7わん
「――ようこそ、はじまりの村ギルドへ」
「わっふん!」
――さまざまな獣人で賑わうギルド1階カウンター。
「私は受付のキューです。
まずはあなたの名前を教えてください」
「しぃちゃん!」
「シィさんですか?」
シマリスのような小柄で可愛らしい獣人がカウンターで首をかしげる。
「しぃちゃんはしぃちゃん!」
「うーん、本当にしぃちゃんさんで登録してよいですか?」
困ったようにまた首をかしげる。
「わふん!」
だっておねぇちゃんが呼んでくれたもん!
「⋯⋯わかりました。年齢はおいくつですか?」
「しぃちゃんは4さいって、おねぇちゃん言ってたよ」
「⋯⋯4歳ですか?さすがにそれは無理がある気がしますが」
「だって4歳だもん」
たしかに幼いしゃべり方だけど⋯⋯
どうしようと首をかしげる受付のお姉さん。
「⋯⋯わかりました、それで登録します」
「わふっ」
「それではランクについて説明します。ギルドでは、依頼内容によってランクがあります。今回の依頼はBランクとなります。」
「びーらんく?」
「はい、こなした依頼によって冒険者ランクも上がります。通常はギルドに登録してから、依頼を受けてFランクから上がっていきます。」
「わふーん、しぃちゃんよくわかんない」
「えーっと、こういう感じですね」
キューが紙に三角を書いてくれた。
「この三角の一番下がFです。上の段に上がるごとにE、D、Cとどんどん上がっていきます。」
「わふっ、わかりやすーい!一番上は?」
「Sランクですね」
「わぁふー、すごーい!しぃちゃんは?」
「今回Bランクの依頼を1つ達成したので、Bになります」
「スキルあがったかな?」
「では、見てみますか?」
「わふ?見れるの?!」
「えぇ、ギルドではこういった魔道具を使って自身のステータスを閲覧することができます」
カウンター下から、四角い画面を出してきて見せてくれた。
「この板に手をかざしてください」
「わふっ」
しぃちゃんが手をかざすと、画面に文字が浮かびあがってきた。
「――これはっ」
――――――
名前 しぃちゃん(4)
種族 獣人(柴犬)
LV 15(↑10up)
HP 950/1048
MP 98/101
―スキル―
イメージ召喚魔法Lv2(↑1up)
ファングバイトLv3(↑2up)
咆哮Lv2(↑1up)
威嚇Lv2(↑1up)
追跡Lv2(↑1up)
強靭な牙Lv3(↑2up)
獣化Lv1
もふもふ肉球Lv1
自給自足Lv2(↑1up)
―特殊スキル―
*の声
*の加護
――――――
「わふ?」
「スキルレベル上がってますね。それに特殊スキル持ち、見たことないスキルばかりです」
「ほんと?!わーい!」
「体力が平均的な犬族を大幅に上回ります。戦闘で利用したスキルはほとんどレベルアップしてますね。固有スキルの文字は認識できないですが、何かの加護をお持ちです。もふもふ?⋯だけよくわからないですね」
板を見ながら首をかしげ、ブツブツ言うキュー。
「しぃちゃん、一番上までスキルあげるの!おねぇちゃんに会うために」
「一番上というと、Lv10ですね」
「わふっ」
「それならギルドで依頼を受けて、自分のレベルを上げたりスキルを多用するのがおすすめですよ」
「しぃちゃん、やる!」
ピョンッピョンッ
「ギルドカウンターに相談いただくか、そこの掲示板にもメモが貼られます。現在はBランクまでなら受けることができますよ」
掲示板の前には、人だかりができていた。
「しぃちゃん見るー!」
掲示板まで駆けていくしぃちゃん。
「あ、ちょっ!決まったら依頼メモをカウンターまで持ってきてくださいねー⋯⋯大丈夫かなぁ」
掲示板にはいろんなメモが貼られていた。
「えーっと、しーらんく⋯⋯まもののむれをたおせ?」
よっし、これにしよー
パシッ
しぃちゃんがメモをとろうと手をのばすと、黒い何かにはたかれてメモをとられた。
「わふっ?!」
「これ、先に目つけてたから」
そう言って、睨むのは黒い猫耳に黄色い目のキレイな女の子だった。
「そうなんだ〜ごめん〜」
「何そのヘラヘラした顔」
「わふ?!
しぃちゃんヘラヘラしてないもん」
うるうるした目で見ると、女の子は少しバツが悪そうだった。
「だって、しぃちゃん謝ったのに」
周囲の痛い視線が猫耳にそそぐ。
「⋯⋯チッ、わかったわよ。今回は譲ってあげる」
「わふ?!いいの?!」
「うるさいわね、やりたくないなら私が「やるやるやる!一緒にやろうよ!」
遮るように手を握って、期待に目を輝かせるしぃちゃん。
「はぁ?」
引き気味な黒猫さん。
「そうすれば、いらいもすぐ終わるし〜しぃちゃんはじめてなんだもん」
「いやよ」
「わふっ、おねが〜い」
⋯⋯
またしても、周囲の視線が⋯⋯
「もう、わかったわよ!取り分は7:3。もちろんこっちが7いただくわ」
「わふっ!!やったー!」
腕を組んでため息をつく猫耳と、うれしくて走り回る犬耳。
「私はミュウ、そっちは?」
「しぃちゃん!」
「はぁ、これよろしく」
カウンターのキューに慣れた手つきで依頼メモを渡すミュウ。
「Cランクの魔物討伐ですね、ミュウさんと⋯⋯しぃちゃんさんで受付します」
「じゃ、明日依頼日時に現地集合で」
そう言うと、黒いしっぽをイライラ振りながら颯爽とギルドを出ていった。
「わふ〜可愛いお友達できた〜」
対するしぃちゃんはうれしそうにしっぽを振っている。
えっあれで?!とギョッとするキューであった。
つづく




