは杞憂だ。
酔ってるから頭が回らないせいだ。
俺は酔いが残ってるせいかすぐに寝てしまった。




