自宅謹慎?
ヘオンからの提案を受け、私はとりあえず「持ち帰り検討させていただきます。」という発言をした。
私にとっては利益になりそうな提案ではあるけれど、やはり腹の内がわからないうちは怖い。
私に協力的な感じには見えるけど、協力的かどうかも悩ましい。
ただ何でもいいけど――――――
「あの、どうして私は自宅謹慎を受けているのでしょうか……。」
娼館から救出された私は首都から少し離れた実家に帰宅していた。
いや、帰宅といえば聞こえがいい。
現在厳重な警備の元軟禁されている。
「嫌ですね、自宅謹慎なんてさせているつもりはありませんよ。ただ僕はあなたが心配なのでお屋敷から出ないでくださいねとお願いしただけじゃないですか。」
私の質問にいつも通り素晴らしい笑顔で返答を返してくるフォルテ。
しかしもう皆さんお気づきだろう。
この腹黒王子は「お願い」なんて生易しいことをしたりしないことを。
「お願い」とはいうものの、私の部屋の前には王宮より遣わされた騎士たちが見張っており、部屋から出たらその騎士たちはどこまでもついてくる。
さらに屋敷から出ようとしたら「外出はお控えください」といわれ、なんやかんや理由を付けられ通してもらえない。
これ、監禁された結果自宅謹慎するしかないという状況なんですよ。
(せめて、せめて私の元にヒロインちゃんをください……。)
むさ苦しい男たちばかりいるお屋敷。
華がない!圧倒的に華がない!!
さらにいえばヴェリテちゃんはこの場にいないのに、ほかの攻略対象の男どもは全員私の部屋にそろってくれているからさらにむさ苦しい。
「まぁあきらめろよ、ヴィオラ。つか、今回のことに関してはやむを得ない事情があるんだよ。」
「そうだよぉヴィオラ。だってまだ黒幕であるピアノル第二王子の裁判がまだなんだよぉ?一応それこそ自室で謹慎を受けて入るけど、君に危害を加えないとは考えられないしねぇ……。」
常識人であるロンドやコモドまでもが今回ばかりはフォルテの味方ならしく、さらに言えばお兄様たちもフォルテの提案に賛同している。
ただ一人――――――
「えぇ~でも、こんなに厳重に監視されてたら息がつまっちゃうとおもうけどなぁ~。」
何故かちゃっかりこの場にいるヘオンだけは私の味方をしてくれていた。
とはいえこの私の味方は味方ではないかもしれない恐れがある。
これは私に心を開かせるために懐柔させようとしている作戦ではないとは言い切れない。
そんなこんなで心から味方と寄り添える人物がどこにもいないこの空間は非常に窮屈で息苦しさを感じざるを得ないのだ。
(っていうか本当、私のことはどうでもいいからヴェリテちゃんと恋愛でもしててよ……。)
なんて思うけど誰一人この場を動こうともしない。
何、みんな暇なの?と、問いかけたくなるレベルだ。
(というか私、別に病人でも何でもないのに何でベッドの上にずっと四六時中座ってるんだろう。)
もはや病人扱いじゃないだろうか、これ。
本当にいい加減息が詰まる。
「すまないがあと数日だけこらえてくれ、ヴィオラ。今急ぎ裁判の準備をしているところなんだ。」
「大丈夫よ、ヴィオラ!私の可愛い妹に手を出した報いはあのちんちくりん王子にしっかりと受けてもらうから!」
フラットンお兄様とメロディンお兄――――お姉さまが私に近寄り、私の頭をなでながら語り掛けてくる。
二人にとって私は血を分けた兄弟で、ほかに変えられない存在。
それはよくわかっているつもりだ。
だからこそこの二人に言われると少し弱い。
だって、自分の家族がひどい目にあっていたというのだ。
ようやく帰ってきて安心しているところ不安にはさせられない。
(あと少しだけ我慢するか……。)
フォルテに言われると受け入れられないこともお兄様たちの言葉なら受け入れられる。
そう、これは決してフォルテの思い通りなのではなくてお兄様たちを不安にさせないため!
そう自分に言い聞かせて私はそれから数日、ピアノル王子の裁判の日まで家で本を読み漁り、静かな時間を過ごしたのだった。




