第6話 勇者と魔王の大乱闘スマッシュなんとか
カキーン。
「ほげえ!!」
自称勇者の少年にセンゴクは黄金のバッドのフルスイングをブチ当てた。
勇者は遠路はるばる魔法使いを頼ってきたというのにだ。
センゴクが理不尽ともいえる仕打ちをしたのは当然訳があり、
「もう嫌だよ-、辛いよー」
勇者に暗殺されかかるというトラウマを持つ魔王が、PTSDを発症し、半ば幼児化したからであった。
具体的にこの世界の勇者というと、表向きは聖霊より託宣を受けた選ばれし者というふれこみで、政治的にも宗教的にも利用されており、実情は国ごとに所有している戦士(兵器)のことであった。
単独で軍団を相手取る力量を持つ超越者……大体一国につき運が良くて数人という勇者は、その数がある種の軍事力の指標になるのである。
そんな勇者は現在、減少の一途を辿っている。
魔王暗殺にことごとく失敗しているからだった。
魔族最強は伊達ではない。
だが、そんな最強でも、毎度命のやり取りをしていたらストレスがたまるわけで。
「おーよしよし。とりあえず勇者は追い払ったからな~」
立派なツノの生えた魔王の頭をセンゴクは優しく撫でた。
「う、うん。ありがとう」
Tシャツに短パンという出で立ちで錯乱する魔王に、もはや魔王としての威厳など無かった。
***
「なんとぉーーーー!!」
吹っ飛ばされてから程なくして淡い光に包まれた勇者が、再びセンゴクの前に現れた。
どうやら空間転移を実行したらしい。
いわゆるルー〇というやつだ。行ったことのある場所なら融通が利くのだろう。
「な、何をするだぁーーー! 勇者である俺に何だ貴様! ゆるさん!!」
勇者は、背中の大剣を抜き放ち、大きく振りかぶった。
「遅い」
神速の勇者のさらに上を行く速度で滑るように地面を移動するセンゴク。絶超低空空中緊急回避である。
冴えるジャンピングアッパーカットが、勇者の顎を打ち抜き、また空の彼方へ吹き飛ばされていった。
「まだまだ~~!」
千鳥足になった勇者が再度現れた。
「懲りないねえ」
「これだ、これを俺は望んでいた! 俺の力を真っ向から受け止められる奴を!」
勇者の顔が、狂喜を孕んだ笑顔になる。
それだけでセンゴクは察した。
ちょっとお仕置きが必要だなと。
「オーケー、そのプライド、徹底的に砕いてあげよう」
リアルスマッシュなんとかの神が、意地の悪い笑みを浮かべた。
~2週間後~
「ふん、雑魚が。余にたてつくなど100年早いわ」
「うっさい魔王! もう一回! もう一回な!」
「何度でも返り討ちにしてくれるわ」
引きこもりが一人増えた。
勇者としての自尊心を粉々にした結果がこれだ!!
王様「勇者が戻ってこねえ」




