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9/9

9.そうして迎える大団円は……?

 裏ED。それは、クレイモアという乙女ゲ―において、一部では真EDとも言われていたものだ。

 バッドエンド、各ノーマル・トゥルーEDを含む全てのEDを迎えると開くEDで、そこでは新世界の扉を開いたヒロインが最初の選択肢で望めば願いを叶えて男にTSし、自らも男としてテックの搭乗者になれるというものだった。

 その際、ヒロインの位置には友人であったフュオーレと、他に2,3名程の美少女が入り、彼女たちをギャルゲのように攻略することも、流行りのBLとして搭乗者である男たちを攻略することもできる、両刀EDとなるのだ。

 これには賛否両論が巻き起こったが、そもそもEDを全て攻略するのはかなりの難易度が有り、しかも最初の選択肢でTSすることを選ばなかったら、ヒロインのままテックに唯一の女性搭乗者としてプレイすることもできるとあって、概ね好ましい評価で落ち着いた。

 リュラが狙っているのはこのうちの前者のEDだ。

 リュラ――――前世、篠井和馬しのい かずま(♂)はこのEDの噂と、乙女ゲーには珍しいロボットアクション要素を聞き、興味をひかれ、妹にソフトを借りてEDをフルコンプリートした。

 その際に、裏EDにてTSした主人公でフュオーレの攻略をしたのだが……これが、とても可愛かった。CERO C程度ではあったが、多少のにゃんにゃん展開もあり、大変満足だった。テックの操作もなかなかおもしろく、彼にとってはこれがまさに真EDだと言い切れた。



 * * *



 和馬は道端を歩いている最中、何故か黒い光に包まれて、気づいたらリュラとして転生していた。

 そのことには大変驚き嘆いたが、一番困ったのはその体が女であることだった。

 さもあらん。

 24年の彼女いない歴=年齢であった和馬にとって女の体は未知の世界。生身の女性の裸といえば、せいぜい子供の頃、一緒にお風呂に入った母親やおばちゃんの姿を覚えているのみである。

 最初は女の体に興奮したが、やがて絶望した。どんなに綺麗で凹凸が魅力的な体であっても所詮自分の体。

 それに、やっぱりあるべきものが無い、というのはどうにもこうにも具合がよろしくないのである。

 15歳になり、記憶の中にあるゲームと似た展開が自らの身に起こり、ここはクレイモアのゲームの世界なのではないかと思った。

 確かに、リッシュノワという世界の名前には聞き覚えがあったし、もしや……とは思っていたが、男であった和馬が女の体に転生した時点で、これはよく似た別世界なのだろうと思っていた。

 しかし、記憶にあるイベントまでいくつか起こるとなると、これはおかしい。

 検証のために、自らの心を偽って、攻略を開始した。

 和馬は男子校育ちであったし、一部のセンパイや後輩がそういった道に目覚めてしまった事例を知っていたし、そこまで強烈な抵抗を覚えなかったこそ、なんとかなった。

 とはいえ、男を口説くというのはいくら自分の今の身が女となっていても結構ハードルが高かった。しかし頑張った。

 ――――検証の結果、やはりここはクレイモアの世界だという結論を得た。

 その上、EDを迎えると、希望の時期から周回プレイをすることもできると。勿論先を続けることもできたがそれはゴメンだったから、喜んでリセットし、強くてニューゲーム状態で始めた。


 つまり――――リュラが男になる道もあるわけだ。

 おそらく裏EDもあるだろう。あって欲しい。


 執念が、なんとかここまでこぎつけた。

 何度男を口説き、何度セカンドスクールの1年を繰り返したことか。

 命の危険を感じるバッドエンドも迎えたし、一見ラブラブなトゥルーEDも何度も迎えたことがある。その度に心が擦り切れていったのはここだけの話だ。

 あとは、フュオーレとの友情EDだけなのだ。

 本当なら友情で終わりたくないところだが、この身はまだ女のまま。

 真なるEDを迎えた上で、フュオーレと結ばれる。

 リュラはその日を心待ちにしている。

 

「悪いけど、一回しか人生繰り返してないフューに、負けないよ」

 フュオーレ。どうやら中身はゲームのキャラとは違う、自らと同じ転生者。

 何度も同じ事を繰り返して、飽きつつあった自分に変化をくれた存在。

 願わくば、このEDを迎えた後の裏EDでも「彼女」であればいい。

 ゲームのキャラのフュオーレはどこか作り物っぽかったが、「彼女」になってから、いきいきとしたように思う。

 どうやら彼女は今、自分の存在について悩んでいるようだが――――裏EDを迎えることができれば、それに答えを与えることはできるし、自分も同じ転生者なのだと明かすことができる。


 だから、その日まで――――。


「ごめんね、悩んでて」

 リュラはフュオーレの帰宅を確認して微笑んだ。

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貴重な時間を割いてくださり、ありがとうございました。

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