6わん
目の前には、半熟たまごののったおいしそうなサンドイッチと湯気のたつミルク。
――おいしそうすぎて⋯⋯もう待てないーー!!
「がふっ!はむはむはむっかぷっ⋯⋯」
「落ち着いて食べないと、詰まらせるぞー」
ギルドの石造りと木造の建物内1階のカフェにて
シェパードのような犬獣人のケイに言われながら朝食をとるしぃちゃん。
「――わぁふ〜おいしかった〜」
わふ、おかわりないかな〜
「なんだその顔は」
んじーーー
「わかったよ。これもやるから、ほら」
「わふー!ありがとう〜〜」
ケイの分をもらい、食べはじめる。
「はむっ」
黄色いのとろとろでおいひぃ〜
「いい食べっぷりだなぁ」
「らって、しぃちゃんわんちゃんだったはら、
ほういうの食べちゃいけなかったんらよ」
おねぇちゃんにいっぱいお願いしても、くれなかったんだよね〜
「わんちゃん?犬の獣人だから食べちゃいけないってことはないと思うが――」
「はふっ、はぁおいしかった〜」
「これからギルドマスターに会って報告するから一緒に来てくれ」
「わふん!わかった!」
ケイについて2階にあがると、扉を叩いてギルドマスターの部屋にはいった。
「ケイだ、入るぞ」
「おかえり、ケイ遅かったわね」
さっきの女の人だ!
座っていたのは、白い服を着た羊のようなもふっとした髪に角がはえたメガネの獣人女性。
「エルは?!」
「大丈夫よ。薬で石化も治って、医務室で寝てるから」
会いに行きたいー!
「こら待て。いま行って大騒ぎしたら、エルもゆっくり休めないだろ」
ケイに首根っこを掴まれて、戻されるしぃちゃん。
しゅんと垂れる耳としっぽ
「わふーん⋯⋯」
「改めて自己紹介するわ、私はアイ。ここはじまりの村のギルドマスターまたはギルド長とも。あと、医者でもあるの」
「しぃちゃん!」
「今回はB級のコカトリスを倒してくれてありがとう。他の依頼でB級以上が私とケイ以外出払っていたから、とても助かったわ」
褒められたーうれしいなー
「わふふ」
しっぽをぶんぶん振るしぃちゃん。
「ところで、コカトリスに刺さっていたあの武器は一体なに?」
「お注射!」
「まさか注射器?私が知っているものとはだいぶ形状も大きさも違うけど」
「わふん、しぃちゃんしょうかんした」
「召喚士なの?!」
「そうみたい〜」
「なるほどな」
ケイがうんうんと頷く。
「でもあんなものを召喚する召喚術なんて見たことも聞いたことも」
ブツブツと考え込むアイ。
「しぃちゃん、他にもねーこういうの出せる!」
ぼとぼとぼとっ
「ジャーキー!」
はむはむはむ
「!」
「ななななななんだ?!
この抗えない匂いは?!」
驚くアイとジャーキーに釘付けのケイ。
「はい!さっきケイ朝ごはんくれたから、しぃちゃんもこれあげるね」
「いいのか!?」
「ケイ、やめなさい。話し中」
「⋯⋯わかった」
犬耳としっぽが下がるケイ。
「ごほんっ
見たこともない召喚術だけど、あなたはどこでそれを?あと、どこからきたの?」
「しぃちゃん別の世界からきた。頭の中の声さんがスキルくれた」
「別の世界?頭の中の声?」
「遠くから来て、誰かからその召喚スキルをもらったということかしらね」
首をかしげるケイとアイ。
「しぃちゃん、いらいいっぱいやって、スキルあげておねぇちゃんを呼ぶの」
「――おねぇちゃん?」
「依頼ということはあなたギルドに登録してくれるのね!」
首をかしげるケイと、興奮して飛び上がるアイ。
「わふん!今日エルと登録しに行こうとしたら、こかとりさんがきたの」
「ほんとに?助かるわ!B級を倒したし、召喚士なんてほとんどいないから大歓迎よ」
しぃちゃんの両手を掴んでぶんぶん振るアイ。
「じゃあ、下で手続きをお願いね」
「じゃ、案内するよ」
行こうとするケイを引っ張ってとめるアイ。
「副ギルド長には別件で話があるから残って。別のギルド員にエルのところにも案内させるから」
「エルのところ行きたい!」
「そう言うと思って」
チリンチリン
アイがベルを鳴らすと、誰かが入ってきた。
「ギルドマスター、お呼びですか?」
茶色と黒の縞々の髪を2つに結んだリスのような少女。
「ええ、コカトリスを討伐した召喚士のシィよ。
ギルドに登録してくれるの。手続きと、終わったら例の負傷者のところに、連れていってあげてくれる?」
「!?わかりました、こちらへ」
「わん!」
バタンッ
トタトタトタ
「――で、ギルド長何か?」
問いかけるケイ。
「確信はないけど、あの子もしかしたら、
異世界人かもしれないわ」
惜しくも異世界犬。
「ええ?!」
「まるで伝説級の話よね」
「変わった子だが、にわかには信じがたいな⋯⋯」
「そうよね⋯⋯勘違いかもだけども」
「あはは、さすがにあれで勇者聖女はないだろ〜」
いつかエルも考えたことを言うケイ。
ごはんにかぶりついたり、言動や行動が幼いしぃちゃんを思い出す。
「そうなのよね⋯⋯でも妙にひっかかるの。
例の依頼にぶつけて、確かめてみようかしら」
「おい、まさかあれか?!
さすがに危険だろ!あれはB級以上じゃないと」
「コカトリスを討伐したならB級相当でしょ」
こうしてギルドマスター権限により、何かが決まってしまったのでした。
つづく




