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ケモミミ探検記  作者: 白柴える


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2/9

2わん

 

 ザッ


「くそっ

 ここまでか⋯⋯」


 ダダダーーー!


 森で魔物の群れに襲いかかられ、視界の隅に黄色が見えた。


 ――なんか、おいしそう

 死に間際になると食べたい物が浮かぶのかな


 ダダダーーー!


「うぉーーーーーぅ!!わおぅおぅーおぅー!」


 ガブッ


「ッ?!!」


 なんだあれ?!

 新手の魔物?!


 黄色くて細長い果物?に手足が生えた何かが魔物の群れに噛み付いて、吠えながら追い回している!!


「ゔぅぅぅーーーぅ!」


 追い回された魔物たちも、その醜さに恐れおののいて逃げだした。


「わおぉーー!!」


 勝ち誇ったようにそれは雄叫びをあげた。

 恐ろしく黄色い魔物がこちらに向かってくる。



 あぁ、次はこっちか。なんて今日はツイてないんだよ――


 ――そう思ったときだった。


「しぃちゃん、やっつけた!

 もう大丈夫だよ!」


「??!!!」


 黄色い魔物がしゃべった?!

 いや⋯⋯よく見たら変な服を着た人間?



 いやいやいや⋯⋯騙されるな騙されるな

 こんな怪しい服を着た人間見たことない


 最近は高位の魔物は人語を話すと聞くし、もしかしたら、こいつも⋯⋯


 ベローーーン


「⋯⋯うわっわっっ舐めたっ?!

 なんだおまえ?!!」


「うん?」


 黄色い魔物が首をかしげた。


 なんか可愛い⋯⋯


 いやいやいやいや、騙されないぞ!

 唾液に毒がある魔物かもしれない


 とにかく距離をとらねば⋯⋯


 ズルズルズル


「いたい?

 しぃちゃんもっとペロペロしようか?」


「っ?!やめろ!

 こっちにこないで!」


「こわいの?怖くないよ!

 しぃちゃんは、じゅうちんのにんじん!」


 ⋯⋯重鎮のにんじんとは??


「⋯⋯一体どこから」


「あ、まちがえた!

 じゅうじんのにんげん!」


「獣人なのか??」


「うん!」


 黄色い獣人?は腰に手をあてて、なんだか誇らしそうだ。


「その黄色いのはなに⋯⋯?

 そんな獣人見たことない」


「むぅー!

 おねえちゃんが可愛いって言ってくれた服なのに」


 黄色いとんがりを剥くと、白い耳が見えた。

 たしかに犬か狼の獣人のようだ。


「なんでそんな服を着てるの⋯⋯

 魔物かと思ったよ?!」


「だって、頭の中の声さんが服を着てって」


「いやいや、着てなかったの??!!」


「うん!

 前は毛がもふもふだったから」


 いくら獣の特徴を持つ獣人とはいえ、裸族?

 ヤバい奴すぎる⋯⋯

 こういう輩には極力関わりたくない⋯⋯


 でも、結果的には助けてもらったわけだし⋯⋯

 足をひねって村に帰るには誰かの助けが必要だし⋯⋯

 また魔物に襲われたら、今度こそ⋯⋯


「⋯⋯足をひねっちゃって、村まで支えてくれない?

 助けてもらった礼もしたいし」


「わかった!しぃちゃん助ける!」


「こっちはチーターの獣人でエル。あなたは?」


「しぃちゃんはしぃちゃん!」


「シィ?」


「しぃちゃん!」


 名前まで変な奴だな⋯⋯

 でも、なかなか強そうだし

 無事に帰るためには背に腹は代えられない⋯⋯


 ザクッザクッ


「シィはどこから来たの?」


「あっちだよ!」


「⋯⋯あっち?森の向こう側の村から?」


「ううん、おねえちゃんと別の世界のおうちにいたんだけど死んじゃって、ここに来た!」


「別の世界のおうち?おねえちゃん?」


「うん!」


 うーん、にわかには信じがたい⋯⋯


 でも、昔現れた聖女や勇者は異世界からきたと聞いたことあるけども⋯⋯


 ジーーー


「ん?お腹すいた?

 しぃちゃんジャーキー出せるよ!」


 いやいやいやいやいやいや

 ないないないないない


 黄色いとがった変な服で元裸族だけど、顔は可愛い獣人の少女。

 エルはそんなヤバい変人が、勇者や聖女なわけないよねー⋯⋯

 と思いながら、帰路につくのでした。




 つづく

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