二尾
無事()諸々の引き継ぎを終えた我は七千年守護した国を後にし、引き継ぎの合間を縫って調べ上げた我の知名度が低い国へと引っ越した。
ただ、ちょーっと我妖気が強くて目立っちゃうから、その国の中心部ではなくて、ちょこっと端の町で、ちょこっと町から離れた所に居を構え、そこを拠点として婚活活動を始めることにしたのだ!
あっ、ここに居を構えた時に、引っ越し祝いにと町の町長とその町の民、あとこの国の守護妖仙に前の国の銘菓と挨拶をつづった手紙を送っといたぞ。
これで我の印象を良くしておけば、結婚の道も一歩近づくであろう!
「よし!家の掃除と荷解きを終えたら、夜用品を買いに町の様子を見てみるか!」
勿論、婚活相手のリサーチも忘れずにな!
我はルンルン気分で鼻歌を歌いながら掃除を始める。
───しかし、その時我は知らなかった...。
引っ越し祝と共に送った手紙のせいで、今町が大混乱に陥り、大変なことになっていたなんて.....。
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四夜後、あらかた荷物が片付き、我は必需品を買うのと町の様子を見る為に、外に出掛ける準備をしていた。
「耳の毛並み良し!尻尾の手入れも良し!着物も着崩れも無し!簪もズレてはおらん!では、行くとするか!!」
どんな出会いが待っているのかワクワクしながら、頑張って可愛くおめかしした我は家を出た。と、そこまでは良かったのだが...
「───どうなっているのだ?この町は??」
小さな町とはいえ、ここに越してくる前下見をした時に見た、軽快に奏でられる祭囃子の音、大きな声で客を引く商人たちの声と町中を走りはしゃぐ子供の笑い声が賑やかに飛び交う活気のある町が、今はしんと静まり返り、色とりどりの提灯や家の明かりも消え、店も家も全部戸が閉められ妖っ子一妖いない無妖の町と化していた。
「...たった数夜で何があったんだ?」
我はまだ夜中だと言うのに静かな町の様子を見ながら注意深く気配を探った。
結果、どうやら家、建物内には妖は居るようで、微かにだが息遣いと妖気が感じられた。
それと、こうなった原因が【負ノ遺産】絡みの可能性もあったので、そっちの方面も探ったが穢れ等の気配もしなかったからその線ではない事に安心した。
「まさかこの町には物忌みの習慣でも残っているのか?大昔にいた人間でもあるまいに...」
取り敢えず、割れの懸念していた事は無いのは分かったがそれだけで、町は静まったままだ。
「事情を聞こうにも、こう、怯えられては聞くに聞けんな...」
実は妖気を探った際に気づいたのだが、住人達は何かに怯えていているようで、少しでも刺激させてしまったら、町全体がパニックになってしまう程の怯えようだった。
なので迂闊に戸を叩いて声も掛けられん。
「さて、どうしたものか「おい、嬢ちゃん。一妖で何してんだい?」む?」
思考に耽っていたせいか、我はいつの間にか路地裏を歩いていたらしい。
我の前に如何にも怪しげでガラの悪そうな妖の男共が道を塞ぐように立ち、その中の一妖の一つ目男が声をかけてきた。
たが、我は特に驚くことなく、ニコリとちょっと誘惑の術を乗せ笑って見せては、
「観光しに町を歩いていたのですが、何故かお店が全部しまっていまして、開いているところがないか探していたのです」
普通の観光客を装って相手の気を引くことにした。
「そりゃタイミングが悪かったなぁ、嬢ちゃん。今はこの町は物忌みの期間に入っていてな、店の殆どが閉まってんだよ」
「(マジで物忌みだったのか!?)まぁ!そうなのですか!せっかく来たのにお土産一つ買えないなんて...どうしましょう」
と、我が態としおらしく困った風に装うと、それを見た一つ目男がニヤリと笑って、
「そんなにお困りなら、俺等土産買ってくのにうってつけなイイ所知ってるぜ。そこなら嬢ちゃんの要望に叶ったモンが買えるかもしれねぇぜ」
お約束な悪意マシマシの台詞を言ってきたよ。
まぁ、悪意しかないのは当たり前なんだが。
それを分かっている我だが、そのまま世間知らずの普通の娘を演じて嬉しそうに返してやった。
「まぁ!本当ですか?それはとても助かります!是非案内して下さらないでしょうか?」
「おう!こっちだ着いて来な!」
そう言いながら、一つ目男が我の後ろに回り逃さないように逃げ場を封じてか、もしくは我の体に触れたいのか、馴れ馴れしくも厭らしい手つきで我の腰に手を回してきおった。
「ありがとう御座います」
腰を撫でる様に触ってくるので尻尾の毛がボンッ!と膨れ上がりそうなのを堪えつつ、演技を続けチンピラ共に礼を言う我偉い!
「(少し妖気の無い所に出てから、コイツ等全員張り倒して、骨を二、三本引っこ抜いてから事情を聞くとするか...)」
袖に隠れた手の指をコキリ...と鳴らした、その時───
「ぎゃぷぅっ!!?」
一つ目男が何者かに後方へふっ飛とばされ、ドンガラガッシャン!と壁に激突した。
「誰だあ!?」
ドスを効かせた声で、一つ目男を吹っ飛ばした犯人の方を向くチンピラ妖怪その一。
我も一緒にそちらに目を向けると、肩に風呂敷で包んだ長物を担いだ端正な顔立ちの男が立っていた。
ここまで読んで下さりありがとう御座います!
今回もおまけをつけて置きますので、よかったら見ていって下さい!
〜覚えて学ぼう【月ノ本】の世界と愉快な仲間達!〜
Kさん「こんばんは。いつものおまけの進行役の妖怪Kです」
作者「こんばんは〜♪同じく作者でっす!」
Kさん「今回は作中に出てきました、“夜用品”“〜夜後”“一妖”などについて説明していきましょう」
作者「まず、この世界は夜が中心となった妖怪達の夜なので、当然、言い方が変わっているんですよー」
Kさん「簡単に言えば、“日”が“夜”に変わっただけなのですけど↓の感じに」
現在→過去
夜用品→日用品
一夜→一日
〜夜後→〜日後
暗後夜→明後日
今夜→今日
Kさん「となっています」
作者「妖怪の数え方も“〜人”じゃなくて“〜妖”と数えられてるんだ。兎に角“日”と“人”と言う言葉は入れないように、気を付けて書いてます!」
Kさん「今回は短いですが、ここまでとします。
ではまたお会いできたら会いましょう。さようなら」
作者「またね〜♪」




